日曜日, 1月 11, 2026
ホームつくば【亥年折り返し】㊦ 昨季イノシシ500頭を捕獲 つくば市、国道125号をめぐる攻防

【亥年折り返し】㊦ 昨季イノシシ500頭を捕獲 つくば市、国道125号をめぐる攻防

【相澤冬樹】つくば市では2018年1月、沼田のつくばりんりんロードで、地元住民がイノシシに襲われケガをする事件があり、4月には金田のさくら運動公園、桜中学校付近で目撃情報がもたらされ、緊張が走った。ここまでくると、学園地区とは目と鼻の距離である。

同市が、イノシシを対象とする鳥獣害被害防止計画を作成したのは2017年度。担当は農業政策課だが、猟友会などと連携した捕獲対策は環境保全課が所管する。19年度までの3カ年、毎年160頭から210頭の捕獲を計画していた。

18年前半の事故と目撃情報から、筑波山ろくの地区長を中心に駆除の要望が高まった。イノシシは11月から翌年3月までが猟期で、銃器とワナによる捕獲体制が強化された。市内には猟友会支部が3地区にあり、協力を呼びかける一方、市も山林上空にドローンを飛ばすなどして生息分布を探り、ワナの適正配置に役立つよう情報を流した。

結果、18年度の捕獲頭数は一気に500頭、計画頭数の倍以上に達した。市環境保全課は「地元にお願いした自助努力の成果が表れた」と胸を張った。筑波山ろくに並行して小田、北条を走る国道125号を越えての目撃情報もぱたり途絶えており、筑波山域への封じ込めには成功しているとみている。地元からも「被害も減っているようだ」(六所地区)と好感されている。

しかし、同課は「手放しでは喜べない」としている。農研機構のイノシシ研究者、仲谷淳さんが指摘していた「捕獲数が多い地域ほど被害も多くなる」状況の可能性を否定できないからだ。500頭もの捕獲がこの先の状況をどう変化させていくか、動向を見守りつづける必要がある。20年度からの鳥獣害被害防止計画の作成に向け、被害情報の収集、狩猟免許取得者の拡大などに取り組んでいる。

仲谷さんによると、イノシシは元来平地を好む生き物なので、山に追い込み、正面から防御すると脇から遠回りに漏れ出す生態がある。筑波山ろくの防御線は土浦市に入ると、旧新治村を通る県道つくば千代田線に変わる。しかし旧土浦市の今泉地区あたりまで侵入跡がみられることから、平地への越境はすでに始まっているようにもみえる。さらに同市東部、市街化が進むおおつ野地区でも出没したとの情報がある。

耕作放棄地や放棄果樹園などを足場に、市街地へ侵入してくると市民生活への影響も懸念される。「市街地では発砲もできず、わなも仕掛けられない。交通事故や安全対策など被害は農地や農作物にとどまらなくなる」(仲谷さん)。

土浦市農林水産課では、「筑波山域には実際、どれほどの生息数がいるのか、実態を計れないところが悩み」という。同市の防止計画はかすみがうら市と共同で19年度に策定。イノシシについては18年度の被害額439万円を21年度に307万円まで減らす目標を立てた。捕獲数の目標は年間150頭。同課によれば、15年以降、直接的な予算は年間250万円ほどで、毎年100頭前後を捕獲してきた。生息実態がつかめないため、これらの計画数値が適正かの判定もできかねているのが実情のようだ。

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産後ケア利用の男児が一時意識不明に つくば市 重大事故検証委設置へ

つくば市から委託を受けて、出産後の母子のケアなどを実施している「産後ケア施設」で昨年11月、施設を利用していた生後4カ月の男児が一時意識不明となり、救急車で病院に運ばれていたことが分かった。男児は現在、退院しているが、左手足にまひが残り、今後継続的に通院やリハビリが必要な状態という。 市は重大事故として、第三者による検証委員会を設置する方針を決め、7日開かれた市議会全員協議会に説明した。同市は2018年度から産後ケア事業を実施しているが、意識不明など重大事故が発生したのは初めて。 同市こども未来センターによると、男児は市内に住む。当時、母親と2人で施設を利用中、容体が急変し意識不明になった。施設が119番通報し、救急車で病院に運ばれ入院した。施設からは翌日、市に連絡があり、市は同日、県などに報告した。 男児が意識不明になった原因については不明という。当時、男児がどのような健康状態だったかや、意識不明になった経緯、施設で何をしていたかなど当時の状況について市は、公表できないとしている。 検証委の設置は、意識不明になった原因が不明であることから、昨年3月にこども家庭庁などから出された通知に基づいて設置する。検証委では、関係者へのヒヤリング、現地調査などを実施して事実関係を明らかにした上で、発生原因を分析し、必要な再発防止策を検討する。さらに事故発生の背景、対応方法、問題点、改善策などについて提言をまとめる。 市によると、検証委の委員として医師、弁護士、学識経験者、産後ケア事業者など5人以内を検討している。16日に開く市議会本会議で検証委の設置が可決されれば、すみやかに委員を選定し、年度内に第1回会合を開催したい意向だ。提言報告書をまとめるまでには1年ほどかかる見通しだという。 産後ケア事業は、出産後、育児に強い不安があったり、周囲に手伝ってくれる人がいないなど育児の支援が必要な、ゼロ歳児の母親などを対象に、相談に乗ったり、母子の健康状態をチェックしたり、食事や宿泊などを提供する事業。つくば市は現在、市内外の医療機関や助産院など19施設に委託して実施し、2024年度は261人の母親が子供と一緒に利用した。昨年11月に意識不明事故があったのは19施設のうちの一つという。(鈴木宏子)