木曜日, 7月 9, 2026
ホームスポーツ【あと一勝の壁】5 3度目のチャンス 力投報われず

【あと一勝の壁】5 3度目のチャンス 力投報われず

【伊達康】失意の敗戦から数日後、監督から「上野に甲子園に連れて行ってもらうぞ」と冗談とも本気ともつかない檄(げき)を受けて、最上学年となった上野はキャプテンに指名された。やがてその言葉を体現し、2年秋に甲子園への3度目のチャンスを迎えることになった。

上野は地区予選から県大会決勝までの全6試合で先発し、県大会2回戦から決勝までは4試合全てを完投した。決勝は宿敵・常総学院と延長15回で決着が付かずに完投。大会を通じての投球回数は驚異の55イニングに及び投球数は900球を超えた。翌日の再試合は安高颯希(桜美林大3年)が1失点に抑える快投を演じて霞ケ浦が春以来の優勝を遂げた。

秋季関東大会は開催県には3校、開催県以外の6県には2校の出場枠があり全部で15校が出場する。通常は2回勝たなければセンバツ当確ラインの準決勝に進めないが、開催県の1位校だけは1回戦を免除され準々決勝から出場する特典(スーパーシード)が与えられる。つまり、開催県の1位校は1回勝てばセンバツ当確という訳だ。この年の秋季関東大会は茨城開催だったため、茨城1位の霞ケ浦がスーパーシードを獲得した。

1回戦を終え準々決勝の相手は桐生第一に決まった。先発はこの試合も上野だ。霞ケ浦は2回裏に先制を許したが、4回表に相手のエラーで同点に追い付いた。その後、1対1の膠着状態のまま9回裏に突入。二死二塁から打ちとった当たりが痛恨のサヨナラ打となった。霞ケ浦打線は散発5安打と沈黙。上野の力投が報われず甲子園への3度目のチャンスもあと1勝の壁に阻まれた。「最後は際どいところに打たれた自分が悪い。県大会決勝の後は1週間ボールを握らずにノースローで調整した。痛みはなかったが、県大会の疲労は抜け切ってなかった」

投手陣の底上げへ 上野に頼らない春

一冬を越えて3年春の県大会。霞ケ浦の投手起用方針は秋から一転した。「春先の練習試合で調子が上がらず東海大相模にめった打ちを食らったというのもあるが、大会前に監督からは『関東大会がかかった準決勝だけ完投で行くぞ』と言われていた」。1人でも多く夏の大会で投げられるめどが立つように、上野以外の投手の経験値を上げる方針で大会に臨んだ。霞ケ浦はその思惑どおりに安高颯希を中心に、秋は出番のなかった岩田直也や浅賀蒼太の継投で勝ち上がり、準決勝の土浦湖北戦は上野が2失点完投で春季関東大会行きを決めた。さらに常総学院との決勝では1年生の飯村将太(桜美林大2年)と根本将汰(桜美林大2年)にも登板機会を与えた。決勝では敗れたものの、上野一人に頼ることなく勝ち上がる中で投手陣に経験を積ませることに成功した。

横浜を撃破 夏に向け自信

神奈川開催の春季関東大会では淺間大基(日本ハム)と髙濱祐仁(同)を擁する神奈川1位の横浜と対戦した。場所は神奈川高校野球の聖地「横浜スタジアム」だ。完全なるアウェーの中、県大会の疲労が全くない上野は横浜打線を相手に5安打2失点に抑える粘投を見せた。打線は6回まで1安打に抑えられていたが11個の四球と相手投手の制球難に乗じて長短打を絡め、7回表に一挙7点を挙げ7回コールド勝ちを収めた。横浜のコールド負けは1970年春以来44年ぶりのことであった。1年秋の東海大相模に続いて横浜を下す大金星。投打ががっちりかみ合っての勝利は夏に向けて自信となった。

=続く

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

「TX沿線では売地が枯渇」つくばエリアの地価事情に精通 桂不動産の渡邉社長【キーパーソン】

国税庁が7月1日に公表した路線価(1月1日時点)で、TXつくば駅前広場線の地価が平方メートル当たり40万円になった。広さのイメージが湧きやすい坪当たりでは132万円。1年前に比べると11%もアップした。県内では断トツの上昇率だ。つくばエリアで起きている「地価バブル」の実態と対応策は? つくば駅と研究学園駅の間に本社を構える桂不動産(つくば市研究学園7丁目)の渡邉宗明社長(51)に聞いた。 実勢価は坪180~190万 ー背景と実勢価は? 渡邉 路線価は実勢価の7割ぐらい。つくば駅前の路線価を実勢価に計算し直すと、坪180~190万円になる。これはTX終点駅そばの価格だが、1駅前の研究学園駅近くでは2年前、坪160万円で売買されていた。今、TX駅の周辺では、売り物が少なく買い手が多い。土地の需給面から地価が上がるのは当然といえる。 ー値上がりは続く? 渡邉 収益目的でビルを建てるとき、用地だけでなく建設費も上昇している。一方で賃貸料はそう上げられないから、「これ以上地価が上昇すると何を造っても採算が合わない」という状況。TX沿線では売地が枯渇しており、地価はまだ上昇しているが、建築費や金利の上昇に伴い、地価上昇は止まってくると思う。 ー業界側の対応は? 渡邉 上昇だけでなく、横ばいエリア、弱含みのエリアもある。そちらでの仕事をやりながら成り立っている。TX沿線の宅地を探しに来られ、相対的に地価が安い常磐線沿線に流れる顧客もいる。牛久、荒川沖、土浦の南部エリアとか。 ーTX沿線で何か? 渡邉 数カ月前、つくば市が土地対策を打ち出し、研究学園駅近くの区画整理地域の周辺エリアを区域指定し、住宅などを建てられるようにした(3月17日付)。これにより、土地供給は少し増えると思う。まだ取引相場が読めないが、地主さんが売りに出れば需給は少し緩むのではないか。 3代にわたり無借金経営 こうした土地の価格や需給に桂不動産はどう対応していくのか? 同社の経営哲学や経営手法についても話してもらった。 ▽どんな相談も支店に 渡邉 うちは、県南エリア、水戸市、千葉県に、16の支店を配置している。各店には、賃貸仲介・管理、売買仲介、土地活用、新築相談などに応じる社員が控えており、「どんなことにも支店で相談に乗れる」体制だ。経営効率はよくないが、お客の利便性を考え、各店が独立した会社のように動いている。 ▽無借金の経営を貫く 渡邉 不動産会社は、地主が建てたアパートなどの管理を任してもらう仕事が多い。農家などの大事な資産を扱うので、うちを信用してもらうために無借金を貫いている。これは、祖父が経営していた落花生や食用油の製造販売会社(農家から作物などを買い付け)、父・桂一郎が起業した現不動産会社(農家などの土地を活用)の経営哲学だ。こういった考え方が評価され、管理を委任されている戸数+部屋数は現在2万6300件に上る。 ▽高齢者の相続を支援 渡邉 団塊世代の高齢化に伴い、これから資産相続が増える。そこで、社内に相続サポートセンターを立ち上げた。相続に関する一連の相談に応じる。また少子化の中、大家が嫌う住宅確保要配慮者(高齢者や外国人)の居住ニーズが増えてきており、「安心して貸せる、借りられる」サービスの構築と環境整備をしていきたい。 【わたなべ・むねあき】1997年、日本大学法学部経営法学科卒、三井不動産リアルティ入社。3年後に退職し、父が経営する桂不動産(当時の本社は土浦市)に入社。龍ケ崎支店、阿見荒川沖支店、ひたちの牛久支店、つくば本店などの開設に携わり、2015年、社長に就任。現社員は286人、今9月期の売上高は80億円を越す見込み。全国賃貸管理ビジネス協会理事、全国賃貸住宅経営者協会連合会・県南支部長など。土浦市出身、 【インタビュー後記】東京圏発の土地・住宅価格上昇は外国勢の不動産投資が活発化しているのが主因。超金融緩和で銀行が融資に狂奔しバブルが発生した40年前とは背景が違う。渡邉さんの話でも施工者の採算重視対応は至ってクール。それにしても桂不動産が無借金経営とは驚いた。支店展開・運用でも住宅要配慮者対応でも堅実かつ賢明といえる。(経済ジャーナリスト、坂本栄)

世捨て人のような、この半年《ハチドリ暮らし》63

【コラム・山口京子】主治医から、もう一回、抗がん剤治療をしましょうと言われました。そして、CT、MRI、PET、血液検査の結果を踏まえ、手術を見極めたいようです。がん治療を始めて半年がたちました。この間、世捨て人のような状態だったと思います。ニュースを見ていても上の空…。 がん関連や死に関する本を読みましたが、生きている間は生きていることに向き合おう―なんとなく、いろんなことが気になっています。 自民一強、あまりにも自分勝手 テレビのニュース番組で、行列のできるお店は放映するのに、各地で行われている様々なデモについては放映しない。あれこれ検索していた時、デモカレンダーというものを知ったからです。デモは市民の大切な意思表示であり、市民の声を伝えることは報道にとって大事なことではないのかと。 デモを裏で扇動している組織があるといった声がありますが、私たちの行為はさまざまな情報に扇動、洗脳、誘導されていると気づいた方が、自分の身を守るには役立つと思うようになりました。 また、サッカーフィーバーの陰で、国会でどんな法案が通り、その意味することはなんなのか―適切な解説がないことも気になります。あるのかもしれませんが、自分は適切な情報にアクセスできていません。 選挙で自民党が一強状態になり、あまりにも自分勝手に見えてしまいます。選挙で勝ったといっても、実際の投票数はどうなのか? 公職選挙法や政治資金規正法をどうにかしないと、まともな選挙はできない、国民を代表する議員を選べないのでは、と。議員定数減よりも、そっちの方をどうにかしてほしい、と。 国庫に帰属した土地はどうなる 相続土地国庫帰属法を利用して、田と畑の処分を検討した自分としては、法律のその後が最近新聞記事になったのを読み、考えさせられました。国庫に帰属した土地がその後どうなるのか? 簡単にいうと、二束三文で民間に売り出されるようです。 戦後の農地改革から80年。農地から農民を追い出すような政策が、連綿と続いてきた日本農業の歴史。昔、農家は甘やかされているという声が随分ありましたが、結局、農業収入では生活できませんでした。相続人が手放した農地が国庫から民間へ…。はやりの投資ファンドが利用するようになるのでしょうか? (消費生活アドバイザー)

「つちまるを引き上げて」土浦駅前に第3弾のトリックアート

土浦駅西口前のうらら大屋根広場の床面に、同市のイメージキャラクター「つちまる」のトリックアートが出現した。地面に空いた穴に落ちそうな「つちまる」を描いた作品で、同市が2024年度から取り組む市役所本庁舎のシャッターや壁面を活用したトリックアートの第3弾になる。 作品の大きさは縦約2メートル、横約3メートル。トリックアートの制作で知られる栃木県那須町の企画制作会社エス・デーのアーティストが、6月22日から24日まで、3日間かけて制作した。制作費は55万円。 シャッターや壁面に描いた第1弾と第2弾の作品は見て楽しむことが中心だが、今回の床面のトリックアートは、作品の上に立ったり、ポーズをとりながら写真を撮ったりすることで「作品の世界に入り込んだような体験ができる」と市商工観光課はPRする。 安藤真理子市長は「土浦市、頑張ろうよ、という気持ちを込めた。高校生が写真を撮っている様子も見られ、壁面の作品より受けている感じがする。ぜひみんなに、つちまるを引き上げてほしい」と話している。 街中に彩りをつくろうと同市は2016年から、高校生が中心市街地の空き店舗のシャッターに絵を描くなどしてきた。24年からはトリックアート制作専門会社が市役所1階のシャッターに、つちまるがシャッターを持ち上げているようなトリックアートを描き、昨年は市役所1階の壁に、つちまるが壁を突き破って飛び出してくる作品を描いた(25年9月1日)。

常陽史料館「妖怪展」を訪ねて《ふるほんや見聞記》18

【コラム・岡田富朗】水戸市備前町にある常陽史料館は、1995(平成7)年に常陽銀行の創立60周年を記念して設立されました。郷土の歴史や芸術文化、金融経済に関する資料を収集・保存し、広く一般に公開しています。館内では8月29日まで「妖怪展」が開催されています。「百器夜行絵巻」や、「相馬の古内裏」(歌川国芳画)をはじめ、妖怪を描いた和書や絵巻、浮世絵、さらに妖怪をテーマにした現代の陶芸作品など、計44点が展示されています。 本展の担当学芸員である千葉隆司さんは「現在では妖怪はキャラクターとして親しまれることが多いですが、その成り立ちや伝承を調べていくと、その土地の歴史や人々の暮らし、信仰のあり方が見えてきます」と話してくださいました。今回の展示にあたっては、県内各地に伝わる昔話や民話を改めて読み返し、物語に登場する妖怪について調査を重ねたそうです。 古い文献に目を向けると、奈良時代の713(和銅6)年に編さんされた「常陸国風土記」には、蛇の体に角を持つ神・夜刀神(やとのかみ)や巨人の伝説が記されています。これらは現在では妖怪のような存在として語られることもありますが、当時は神として人々に認識されていました。千葉さんは「神様と妖怪は紙一重の存在です」と話します。 そして「どちらにも共通しているのは、目に見えない存在を信じる日本人の精神文化です。その背景には、自然界の森羅万象やあらゆる事象に神々が宿ると考える『八百万の神(やおよろずのかみ)』という信仰が根付いており、こうした価値観が妖怪文化の形成にも大きく影響しているのではないでしょうか」と語ってくださいました。 茨城県は、県内最高峰の八溝山でも標高約1000メートルと比較的低く、山や海、平野など変化に富んだ自然環境が広がっています。そのため、古くから人々は山や川、里山など自然と密接に関わりながら暮らしてきました。また霞ケ浦や利根川をはじめ、多くの河川や水辺があることも茨城県の特徴です。 千葉さんは、こうした豊かな自然環境が、県内各地に妖怪伝承が数多く残る背景の一つではないかと話します。例えば、水辺では子どもたちを水難事故から守るための戒めとして河童の伝説が語られ、山では遭難や危険への警鐘として天狗や鬼の伝承が生まれたとも考えられています。そのため、茨城県には河童や天狗、鬼をはじめ、地域ごとに特色あるさまざまな妖怪の話が今も語り継がれているそうです。(ブックセンター・キャンパス 店主) <千葉隆司さんのギャラリートーク>・日時:8月8日(土)午後1時半から約1時間・場所:芸文ギャラリー(水戸市三の丸、「妖怪展」の第2会場)、予約不要、無料