日曜日, 1月 29, 2023
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多世代に注目してほしい街の原点【つくば建築散歩】7

つくばセンタービル この連載でも避けては通れないであろう、つくばセンタービル。 つくば市によるリニューアル問題の是非にはさほど興味を示さなかったが、そもそもこの街の多世代に親しまれているのかどうか、磯崎新アトリエのこの作品がなぜ「センター」「シンボル」なのか、若い世代の人々がどのように感じているのかに関心を寄せる。 画期的な事件 建築から都市へ、市民が眼差し開く つくばセンタービル(同)

新しい街の駅前ランドマーク【つくば建築散歩】6

ひたち野リフレ 常磐線ひたち野うしく駅前という立地から、「つくば建築散歩」とは言えないけれど、この建物をピックアップした意味については次回(最終回)にまとめる。設計は妹島和世建築設計事務所によるもの。妹島氏は伊東豊雄建築設計事務所から独立した建築家で、日立市の出身。 空と雲のパッチワーク映す 【鵜沢隆 筑波大名誉教授コメント】「この作品は、JRの新駅前に実現した中規模オフィスビルである。オフィスビルという空間的な凡庸さはそのままに、妹島和世は、駅側ファサード(正面)のデザインに設計のフォーカスを絞った。そのファサードはダブルスキン(2枚のガラス面構造)で、外側を横長のガラス・ルーバー(ガラス板を平行に複数並べたもの)が覆っている。 ひたち野リフレ西側外観の夜景(同)

ひと味違う立体駐車場【つくば建築散歩】5

南3駐車場 筑波研究学園都市中心部にいくつかある立体駐車場が「名建築」の域に収まるのかどうか、議論を呼びそうな気もするが、ともすれば無味乾燥なだけの立体駐車場が巨大な構造体を都心部に横たえるとどうなるのかという、都市景観の面から浮かぶ懸念を払しょくしようとした試みがある。もちろんその取り組みが成功したか否かは、見る人の主観で変わってしまうが、今回紹介する1994年完成の南3駐車場(つくば市竹園)は、ひと味違うと感じられる。 建築が都市と対峙 【鵜沢隆 筑波大名誉教授コメント】「伊東豊雄建築設計事務所が設計したこの駐車場は、すぐ近くに存在する坂倉建築研究所の南1立体駐車場(つくば市吾妻、クレオ隣)の空間構成と無縁ではない。否、それとは好対照の空間構成を意図して設計されたと言っても過言ではない。つまりこの駐車場は、南1立体駐車場とは対照的に、立体駐車場に不可欠な車の上下移動のランプ(斜路)を積極的に外に露出させることで、この建築の機能的な存在を都市の中にストレートに表出させた。 南3駐車場の夜景(同)

作り手から使い手へのメッセージ【つくば建築散歩】4

つくばカピオ つくばカピオは、国際会議場よりも一足早い1996年に完成し、竹園公園エリアにおける公共建築物の意匠や高さなどの規範になった施設だが、小ぶりながらアリーナと演劇場を併せ持ち、「寄席も呼べる」と関係者間で話題になった。稼働率の高さやロケ地などでの露出も多い建物のひとつだ。設計は谷口建築設計研究所による。 緻密な空間の職人芸 【鵜沢隆 筑波大名誉教授コメント】「この巨大なボリュームの建築の魅力は、その規模ではなく、空間配置の合理性と明快さにある。そして、この大きな建築の隅々に至るまで、設計者のデザイン的感性が張り巡らされている。寡黙でありながらも、張り詰めた緊張感がこの建築にはみなぎっている。 北側に伸び出すつくばカピオのブリッジ(同)

自治体営繕課による意欲作【つくば建築散歩】3

つくば国際会議場 筑波研究学園都市中心部にあるつくば国際会議場(エポカルつくば)は、1999年に開館した。学園地区の公共建築整備のガイドラインの一つであり、周辺の公園や市街地に圧迫感を与えず、街並みと融合するような軒高を与えられている。この施設の建設に当たって民間から、現在つくばセンタービルの改修を手がける坂倉建築研究所が参加したが、設計主体は茨城県土木部営繕課だ。 現実超えた過剰性 【鵜沢隆 筑波大名誉教授コメント】つくば市で坂倉建築研究所が実現した最大の建築空間。国際会議場という特異な施設機能がつくばで成立しうるか否かについては、計画当初から熾烈(しれつ)な議論があった。そうした議論をねじ伏せるかの如く、茨城県が推進したこのプロジェクトを坂倉建築研究所は具体的な空間としてデザインした。この施設の膨大な空間的ボリュームを、都市と調和的に馴染ませる空間配置の設計手法は、成功したかに見える。 しかしながら、既に計画当初から指摘されていたこの施設の特殊性が、竣工直後からすでに問題を顕然化させることとなった。つまり、つくばの地に主要な国際会議が招致できないというジレンマに直面することとなった。茨城県の潤沢な予算を受けて坂倉建築研究所が設計した国際会議場という施設は、街の風景に紛れてはいるが、有効活用されぬままに、つくばの過剰な施設となった。

学園都市黎明期の原風景【つくば建築散歩】1

筑波大学 大学会館 2022年は、筑波研究学園都市の開発建設に関する閣議了解、正確には国の省庁・機関を茨城県南部へ移転させる閣議了解(1967年)から55年、国家公務員宿舎の入居開始(1972年)から50年にあたる。半世紀にわたる都市の成長、成熟の中で、建設省(現国土交通省)、住宅・都市整備公団(現UR都市再生機構)などの公的機関が多くの建築物を手がけ、様々な建築家や設計事務所を採用したことで、筑波研究学園都市自体が都市開発と建築物の博物誌を醸成する結果となった。 現存するつくばの名建築を紹介する第1弾として7カ所を紹介する。しかしこれは「つくばでうまいラーメン屋はどこでしょうか」と問われるのとあまり変わりなく、あちらを立てたらこちらもか、建築ごとに好き嫌いの意見も分かれそうだ。 今回、つくば市在住の建築家であり、筑波大学名誉教授の鵜沢隆さんに建築物の紹介をお願いした。写真は、同じくつくば市在住の写真家として活躍する斎藤さだむさんが、書籍「つくば建築フォトファイル」に収録した竣工当時の撮影写真を提供していただいた。同書を出版するNPOつくば建築研究会からも、収録写真の使用について快諾をいただけた。 どこから始めたものかで迷った中、初回は槇総合計画事務所、槇文彦さんの設計による筑波大学大学会館とした。連載のスタイルとして、まず鵜沢名誉教授の建築紹介から始める。

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香りでおもてなし《令和楽学ラボ》22

【コラム・川上美智子】関彰商事グループの事業所では、昨年度末より、お客様サービスの一つとして「香りでおもてなし」をスタートさせました。みらいのもり保育園(つくば市)でも、玄関と化粧室にアロマの瓶を置いて、香りを楽しんでもらっています。 専門領域である香り成分の機能性研究をしていた大学勤務の時代に、企業の香りづくりを思い立ち、要望があればお手伝いしています。その第1号は筑波銀行でした。香りを大切にされていらっしゃる藤川雅海前頭取からの依頼で、筑波銀行オリジナルの香りの調合を大手の香料会社に依頼し、顧客サービスとしてお店で流しました。それにより、その店舗の取引が上昇し、お客様の滞在時間が長くなったと聞いています。 第2号が、現在お世話になっている関彰商事です。関正樹社長の関彰商事ならではの香りを作りたいという思いを形にするため、4年前、社内に香りプロジェクトを立ち上げられました。語呂合わせから、アヤメ科の「セキショウ(石菖)」の香りも香料会社に調合してもらいました。この香りは個性が強すぎてボツになり、最終的には今、店舗などで嗅ぐことのできる、かんきつ系のグレープフルーツを想起させる爽やかな甘い香りに落ち着きました。 新型コロナの感染拡大の影響で、香りを希釈するエタノールが高騰するなど、実現までには紆余(うよ)曲折がありましたが、昨年には社内のデザイナーがアロマ・オイルを入れる涼やかな容器瓶を完成させ、実現に至りました。アロマの利用法としては、ディフューザーで空間に流す、手指消毒やルーム用のスプレーに賦香(ふこう)する、名刺に賦香するなど、様々な香粧(こうしょう)品が考えられますが、自社内利用の展開が期待されます。 香りは生命を支える重要な物質 ところで、香気物質はppm単位(100万分の1)の、ごく微量で嗅覚を刺激して環境やモノの情報を伝える情報伝達物質の機能をもっています。それは、ヒトだけでなく、地球上の動植物にとっても不可欠の情報伝達物質として働いています。一つの食品に含まれる通常100種以上の香気化合物が、その食品の特性となって、我々にりんごかイチゴか、あるいは新鮮だとか腐っているかを伝えてくれます。

最優秀賞に山口栄司さん 土浦の写真コンテスト表彰式

第17回「土浦の写真コンテスト」の表彰式が28日、土浦市大岩田の国民宿舎水郷「霞浦の湯」2階会議室で開かれた。主催は同市観光協会(中川喜久治会長)。最優秀賞(茨城県知事賞)に選ばれた、つくば市在住の山口栄司さん(80)ら13人が出席し、表彰を受けた。 市内の景観・催事などをとらえた、本人撮影のおおむね3年以内の作品という条件で、昨年秋に募集され、県内外から68人、248点の応募があった。審査の結果、8月の「キララまつり」を撮った山口さんの「彩り鮮やか」のほか、宮本尚男さん(阿見町在)の「ちびっ子ライダー」、糸賀一典さん(千葉県柏市)「レンコン収穫」、仲沢彩さん(土浦市)の「茨城クロス・決戦は土浦で!!」の優秀賞3作品、入選16作品が選ばれた。 表彰を受ける山口さん(左) 最優秀賞受賞の山口さんは「趣味で催事の写真を撮っているが、このような素晴らしい賞をいただけてうれしい。今後も技術を磨き応募していきたい」と語った。 審査員のオダギ秀さん(75)(日本写真家協会会員・土浦写真家協会会長)は「昔は撮るぞーっと構えている写真が多かったが、最近は気楽に撮っている人が多くなった。土浦の良さが自然に伝わってきて、好感が持てる。今後も幸せを感じた瞬間を撮り続けて欲しい」と感想を述べた。(榎田智司) ◆展示会は29日から3月3日まで土浦まちかど蔵「野村」(土浦市中央)で、同4日から31日まで小町の館(土浦市小野)で開催。入選作品は土浦市観光協会のホームページに掲載されている。

ナラ枯れ対策 子どもたちの活躍《宍塚の里山》97

【コラム・小礒慶子】みなさま、ナラ枯れという言葉を聞いたことがありますか? どんぐりの木が夏に急に枯れてしまう病気です。全国的にも問題になっており、茨城県内では2020年につくば市で被害を確認し、3年間で被害が急拡大しています。これは体長5ミリほどの甲虫カシノナガキクイムシ(カシナガ)が原因です。 私たちの会でナラ枯れ対策ボランティア活動をしている小学生とその保護者5家族が「カシナガバスターズ」です。活動場所は土浦市にある宍塚大池周辺の里山です。 カシナガは一生のほとんどを木の中で過ごし、5~10月に成虫になり木から出て、健全なナラ類の木へ飛来します。カシナガは樹幹に爪ようじ程の小さな穴をあけ穿入(せんにゅう)し、ナラ枯れの原因となるナラ菌を持ち込みます。カシナガの繁殖力は強く、1ペアが木に入り込むと翌年には数百匹に増えてしまうので、この期間にできるだけ多く捕獲するのが重要になります。 捕獲するために、A4クリアファイルを使ったトラップを作り、狙われている木に設置します。トラップにかかったカシナガが逃げ出しにくいように、捕虫部分に水を入れる構造ですが、カシナガ以外の虫も入ってしまい、水死していました。一昨年この問題を解決するため、小学生の兄弟が、大きな虫が入らないようにネットをつけ、トラップを改良してくれたおかげで、昨年はたくさんの虫を救済することができました。 被害木は、21年は13本、22年は56本と拡大をしたので、トラップの設置数も増えました。真夏の暑さと蚊やスズメバチが飛び交う中での水替え・回収作業は大変でした。そこで作業時間を短縮するために、トラップの代わりにレジャーシートやラップなどを幹に巻く実験も行いました。そのほか、情報の共有化のため、被害木に番地をつけ、マップを作りました。

近代化の主役、鉄道を楽しむ乗りテツ 《遊民通信》57

【コラム・田口哲郎】前略 2022年は鉄道開業150年、日本初の鉄道が新橋―横浜間で営業を開始した記念すべき年でした。鉄道が150周年ということは、日本の近代化も150周年ということになります。もちろん、どのタイミングを近代化のはじまりとするかは、いろいろ意見があると思います。しかし、人びとの生活を実質的に大きく変えたという意味で、鉄道は近代化の象徴と言えるでしょう。 開業以来、鉄道は人びとの生活に影響を与え続けてきました。いや、支配し続けてきました。コロナ禍の前まで、鉄道の特権的地位は揺るぎないものでした。自動車や飛行機があるではないか、と言われるかもしれませんが、車や飛行機の普及は鉄道よりもずっと後です。近代化を先頭切って突き進んだのは鉄道です。 鉄道は人の移動と物流を激増させ、中央集権的な社会をつくりあげました。江戸時代は人びとの社会単位は村でした。今よりずっと小さい村が無数にあり、それを藩がまとめていました。その限られたテリトリーを鉄道はうちこわして、大きな単位でも人びとが生活していける経済圏を成り立たせたのです。 さらに、鉄道は人びとの時間の感覚を近代化しました。むかしは徒歩や馬の速さでまわっていた時が、鉄道の速さで流れます。定時運行とスピードが、人びとの生活を仕切るようになったのです。ようするに、のんびりがセカセカになりました。資本主義経済が人びとの欲望を刺激して、もっと豊かに、よりはやく、より安く、がよしとされる社会の誕生です。 コロナ禍で人間の物理的移動が広い範囲で制限されてはじめて、鉄道の存在意義が問われることになりました。自動車、飛行機だって人や物を乗せて移動するので、電子情報だけをのせる通信網に速さではかないません。