水曜日, 12月 1, 2021
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カーボンナノチューブ研究者に江崎賞 つくばで発見の材料に理論的基礎

茨城県科学技術振興財団(つくば市竹園、江崎玲於奈理事長)は10日、第18回江崎玲於奈賞に東北大学大学院、齋藤理一郎教授(63)を選んだ。カーボンナノチューブ(CNT)が発見された直後の早い時期から研究に取り組み、理論的基礎を築いた。東北大学から2年連続の受賞となったが、選考委員の一人で2000年ノーベル賞受賞者の野依良治さんは「CNTは、つくばで発見されており、今後もつくばが材料研究の中心を担うという意味で、最も正統的な江崎賞になった」と評価した。 江崎賞はナノサイエンスやナノテクノロジーに関する研究に携わり、顕著な研究業績を挙げた研究者を顕彰する。ナノ分野の学会や研究機関、大学などから推薦された研究者の業績を江崎玲於奈さんを委員長に、歴代のノーベル賞受賞者らで構成する委員会で選考する。関彰商事(関正樹社長)が特別協賛しており、江崎玲於奈賞には副賞1000万円が贈られる。 今回は推薦15件のなかから、「カーボンナノチューブの電子状態と共鳴ラマン分光の理論」研究で齋藤教授が選ばれた。CNTは、炭素によって作られるグラフェンシート(平面)を丸めて円筒状にしたような構造の物質で、直径は0.4~50ナノメートル。その名の通りナノメートル単位で、細さや軽さ、柔軟性から、次世代の炭素素材、ナノマテリアルといわれ、様々な用途開発が行われている。 ナノチューブは1991年に、当時NEC筑波研究所研究員だった飯島澄男さん(74)により発見された。CNTはハチの巣状に炭素が結合するグラフェンをどのように巻くかによって、金属にも半導体にも物性が変わる。齋藤教授は1992年に、この巻き方と電子状態の関係を理論的に明らかにした。この論文は明快で分かりやすく、その後のナノチューブ研究の原動力となったという。 さらにCNTにレーザー光を当てることで、材料の物理特性を見分ける「共鳴ラマン分光」の手法研究でも成果をあげた。これら理論的研究は、ナノチューブの研究を開始するにあたって必ず最初に学ぶべき基本的事項となっており、その後の研究をけん引していることに各委員の評価が集まった。 つくば賞には櫻井武筑波大学教授

平山氏に江崎玲於奈賞、核スピン分極を応用 つくば賞はチバニアンの3氏

【相澤冬樹】ナノサイエンス分野の研究で優れた業績を挙げた国内研究者を顕彰する江崎玲於奈賞の審査会が23日、つくば市内で行われ、第17回受賞者(副賞1000万円)に原子の核スピン応用技術の平山祥郎東北大学大学院教授(65)を選出した。 第31回つくば賞(副賞500万円)には「チバニアン」研究の茨城大学大学院の岡田誠教授(55)、国立極地研究所の菅沼悠介准教授(43)、産総研地質調査総合センターの羽田裕貴研究員(28)の3氏を選んだ。 「江崎先生も気づかなかった着眼点」 同賞は茨城県科学技術振興財団(江崎玲於奈理事長)がノーベル賞受賞の白川英樹、野依良治、小林誠各氏らを審査委員に選出する。今回の発表はオンライン開催となった。 平山教授は、東北大学先端スピントロニクス研究開発センター長。原子の核スピンが分極し、余剰抵抗が生じることは1999年ドイツの研究者により報告されたが、電気特性が弱く注目を集めなかった。これに着目した平山教授は2003年以降、独自の半導体ナノ技術を駆使して核スピンの分極を電子的に制御し、その影響を高感度に抵抗検出する技術を確立した。技術はMRI(核磁気共鳴画像法)のイメージングにも用いられるが、平山教授の研究は核スピンの分極の組み合わせを量子コンピューターなどのエレクトロニクス分野に応用するなどの技術開発で特に業績をあげた。 審査会では「江崎先生をもってしても気づかなかった着眼点であり、その先見の明に賞を与えたい」とした。

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吾妻鑑に見る常陸守護、八田知家 《ひょうたんの眼》43

【コラム・高橋恵一】都道府県魅力度最下位・茨城県の地元ひいきの立場からすると、鎌倉時代から戦国末期まで、筑波地方を支配した小田氏の祖、八田知家(はった・ともいえ)の知名度を上げる必要があると思う。 知家の茨城での評価は、出自不明で旧来の支配者、大掾多気(だいじょうたけ)氏をだまして領地を奪ったなどとする評価がつきまとっている。知家の親は、宇都宮座主(ざす)の八田宗綱(むねつな)で、領域南端の五行川と小貝川が合流する手前(旧下館市)の「八田」に居館(きょかん)を置き本拠の地としていた。 源義朝(みなもとのよしとも)が下野守(しもつけのかみ)であったこともあり、八田宗綱や小山政光(おやま・まさみつ)と源義朝とのつながりは深く、小山政光の妻(寒河尼=さむかわのあま=八田知家の姉)は、頼朝の乳母になっており、知家は、保元の乱で源義朝に従って少年武者として戦闘に参加している。頼朝(よりとも)の挙兵に、小山一族や宇都宮一族がいち早く駆け付け、頼朝から信頼される御家人となった。宇都宮・八田氏一族と小山氏一族は連携して、鎌倉幕府を支える強力な勢力を保った。 頼朝は、富士川の戦いに勝利すると、まず、関東を抑えることを優先した。当時、常陸国は平氏の知行国であり、大掾多気氏を本宗(ほんそう)とする常陸平氏一族と那珂川以北を治める佐竹氏は、平家の家人として頼朝追討の指示を受けており、反頼朝あるいは日和見の立場にあった。 頼朝は、常陸国の国府まで出向いて、佐竹氏を降伏させ、鎌倉への帰途に「八田館」に立ち寄った。吾妻鑑(あずまかがみ)には、「小栗重成(おぐり・しげなり)の小栗御厨(おぐりのみくりや)の八田の館」とあるが、御厨の荘官が小栗氏であり、御厨エリアの中にある八田氏の舘を指していると読むのではないか。小栗氏は小栗に館を持っており、極めて近い八田に別の舘を持たないであろう。源頼朝が立ち寄ったのは信頼度の高い八田氏の居館とするのが自然だろう。 奥州攻めの東海道大将軍に

絶滅危機と観測継続に立ち向かう 国立環境研 寄付金専用サイト立ち上げ

国立環境研究所(つくば市小野川)は30日、寄付金受け入れのための専用サイトをリニューアル公開、特に「絶滅の危機にひんする野生生物の遺伝資源保全」と「全国の調査員を募集して行う生物季節モニタリング」の2つのプロジェクトに注力する。研究力強化、社会貢献、環境人材の育成などを目的に、8月に寄付金制度を改正、研究テーマなどから使途をあらかじめ特定し、一般に支援を呼び掛ける募集特定寄付金が設けられたことから、先行する2プロジェクトで活用を図った。 このうち生物季節モニタリングは、日本全国に市民調査員を募集し、気象庁が行ってきた生物季節観測を継承しつつ、現代的な形で発展させるネットワーク構築を目指している。モニタリング調査員の募集は、8月から始まっており、すでに392人が応募している。寄付金は、調査道具や旅費の支給など多くの調査員に参加してもらえるような体制つくりや自動観測技術の開発に役立てる考えでいる。 生物季節観測は、季節の遅れ進み、気候の違い・変化を的確に捉えることを目的に、観測方法を統一して気象庁が1953年に開始し、全国の気象台・測候所58地点で57種の動植物を対象に開花や初鳴きなどを観測してきた。しかし、近年は気象台・測候所周辺の生物の生態環境の変化から、標本木の確保や対象種を見つけることが困難となるなどして、2021年以降、植物6種目9現象だけを残してその他の観測が廃止された。継続しての調査は各方面から望まれたことから、国立環境研究所は気象庁、環境省と連携して、新たな「生物季節モニタリング」を立ち上げた。 環境研気候変動適応センターの辻本翔平特別研究員は「一度は無くなってしまった全国規模での観測体制をぜひ再構築して次の世代につなげたい。気候変動から継続が難しくなったものだが、気候変動だからこそ観測し続ける意義がある」と研究所の動画チャンネルに出演して寄付を呼び掛けている。 「野生生物の遺伝資源保存」寄付金募集のページ=同 もう1つの「野生生物の遺伝資源保存」は絶滅危惧種の細胞(体細胞や生殖細胞)を生きている状態で凍結保存するプロジェクト。これによって絶滅危惧種の生理機能や遺伝情報を安定的な状態で将来に残すことを目指している。

長大など4社グループに決定 つくば・洞峰公園の整備運営事業者

パークPFI制度(公募設置管理制度)を活用して洞峰公園(つくば市二の宮、約20ヘクタール)を整備・運営する事業者を公募していた茨城県(8月15日付)は、2022年度からの整備運営事業者を、大手総合建設コンサルタント会社、長大(東京都中央区)を代表法人とする「洞峰わくわく創造グループ」に決定した。 構成法人は▽イベント企画運営会社「TSP太陽」(東京都目黒区)▽会員制総合スポーツクラブ運営会社「東京アスレティッククラブ」(東京都中野区)▽現在、指定管理者として洞峰公園を管理・運営している「筑波都市整備」(つくば市)の計4社。 選定委員会(委員長・町田誠公園財団常務理事)が10月25日、最終決定した。募集のコンセプトである「研究学園都市にふさわしい総合公園として、自然樹林や洞峰沼を生かしつつ、スポーツや様々なレクリエーション活動が楽しめる拠点」にふさわしい提案だと評価された。応募は、わくわく創造グループのみだった。 事業期間は来年4月1日から最長20年間。10年間で更新する。 ドッグラン、BBQ、グランピングも 創造グループの事業コンセプトは「新たな洞峰公園ライフの創出~すべての講演利用者がわくわくできる公園づくり」。これまでの豊かな自然や美しい景観など既存ユーザーに愛され続ける公園づくりに加え、にぎわい創出による新たな利用者層を誘致できる公園づくりに取り組む。

黄色いイチョウ、翡翠色のぎんなん 《土着通信部》47

【コラム・相澤冬樹】銀杏を「いちょう」と読めば街路樹、「ぎんなん」と読めば農作物になる。前者はほぼ雄(オス)の木が並木を作り、後者は雌(メス)の木が畑に植わっている。雌雄異種といい、公園や社寺の古木は雌雄入り乱れる(?)形だ。イチョウ栽培歴30年、農事組合法人、つくば銀杏生産組合(石岡市半田)代表の櫻井和伯さん(66)にウンチクを含め語ってもらった。 組合名にある銀杏は「ぎんなん」。櫻井さんが土浦、石岡の圃(ほ)場で栽培しているのは久寿、喜平などの接種済銀杏樹木(接ぎ木で繁殖した雌木)で、販売もしている。これまでに県内外に1万本近くを植えてきた。かたや自宅わきの加工場で生産しているのは「実」の方、食用の部分は種子の中にあり、厳密に言えば「胚乳」という。9月半ばになると櫻井さんの植えた銀杏畑から、栽培農家が果肉を削いだ銀杏の種子を持ち込んでくるので、蒸して殻を割り「実」を取り出した上で選果する。 加工後の色合いが特徴的。「翡翠銀杏(ひすいぎんなん)」と呼んで商標登録している。最上級ランクの「特選翡翠」は鮮やかなグリーンをしている。黄味が加わるほどに「翡翠(ライトグリーン)」「シャトルルーズイエロー」と並ぶラインアップ。分かりやすいたとえでいうと「枝豆から大豆への色合いの変化に似ている」、味は未熟感に好みが分かれるが「まろやかさ」が身上という。 蒸して冷凍保存で緑色を保つ翡翠銀杏 鮮やかなグリーンや未熟感にはわけがある。ぎんなんは実が青いうちに、落果を待たずに収穫してしまうのだ。機械で一気に実を落とす。今年の場合で9月18日ごろから摘み取りが始まり、特選翡翠は最初の10日間が勝負、次の10日間だとライトグリーンになってしまう。手早く収穫し、蒸す加工で黄化にストップをかけ、冷凍保管して出荷を待つ形だ。 市場出荷はしておらず、スーパーや小売店では購入できない。櫻井さんによれば「固有名称は勘弁してほしいが、高級ホテル、レストランを中心に取り引きしている」そうだ。翡翠銀杏は素揚げや天ぷら料理などで提供されているという。高級食材だ。