金曜日, 4月 18, 2025
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国賠訴訟へ 弁護団が住民説明会 常総・鬼怒川水害被害

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参加した住民に国家賠償訴訟について説明する坂本博之弁護士(左端)=17日午前、石下総合福祉センター

2015年9月の鬼怒川水害被害で市域の3分の1が浸水するなど甚大な被害を受けた常総市で17日、弁護士らによる国家賠償訴訟の住民説明会が開かれた。弁護士らは、水害は治水政策の誤りによるところが大きいとして、河川管理者である国を相手取って国の責任を問う裁判を起こしていくことを住民に呼び掛けた。住民が10人以上集まれば、国家賠償法の時効となる2018年9月までに水戸地裁下妻支部に提訴したいとしている。

つくば市の坂本博之弁護士ら八ツ場ダム(群馬県)差し止め訴訟や水害訴訟の経験がある弁護士が、7日に説明会のちらしを新聞折り込みで市内全戸に配布し、石下総合福祉センター(新石下)と水海道生涯学習センター(水海道天満町)の2カ所で開催した。弁護士4人が手弁当で参加した。

まず水源開発問題全国連絡会の嶋津暉之代表が国による鬼怒川の治水対策について「上流に大規模ダムを屋上屋を重ねるようにつくり、下流の堤防整備は遅れていた。ダム偏重の河川行政により水害が起こった」と指摘した。

都内から参加した只野靖弁護士は「1984年の最高裁判決以降、住民に極めて厳しい判決が出されている」と水害訴訟の歴史を説明した上で、今回、越水や決壊が起こった2カ所の堤防のうち若宮戸地区について「堤防の役割を果たしてきた自然砂丘が長年にわたって削られていたのに国は保全や築堤の計画を立てず放置していた、特に2014年はソーラーパネルの設置により大規模に削られたのに改修箇所に入れてなかった」などと国の責任を指摘した。

石下福祉センターでは住民約50人が参加した。園芸農家の男性は「ハウスに甚大な被害を被った。若宮戸はもともと無堤地区。山林の砂丘が自然堤防だったのに(砂丘を削るという)業者の開発を認めたのは国。人災だと思っている。国の責任を認めさせるよう闘っていけたらと思う」と話した。

参加者からは「全壊に近いのに半壊しか認められなかった友人がいる。水害のショックが大きく心労が重なったことが原因で脳梗塞になり入院し死亡した。遺族は原告として参加できるか」「自分は裁判をやりたいが家や土地は親の名義になっている。親でないと原告になれないか」などの質問が次々に出された。

今後は、提訴の意向がある住民を対象にアンケート調査をした上で、弁護士が個別面談などを実施する予定という。(鈴木宏子)

二紀会会員ら18人 つくばの画廊で「エテルナ展」

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熱心に作品に見入る来場者=つくば市花室の画廊フラーレン

県内在住の二紀会会員など18人による作品展「第13回エテルナ展」が14日(木)より、つくば市花室の画廊フラーレンで始まった。

エテルナ展は画家・陶芸家の同画廊オーナー川添莞爾さんが13年前に同所でカフェギャラリーを開いた時から始まった。川添さんは東京教育大学(現筑波大)出身で同校出身者や県内在住の画家の知人も多い。今展は二紀会会員・準会員などを中心に18人が出展している。作品は油絵やアクリル画など24点。

作品の一つ、大崎宥一さん作「扉」は、ヨーロッパの街の扉が描かれ、アクリル絵の具の中にいろいろな材料を混ぜ入れ質感を出した作品。扉は外界とを分け隔てるものといわれるが、白を基調とした作品はそれらを強く感じさせる。

来場したつくば市島名の甲斐一成さん(72)、和子さん(66)夫妻は「昨年恐ろしい感じのする絵で気になった画家が、今年はまるでタッチが違ってやわらかい。画家の心境の変化が気になった」と話し熱心に見入っていた。

川添さんは「今年13回で最終回にしたいと思ったが、出展画家らから続けてほしいと言われている」と笑顔。エテルナはイタリア語で永遠の意味。(鈴木萬里子)

◆入場無料、開館時間は午前11時~午後5時。会期は22日(金)まで。問い合わせは画廊フラーレン(電話029・811・6077)

育て、打ち、すする 仲間と味わう新そば絶品 茎崎の森林ボランティア

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真剣にそば打ちをする会員ら=土浦市小野の 体験交流施設、小町の館

高崎自然の森と茎崎こもれび六斗の森を結ぶウオーキングロード「おぐろくの森」で森林整備に当たっているボランティア団体「つくばフォレストクラブ」(福木哲朗会長)の会員らがこのほど、同地区の耕作放棄地で収穫されたソバを使った「新そば試食会」を土浦市小野の小町の館・体験館で行った。

今年は台風や害虫ヨトウムシによる被害が大きく収穫量の大幅減が心配されていた。ところが製粉して44㎏の収穫があり、昨年の49㎏には及ばないものの予想以上で「害虫の被害の割には収穫が多くて良かった」と会員らに笑顔が広がった。

会員で素人そば打ち段位認定者の桂木賢一さん(70)を中心に各自そば打ちが始まった。こね鉢でそば粉と小麦粉をもみほぐし麺棒で均等に大きく伸ばす。初心者のでこぼこ生地を桂木さんが見事に整えてくれる。次は麺切り包丁での仕上げとなった。麺の太さ細さはいろいろだが、自分で打ったそばは絶品に違いなく満足気の顔が並ぶ。

午前中のそば打ちが終わるとお楽しみの試食会が始まった。そばをゆでるかたわらで天ぷらを揚げる者、テーブルを整える者など手際が良い。新そば特有のウグイス色にゆであがったそばを前に、唾液が口の中に広がる。いっせいにそばをすする音がして「おいしい」の声だけが響く。そば好きにはたまらない。

そば打ち担当責任者の一人冨田研二さん(77)は「全員農家出身ではないので本を参考に見よう見まねでした。ソバ栽培に作業時間を取られて本来の森林整備作業がなかなかできないが、楽しい」と笑顔に。料理のスペシャリストと会員らから信頼の厚い山田光子さん(73)は「そばの味もさることながら、このメンバーだからこそおいしい」と話した。

「森林整備作業はやはりきつい」と話す会員もいるが、仲間といると、疲れ以上のごほうびがあるという。(鈴木萬里子)

「体験学習・合宿は福島へ」 キャラバン隊がPR 震災やエネルギー学ぶコースも

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福島県への教育旅行誘致のパンフレットなどを持ってPRするキャラバン隊=つくば市吾妻、筑波学院大学内のNEWSつくば編集部

東日本大震災と福島第1原発事故からの復興を目指し、福島県への体験学習やスポーツ合宿などの誘致を訴える「福島教育旅行・合宿誘致キャラバン隊」がこのほど、つくば市吾妻、筑波学院大学内のNEWSつくば編集部を訪れ「ぜひとも福島県に足を運んでいただきたい」と訴えた。

キャラバン隊は福島県観光物産交流協会の会員ら3人。担当者らは、自然体験や震災学習などをアピールする「福島県教育旅行総合ガイドブック」や「ふくしま復興ツーリズムガイドブック」などのパンフレットを手に「安全、安心の『福島の正しい情報』と、福島の魅力として『福島でしか学べないこと』を伝えていきたい」と語った。

原発事故から6年9カ月経った今も放射能を心配する一部の保護者の声が根強くあることから、全国に専門家を派遣して、各学校の修学旅行説明会で保護者に説明したり、実際に学校の先生に福島県に来てもらい、放射線などを調査してもらった例もあるという。

同県では、2016年7年に震災や原発事故について学べる施設「福島県環境創造センター交流棟 コミュタン福島」(同県三春町)が開所するなど、教育旅行施設の充実を図っている。

モデルコースとして、会津若松市で戊辰戦争の歴史を学んだり、喜多方市で農業体験をしたり、日本ジオパークに認定されている磐梯山で自然を体験する体験学習などがあるという。津波被災地を見学して復旧の様子を実際に見たり、小中学校や高校を訪問して学校間で交流したり、原発や再生可能エネルギーについて学ぶコースなども紹介している。

学校行事の一環として福島県内で宿泊を伴う教育旅行を実施すれば、バス経費の一部を補助する制度もあるという。

同協会によると、震災前の2010年度は教育旅行の来県者数が70万9332人(延べ宿泊者数)だったが、震災から5年後の16年度は43万5648人(同)と、震災前の約6割の回復にとどまっている。

キャラバン隊は計21人。7班に分かれ5日からの計4日間の日程で、茨城県内116カ所の学校や報道機関などを訪問して、福島県への教育旅行・合宿誘致を訴えた。(崎山勝功)

絶滅危惧種サンカノゴイ 防鳥ネットにからまり死ぬ 土浦市沖宿町のハス田

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防鳥ネットに首をからまれた絶滅危惧種のサンカノゴイ=13日、土浦市沖宿町

土浦市沖宿町、霞ケ浦湖岸のハス田で、絶滅危惧種のサンカノゴイが、防鳥ネットにからまり死んでいるのが見つかった。個体数が少なく、これまで同市で確認されたこと自体なかった。

日本野鳥の会茨城支部会員で同市の金沢まち子さんが12日午後4時ごろ発見した。すでに死んでいたという。ネットに首がからまっていた。

サンカノゴイはサギの仲間で体長70㎝くらい、羽は薄茶色で、羽を広げると140㎝くらいの大きさになる。田んぼに入って水生昆虫や魚、小動物などを食べるという。留鳥で、県内では利根川下流の湿地などで確認されているほか、近くの千葉県印旛沼でも生息が確認されている。

県鳥獣保護員で野鳥の会茨城支部副会長の明日香治彦さん(77)は「防鳥ネットの側面の開いていたところから中に入って、驚いて飛び立ったときに首がひっかかったのではないか。大変悲しい現実」と話し、発見した金沢さんは「本物のサンカノゴイを見たのは初めてなので大変驚いている。防鳥ネットがきちんと張られていたら防げた惨事だと思う。貴重な鳥だけに悲しい」と話している。

県環境政策課は「防鳥ネットに隙間が空いているなど適切な管理がされてない場合、鳥が入って飛び立つときに引っかかるケースが多い。JAで適切な管理を指導していただいているが、行き届いてないところでこういう事案が発生してしまう。引っかかっている鳥を狙って猛きん類が引っかかる二次被害も起きている。保護する立場としてはひじょうに残念」とし、土浦市農林水産課は「防鳥ネットは農作物の被害防止につながるが、鳥獣が引っかからない形で耕作してもらうのが望ましい」と話している。

霞ケ浦・北浦はガン・カモ類が2万羽以上飛来するなど国内有数の水鳥の生息地。沿岸のハス田では野鳥によるレンコンの食害を防ぐため2002年ごろから、防鳥ネットが張られるようになった。ネットに引っかかり死ぬ野鳥も目立つようになり、野鳥の会茨城支部は霞ケ浦・北浦沿岸のハス田で毎年、防鳥ネットによる野鳥の被害状況を調査している。今年1月の調査では、19種類以上1570羽が防鳥ネットにかかっているのが確認された。県は防鳥ネットを開けたままにしないなど適切な管理を呼び掛けている。(鈴木宏子)

撮った!ふたご座流星群 つくば市森の里、富樫次夫さん

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富樫次夫さん撮影。流星群の右下に見える白い建物は同市茎崎のキヤノン化成

つくば市森の里の富樫次夫さん(66)が14日午前0時22分、森の里団地脇の東谷田川土手沿いで、ふたご座流星群を写真におさめた。

気温マイナス1度と今季最強の冷え込みの中で流星群を待ち、約1時間にわたり300回シャッターを押した中の一枚。空気が澄んで夜空が美しく見える季節だが、撮影した時間は雲一つなく良い条件で撮影できたという。

「昨年も挑戦したがうまく撮れず、今年こそはと臨んだら、うまく撮れたのでうれしかった」と富樫さん。

今夜14日も流れ星をたくさん見ることのできる神秘的な現象を観察できる。(橋立多美)

手荷物検査など警備強化 つくば市成人式 今年の大荒れ式典受け

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大荒れになったつくば市の成人式の様子を伝える今年1月9日付の常陽新聞

今年1月のつくば市成人式が大荒れとなり、19歳の少年1人が公務執行妨害の疑いで逮捕されたのを受けて、五十嵐立青市長は13日、来年の成人式の運営と警備体制を大幅に見直すと発表した。受付で手荷物検査を実施するほか、警察官による周辺や会場内の警備を強化、式典そのものを例年の2時間30分程度から40分に大幅短縮する。

受付では、あらかじめ新成人に発送した入場券を確認し、入場券がない新成人は原則、入場できないようにする。手荷物検査ではバッグの中を開けてもらい、酒類や大きな音が出るクラッカーなど危険物の持ち込みを禁止する。

つくば中央警察署、つくば北警察署に協力を依頼し、周辺の違法駐車対策のほか、会場内の警備を強化してもらう。

スタッフは市職員、協力団体、警備員合わせて、昨年の約90人から200人以上に大幅増員し、会場内や周辺の警備を強化する。

式典は例年、午後に2時間30分程度催していたが、来年は新成人の誓い、主催者あいさつ、津軽三味線演奏などだけに簡素化し、午前中の40分間程度に短縮する。昨年、新成人がステージに上ったのを受けて、ステージ前に鉄柵を設置し警備員を配置する。

ほかに会場周辺は例年、送迎車で渋滞することから、隣接地に送迎スペースを設けて乗降してもらい、路上での乗降を規制する。

来年の同市成人の集いは1月7日午前11時からつくばカピオ(同市竹園)で催される。県内最多の2774人が成人の日を迎え、当日は約1800人が参加すると見込まれている。

大荒れになった今年の成人の集いは1月8日、つくばカピオ(つくば市竹園)で催された。式典の開始15分後、新成人約20人が警備員の制止を振り切り、壇上に上がったり、椅子を投げつけたりするなどして約20分ほど式典が中断し、土浦市の19歳(当時)の少年が公務執行妨害の疑いで逮捕された。(鈴木宏子・ラヂオつくば特約記者)

納屋をリフォーム、憩いの場開設 つくば市の高野ひろ子さん 「地域で支え合える場つくりたい」

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天井が高く開放的なサロンみどりの風の内部。右から2人目が高野さん=つくば市苅間
かつて納屋だったサロン

つくば市苅間の畑の中に地域住民主体の交流の場、ふれあいサロン「みどりの風」が9月末にできた。オープンから3カ月、懐かしい歌を聴いたり健康体操や食事会を催すなど、地縁の輪を広げている。

主宰者は同地区在住の高野ひろ子さん(69)。栄養士として働いた後は、活け花と茶道の指導をしながら農業を営む夫を支えてきた。今年4月、長女が出産。産後の手伝いのため東京で1カ月生活した。日常を離れたことで人生を振り返り、女性の健康寿命に照らしてこの先10年をどう過ごそうかと心が騒いだ。

同市吾妻の市民活動センターに相談するなど情報収集をしたことで、農具を置いてある納屋をリフォームして地域住民が憩い、支え合える場を作ろうと考えが固まった。

7月に改修工事が始まり、9月中旬に完成した。土間が床板に変わったサロンは約48㎡。重厚な梁(はり)を生かした開放的な造りで、近代的なキッチンと広々とした洋式トイレを備えている。リフォーム代は、栄養士として働いてい当時から、老後の蓄えにと積み立てていたお金を充てたという。

「以前の私は何事も夫任せだったけど、サロンを作ると決めてから1人で市役所に手続きに行ったりするようになった」とひろ子さん。当初、夫はサロン構想に憤ったが、活動が始まると縁の下の力持ちとして応援している。「内弁慶の私にできるのか夫は不安だったと思う」と話す。

11月30日に常陸秋そばを味わう食事会が行われた。大穂や茎崎地区から駆け付けた男性たちが手打ちに挑戦し、近隣の女性たちがそば汁作りを担当。30人の参加者が田舎仕立ての温かいそばに舌つづみを打ちながら交流した。年内は15日に映画上映会、25日には餅つき大会が予定されている。

同サロンは会議やセミナーなどの利用もできる。苅間在住の女性たちは「地域に公共施設の交流センターがあるが、予約を取りたくてもいっぱいで利用できない。サロンができて便利になる」と話す。(橋立多美)

◆みどりの風はつくば市苅間1486。学園西大通りを北に向かい、ファミリーレストラン、デニーズ筑波学園都市店(同市春日)の交差点を左折して約300㍍直進した左奥。問い合わせは電話029-856-1381/高野さんまで。

セルフサービスで熱々の常陸秋ソバを楽しんだ

連絡通路の屋根崩落 筑波大 42年前に建設、老朽化原因か

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崩落した連絡通路の屋根=つくば市天王台、筑波大学

筑波大学(つくば市天王台)で10日午前7時45分ごろ、建物と建物の2階部分をつなぐ連絡通路(渡り廊下)の屋根が崩落した。日曜日だったことから建物内や付近に学生などはおらず、けが人はなかった。

屋根は長さ約17.5m、幅約4.7m、重さ約25t。鉄骨造りで、42年前の1975年に建設された。屋根を建物に固定していた片側の鉄筋が切れていた。原因は調査中だが老朽化によるとみられている。

屋根は3年に1度点検していた。前回2015年10月の点検では異常は確認されなかった。崩落直前も予兆などはなかったという。建設以来、改修工事などは実施されておらず、来年度予算に改修を概算要求していたという。

事故時、近くの警備員室にいた警備員がどーんという大きな音を聞き、駆け付けたところ、屋根が約2m下の2階通路に落下し、光を取り入れるための屋根のガラスが割れ、通路に散乱していた。通路手すりも一部破損し、通路に出入りする片側の建物の扉のガラスも割れた。

同大は通路付近を通行止めにし、近く屋根を撤去する方針。類似箇所が構内にどれくらいあるかについても調査を進めている。

一方、通路両側の建物では現在も授業が行われている。授業で何度も通路を行き来したという社会学類2年の女子学生は「学内でも(今回事故が起こった建物や人文社会学系棟などがある)第1エリアの建物だけ古いのではないか。何か起きる前に危険箇所を点検してほしい」と話していた。

同大広報室は「安全確保をしたので、今後、事故原因を明らかにし、類似箇所を調査したい」としている。(鈴木宏子)

通行止めとなっている通路付近

子ども食堂がプレオープン 土浦駅前の総合福祉会館 月1回、100円で手作りの食事提供

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地元産のレンコン、カボチャ、ピーマンなどが入った手作りのカレーを味わう子供たち

土浦駅前の市総合福祉会館(同市大和町)5階に11日、子ども食堂「つちうらほぺたん食堂」がプレオープンした。子どもの貧困や孤食などが社会問題になる中、来年1月から月1回、1食100円で子どもたちに手作りの食事を提供する。

市社会福祉協議会(会長・中川清市長)といばらきコープ(鶴長義二理事長)が共同で取り組む。市内の一人暮らしの高齢者などに手作り弁当を調理・宅配している市社協の調理ボランティアが温かい食事を作る。JA土浦から野菜などを無償で提供してもらうほか、今後、市民の寄付なども募って運営する。

市内に住む中学生以下の子どもならだれでも利用でき、保護者も1食300円で一緒に食事できるのが特徴だ。保護者は高校生以上ならきょうだいや祖父母でも構わないという。子どもたちは食事のほか、宿題をしたり、ボランティアと遊んだりなど自由に過ごすことができる。

下妻、常総、結城市の3カ所ですでに子ども食堂を展開しているいばらきコープ食育サポーターが運営のノウハウを提供する。スタート時は月1回だが、利用者の要望により回数を増やしたり曜日を変更することも検討する。

市社協の調理ボランティアは現在約250人いる。子ども食堂にはそのうち約30人が登録し、毎回10人ほどが交代で調理をするという。市社協では将来、運営のノウハウを学んだ調理ボランティアらが中心となって、市内の中学校区ごとに開設したい意向がある。

11日は地元のレンコンやカボチャ、ピーマンなどが入ったカレーが出された。近隣の小中学校にちらしをまいて参加を呼び掛け、小中学生38人と保護者らが参加し、元気にお替わりをする子どもたちも多くいた。土浦二中1年の沢辺湧星さん(13)と妹の媛星(きら)さん(11)は「野菜そのものの味がしておいしい」「来月も来たい」などと話し、調理ボランティアの田之室光子さん(73)は「月に一度だけでなく1回でも多くできれば」などと語っていた。(鈴木宏子、谷島英里子)

◆つちうらほぺたん食堂は来年1月から毎月第4水曜日午後5時から8時ごろまで開設する。本格オープンは1月24日午後5時。保護者が送り迎えすることが原則。参加費は中学生以下100円、保護者300円。詳しくは電話029・821・5995(市社協福祉のまちづくり係)

子どもたちにカレーを盛り付ける土浦市社会福祉協議会の調理ボランティアら(右側)

 

都心の外国人旅行客を茨城に つくばで商談会 大手旅行会社に売り込み

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商談会で大手旅行会社の担当者㊧と面談する観光業関係者=つくば市竹園、つくば国際会議場

都心に集中する訪日外国人旅行客(インバウンド)を茨城・千葉エリアの観光地に誘致するための商談会「第6回JATAインバウンド商談会」(日本旅行業協会=JATA=主催)がこのほど、つくば市竹園のつくば国際会議場で開かれた。ホテルやレジャー施設など茨城・千葉地域の観光産業関係者ら153人が参加し、大手旅行会社に向けて、茨城・千葉地域の観光資源を売り込んだ。

茨城県国際観光課の大賀庸年係長は、訪日外国人旅行客を呼び込む県の施策として、PRと情報発信、旅行商品づくり、受け入れ態勢の整備の3つの柱を掲げ、「都心に集中している外国人をいかに茨城に来てもらうか、単純に泊まるだけでなく、観光資源があることをPRしたい」などと語った。

ホテルオークラフロンティアつくば(つくば市)の大内裕・宿泊セールス課予約担当課長は「茨城は観光資源のPRはまだまだ。紅葉シーズンの筑波山も日本の人にもインバウンドにもまだまだPRが出来ていない」と課題を挙げ「もっと茨城をPRするお手伝いができれば」と話した。

テーマパーク「こもれび森のイバライド」(稲敷市)の運営会社ファームの担当者は、同園での乗馬体験を例に「欧米の人は日本らしい『和』の雰囲気を求めているが、アジアの人には乗馬は喜ばれるのではないか」と、どの国の旅行客をターゲットにするかで売り込む商品が違ってくると話し「今回商談会に参加したのを参考に、ゼロベースからインバウンド対策や集客について考えていきたい」と述べた。

質高いプロフェッショナルな商品を

外国人旅行客の茨城への誘致について観光学が専門の大島愼子・筑波学院大学学長は「茨城県は豊かな自然と文化と食があり、更なる訪日外国人の誘致が期待できる。東京と関西に偏りがちな訪日外国人を誘致するためには、まず地域が自分たちの文化資産を知り、情報発信することが必要。観光客は新しい魅力を常に探している。観光業界は、外国人の個人旅行者に質の高いプロフェッショナルな商品を提供していただけたら」とコメントした。(崎山勝功)

認知症予防は可能か 高齢化進む茎崎で勉強会 「考える習慣を」

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50代以上の地域住民が熱心に講演に聴き入った=つくば市小茎、茎崎保健センター

「認知症の予防は可能か」と題した勉強会が9日、つくば市茎崎保健センターで開かれた。つくば双愛病院(同市高崎)内の介護老人保健施設「ひまわり」の長廻紘施設長が講演し、「認知症の予防は社会性を保ち、考える習慣をつけること」などと語りかけた。

茎崎地区は高齢化率が今年4月1日現在35.56%と市内で突出して高いなどから、市茎崎地区連合会が主催した。できるだけ平穏な日々を送りたいと願う地区住民ら約60人が参加した。

長廻さんは東京女子医科大学消化器病センターで、選りすぐりの内視鏡を作ることに専念した後、群馬県立がんセンター病院長を務めた。その経験から、がんと認知症を比較し、予防について語った。

講演では「がんができる部位は決まっていて、小さいがんでも発見できるようになり死に至る病気ではなくなった。予防には検診です」と話した。一方「認知症は脳に垢(あか)がたまった状態。体内で脳細胞だけは再生できない。社会性の欠如や思考しない生活習慣が認知症の引き金になるとされている。認知症に有効な薬はできていない」などと述べた。

老齢の親と同居している50代の男性は「認知症になると介護が大変だと聞いて参加した。(親の)聴覚が衰えてきたが、できる限り会話して認知症にならないようにしていきたい」と話した。(橋立多美)

講演する老健ひまわりの長廻紘施設長

ヘイトスピーチ規制に前向き 五十嵐つくば市長 11月の街宣活動受け

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排外主義を掲げる団体の街頭宣伝活動に対し「差別主義者監視中」のプラカードを掲げる市民ら=11月12日午後2時ごろ、つくば市吾妻、TXつくば駅前

つくば市内で11月、排外主義を掲げるヘイトスピーチ=メモ=の街頭宣伝活動があったのを受けて、五十嵐立青市長は6、7日の市議会一般質問で、ヘイトスピーチを抑止する対策に前向きな考えを表明した。

五十嵐市長は、6日の一般質問で小森谷佐弥香市議(つくば・市民ネットワーク)の質問に対し「ヘイトスピーチはあってはならない」と述べ、規制のガイドラインを設けている神奈川県川崎市の事例を念頭に「大阪や川崎などの事例があるので参考にしながら、憲法に保証された(言論の)自由を留意をする必要があるが、ヘイトスピーチを抑止する取り組みについては進めていきたい」と答弁した。

7日の一般質問でも、滝口隆一市議(共産)の質問に対し「ヘイトスピーチ対策法第4条第2項の規定に基づき、地域の実情に応じた対策を講じていく」と答弁。「ヘイトスピーチを抑止する対策を進めていきたい」と改めて表明した。

同街頭宣伝活動は、11月12日、同市吾妻のつくば駅前で「在日特権を許さない市民の会(在特会)」の会員ら約20人により行われた。県警によると「在特会のつくばでの街宣活動は初めて」。当日は50人近くの警官が警戒に当たったほか、周辺では市民らが「差別主義者(レイシスト)監視中」や「差別街宣にNO」などのプラカードを掲げ抗議した。(崎山勝功)

※メモ
【ヘイトスピーチ】人種、国籍、思想、宗教、性的指向など変えることが難しい個人や集団の特質に対し、暴力や差別をあおる発言や行動。国内では2016年6月に「ヘイトスピーチ対策法」が施行されたが、差別的言動の解消に向けた教育・啓発活動に重点が置かれ、罰則規定はない。

ヘイトスピーチ抑止の考えを表明した五十嵐立青市長=6日、つくば市議会議場

土浦消防Aが3連覇 県民駅伝大会

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県民駅伝・職域対抗の部で優勝した、土浦消防Aの福本純選手=那珂市向山の笠松運動公園補助陸上競技場

第34回県民駅伝競走大会(県体育協会主催)が9日、那珂市向山の笠松運動公園補助陸上競技場の周回コースで開かれ、職域対抗の部(45組参加)で、土浦消防Aチームが52分00秒で優勝。昨年よりタイムを46秒縮めて大会3連覇を果たした。

同部門で同じく出場した土浦消防Bチームも、昨年よりタイムを16秒縮め54分16秒で4位入賞と健闘。表彰対象の8位までのうち、1位と4位を土浦勢が占めた。

レースは、同公園の周回コース1周3.1㎞を、走者5人がタスキをつなぎ、合計タイムを競った。

土浦消防Aは、1区は笠間市消防A(笠間市)にリードを許したものの、2区走者の中川慎太郎(25)が首位に躍り出た。その後は3、4、5区とも首位をキープし、5区走者の福本純(29)が独走状態でゴールした。

クラブ対抗の部(41組出場、走者1チーム5人)では県南の牛久走友会A(牛久市)が54分17秒で7位入賞と健闘を見せた。

市町村対抗の部(23組、走者7人)には、土浦、牛久、龍ケ崎、守谷市と県南勢4チームが出場した。県北、県央勢に苦戦したものの、市町村から複数チームが出場した場合は表彰は1チームのみという規定に基づき、土浦市チームが1時間16分34秒で繰り上げて8位に入賞した。

職域対抗の部で1位と4位に入賞した土浦消防の選手たち

入庁1年目、2区の中川慎太朗 ライフセービング全国2位の実力発揮

職域対抗の部で首位に躍り出た2区走者の中川慎太郎(25)は土浦消防本部入庁1年目。学生時代からライフセービングに取り組み、今年のライフセービング全日本大会で2位の実績をもつ。

「走る力の強化の一環」として同消防本部の陸上部に入った。中川は「ライフセービングで砂浜を走るのは慣れているけど(本格的に)陸で走るのは初めて。前の区間の方に配置してもらって安心して走ることができた」とレースを振り返った。

土浦消防A・Bチームの木村真也監督は「今年1年目のルーキーの中川が入ってかなりの好タイムを出した」と高く評価した。

最終走者としてゴールした福本は「皆の力で優勝できたのでほっとしている。いろんな方に協力してもらって大会に出場できているので感謝でいっぱい。来年は4連覇に向けて頑張りたい」と意気込みを示した。

木村監督は「皆、実力を出した。互いに切磋琢磨して練習をしたのが良かった。速い新人が入ってくればいい刺激になる」と述べた。Bチームについても「『Aチームに負けない』という気持ちがあったせいか、タイム差もあまり無くいい走りができた。今年は目標に『ワン・ツー・フィニッシュ』を立てていたけど及ばなかった」と語った。

土浦消防Bの5区走者の田崎平生(20)は「去年も(土浦消防)Aチームが1位でBチームが4位。来年こそはワン・ツー・フィニッシュを達成したい」との目標を示した。(崎山勝功)

※区間賞(県南分のみ)は次の通り。
◆職域対抗の部
3区・中泉英行(土浦消防A)10分36秒▽4区・伊豫田悠(同)10分36秒▽5区・福本純(同)10分39秒
◆市町村の部
4区・高橋実里(守谷市)10分38秒※区間新記録

出場チームコメント

クラブ対抗の部で7位に入賞した、牛久走友会Aの青山直毅選手

【クラブ対抗の部7位】▷牛久走友会A・5区走者、青山直毅(30)=初めて走ったので完走できればいいかな思った▷青山努監督=選手全員が頑張ってくれて本当に良かった

【市町村対抗の部8位】▷土浦市チーム・3区走者、柴崎伊武希(高校2年)=8位入賞できるとは思ってなかったけど、チーム全員で頑張って走って結果を残せることができて良かった。来年は今年以上のタイムと成績を残したい

【市町村対抗の部10位】▷龍ケ崎市チーム・油原信義総監督=個々に選手みんながベストタイムを出していた。あとは中学生選手の底上げが必要。

【市町村対抗の部11位】▷守谷市チーム・高橋義久監督=「本格的に走る」というよりは楽しく走るのを目的にエントリーした。みんながそれぞれ楽しく走れたので結果には十分は満足。

【市町村対抗の部15位】▷牛久市チーム・高橋信博監督=選手みんながそれぞれ力を出し切って頑張ってくれた。

市町村対抗の部で8位と健闘した、土浦市チームの稲住拓選手

 

《婚姻件数、戦後最低ーいばらきの結婚事情》㊦ 「すごい嫁さんだ」

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穀物の収穫作業に使う汎用コンバインに乗り込む大曾根京子さん=つくば市小田の武平ファーム

つくば市小田の大曾根京子さん(58)は、自立的農業経営を目指して農業生産法人・武平ファーム代表になった女性農業者。連載2でふれたが、同市農業委員会の担い手対策専門委員でもある。

「やり方次第で農業は面白い」

大曾根さんは笠間生まれの元看護師。小田の兼業農家で会社を経営する夫と30歳で結婚して退職。4人の子を育てながら、先祖代々の田畑で義父を含む家族が食べる作物を作っていた。

転機は17年前。夫が会社をたたむことになり、農業経営士の夫と話し合い、農業生産法人として本格的に就農することに。農業用重機を操る大型特殊免許を取得し、近所で「すごい嫁さんだ」と評判になったという。約54㌶の田畑で水稲や麦、大豆などを生産している。

29人で構成されている市農業委員会中、女性委員は2人。大曾根さんは「農業は男の世界」と言いつつ、「女性主体で運営している農家レストランは人気があり、地域を元気にする。自然派の暮らしを求める女性なら、やり方次第で農業は面白い」と笑顔を見せた。

【取材を終えて】

NPO法人ベル・サポートの他にも婚活パーティーを催す企業に話を聞き、今どきの若者の結婚観が浮かび上がった。1,有名人を始め、周囲で離婚するカップルが多くなったせいか、離婚経験者を敬遠しないが前妻(夫)との間に子どもがいるかを問題にする。理由は養育費や将来の相続に関わる。2,女性は経済面と休日などの生活設計のため、農業を含む自営業の男性を受け入れない。

つくば市農業委員会は結婚支援事業を「農業後継者が良縁に恵まれ、農業経営を安心・安定して営めるよう」と位置付けている。農業後継者のために女性を農業に引き入れようとする形では、今後も成果がでないのではないかと感じる。

「嫁」にならなくても就農

国と同市独自の助成を受けて、つくば地域は非農家出身の新規就農者が多く、2人の女性が農業の担い手として活動している。農業に関心を持つ女性が「嫁」にならなくても就農した好例で、後に続く女性も出てこよう。彼女たちの関心に応える仕組みづくりが農業の発展につながるのではないだろうか。(終わり)(橋立多美)

三春滝桜など圧巻の襖絵展示 クリスマスアート展 10日までつくば市民ギャラリー

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日本画家の伊東正次さんによる「桜」の襖(ふすま)絵=つくば市吾妻の市民ギャラリー

7人の作家による多様な分野のアート作品が楽しめる展示会「クリスマスアート展」がつくば市吾妻、中央公園レストハウス内の市民ギャラリーで開かれている。

つくば市在住のアートプロデューサー、野歌つぐみさんが代表を務めるTsugumi Art Works(ツグミ・アート・ワークス)主催。野歌さんは次世代に向けた絵画とアートの新たな普及を目指している。

会場には洋画、日本画、水彩画のほか、針などを使って紙に穴を開けレース編みのように仕上げるパーチメントクラフトなどの工芸品が並ぶ。

日展特選を2回受賞している日本画家の伊東正次さんは、福島県の三春滝桜を描いた「桜」の襖(ふすま)絵を展示。襖7枚を連ねた、幅約9.45m、高さ約2mの圧巻の作品だ。

桜を描いたきっかけは樹齢千年もの樹木が春になると一斉に咲くことが奇跡だと感じたから。伊東さんは「襖絵は本来、畳の上に座ってみるものなので、会場ではいすに座って、桜の花びらが舞い、降りかかるようなダイナミックさを感じてほしい」と話していた。

10日まで。入場無料。開館時間は午前9時45分~午後4時45分。(谷島英里子)

《婚姻件数、戦後最低ーいばらきの結婚事情》㊥ 農業後継者、悩み多き婚活

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おしゃれな客船で横浜港のクルージングを満喫するつくば市農業委員会のカップリングパーティー

農業後継者の結婚難が続いている。つくば市は1995年から、市農業委員会=メモ=担い手対策専門委員会と委員会事務局の市農業行政課が、男性後継者のための結婚支援事業を行っている。

市農業委員会のデータによれば、市の総農家数は4779戸(2016年4月1日現在)。このうち結婚を望んでいる農業後継者がどのくらいいるかは、調査を実施していないため分からないという。

体験型は参加者少なく

2006年から取り組んだのは農業体験型の交流会。農業に関心のある女性向けにと、作付けや野菜の収穫などを中心に企画したが、男女いずれも参加者は少なかった。

5年前に、若者に人気の観光スポットを巡って交流する横浜中華街ランチ&ベイクルーズ「カップリングパーティー」に切り替えた。例年農閑期に入る10月に開催されている。定員は男女各15人で参加費は男女共1000円。安い参加費で異国情緒漂う横浜のスポットを楽しめるとあって、参加者の反応は良いという。

10月22日朝、市役所前でバスに乗車したのは男性16人と女性13人、そして市農業行政課の職員2人。横浜元町まで片道約1時間半の行程で、男性が車内で席を移動して交流する。中華街での昼食やクルーズ客船内でも異性同士が会話できるよう配慮されている。

今年は7組のカップルが成立した。「カップルにならなかった人も含めてLINE(ライン)のグループでさらに交流を深め、結婚に結びつけてほしい」と同課の飯泉亮成さんは話す。

来年は身だしなみ指導

これまでの支援で成婚したのは4組。十分な成果は得られず、今後の活動について農業委員会で話し合いが持たれた。ある委員が「内気な息子が農委のパーティーに参加した経験を生かして、他の婚活パーティーで知り合った娘さんと結婚した。事業は後継者への啓蒙活動になっている」と発言。この発言をきっかけに横浜でのカップリングパーティーは継続が決まった。

来年は新しい試みとして、パーティーに参加する後継者に身だしなみなどを指導する場を設ける。担い手対策専門委員の大曾根京子さんの発案だ。「彼らは若い未婚女性と出会うチャンスが少なく、収穫期は天候が良ければ連日作業で休みは取りにくい。その辺りを理解してくれる人と出会う場であってほしい」と話してくれた。

同専門委員会の冨田寛一委員長(75)と高野武久副委員長(74)に話を聞いた。2人は「今は元気な高齢農業者が耕作しているが、これからは次世代の就農が不可欠だ。後継者の結婚が決まれば周りも大喜びで市長に結婚式に出席してほしいほどだ」と口をそろえた。担い手不足は喫緊の課題で、同時に農業後継者の成婚への悩みの大きさを感じさせた。(橋立多美)(つづく)

※メモ

【農業委員会】市町村に置かれ農地に関する事務を行う行政委員会。農地転用の許可や無断転用の監視、農業の担い手の確保・育成などが主な活動。つくば市では、3年に1度の農業者の選挙で選ばれる21人と農業関係団体や議会からの推薦で選ばれる8人で構成されている。委員は特別職の地方公務員。

中華街でランチを楽しみながら交流
「農業は自然を相手に自給自足が基本の営み」と話す担い手対策専門委の高野武久さん=つくば市刈間

太平洋戦争開戦の8日 つくばで「不戦のつどい」 ふかしイモの試食体験も

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昨年開かれた「12・8不戦のつどい」の様子(同実行委員会提供)

1941年、旧日本軍がハワイの真珠湾を攻撃し太平洋戦争が始まった12月8日に合わせて、「12・8不戦のつどい」(同実行委員会主催)が8日午後6時から、つくば市並木の並木交流センター2階大会議室で催される。今年は茨城大学人文社会科学部の佐々木啓准教授を講師に迎え「戦争する国の作られ方―『先の大戦』から考える」と題した講演会を開く。

戦争を絶対に繰り返さないため、つくばで戦争体験を語り継ぎ、平和を守り、交流しようと、1981年から毎年12月8日前後に催されている。

主催者は、ここ数年の間に、特定機密保護法、安保法制、共謀罪などが成立したことに危機感を抱き、今回は、戦中に国家がどのように国民を総動員体制に取り込んでいったかを具体的な事例を通し現在の状況と対比して学びたいとしている。

会場では、戦中戦後に主食代わりに食べられた、ふかしたサツマイモの試食も行う。(崎山勝功)

◆資料代500円。問い合わせは同実行委員会事務局(電話029・861・7320)。

《婚姻件数、戦後最低ーいばらきの結婚事情》㊤ 「後継ぎ」と「墓守」は自分の役目

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第910回出会いパーティーで司会進行をする小野史子さん=つくば市研究学園のホテルベストランド

県によると、2016年の県内の婚姻件数は戦後最低の1万3201件。1971年の2万件をピークに下降線をたどっている。若者の雇用や収入をめぐる経済環境の悪化が要因とされるが、「イエ」重視の県民性も一因ではないか。独身男女の婚活を応援するNPO法人と、農業後継者に「出会いの場」を提供する官製お見合いの現状など、いばらきの結婚事情を3回に分けてまとめた。

親世代の価値観が壁に

2005年5月に設立したNPO法人「ベル・サポート」(菊地長吉理事長・境町)は県南、県西の未婚者や再婚者を対象に結婚相手の紹介、相談活動、出会いパーティーを開催している。営利を目的としない組織で県内外を問わず入会でき、パーティーは会員でなくても参加可。今年10月31日現在、男性会員は920人、女性は520人。出会いパーティー開催は12年間で819回に及び、成婚者累計は433組に上る。

9人のスタッフが運営を担当。つくば市ケーブルテレビのプロデューサーやアナウンサーの経験を買われた小野史子副理事長は、出会いパーティーの司会進行役を務める他、会員からの相談にも応じている。

小野さんは「433組のカップル誕生は、これまでの会員計約2万3000人の中のわずかな数に過ぎません」と話す。そして「親世代が良いと思っている結婚観を受け継ぎ、それが成婚の壁になっている」とも。地元生まれの長男と長女の多くが「後継ぎ」と「墓守」は自分の役目だと思っているそうだ。結婚は家に縛られず個人の自由と捉える人とは大きく隔たる。

両家の中間に家庭築く

ベル・サポートが相談に乗ったことで、後継ぎ同士ながら結婚に至った事例がある。男性(43)は10年間会員間のお見合いや出会いパーティーに参加したが、親と同居して家を存続する考えに共鳴してくれる女性はいなかった。婚活を諦めかけた頃、菊地理事長から言われた「少子化の影響で(これからは)夫婦2人が互いの両親4人の面倒を見る時代」という言葉にハッとした。

条件を優先して相手を探すより、「この人」と思える相手と出会いたいと思った。その後、守谷で行われた出会いパーティーで知り合った妻(42)も、婿になってくれる男性を条件にしたため相手は見つからなかった。互いにひかれ合い、デートを重ねるごとに人生の良き伴侶の思いを強くした2人は結婚を勇断。双方の両親に「親と家を大切にする」と伝えて話し合いを重ねた。最終的にどちらの親も「子どもの幸せが一番」と承諾してくれたという。

3年前に結婚。両家の中間に家庭を築いた。子どもに恵まれ、4人の親に子育てを応援してもらっている。

小野さんは「かつては男女の仲を取り持つ仲人がいたが、恋愛結婚が一般的になってほとんどいなくなった。子どもの結婚を経験した私たちスタッフが現代の仲人役。人生経験を生かして幸せなカップル誕生を応援していきたい」と語る。(橋立多美)(つづく)

オニツカサリーさん、JA土浦れんこん大使に「歌やダンス作りたい」

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JA土浦の池田正組合長から委嘱状を渡されたオニツカサリーさん㊨=土浦市内のホテル

JA土浦は5日、かすみがうら市出身の女性歌手、オニツカサリーさん(34)をレンコンの魅力をPRする「れんこん大使」に任命した。オニツカさんは「レンコンは一番好きな野菜。世界に発信したいです」と抱負を語った。

土浦市とかすみがうら市は全国1位と2位のレンコン生産量を誇る。れんこん大使は、魅力を発信してもらおうと初めて設けられた。

土浦市内のホテルで同日開かれた年末レンコン販売対策会議で、JA土浦の池田正組合長が委嘱状とたすきを手渡した。オニツカさんは報道陣の取材に対し「地元のレンコンはシャキシャキしてみずみずしい食感でおいしく、週4で食べています。レンコンの歌やダンスを作りたい」と話していた。

オニツカさんはかすみがうらマラソン公式応援ソング「誰もがヒーロー」など地元を題材にした歌を作詞作曲する歌手として知られ、かすみがうら市ふるさと大使や茨城自衛隊地方協力本部広報大使など既に6団体の大使を務めている。(谷島英里子)