月曜日, 4月 29, 2024
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筑波大「やどかり祭」 2年連続中止決定 コロナ禍で存続の危機に

筑波大学(つくば市天王台)で毎年5月末に催される学生イベント「やどかり祭」の中止が決定された。同大の宿舎祭実行委員会(望月圭委員長)が主催する春の風物詩的イベントで、新入生らがクラスごとに屋台を出店し、親睦を深める祭りだ。コロナ禍で昨年に引き続き2年連続の中止が決まり、祭りは存続の危機にある。 「やどかり祭は新入生同士が絆を深める大事なイベント。延期やオンライン開催の可能性をギリギリまで模索したが、準備期間の短さと委員の人員不足から断念した」と話すのは、同実行委員長で応用理工学類3年の望月圭さんだ。 昨年のやどかり祭が中止になって以降、実行委では規模を大きく縮小し感染対策を徹底することで、現地で開催することを目指していた。しかし新型コロナの感染拡大は続き、同大学生課からも対面での開催に難色を示された。実行委でもオンライン開催や延期など、別の方向性を探ろうとしたが「いずれも難しい」と断念した。 背景にあるのは、授業のオンライン化に伴って生じた活動の難しさだ。同大は昨年度、一部の授業を除き全面的にオンラインで講義を行う方針を取った。そのため、新入生が大学に来る機会はほとんどなかった。 望月委員長は「昨年は新入生がほとんど大学に居なかったこともあって、勧誘の機会が失われ、実行委員会に加入する学生も大きく減った。コロナ禍のさなかに入学した現在の2年生の委員は10数人ほど。例年であれば1学年で40人強の委員がいるから、コロナ禍で入った委員は例年の半分以下ということになる」と語る。 この状況が続けば、やどかり祭そのものの存続も危ぶまれるという。「今年も勧誘がうまくいかなければ、実行委員会の体制は維持できない。2年連続の中止でさらに勧誘がしにくくなった。『今年は中止だが来年なら開催できる』という保証はどこにもなく、『祭りの運営をしませんか』と新入生を誘うことは難しい。このままでは先細り。近いうちにやどかり祭はもう開催できないということになったとしても不思議ではない」と望月委員長。 副委員長で比較文化学類3年の樋口将也さんは「大変な状況であることは間違いないが、やどかり祭は多くの筑波大生にとって大切な思い出。それを無くしてしまうというわけにはいかない。今年度はまずは勧誘に力を入れ、実行委員会体制の維持を目指す」と語る。 危機的状況だが、希望もある。「もし来年度以降、祭りが実施できるならば、実際に運営する委員は『実際に自分では見たことがない祭り』を企画して実施することになる。大変なことかもしれないが、今までとは全く違うやどかり祭の可能性が開けるかもしれない。」と樋口副委員長は話す。(山口和紀) ◆やどかり祭実行委員会は新入生を募集している。詳細は公式HPへ。

オンラインで卒業生最後のステージ 28日から筑波大コピーダンスグループ

筑波大学のアイドルコピーダンスグループ、Bombs!(ボムズ)のオンライン公演が28日午後8時から始まる。大学のアイドル研究会の1部門として、2019年3月に医学類4年のりかさんが立ち上げたグループだ。昨年はコロナ禍でほとんど活動ができていなかったが「卒業生の最後のステージ」としてオンライン公演を企画した。 現在、Bombs!は34人(裏方の4人を含む)の筑波大生が参加している。さまざまなアイドルのダンスを「コピー」してステージ上で披露するのが活動のメーンだ。「ステージ衣装の制作や動画の撮影、演目の構成などもメンバー同士で考えながらステージを作り上げている」という。 これまで出演していたステージは、新入生らが屋台を出店する筑波大学宿舎祭(5月)やおよそ2万人が来場するという雙峰祭(そうほうさい、10月)。学外では日本一のアイドルコピーサークルを決める大会「UNIDOL(ユニドル)」にも参加していた。 しかし、昨年は新型コロナウイルスの影響で、出演予定のステージが中止になった。練習も自粛を余儀なくされ、活動が全くできないという状況だった。現在リーダーを務める応用理工学類2年のゆうなさんは「去年の春学期が始まったくらいにサークル活動を自粛するよう大学から要請があった。そのまま宿舎祭も学園祭も中止になってしまって、ステージも練習の場もなくなってしまった。2019年の3月に結成して、ようやくこれからという時期だったのに」と振り返る。 オンライン公演のアイデアが出てきたのは昨年の秋ごろ。「こういう状況で、一体何に向けて活動したらいいのかと、グループの幹部で話し合いをした。そこで『今年はグループ初の卒業生が出る。何らかの形でステージはやりたい』ということになった。もちろん対面も考えてはみたが、最終的にはオンラインでということになった」とゆうなさん。著作権上の配慮として、実際の曲は使用せず、収益化もしない形で行うという。 サブリーダーで社会工学類2年のあやめさんは、オンライン公演の見どころを1曲目のアンジュルム(ハロー!プロジェクト)「私を創るのは私」だと話す。「グループを作ったりかさんから、リーダーの立場を2年生のゆうなが引き継いで、グループの第2章が始まったと感じる。その決意を示すのにぴったりの曲だと考えて選曲した。その思いを含めて観てほしい」とあやめさん。 コロナ禍の苦労はオンライン公演でも続く。「どうしても30人の演者が同じステージに立ってダンスをするのは難しい。会場からもあまり密にはならないようにと言われたので、全員で踊る曲というのは全く作らなかった。半分にグループを分けたり、学年ごとにしたりして密にならないように工夫してやっている」とリーダーのゆうなさん。 公演のクオリティーには自信がある。「ステージの迫力が対面よりも弱くなると思うかもしれないが、実はオンラインの良さもとてもある。普段のステージでは見ることができないような演者一人ひとりの表情を見ることが出来る。当日はぜひ見に来てほしい」とサブリーダーのあやめさん。 ◆配信はYouTubeのBombs!公式チャンネルで見ることができる。無料。公式ツイッターはこちら。(山口和紀)

協力団体が支援 コロナ禍の学生に食品無料配布 筑波学院大

コロナ禍でアルバイトが減り生活に困っている学生を支援しようと、筑波学院大学(つくば市吾妻)で16、17日の2日間、学生に食品や日用品を無料で配布する「フードパントリー」が開かれている。 つくば青年会議所OB有志(小椋直樹代表)と、食を通じた子供たちの支援に取り組む市民団体「竹園土曜ひろば」(毛利正英代表)の協力を受けて開設した。両団体は、学生が地域に出て社会活動を実践する同大の教育プログラムの学生受け入れ団体として、長年、同大と関わってきた。 今年1月、同青年会議所の関係者から、教育プログラムを担当する同大教員に「筑波大生を対象とした食料支援はやられているが、学院大生は大丈夫でしょうか」などの問い合わせがあったのがきっかけ。 教員らは、ひとり親家庭などに食料支援を実施している「竹園土曜ひろば」に支援方法のノウハウなどを尋ね、同大地域連携センター(高嶋啓センター長)が取り組むことになった。 無料配布する食品や日用品は、飲料水、野菜、コメ、レトルト食品、カップ麺、トイレットペーパー、生理用品など約100品目。事前に申し込みを受け付けた30人分を含め計50人分を、2団体が準備し、提供した。イスラム教徒の留学生もいることから、豚肉などを使用していない加工食品なども特別に用意した。 16日、同大の学内食堂に食品や日用品がずらりと並べられ、訪れた学生は必要な食品や日用品をそれぞれ持ち帰った。 市内に住む同大4年の女子学生は「バイトしようと、去年、飲食店の面接を3~4社受けたが、1社しか受からなかった。今年1月、面接に受かったお店で仕事を始めた途端、県の緊急事態宣言が出て、『お客さんの予約がある日だけ来て』といわれた。アルバイトが減って大変」だと語った。 市内の4年男子学生は「4月から都内で一人暮らしをする。引っ越し費用がかさむので、生活必需品がもらえて、ありがたい」などと話していた。 食品や日用品の無料配布は同大生を対象に17日も実施される。(鈴木宏子)

協力団体が支援 コロナ禍の学生に食品無料配布 筑波学院大

コロナ禍でアルバイトが減り生活に困っている学生を支援しようと、筑波学院大学(つくば市吾妻)で16、17日の2日間、学生に食品や日用品を無料で配布する「フードパントリー」が開かれている。 つくば青年会議所OB有志(小椋直樹代表)と市民団体「竹園土曜ひろば」(毛利正英代表)の協力を受けて開設した。両団体は、学生が地域に出て社会活動を実践する同大の教育プログラムの学生受け入れ団体として、長年、同大と関わってきた。 今年1月、同青年会議所の関係者から、教育プログラムを担当する同大教員に「筑波大生を対象とした食料支援はやられているが、学院大生は大丈夫でしょうか」などの問い合わせがあったのがきっかけ。 教員らは、昨年9月から市内で大学生への食糧支援を実施してきた「竹園土曜ひろば」に支援方法のノウハウなどを尋ね、同大地域連携センター(高嶋啓センター長)が取り組むことになった。 無料配布する食品や日用品は、飲料水、野菜、コメ、レトルト食品、カップ麺、トイレットペーパー、生理用品など約100品目。事前に申し込みを受け付けた30人分を含め計50人分を2団体が準備し、提供した。イスラム教徒の留学生もいることから、豚肉などを使用していない加工食品なども特別に用意した。 16日、同大の学内食堂に食品や日用品がずらりと並べられ、訪れた学生は必要な食品や日用品をそれぞれ持ち帰った。 市内に住む同大4年の女子学生は「バイトしようと、去年、飲食店の面接を3~4社受けたが、1社しか受からなかった。今年1月、面接に受かったお店で仕事を始めた途端、県の緊急事態宣言が出て、『お客さんの予約がある日だけ来て』といわれた。アルバイトが減って大変」だと語った。 市内の4年男子学生は「4月から都内で一人暮らしをする。引っ越し費用がかさむので、生活必需品がもらえて、ありがたい」などと話していた。 食品や日用品の無料配布は同大生を対象に17日も実施される。(鈴木宏子)

オンラインで寄せ書きできる 筑波大4年生が考案の色紙アプリ

【山口和紀】オンラインで寄せ書きをつくれるアプリ「シキシ―」が近くリリースされる。制作したのは筑波大学で学ぶ2人の筑波大生。工学システム学類4年の才田さんと知識情報・図書館学類4年の寺本さんだ。制作した寄せ書きは画像データをダウンロードするか、色紙に印刷されたものを郵送で受け取ることが可能だ。接触をすることなく、あたたかみのある寄せ書きをオンラインで作ることができる。 シキシ―着想までの経緯について、寺本さんは「自分のバイト先は在宅勤務いわゆるテレワークが進んでいた。去年の10月ころに寄せ書きの色紙を書く機会があったが、皆が在宅勤務なので一人ひとり書いてもらうのが難しかった。シキシ―を思い付いたのはその時。大学生活最後に何かをしたいという気持ちだった」と振り返る。 あったかくて高品位! 実際に集まることなく高品質の寄せ書きを簡単に作成できるのが強みだ。寄せ書きを書くメンバーがアプリをインストールして、自分の書き込みたい内容をそれぞれが入力する。入力された情報をもとに書き込みの配置や大きさ、フォントの種類などがデザインされ、データが送られてくる。データのダウンロードは低画質版が無料で、高画質版は500円。色紙に寄せ書きを印刷し郵送するサービスも行う。一枚につき2480円(税・送料込み)で利用できる。 最終的なデザインを人間の手で行うことが大きな特徴だ。オンラインで寄せ書きを作るサービスは既にあるが「(既存のサービスでは)書き込みの位置や大きさが最初から決まっていて、きっちり、かくかくとした印象になってしまう。手で書いたときのやわらかさ、ほがらかさみたいなものを表現するために、一つひとつのデザインを自分たちで行うことにした」と寺本さん。 アプリのプログラミングを担当した才田さんは「こういうアプリを作ることは初めての経験だった。決済システムやデータベースとの連携も、お金を出せば簡単に解決できた部分もたくさんあったが、大学生でお金がないので工夫しながらなんとか実装した。プリンターも奮発して良いものを買ったが、それも大変だった」と語る。現在はサービスの公開に向けた最終調整中で、早ければ「今月中旬にリリース」するという。 資金集めのためにクラウドファンディングを行っている。目標金額は20万円で、今月28日まで支援を募る。「シキシ―」公式ホームページはこちら。

「10年経っても苦難は続いている」 福島県の被災者が3.11集会で訴え

【崎山勝功】東日本大震災と福島第1原発事故から丸10年を迎えた11日、脱原発と護憲を訴える「3.11から10年 さよなら原発! 守ろう憲法! 昼休み集会」がつくば市吾妻のつくばセンター広場で開かれた。市民ら約100人が参加し、東海第2原発の再稼働反対や新型コロナウイルス対策の拡充などを訴えた。市民団体「戦争をする国づくりNO@つくば」と「安倍9条改憲NO!市民アクションつくば連絡会」の共催で行われた。 集会では、参加者らの1分間の黙とうの後に、原発事故被害者らで組織する「原発事故被害者相双の会」の国分富夫会長(75)=福島県相馬市在住=が発言し「もう(原発)事故から10年になった。人生の大半を使ってしまったような感じがする。10年経っても変わらない」と原発事故を振り返った。 その上で国分会長は「復興は(原発事故前の)元に戻ること。安心安全な社会に戻ること」とし、進まない生活再建や高齢被災者の孤独死などの問題を挙げて「今でも福島では苦難が続いている」と訴えた。 東海第2原発運転差し止め訴訟原告団の大石光伸共同代表は、今月18日に水戸地裁で判決が出される東海第2原発の運転差し止め訴訟について「福島の人がいまだにどういう状態にあるのか。原発を再稼働することが何をもたらすのかを考えて(裁判官は)判断してほしい」と語った。 集会では「運転開始から43年目を迎えた東海第2原発は周辺30キロメートル圏に94万人が住む危険な原発。94万人の住民にとって実効性のある広域避難計画など策定できないことは明らかで、新型コロナウイルス感染対策との両立は不可能」だとして、再稼働反対などを訴えるアピールを採択した。 同集会は震災後の2012年から毎年3月11日に行われ今回で9回目。例年は集会後、つくば駅周辺をデモ行進するが、今年も2年連続で新型コロナウイルス感染拡大の影響でデモ行進を取り止め、屋外集会のみの実施となった。 主催者代表の山本千秋さん(80)は「世の中から忘れゆく流れは否定しようがないけど、あえて(原発事故を)忘れないように集会を開きながら皆さんに訴えていく」と述べた。(2ページに続く) つくば市役所などで半旗掲揚、黙とう この日は東日本大震災と福島第1原発事故から丸10年とあって、官公庁や一部企業などで、震災犠牲者を追悼する半旗が掲げられた。 このうち半旗を掲げたつくば市役所では、地震発生時刻の午後2時46分に合わせ、来庁者や手の空いた職員に対して1分間の黙とうを呼び掛ける庁内放送が流れ、職員や来庁者らが応じていた。 震災当時は筑波大生だった市職員男性(31)は「毎年この時期になると、停電とか断水とかいろいろあったのを思い出す」と10年前を振り返った。

筑波山神社を花と着物で彩る 27日から「百人きもの」

【山崎実】コロナ禍の心に華やぎをもたらしたいと、筑波山発!「百人きものーコロナ終息を願いー祈り」が、27日、28日、3月1日の3日間、筑波山神社(つくば市筑波)を中心に催される。 観光庁の「誘客多角化のための魅力的な滞在コンテンツ造成」実証事業として、筑波山華やぎプロジェクト実行委員会(吉岡鞠子代表)が、デンマーク人の世界的なフラワーアーティスト、ニコライ・バーグマンさんとタッグを組む。 バーグマンさんにフラワーアート制作を依頼し、神社境内各所に展示するほか、筑波山大御堂では、着物姿の参加者延べ約250人が次々と献花し、3日間かけてオブジェを制作するなど、花と着物で筑波山を彩る。 実行委員会は40代から70代の女性5人。旅館「筑波山江戸屋」女将(おかみ)の吉岡鞠子さん、体験型エクステリア展示場を運営する浅野弘美さん、料理研究家の小川原智子さん、筑波山ガイドの浅野祥子さん、市議の山本美和さんが2018年にスタートした。 2020年秋に3回目の開催を予定していたが、新型コロナの影響で延期されていた。 番傘でソーシャルディスタンス 今年度は新しい試みとして、開催会場をすべて屋外とし、着物に番傘というソーシャルディスタンスで独自のコロナ対策をする。さらに世界的なフラワーアーティストの出演により、国籍、性別、年齢を超えてダイバーシティー(多様性)を推進し、コロナ終息を願う祈りのイベントとする。 筑波大学の学生の力も借りて、10代から80代まで、幅広い年齢層の協力を得て、イベントを盛り上げる。大御堂の階段には筑波大生がデザインしたランタン約150基を置き、ライトアップする。旅館や土産店が並ぶ門前通りにも番傘を飾って彩る。 実行委員会のメンバーは「コロナ禍で沈んだ心を癒し、華やぎをもたらし、筑波山の伝統文化を世界に向けて発信していきたい」と話し、筑波山の華やぎから、コロナで打撃を受けている飲食店や宿泊事業者の応援につながり、筑波山温泉郷のホテルに一人でも多くの人に足を運んでもらい、地域経済の活性化につながればと期待している。 ◆参加費無料。ドレスコードは着物。申し込みは26日まで。詳しくは筑波山華やぎプロジェクト「百人きもの~祈り」のホームページへ。問い合わせは同実行委員会の浅野弘美さん(電話090-8722-5697)。

筑波大1年生 オンライン性教育講座を企画 22日「語り合う場つくりたい」

【山口和紀】筑波大学の学生が22日、オンラインで性教育の講座を開催する。企画したのは教育学類1年の佐久田幸空(ゆきたか)さんだ。高校の頃から「性について話し合える機会が必要だと思っており、今回はその前段階として性教育に関する講義をしたいと思った」という。講座には筑波大生であれば誰でも参加できる。 佐久田さんはもともと「性教育」にぼんやりとした興味があった。教育全般を専門とする教育学類を進学先として選んだのには、そのことも影響していた。しかし進学後に分かったのは教育学類には性教育をメーンで扱う授業が開講されていないということだった。そこで「コロナ禍で時間はあるし、自分にできることをやってみよう」と思い立った。 イベントを計画する中で佐久田さんは、体育学群所属で学校保健学や健康教育学などを研究分野にしている教員と出会った。「先生と話す中で、小中高校の性教育を改めて振り返ることができた」と話す。一方で「自分の『性』について話し合える機会を作ることが大事」という認識も深まっていった。 佐久田さんの性教育への具体的興味は高校時代に「コンドームソムリエAi」さんのワークショップの取り組みを知ったことから始まった。Aiさんは本業の養護教諭のかたわら、コンドームの「実物を触って嗅いで引っ張れるアクティブラーニング性教育『コンドーム試触会®︎』」などを主宰している人物だ。「性教育は、学校で教えるだけの限定的なものではなくて、一人ひとりが考えていくこと」と佐久田さんは語る。 しかし、実際に「性について語り合える場」をつくり出すことの難しさも実感した。今回は、その前の段階として「性」についての講座を開こうと考えた。講座では、前半で「性教育とはなにか」についての佐久田さんが概論を伝える。後半で「避妊の具体的方法としてのコンドームや低用量ピル」「もし、避妊に失敗したら」という具体的な話を話す。 コロナ禍で大変な状況が続く筑波大学だが、一人の新入生が学問を真摯に実践しようとする試みを始める。 ◆講座の参加希望者はフォームhttps://forms.gle/Frscuvit5VYFCLKq5から申し込める。対象は筑波大の学生のみ。

コロナ禍の師走 学生らに食料支援 つくば

コロナ禍の師走、アルバイトが減って生活が苦しくなった学生や母子家庭などを支援しようと、つくば市内各地で、学生などに食料を無料で配布する支援活動が展開されている。 市民団体が松見公園に支援テント つくば市天久保の松見公園に6日、支援テントが張られ、野菜やコメ、缶詰、日用品などが訪れた学生らに無料提供された。市民団体「学生応援プロジェクト@つくばーPEACE(ピース)」(冨山香織代表)が初めて実施した。 代表の冨山さん(39)は天久保で飲食店を経営する。「お店は、お客さんもバイト生もメーンは筑波大生。コロナ禍で学生が困っているという話を聞き、少しでも助けられればと開催した」と話す。 口コミやSNSで支援物資を募り、約20人が家庭にある食品や日用品を提供してくれた。カンパも5万円ほど集まり、マスクやカップ麺などを購入し、並べた。野菜は農民運動茨城県連合会(茨城町)が大根、白菜、ブロッコリー、ほうれん草、キャベツなどを寄付してくれた。わずか1週間ほどで100品目以上、段ボール20箱分が集まった。 無料配布の案内は、ツイッターで告知したほか、筑波大生が多く住む天久保地区周辺のアパートにちらしを1000枚配布した。当日は約20人のボランティアが無料配布を手伝った。 配布開始の午前11時から午後0時30分まで1時間半の間に、筑波大生や親子連れなど計約130人が訪れ、テントに並べられた野菜や日用品などを必要な量だけ持ち帰った。 筑波大4年の女子学生(22)はアパートに入っていたちらしを見て友達を誘って参加し、大根やブロッコリーなどの野菜を持ち帰った。「今年は前の年に比べてバイト収入が3割くらい減っている。これからも無料配布があればいい」と話した。 主催者の冨山さんは「こんなにたくさんの人が来てくれて驚いている。少しでも喜んでいただければいい」と語る。要望が多ければ年内にもう一度開催したい意向もあるという。次回の開催日時は、学生応援プロジェクト@つくば-PEACE-のツイッターで案内する。問い合わせはメールpeaceoftsukuba@gmail.com お餅の無料配布 22日から障害者団体 障害者団体「つくば自立生活センターほにゃら」(つくば市天久保)は22日から、近隣に住む大学生や住民に、お餅の無料配布を行う。 障害のある人とない人の交流を目的に、同センターが開催してきた様々なイベントは今年、コロナ禍でほとんどが中止となった。1年最後の交流の場となる餅つき大会も断念したため、地域とのつながりを保ちたいと、年末にお餅を無料配布することにした。 センターの障害者メンバーは「この年末は帰省できない大学生も多いと聞く。お餅を食べて、少しでも正月気分を味わってもらえれば」と話す。 9月には市内の子ども食堂「竹園土曜ひろば」が主催した大学生対象の食品配布会に、同センターを会場として提供するなど協力した。コロナ禍でアルバイトの収入が減少した学生らがコメやインスタント食品を受け取った。 今回は、障害者らがついた餅をのして数日寝かせたものを配布する予定。配布日は22日から数日間。受け取り希望者は14日までに同センター(電話029-859-0590、メールcil-tsukuba@cronos.ocn.ne.jp)に申し込む。先着50人。 食事補助券2000円分支給 筑波大 筑波大学(つくば市天王台)では希望する学生に、学内の食堂などで利用できる食事補助券を2000円分支給した。当初は1000円分を支給する予定だったが増額した。カレー店やパスタ店を含む15の食堂などで利用できる。 食事補助券の配布は日本学生支援機構が行っている「新型コロナウイルス感染症対策助成事業」から交付された助成金(上限120万円)を活用した。他大学ではオンライン授業環境構築のため機器を購入した学生120名に1万円ずつを支給したり、一人10万円ずつ数名に給付したりするなどしている。他大学に比べ筑波大は、より多くの学生が恩恵を受けることのできる支援を選んだ形だ。 初回の申請期間では上限に達しなかったため追加募集が行われ、人数の上限に達した。筑波大学厚生会のホームページ「食事補助券支給者一覧」によれば、およそ600人に給付が行われた。既に支給は始まっており、学内ではチケットを受け取って喜ぶ学生の姿も見られた。

学生と議員がコロナ禍の政策を討論 14日オンラインで

【岡本穂高】若者の投票率向上を目指し議員インターンシップなどを実施している学生団体、NPO法人ドットジェイピー茨城エリアつくば支部が14日、新型コロナウイルスの影響を受けた社会について討論する「議員交流会」を開催する。筑波大生ら26人と、つくば市など県南地域の市議会議員6人がビデオ会議アプリ、Zoom(ズーム)上で討論する。 「新型コロナウイルスによる教育の遅れ」「落ち込んだ経済をどう活性化させていくか」など、テーマごとに学生と議員が意見交換をし、国や地域がいかに対策を打つべきかを考える。さらに考えた政策をグループごとに発表し、実際に学生と議員が投票を行うことで、学生が選挙を身近に感じられるようにする。 ドットジェイピーは夏の議員インターンシップと併せて、現状の社会問題や背景を調べ、学生自身が政策を考える「未来国会」という政策立案コンテストを主催しており、議員交流会はその一環。例年、1カ所の会場に集まって開催しているが今年はビデオ会議形式で実施する。 今回の交流会は同コンテストの簡易版で、学生にとって身近な新型コロナウイルスの問題について意見を交わすことで、社会問題を考えるきっかけとする。つくば支部代表の筑波大2年の田邉渓太さんは「新型コロナウイルス感染拡大の影響がいまだ続く現在、若者の間でも政治への関心が高まっていると感じる。今回のイベントを通して学生が少しでも議員や政治を身近に感じてもらい、社会に問題提起を起こすきっかけになれば」と語る。 同支部は筑波大生を中心とした計13人で構成されており、年2回の議員・NPOインターンシップを運営している。交流会の様子は参加者のみに公開されるが、希望があればその様子を公開する予定。

盆LIVE2019

筑波大生が中心となって企画し、2015年からつくばで開催しているお祭りの第5回。誰でも踊れる盆踊りをみんなが知ってる現代音楽で踊ってしまおうという趣旨で、ライブ演奏ありパフォーマンスあり縁日ありのイベント。

【震災8年】2 ふるさと福島に向かい黙とう つくばへの避難者らが慰霊祭

【崎山勝功】東日本大震災から丸8年を迎えた11日、つくば市周辺で避難生活を送っている福島県双葉町からの被災者が、同市並木3丁目の国家公務員宿舎前で慰霊祭を開いた。被災者に加え筑波大生らが参列、約20人が双葉町の方向に向かい犠牲者への黙とうを捧げた。 双葉町出身の中村希雄さん(77)方の庭先には祭壇が設けられ、参列者たちが一人ずつ線香を上げ、祭壇前で犠牲者の冥福を祈った。黙とうを終えた参列者たちは、時代劇「水戸黄門」の主題歌「ああ人生に涙あり」を合唱した。 慰霊祭で、中村さんは今までお世話になった人たちに感謝を述べた上で、「私たちのモットーは一日一日を楽しく明るく、ケガをしないで病気にならないで生きていこうということ」と語った。中村さんは11年10月から同市並木の公務員宿舎で避難生活を送り、震災から1年後の12年3月から毎月11日の月命日に宿舎の庭先で慰霊祭を開いた。17年3月までは毎月行われていたが、18年からは年1回開催となり、今回が63回目の慰霊祭だった。 当初は双葉町出身者のみで開く予定だったが、市内で避難者向けの体操教室を開く筑波大の長谷川聖修(きよなお)教授の勧めで、同大の学生たちも参列。長谷川教授は「学生たちは全国から来るので、震災のことをほとんど知らない。またはメディアを通じてしか知らない。直接に避難している人から話を聞くのは大事」という。 学生たちは、避難者たちと体操教室とグラウンドゴルフで交流を深めており、同大大学院1年の松浦稜さん(23)=福岡県出身=は「名前で呼んでくれて家族みたいに接してもらっている」と話した。つくば市東岡の竹前久江さん(74)は「福島の人たちと体操教室を通じて友だちになった。最初はおとなしいと思ったけど、いろいろと話をしてくれる」という。 中村さんの妻の富美子さん(77)は「ここ(つくば)はみんないい人ばかりで助けられてきた。福島県内の避難先では嫌がらせがあったと聞くけど、つくばではなかった。とてもありがたい」と市民に感謝した。富美子さんの今の気がかりは、公務員宿舎に住める期限が19年度末までとなっていること。「できれば期限を延ばしてほしい。今まで交流している人とのつながりがなくなるし、双葉町には帰れない」と訴えた。 並木の公務員住宅にはピーク時で48世帯が住んでいたが、2020年3月末で応急仮設住宅の供与期間が切れることから、入居者たちの多くがつくば市や周辺地域など各地に転居しており、現在は十数世帯程度が生活しているという。 ◆避難者の厳しい現状 慰霊祭では、双葉町出身者たちから厳しい現状が聞かれた。同町出身でつくば市内在住の主婦(62)は「隣近所とはお付き合いがあるけど『双葉町』とは言っていない。水戸市に引っ越した人で『双葉町』を隠して住んでいる人もいる」と明かした。主婦は震災前はホテル関係の仕事をしていたが「仕事は見つからない。どこも若い人を採用する」と嘆く。その上で「津波とかのテレビ(映像)を見るたびに心が揺れるというか、めまいがする。経験したものでないと分からない」という。 現在も公務員宿舎で生活する同町出身の主婦(60)は夫(61)と2人暮らし。「つくばはいいところ。病院とかバスが充実している。バスで駅まで行けるし電車もある」としながらも、主婦は「両方とも60歳を過ぎているので仕事がない」と明かす。取手市内には娘夫婦と2人の孫がいて、孫との暮らしに惹かれてはいるが、娘夫婦の生活との兼ね合いもあり、引っ越しを決めかねているという。

《留学生エッセー》16 将来の夢は日本で輸入会社を設立

筑波学院大学 経営情報学部ビジネスデザイン科2年 アラウィ・オサイド・ワリードさん(21) サウジアラビア出身のオサイドです。サウジアラビアについて紹介したいと思います。面積は日本の約6倍ですが人口は4分の1です。1932年サウド家により建国され、国王は日本と同じ、代々直系男子の世襲制です。現在はサルマン国王とムハンマド皇太子です。教育費や医療費が無料なので裕福な国と思われていますが、王族や一部の富豪のほかは普通の暮らしだと思います。世界で唯一女性の運転免許が認められていない国でしたが、昨年解禁されました。 母の留学で日本へ 私は14歳の時に日本に来ました。病院で歯科医として働いていた母が2011年10月博士号を取るため、東京医科歯科大学に留学することになったからです。日本を紹介するテレビ番組を見ていて興味があったので私は日本に行くのが楽しみでした。技術者の父も当時勤めていたサウジアラビア航空会社を辞め、父母ときょうだい6人の計8人で日本に来ました。 私たちは東京お台場に住み、私は江東区立有明中学に卒業までの4カ月間通いました。中学で一番驚いたことは自分たちで掃除をすることです。サウジアラビアでは生徒はやらず、専門の人たちが掃除をやります。最近は日本のように生徒たちがやる学校も数は少ないですが出てきています。自分たちで掃除をするのは良いことだと思います。私も自分で掃除をするようになりました。 筑波大生の姉とつくばに 15年に母が博士号を取り、両親と弟2人は帰国しました。兄2人は神奈川の大学に通い、私は筑波大生の姉と一緒に住むため、つくばに来ました。2年間日本語学校に通い、姉の勧めで筑波学院大学に入学しました。サウジアラビアでは、王族や超一流大学の卒業生以外は就職が難しいからです。筑波学院大の留学生は日本での就職率が良いので、入学して良かったと思っています。大学生になり、自分で考えて行動するのは初めての経験だったので楽しいです。筑波学院大の自由な雰囲気が好きです。 礼拝欠かせない 日本は技術力が高く、洗浄トイレには驚きました。レストランでの接客も良くて、入口で「いらっしゃいませ」と言われるとうれしくなります。ただ値段は高いです。サウジアラビアの普通のレストランは1人400~500円で充分食べられます。 私たちイスラム教徒の女性はヒジャブ(頭髪を隠す布)を巻き、男性は伝統的な服を着ます。最近は洋服も普通に着ます。礼拝は日に5回(午前5時、11時、午後2時30分、4時、7時)でその間は商店も閉まります。礼拝は神聖な行いなので絶対に欠かせません。大学の授業中で出来ない時は、帰ってからその分の祈りをしています。 ラマダン中はスポーツを免除 イスラム教徒は約1カ月間、日の出から日没まで断食をし神の恵みに感謝します。昨年は5月15日から6月14日まででした。この間は学校やほとんどの会社は休みになります。日中は家の中で静かに過ごし、日が暮れてから食事をします。子ども、病人、妊婦は除外されます。私は小学校4年の時に初めてラマダンをしました。最初はつらくて途中で母に食事を作ってもらいましたが、だんだん慣れてきました。ラマダン明けのお祭り(イードルフィテル)には、親族を訪問し子どもたちはプレゼントやお金をもらったり、とてもにぎやかに祝います。私は日本にいてもラマダンをやっています。ラマダン中にスポーツの授業がある時は、先生に事情を話して免除してもらっています。 文化や商品を日本に広げたい 大学を卒業後は兄弟と一緒に日本で会社を設立したいと思っています。サウジアラビアの品々は現在日本にそう多くありません。服や食べ物を輸入して日本で販売し、サウジアラビアの文化や商品を日本に広げていきたいと思っています。(聞き手・鈴木萬里子)

筑波大学ミニ展示「謎の古生物パレオパラドキシアを復元してみた!」

期間は2018年12月3日~19年1月31日 2017年6月筑波大学の古生物標本収蔵庫で見つかった骨化石が1600万年前の水生哺乳類パレオパラドキシアの右大腿骨であることが分かった。発見された骨化石の実物とレプリカのほか、3Dプリンターで新たに作製した骨格復元模型を展示する。 サイエンスカフェが12月22日(土)午後3時~4時30分に開かれ、骨化石を調査した筑波大生命環境系の上松佐知子准教授が話す。  

つくばの民生委員4人 子どもの学習支援塾開校

【鈴木宏子】子どもの貧困が社会問題になる中、つくば市谷田部地区の民生委員4人が、子どもの学習を支援する無料塾を立ち上げた。7日から万博記念公園駅近くで、子どもの学習支援活動「フレンズ」がスタートする。 同市高山中学校地区の民生委員、稲葉淑江さん(57)、中村和子さん(67)、宇都宮町子さん(67)、飯島きよみさん(52)の4人。昨年10月からこれまで計30回、勉強会や視察などを重ね準備してきた。 高山中、島名小、真瀬小に通う母子家庭など家計が厳しい児童・生徒を対象に、週1回夕方、居場所を提供し、ボランティアで勉強をみる。子どもたちは宿題をしたり、それぞれのペースで勉強をするなどして過ごすという。無料でおにぎりなどの軽食も提供する。 地域の声きっかけ 民生委員として活動してきた稲葉さんが、地域住民から「子どもたちや地域の人が気軽に集える場所がない」などの声を聞いたことがきっかけ。仲間の民生委員に話すと「『集える場所がない』とか『居場所がない』という話はよく聞く」という答えが返ってきた。子どもたちの居場所をつくりたいと、昨年10月、民生委員4人で勉強会を始めた。 市内のほか、千葉県我孫子市、栃木県宇都宮市などを訪れ、子どもの学習支援や子ども食堂を運営している団体を視察し、運営方法などを学んだ。 今年5月から、子どもたちに勉強を教える学習支援ボランティアを募集したところ、現役の高校教員、元中学校教員、社会福祉士、筑波大生の4人がサポーターとして支援に加わってくれることになった。 会場は、万博記念公園駅そばの事業所が、午後5時以降ならばと、部屋を貸してくれることになった。市内の企業に寄付を募り、3社の支援を受けて運営費に充てる。 地元の小中学校にも協力を呼び掛け、学校を通して、支援が必要な子どもたちに参加を呼び掛けた。小学4年~中学3年生13人が通う予定だ。 子どもたちは家族に送迎してもらって通う予定だが、家族が送迎できず通いたくても通えないことが各地で課題になっていることから、送迎が受けられない子はスタッフがボランティアで送り迎えする。 稲葉さんは「和やかで子どもたちがほっとできる場所をつくりたい。子どもたちに勉強の習慣がついて自信がつけばいい。異なる世代と交流するので刺激になれば」と語り、「私たちが子どもの頃は、近所のおじさん、おばさんから『今日はどうしたの?』とか『お菓子あるから寄って』などと声を掛けてもらい、見守られて育てられた。学習支援活動をきっかけに、地域全体が子どもたちを見守る土壌をつくっていけたら」と話す。将来、子ども食堂も運営したいという夢があるという。 市、中学校区単位で実施へ 一方、市こども未来室によると、生活困窮者自立支援法に基づいて市が委託している子どもの学習支援は市内に3カ所ある。ほかにNPOなどが自前で取り組んでいる活動がある。市は今後、市全域で、中学校区単位の学習支援事業を広げる計画があるという。 ◆子どもの学習支援活動「フレンズ」は毎週金曜日午後5時30分から8時30分まで3時間開校する。主催は稲葉さんが代表を務めるNPOプラザ・ねこねっと。学習支援サポーターを募集している。問い合わせは電話090ー6492ー7557(稲葉さん)、メールnpo.neco@nifty.com

「卓越大学院」に採択 筑波大 改革を先導、高度な専門人材育成

【田中めぐみ】文科省の公募型新事業「卓越大学院プログラム」に筑波大学(つくば市天王台)の「ヒューマニクス学位プログラム」が採択された。卓越大学院は産官学それぞれの部門をけん引する卓越した博士人材を育成するために文科省が7年間補助を行う。大学院の教育改革を先導する事業だ。 今年4月から公募が行われ、申請した大学は38校54件、うち13大学15件が採択され、競争率は3.6倍だった。 採択を受け筑波大は、来年4月からヒューマニクス学位プログラムを開講する。生命医科学と理・工・情報学の両分野で高度な専門性を備えた博士人材の育成を目指す。同プログラムは、ヒトの生理・病理の解明と快適生活を実現するためのバイオテクノロジーや医療福祉技術分野などの教育、研究課程だという。 1人の学生に2人の指導教員 同プログラムのコーディネーターは、睡眠に関わる神経伝達物質オレキシンの発見者で、同大国際統合睡眠医科学研究機構(IIIS)機構長の柳沢正史教授が務める。柳沢機構長に話を聞いた。 —4倍近い競争率を勝ち抜いて採択されたのは、どのような点が評価されたからと感じていますか。 柳沢 筑波大学は睡眠研究を含むライフサイエンスも、コンピューター分野の計算科学研究センターも有名なので強みを生かした。また、IIISのみならず、筑波研究学園都市の他の研究所、企業も教育・研究に参画しやすいという地の利を生かし、プログラムを作り込んだ。医学を中心とするライフサイエンスと理・工・情報の融合は、日本が遅れている分野でもあり、日本がめざす「Society5.0(ソサエティーゴテンゼロ)」=メモ=実現のため今後重要視される。AI(人工知能)普及の戦略とも重なり評価されたのではないか。 —ヒューマニクス学位プログラムの特徴は何ですか。 柳沢 一番の特色は、1人の学生にライフサイエンスと理・工・情報の2人の指導者を立てる完全ダブルメンター(指導者)制をとっていくということ。一つの博士論文を2人の指導教員の下で書く教育体制で、両分野にわたり共同研究をしなければならないという縛りの中、研究を進めていく。 医学・薬学、生物系の学生が入ってきた場合は理・工・情報系の基礎を学んでもらい、逆に理・工・情報系の専門の学生には医学や生物系のことをきちんと学んでもらう。両分野で指導教員を1人ずつ立て、学生が来たことによって共同研究を始めてもいいし、既存の共同研究に学生が加わるのでも構わない。今までばらばらだった異なった分野の人たちを結びつける体制を作ったことが評価されたのではないか。 —文科省の公募要領で補助金の漸減策(4年目から半額、7年目に3分の1になる)が示されました。戸惑いはありましたか。 柳沢 戸惑いどころかほとんど怒りを感じている。補助金の一部は、優秀な学生への教育研究支援経費やTA(ティーチングアシスタント)、RA(リサーチアシスタント)による学生への給料など、安心して研究に専念できる環境を作ることに使う予定だ。しかし、学生は年度ごとに増えていくわけで、学生支援に要する経費は減るのではなく増えていくはず。また、初年度の補助金が一番多いが、初年度はまだ学生が入学しておらず、学生にとって最も重要な教育研究支援経費への使用もできない。 さらに、補助金はたった7年で終わる。博士課程は5年一貫なのに、5年間フルに支援できるのは2期生までということになってしまう。世界に向けて卓越した人材を育成する事業であるのにこうした財政状況は残念に思う。 共同研究にハードル感じない人材 —学位プログラムでは、学際教育の先進的モデルとして「プレアドミッションプログラム」(大学と大学院の枠を取り払った一貫教育システム)を構築するとあります。具体的にどのようなプログラムなのでしょうか。 柳沢 例えば医学の人であれば、希望すれば学部生からでも理・工・情報学の要素を学ぶことのできるシステムのこと。同時に、学際的な研究に関心を持つ優秀な学生・社会人を見出し、能力をさらに伸ばして本学位プログラムへの進学を促す役割もある。このシステムを利用するなどして複数分野の知識を身につけ、博士論文研究の基礎力があるかどうかを測る試験(Q.E.)の認定を受けて博士論文を書けば、早期修了も可能だ。専門外の分野も学ぶわけなので大変だが、専門家と同じレベルを要求しているわけでは無く、専門家と対等に話せる言語を獲得することを目的としている。例えば、工学系出身者でも医者と医療について語ることができる能力を身に付けてもらい、共同研究にハードルを感じない人材を育成したいということだ。 eラーニング(主にインターネットを利用した学習)システムの構築も行う予定で、そのための経費も計上している。eラーニングの導入により、講義がよく分からなければ繰り返して視聴できるし、時間が無い時も分割して視聴し勉強することができる。また、プレアドミッションプログラム(入学前学修)での活用も考えており、筑波大生だけでなく外部の学部学生や社会人も興味があればアクセスできる。つまり、興味がある人材を逃さず養成できるということだ。 サイバーダイン支援で自走化 ―サイバーダインヒューマニクス学位プログラム(仮称)を設置し、国の支援終了後は完全自走化を図るとありますが、ロボットスーツで知られるサイバーダイン社(つくば市学園南、社長・山海嘉之筑波大教授)に資金を提供してもらうということですか。 柳沢 山海社長に協力してもらい、将来的には学位プログラムを移行し自走化する予定だ。今回の「卓越大学院プログラム」採択も、企業との連携をうたい、実現性が高いことが評価されたと思う。 ―博士号取得者の就職率が学部・修士卒よりも低いという現状があります。博士離れが進む中での人材育成についてどのように考えていますか。 柳沢 他の分野は分からないが、ライフサイエンス分野にとってそれは真実ではない。「ヒューマニクス学位プログラム」の特徴は、例えば工学や理学の分野で博士号を取ったとしてもバイオの分野に行くことができる。またバイオ系の企業もそういう人材を欲しがっている。工学系の企業でも生命医科学の知識があるということは強みになると感じている。 ―来年4月からどのような学生を受け入れたいですか。 柳沢 医・歯・薬の6年制の学部出身者や臨床医を含め社会人も大歓迎で、工学系出身で何年か実務経験がありもう一度勉強したいという人、企業から派遣されてくる形でも構わない。医学・生物系出身であれば工学、情報学的なセンス、AIなどについても学び、博士論文を書いてほしい。逆もまた然り。そういう研究をしたいという人に来てほしいと思っている。 ※メモ 【Society 5.0】仮想空間と現実空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する新たな社会のこと。2016~20年度の第5期科学技術基本計画で日本が目指すべき社会のあり方として提唱されている。

土浦の教育・福祉の充実を実感 議員インターンの大学生5人

https://youtu.be/Dv6KE4egcSk 【谷島英里子】筑波大生など5人が「議員インターンシップ」を間もなく修了する。2カ月間、議員と行動を共にしながら、議員の仕事や政治と社会のつながりについて学んだ。土浦市のインターネットテレビ、VチャンネルいばらきのNEWSつくばチャンネルで21日、議員インターンシップに参加した5人をゲストに招いて活動の成果を聞いた。 NPO法人ドットジェイピーが企画した議員インターンシップで、出演したのは筑波大の阿部光多さん(19)、川崎誠也さん(19)、池田有さん(18)、小田和樹さん(20)と、帝京科学大の前野樹さん(20)の5人。議会傍聴、公共施設見学、教育や福祉行政の調査、観光などをして政治や仕事の現場を学んだ。 特に印象に残ったことについて池田さんは、博物館の役割は市の貴重な物や古い物を展示するだけだと思っていたが、博物館には子どもたちに昔からの知恵や伝統を伝える役割があることを知り、「歴史に興味がある人や学者だけではなく一般市民にとっても重要」だと感じた。 小田さんは土浦駅周辺のにぎわいづくりについて「市役所や図書館、キララちゃんバスなど人が集まるまちづくりができていてすばらしいと思った」と話した。 土浦の良いことで5人が口をそろえたのが子育てや福祉の充実。「図書館には勉強ができる学習室や子どもの遊び場があり、福祉の面では精神障害者の社会復帰へ向けたプランがあった。住んでみたくなります」と感心していた。 学生らは30日につくば市内で報告会を行い、活動の成果を発表するという。

【ひと】「つくばなれ」現象を問題提起 筑波大大学院 和田桃乃さん

【柿内典子】「これからつくばでどう生きる?みんなで考えるつくばライフ」と題したトークイベントを4月下旬、筑波大近くの共有オフィスで開催し、筑波大生の「つくばなれ」現象を問題提起した。 大学入学を機に出身の福井県からつくば市に転居して6年目。現在、同大大学院システム情報工学研究科2年で、新規プロジェクトを応援する共有オフィスの学生スタッフを務める。 「つくばなれ」は和田さんが作った造語だ。つくば市に住むのではなく、千葉や東京のつくばエクスプレス(TX)沿線に下宿して大学に通う筑波大生が増えている現象を指すという。「特に卒業を間近に控えた学生が、流山おおたかの森や浅草などに移住する傾向にある」と話す。 和田さんが暮らした6年の間に、つくば市は西武筑波店、イオンつくば駅前店など大型商業施設の相次ぐ撤退があった。昨年12月には、学内で渡り廊下の崩落事故が発生、施設の老朽化を実感した。学生宿舎では3つあった銭湯のうち2つが廃業となった。「学生にとってつくばは緩やかに暮らしにくくなっている」と感じ「『つくばなれ』の背景にあるのでは」と指摘する。 一方で、学生自身による、つくばならではの学生コミュニティを再構築しようという新たな動きが起こっていることに着目。4月のトークイベントでは、全国初の大学サッカー部ファンクラブ設立に向けたクラウドファンディングの取り組みをしている学生や、唯一残る平砂学生宿舎の銭湯を生かしてコミュニケーションの場をつくろうと挑戦している学生の取り組みを紹介した。 和田さん自らは、学生同士のつながりをつくる手法として県人会に着目。今年4月、自らツイッターで福井県出身の学生に呼び掛けて、福井県人会を再開させた取り組みを、トークイベントで紹介した。 「都内に住む学生と違ってつくばは深い人間関係が築けることが魅力」と話し、「筑波大生として市内でコミュニティ活性化を目指している学生を紹介し、つくばでの暮らしをもう一度考えて欲しかった」と和田さんは説明する。 そうした積極的な姿勢が評価され、現在は市役所や筑波大同窓会「茗渓会」から声がかかり、地域活性化に向けた協力もしている。茗渓会からは、各県にいる筑波大卒業生と、現在つくばにいる人たちをつなげて欲しいと相談がきたという。「コミュニティの輪をさらに広げ、つくばを離れて暮らす人にもつくばに興味を持ってもらいたい。たくさんの人と協力し、つくばのイメージアップにつなげたい」と話す。

アジアの作家が描く「富士山」紹介 極美つくば展

【鈴木萬里子】新極美術協会の公募展「第11回極美つくば展」が15日から、つくば市吾妻の県つくば美術館で開かれている。「アジアは一つ 夢、未来を結ぶ」をテーマに、アジア各国の作家による「富士山アート」や、アジアの子供たちの作品も展示されている。 主催の同協会はプロと優れたアマチュア画家で構成される。一般からの出品も多く、今回は油彩画、日本画、水彩画、工芸作品など70人による98作品が展示されている。 同協会は芸術・文化の国際交流にも力を入れている。今回もバングラデシュを始めアジアの作家による「富士山アート」41作品が展示されている。富士山の写真を見て自由な発想で描いた作品で、富士山を背景にライオンやゾウが描かれている作品もあり、色彩や構図など興味深く描かれている。また「アジアは一つの世界」と題し、ミャンマー、ネパール、モンゴルなどと日本の子どもたちの作品61点も展示されている。 出品作品の最高賞「つくば美術館賞」は山田浩子さんのKISSと題したランプシェードの工芸作品が受賞した。深みのある赤色のバラが描かれ、やさしい光が注ぐ。 昨年から創設された「つくば市長賞」は細海哲也さんの、あでやかな色彩で表現した水彩画「湿原の秋」が受賞した。協会の副理事長で選者の一人、串田栄一さんは「将来を見据え頑張れる人を応援したい。良い意味で競い合える人を選んだ」と話してくれた。 筑波大生の横沢佳奈さんは、日本画を専攻していた友人の橋本茉季さんと来場した。「以前個展で見た作家の作品を観に来た。心に響く作品が多い」と話した。橋本さんは「アジアの国々の人が描く富士山は、日本人とはとらえ方が違ってとても面白い」と話していた。 ◆会期は20日(日)まで。入場無料。開館時間は午前9時30分~午後5時(最終日は3時まで)。問い合わせは県つくば美術館(電話029・856・3711)。

無料塾が資金集めバザー 市内に2カ所目の開設目指す つくば

【崎山勝功】つくば市内で学童保育と低所得・ひとり親家庭向けの無料塾を運営するNPO法人「居場所サポートクラブROBE(ロベ)」が14日、チャリティーバザーを同市上横場のつくばショッピングセンターアッセで開いた。収益を、無料塾の運営費用と同市内に2カ所目の無料塾開設費用に充てようと開催した。 会場には、同クラブに寄付された衣類、運動靴、羽毛ふとんなどの生活用品や、ランドセル、ピアニカなどの学用品が出品された。値段は一律1点100円以上、買い物をする側が値段を決めるというルールで、来場者たちが品定めをして購入していった。 バザーを主催した同クラブの森美智子理事長によると、今年の夏ごろをめどに同市吾妻地区に2カ所目を開設する予定という。同クラブでは2016年7月から同市谷田部地区で無料塾を開設している。運営する中で、他地区の子どもたちを受け入れる場をつくる必要性が出てきたという。「(つくば駅に近い)吾妻地区はバスなどの公共交通機関で通えるし学習指導ボランティアの筑波大生も来やすい」と話す。 現在、谷田部地区の無料塾には、約30人の小中学生が通っており、週2回「おにぎりボランティア」がおにぎりなどを差し入れし、学習と食育の両面で支えている。開始当初は「つくば市は税収が高い地域だから、そんなに困窮した世帯がいるのか」との声もあったという。開始当初は7人だった生徒がわずか1年半で約30人に増加。無料塾の開講で潜在化していた貧困が可視化された現実がある。 バザーは、2月12日と3月ごろにも同ショッピングセンターで開く予定。

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