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筑波山地域ジオパーク
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筑波山ジオパークとりんりんロード 魅力向上へコラボ始まる
2020年3月29日
【山崎実】筑波山地域ジオパークは認定から4年目の今年、再認定審査時期を迎える(3月17日付)が、ナショナルサイクルルートとして指定を受けた「つくば霞ケ浦りんりんロード」(全長約180キロ)との政策コラボによる魅力向上策が始まっている。 同ジオパークは、2012年、つくば市、土浦市など6市で構成する推進協議会が構想を練り上げ、16年9月、日本ジオパークとして認定された。 これまで推進協を中心に、ジオツアーやジオパーク内の食材を使用した料理、食品などの認定商品を各種イベントで提供するなど情報発信してきた。しかし一方で認定機関の日本ジオパーク委員会から課題を指摘されている。具体的には、推進協議会の事務局体制の強化、県及び各市との連携強化などだ。 今月19日、同りんりんロードの起点である土浦駅ビル「プレイアトレ土浦」に、駅直結のサイクリングホテル「星野リゾートBEB5(ベブファイブ)土浦」がオープンした。双方の政策コラボによる地域活性化に期待が高まる。 県によると推進協は現在、土浦駅を起点に、ハス田が広がる田村・沖宿ジオサイト(土浦市)、崖にカキの化石の密集層がある崎浜・川尻ジオサイト(かすみがうら市)、約12万年前の地層を見ることができる歩崎ジオサイト(同)など、りんりんロード周辺のジオサイトをレンタサイクルで巡るコースをモデルコースの一つとして紹介している。 さらに土浦市など推進協の各市は、歴史や地形などを説明するジオガイドと一緒に、街なかを自転車で周遊するジオツアーなどに取り組み、県はこれらの活動を支援している。 県自然博物館職員によるジオガイドの育成、ジオサイト案内板設置手続きの調整などのほか、推進協事務局と県の関係部署による庁内連絡会議を毎年開催し、意見交換や情報交換を行っている。 差し迫った筑波山地域ジオパークの再認定には県も積極的で、今後はりんりんロード周辺だけでなく、広域エリアのジオサイトを自転車で巡るサイクリングルートの設計を関係市町村に働き掛けていく考えだ。「推進協議会との連携を強化し、再認定を受けられるよう一体となって取り組みを進めていく」(県政策企画部)としている。 ➡筑波山地域ジオパークの過去記事はこちら ➡つくば霞ケ浦りんりんロードの過去記事はこちら
例年より開花進む 筑波山梅まつり開幕
2020年2月15日
【田中めぐみ】第47回筑波山梅まつりが15日、筑波山中腹にある梅林(つくば市沼田)で始まった。暖冬の影響で例年より開花が進み、現在、紅梅は八分から九分咲き、白梅は二分から三分咲きの開花状況だという。 15日は開園式が催された。式典には五十嵐立青つくば市長のほか、振袖姿の第14代つくば観光大使らが参加した。五十嵐市長は「梅はもちろんすばらしいが渋滞の問題がある。今、県と一緒になって、一方通行にするのかパークアンドバスライドにするのか、協議会を立ち上げて取り組んでいる。(隣接の)フォレストアドベンチャーのコースも新しく追加された。これから筑波山をさまざまな体験ができるような場所にしていく。受け身の観光だけでは限界がある。いいものがあるので、エリアを面としてとらえ全体像を描いた上で、本当の意味で喜ばれる、愛される観光地にしていく」などとあいさつした。 毎年2月から3月にかけて約1000本の梅が花を咲かせる。こけむした筑波石の合い間に植えられた梅は筑波山地域ジオパークの見どころの一つとなっている。 市観光ボランティアガイド298の吉原一行会長は、今年は全体的に開花が早く、梅まつりの終わりの3月下旬まで花が持たない可能性もあると話し「ぜひ早めに見に来ていただきたい」と早めの来園を呼び掛けている。 龍ケ崎市から訪れた75歳の男性は「梅まつりには毎年来ている。今年は暖かいので咲くのが早い。開花状況を推測して来る人もいるので、これから来園者がもっと増えるのでは」と話した。千葉県から姉妹4人で訪れた72歳の女性は「毎年姉たちと来ている。梅というと水戸の偕楽園と思う人が多いが、私は筑波山が気に入っている。ここの梅は高低差があって、筑波山の自然の懐に抱かれているようなところがいい」と魅力を語った。 ◆梅まつりは3月22日(日)まで。会期中は毎日、梅緑茶の無料サービスがあるほか、土・日曜はつくば大使の出迎えがある。主催は筑波山梅まつり実行委員会とつくば市など。問い合わせは電話029-869-8333(つくば観光コンベンション協会) フォレストアドベンチャーがリニューアル 筑波山梅まつりの開幕に合わせて、梅林隣りのアスレチック施設「フォレストアドベンチャー・つくば」がコースを新しくしてリニューアルオープンした。昨年12月からリニューアル工事のため閉園していた。今回のリニューアルでは、子ども向けの「キャノピーコース」が2コースから4コースに増えたほか、大人向けに難易度の高い「エキサイトコース」1コースが増えた。 リニューアル初日、五十嵐市長が新コースを体験。小学生から「市長がんばってー、落ちないでー」という声援を受け、「ありがとう」と答えながら揺れるつり橋を渡り、梅林の上を100メートル滑空するジップスライドにも挑戦した。 梅林の上を滑空するジップスライドは、筑波山梅まつり期間中のキャンペーンとして3月22日まで体験できる。事前予約が優先。詳しくは電話090-4755-7800(フォレストアドベンチャー・つくば)
《土着通信部》37 「逆転層」から富士を見る 筑波山梅まつり
2020年2月2日
【コラム・相澤冬樹】筑波山には、中腹の斜面の気温が麓に比べて相対的に高くなる「逆転層」のあることがよく知られている。学術的には「斜面温暖帯」といい、研究者や学生らによる冬場の観測が行われてきた。 一般に気温は上方ほど低くなり、100メートル上昇すれば温度は0.5℃から1℃下がる(気温減率)。ところが、夜間から早朝にかけてよく晴れた場合には、地表の熱が上空に向け盛んに放熱され、地表付近の気温は低下する(放射冷却)。結果として地表から高層にいくに従って気温が上昇する大気層が出現する。この大気層のことを「逆転層」と呼ぶ。 この温暖な気候を利用したのが、筑波山の西側斜面で古くから行われてきたフクレミカンの栽培。かつては日本のミカン栽培の北限に位置した。 西側斜面は正面に、関東平野越しの富士山が望めるビューポイントでもある。空気が澄んだ冬場など、富士山がよく見えるときほど、放射冷却も盛んになるから「逆転」現象も顕著になる。 今年のような暖冬気配ではどうか。つくば市沼田の知人は、「数えているわけではないが、低く雲がかかることが多く、富士山を見る日が少ない気がする」と言っていた。筑波山ケーブルカーの沿線と宮脇駅で、1月25日から2月いっぱいの会期で始まった「臘梅(ロウバイ)と福寿草」では、例年より一回り大きめの福寿草が見られたものの、気温上昇で早めに花期を終えそうだという。 そんな西側斜面、標高約250メートル付近に広がるのが筑波山梅林。涸(か)れ沢沿いの約4.5ヘクタールに筑波石とよばれる班れい岩の巨石が散在し、縫うように約1000本の白梅・紅梅が植えられている。 「今日は富士が見える」と連絡を受けた1月末の朝、梅まつりの下見を兼ねて梅林まで足を運んだ。15日から47回目を迎える筑波山梅まつりが始まる。過日の大雨のせいで、涸れ沢には豊富な水量があり、開花の早い紅梅が枝先のつぼみを膨らませていた。 最上部にある茅ふき屋根の展望あずまやまで行くと、真正面に富士を望める。梅林は関東富士見百景の1つになっていて、あずまやの手すりには「富士山まで155.6キロ」のプレートが貼ってある。「逆転層」のせいか標高の高いあずまや周辺の方が、開花のテンポが早いように感じる。 知人は「咲き始めはこんなもの。例年通り、2月下旬から3月上旬が見ごろだろう」という。 紅梅越しに遠景の富士を撮っていると、南から雲が押し寄せてきて、午前9時30分にはすっかり山容を隠してしまった。早々の店じまい。「富士を見るには朝早くに限る」ということだった。 ◆第47回筑波山梅まつり 会期:2月15日(土)~3月22日(日) 会場:筑波山梅林(つくば市沼田) 主催:筑波山梅まつり実行委員会 共催:つくば市、筑波山地域ジオパーク推進協議会 問い合わせ:029-869-8333(事務局・つくば観光コンベンション協会) ➡相澤冬樹の過去のコラムはこちら
レトロな市街地と自然の魅力を体感 桜川遊覧船が「こたつ船」に
2020年1月14日
【田中めぐみ】風光明媚(めいび)な桜川の魅力を体感してほしいと、霞ケ浦で遊覧船を運航するラクスマリーナ(土浦市川口)が、桜川を遊覧するサッパ船(小型船)を就航している。桜川のサッパ船が1月から暖かな「こたつ船」となってお目見えした。 「こたつ船」は、土浦港にあるラクスマリーナから出航。桜川を遡上(そじょう)して土浦港に戻るルートで往復約14キロを約1時間かけて周遊する。船長の坪田哲也さんによると、冬は景色が遠くまで見え、ユリカモメ、カモなどさまざまな種類の野鳥を観察することができる。 河口付近から虫掛方面までの桜川沿いには約500本の桜が植えられている。春には「こたつ船」の暖かな船内で花冷えすることなく桜を楽しむことができるとあって毎年人気を博しているという。 ラクスマリーナ専務の秋元昭臣さんは「かつては桜川に貸しボート屋があり、ボートでデートをするのが若者の憧れだった。桜川には冬にしか見られない景色があり、この地域は筑波山地域ジオパークでもあるので、ぜひ船に乗って体感してほしい」と話す。 乗船し澄み切った冬の景色を満喫 13日、記者は「こたつ船」に乗船し桜川を上った。土浦港から霞ケ浦の沖に出ると冬の澄み切った空気の中、遠く南に牛久大仏が見える。やがて桜川の河口に入り、水郷橋、土浦橋、桜川橋、匂橋と4つの橋の下をくぐり抜けていく。匂橋は人と自転車しか通れない趣ある石橋で、映画のロケ地にもなったという。 橋を過ぎると真正面には徐々に筑波山が見え始め、鳥の群れが水面をたたきながら羽ばたいていく。レトロな市街地と絶景の筑波山、雄大な自然の魅力を感じた。 ◆桜川の「こたつ船」は毎年1月から4月まで限定。乗船料は大人1名3300円(税込み)、飲み物、お菓子付き。飲食物の持ち込みも可。午前10時から午後3時まで1日6便運航している。 ◆霞ケ浦の沖合を運航する86人乗りの定期観光遊覧船ホワイトアイリス号も期間限定で「こたつ船」となっている。乗船料は大人1570円、子ども780円。午前10時から午後4時までの運航。 問い合わせはラクスマリーナ(電話029-822-2437)。 ➡霞ケ浦や桜川の水辺観光に関する過去記事はこちら
来年秋、再認定審査の筑波山ジオパーク 拠点施設、事務局体制など課題解決急務
2019年9月24日
【山崎実】来年秋の再認定審査を控え、筑波山地域ジオパーク活動に関わる課題解決に向け、県、地元自治体など関係機関(者)の取り組み姿勢が問われている。 筑波山と霞ケ浦、関東平野で構成される筑波山地域ジオパークは、2016年9月、日本ジオパークとして認定され、同ジオパーク推進協議会(つくば、石岡、笠間、桜川、土浦、かすみがうらの6市で構成)を中心に、ジオガイドの養成、ジオツアーなどを実施し、地域の魅力向上、PRに努めてきた。 しかし一方では中核的な拠点施設の整備、協議会事務局体制の強化、県及び協議会自治体との連携強化などが課題として指摘され、早急な対応策の確立が迫られている。 ジオパーク再認定への条件となる課題解決については、開会中の県議会第3回定例会でも論議に上り、県は現状と今後の対策に言及した。 それによると、協議会は今年度、筑波山麓の筑波東中学校跡地の一部を活用して、中核拠点施設を整備する基本構想の策定に着手しているほか、事務局体制についても協議会自治体間で人員の強化、検討が行われている。 他方、協議会活動の支援窓口となっている県は、2017年度から庁内連絡会議を設置。県北地域ジオパークともども、観光やプロモーション、交通アクセスなどの諸課題について情報を交換。昨年度の連絡会議では、NPO法人日本ジオパークネットワークから講師を招き、再認定に向け意見交換を行った。 さらに今後も自然博物館職員の助言などによるジオガイドの育成、案内板設置など許認可手続きに関わる調整、県北ジオパークとの連携、支援のほか、来年の再認定に向けた情報収集に取り組んでいくとしている。 6市連合の推進協議会は、筑波山地域ジオパーク内の食材を使った認定商品(食品、料理)を各種イベントでPRするなど、魅了発信に努めている。その成果を含め、来年秋の再認定を照準に据え、協議会活動は待ったなしの正念場を迎えているといえそうだ。 ➡筑波山地域ジオパークの過去記事はこちら
やる気のある事業主体探してます つくば市が廃校跡地利用でアイデア募集
2019年6月14日
【相澤冬樹】つくば市は、廃校跡地を農業関連の事業で利活用する場合、どんなアイデアがあるか、事業主体となる意向のある法人を広く探すための募集に乗り出した。有効活用に向けて、計画のスタートから事業者と市が対話型で組み立てていく「サウンディング型市場調査」という手法を採用したもので、廃校になった旧筑波東中学校(同市北条)を事業化の対象としている。 募集するのは、農業の施設を含んだ利活用のアイデア。応募は事業主体となる意向を有する法人(法人グループ含む)に限られる。農産物生産施設、農産物販売施設、体験施設、地場産物を活かしたレストランなどを想定している。 申し込みは所定のエントリーシートで、応募期間は7月19日まで。今月17日から28日は予約制で、現地見学や個別相談にも応じる。提案書の形で受け付け、市と事業者が対面して、アイデアについて話し合うサウンディングは7月24日から31日まで、同市役所で行う。調査結果概要の公表は8月以降を予定している。 同校は小中一貫の秀峰筑波義務教育学校の開校に伴って18年3月末に廃校となった。敷地面積約3万7000平方メートル、都市計画区分は市街化区域(第1種中高層住居専用地域)。校舎の背後に筑波山が立ち上がる景観や立地から、同校跡地が対象に選ばれた。すでに筑波山地域ジオパークに関する基本的情報の提供、各ジオサイト巡りのための拠点施設として、教室の一部を使用する計画になっている。 担当の市農業政策課によれば、市長公約事業である「廃校跡地等を利用し地域農家が食材提供をするファーマーズビレッジの設立」に沿う形で、昨年来庁内で検討された結果、サウンディング型の採用が決まった。「行政主導の計画策定では限界があり、広くアイデアを求めたかった。1件の応募もないかもしれないし、サウンディングの結果1件も採択されないかもしれない。まったくの手探り」という。 応募の詳細はつくば市ホームページを参照。 ➡廃校利活用の調査結果はこちら ➡廃校利活用の意見交換会はこちら
豊かな自然あるまちを目指す ネイチャークラブにいはりの高田さん
2019年6月7日
https://youtu.be/0dHAX1sZLp0 【谷島英里子】土浦市の山ノ荘地域を中心に活動している「NPO法人ネイチャークラブにいはり」は9日、初夏の山の荘ジオツアー「いやしの大地と日枝神社の参道をひも解こう!」の講師を務める。同市のインターネットテレビ、Vチャンネルいばらきの「NEWSつくばチャンネル」に7日、理事長の高田正澄さんを招いてインタビューした。 ネイチャークラブにいはりは、▽大地と生物生態系の調査と地質・地形・生態系の活動保全活動▽体験型環境教育▽惑星と星座の天体観望会▽土浦市のふるさと再発見プロモーション事業ジオツアー―に取り組んでいる。目的は「人と自然をつなげ豊かな自然のある”まち”を未来の子どもたちに託す」こと。 土浦市やつくば市など6市でつくる筑波山地域ジオパークのテーマは、「関東平野に抱かれた山と湖」。高田さんは同ジオパーク推進協議会で市民活動部会の部会長も務めている。9日に土浦市小野で開催するジオツアーでは、山ノ荘の里の伸びやかな大地と流鏑馬(やぶさめ)祭で知られる日枝神社の参道のなりたちの謎を解く場所をハイキングする。人の営みは大地の歴史と関係が深いことを感じ取ってもらう考えだ。 市内でのジオツアーは今後も開催される予定。問い合わせは市商工観光課(電話029-826-1111)まで。
《霞ケ浦 折々の眺望》5 風葬―沖縄の風習と霞ケ浦傍の遺跡
2019年5月17日
【コラム・沼澤篤】話題の映画「洗骨」(照屋年之監督)を鑑賞した。この映画は沖縄の風葬をテーマに、美しい海、家族の絆、心の交流、そして生と死を、リアリズムと感性の平衡を保ちながら描いた名作。ラストでは、厳かな洗骨儀式の最中、参列した臨月の娘が産気づき、浜辺の出産シーンとなった。エンディングで名曲「童神」(わらびがみ)が流れる。見事な生と死の輪廻。 かつてカンヌ映画祭で今村昌平監督がパルムドールを取った「楢山節考」「うなぎ」、さらに米国アカデミー賞外国語映画賞受賞の「おくりびと」(滝田洋二郎監督)、今も世界的に評価が高い名画「東京物語」(小津安二郎監督)を彷彿(ほうふつ)とさせ、日本映画の伝統を受け継ぐ作品といえる。沖縄の人々の原初的で楽天的な笑いと涙が織りなす物語の中に、ユーモアと自然の光景が散りばめられ、どの場面も見逃せない展開に引き込まれた。 葬儀の日、夫にとって愛しい妻、息子と娘にとって大切な母の遺体を木棺に入れ、海辺の横穴墓に納める。4年後に開棺し、骨をきれいに洗い改葬する。美しかった妻(母)が髑髏(どくろ)となって目の前に現れる現実。戸惑いながらも家族はそれを慈しんで受け入れる。現代の沖縄でも、風葬を継承する離島があるという。 かすみがうら市崎浜の横穴古墳群 「霞ケ浦」と関連して連想したのは、かすみがうら市崎浜の横穴古墳群(筑波山地域ジオパークのジオサイト指定)である。この遺跡は約1400年前(古墳時代後期)に成立した。当時内海だった霞ケ浦傍の崖のカキ化石層を横に掘って洞窟(玄室)とし、死者の台座を備えた横穴墓である。 崎浜の地名の通り、当時は横穴墓のすぐ下は海水が寄せる浜であった。人々は近親者の遺体を一定期間、横穴墓に納め、白骨化した遺骸を霞ケ浦の水で洗浄し、改葬したのであろうか。当時は仏教的死生観が浸透していなかった可能性があるが、霞ケ浦は死者が行く彼岸の世界と考えられていたのかもしれない。 夕刻、崎浜から眺める鏡のような湖面は錦に輝き、亡き人をしのぶ心を癒し、静謐(せいひつ)な浄土を想起させたのであろうか。奈良時代に成立した常陸国風土記には、当地は常世国ではないかとの記述がある。 沖縄や奄美には「ニライカナイ信仰」が伝わる。海の彼方にニライカナイ(浄土世界)があり、新しい命はそこから此岸の現世に誕生し、死者は彼岸へ還ると信じられた。信じることで死の悲しみ、生の苦しさが慰められた。 かつて,霞ケ浦でも同様の信仰があり、霞ケ浦を大切にした素朴な人々が暮らしたであろうと想像することは難くない。霞ケ浦の再生にとって、祖先のように、湖を祈りと信仰の対象として眺め、水神、水天宮、弁才天を祭る気持ちを尊重することが、地域社会が目指す方向の一つであろう。科学、技術、経済、効率、政策、合理主義だけでなく、歴史、文化、生命を尊重する平衡感覚が大切なのである。(霞ヶ浦市民協会研究顧問) ➡沼澤篤さんの過去のコラムはこちら
つくばの酒蔵を観光資源に 筑波学院大でシンポジウム
2019年4月28日
【崎山勝功】来年の東京五輪を前に、つくばの酒蔵を観光にどう活用するかを考えるシンポジウム「ジオパークと酒蔵ツーリズム―地域資産を観光にどう活かすか」が27日、つくば市吾妻の筑波学院大学で開かれ、市民ら約60人が参加した。つくばの地域振興を目指すNPO「つむぎつくば」(本部・石岡市)が主催し、筑波山地域ジオパーク推進協議会が共催した。 同ジオパーク教育学術部会長の久田健一郎筑波大教授、全国の若手蔵元らが日本酒文化を海外に発信しようとつくった「酒サムライ」コーディネーターの平出淑惠さん、地域活性化の調査研究に取り組むANA総合研究所シニアアドバイザーの丁野朗さんの3人が基調講演を行った。 その後、市内にある日本酒「霧筑波」の蔵元・浦里酒造(同市吉沼)の浦里浩司さんと、「男女川(みなのがわ)」の蔵元・稲葉酒造(沼田)の稲葉伸子さんの2人を交えて、訪日外国人観光客をどう取り込むかを考える「インバウンド需要を酒蔵へ」をテーマにしたパネル討論が行われた。ビジネスデザインを学ぶ筑波学院大学生の西村瑠夏さんもパネリストとして加わった。 久田教授は「リピーターをどれだけ獲得するかが重要」と話し、平出さんは「日本語だけの(日本酒)ラベルはダメ。誰に売りたいのかを考えてのラベルづくりが必要」と語った。丁野さんは「地域の資源を基に(地域を紹介する)ストーリーを作っては」など、さまざまな角度から意見を出した。 浦里さんは「どこに売るかは蔵元の社長により考えが違うので正解は無い。ウチは県外の販売比率は5%でほとんど県内で販売している。輸出はしていない」、稲葉さんは「私のところもつくば市内だけで(販売比率の)95%。つくば以外の県内にもほとんど出していないし、東京にも出していない」と、それぞれの現状を述べた。進行役を務めたNEWSつくばの坂本栄理事長は「霧筑波、男女川を飲みたかったらつくばに来なさい、という蔵元ツーリズムもある」と提言するなど、活発な意見交換が行われた。 交流会では「霧筑波」と「男女川」が来場者たちに振る舞われ、参加者はつくばが誇る銘酒を堪能した。
《光の図書館だより》17 新番組「つちうらカルちゃんねる」開始
2019年4月4日
【コラム・入沢弘子】新元号「令和」の発表とともに新年度がスタートしました。4月は多くの方のライフステージが変わる、転機の月でもあるでしょう。昨年5月から毎週お届けしていた“世界初の公共図書館TV”「つちうら図書館ちゃんねる」も、本日4日放送分から「つちうらカルちゃんねる」にタイトルを変え、大幅リニューアルします。 新番組は、土浦市内にある4つの文化施設(市立博物館、考古資料館、市民ギャラリー、市立図書館)の企画展やイベントなどの情報をお届けするものです。自治体の文化施設が連携して情報番組を発信! ほかの市には例がない試みと思います。 市立博物館は土浦城址(亀城公園)に隣接する施設です。「霞ケ浦に育まれた人々のくらし」をテーマに、市の歴史と文化が季節ごとに入れ替えて展示されます。県内には鹿島神宮と市立博物館にしかない国宝工芸品の短刀のほか、重要文化財4口、重要美術品6口を含む土浦藩土屋家の刀剣83口が所蔵され、「大名土屋家の文化」コーナで順番に展示されます。 考古資料館は、国指定史跡上高津貝塚と共に構成され、5ヘクタールの広さ。上高津貝塚の出土品、武者塚古墳出土の国指定重要文化財、縄文時代の衣食住の様子、筑波山地域ジオパークの概要などが展示されています。貝塚は広大な芝生広場で、親子連れで楽しめます。 歴史と文化は土浦のプライスレスな魅力 市民ギャラリーは本格的な美術ギャラリー。市民が芸術に触れ、自分の作品を発表し、芸術文化活動を身近に感じてもらうための場所です。これまで、クロード・モネの作品を含む県近代美術館移動美術館や、ひと月で8000人超の来場者があった「ロバート・キャパ展」などの企画展がありました。現在は「アートとブックが出会う場所」を開催中です。 そして駅前の市立図書館ですが、まちのにぎわい創出も使命として開館してから本日4日で438日目。これまで78万人の方にお越しいただいた滞在型の図書館です。 歴史と文化は土浦のプライスレスな魅力。「つちうらカルちゃんねる」では、その魅力の一部を4館リレー形式でお伝えしていきます。ぜひご覧ください。(土浦市立図書館館長兼市民ギャラリー副館長) 「つちうら図書館ちゃんねる」を見るには: ・「Vチャンネルいばらき」(https://www.youtube.com/vchannelibaraki)にアクセス ・放送は毎週木曜日 午後3時から15分間 ・Vチャンネルいばらき「サテライトスタジオ505」で公開放送 ➡入沢弘子氏の過去のコラムはこちら
つくば発 五感で楽しむツアー紹介 2月2、3日ジオパーク関東大会
2019年1月30日
【鈴木宏子】「日本ジオパークネットワーク関東大会」(筑波山地域ジオパーク推進協議会主催)が2月2、3日、つくば市などで開かれる。地層や岩石を見るだけでなく、触ったり、音を聞いたり、匂いを嗅いだりして五感で体感するユニバーサルデザイン(UD)ジオツアーが同大会で初めて紹介される。市民と研究者らが企画した、障害者も健常者もだれでも楽しめるつくば発のジオツアーだ。 関東地方のジオパーク関係者が一堂に集まり、活動を推進するための方法や手段を考える大会で、持ち回りで開かれている。つくばで開催されるのは初めて。東京都伊豆大島、群馬県下仁田、埼玉県秩父のジオパーク関係者など9団体約200人が参加する予定だ。 UDツアーは視覚障害者や聴覚障害者などが楽しめるよう工夫されている。産業技術総合研究所・地質標本館(同市東)と国立科学博物館・筑波実験植物園(同市天久保)を訪れ、筑波山の立体模型や「まさ」と呼ばれる風化しやすい花こう岩を触ったり、筑波山の植物の分布を手話で学ぶ体験をする。 同推進協議会市民活動部会会員で、市民団体「つくばバリアフリー学習会」代表の北村まさみさんや、地質標本館、実験植物園の研究者らが、取り組みを重ね、工夫した成果を積み上げてきた。 北村さんは「ジオツアーは障害者も健常者も一緒に楽しく学ぶのに適している」と話し、今後ジオパークで広まっていくことを期待する。地質標本館を案内する産総研地質情報研究部門の住田達哉主任研究員は「今回参加するのはツアーを主催する側の人たち。ちょっとした工夫で、体に障害のある人も、お年寄りも、いろいろな人たちが同じように理解する手立てがあることを知ってもらえれば」と語る。 大会はジオパーク関係者が対象。UDツアーのほか、筑波山方面を巡るツアー、霞ケ浦方面を巡るツアーの3つが開催される。2日間にわたって同市竹園のつくばカピオ、つくば国際会議場などで、基調講演、分科会、市内の中学生による学習発表も行われる。 一般市民は、2日午後3時からつくばカピオホールで催される開会式と基調講演のほか、同ホールで午前10時から午後2時まで開かれるジオカフェや各ジオパークのPR動画上映に参加できる。基調講演は日本ジオパーク委員会委員長の中田節也・防災科学技術研究所火山研究推進センター長による「関東地域のジオパークに期待すること」。入場無料、予約不要。 詳しくは筑波山地域ジオパーク推進協議会(事務局・つくば市ジオパーク室、電話029-883-1111) オリジナルフレーム切手セット発売 関東大会開催を記念して、筑波山地域ジオパークの見どころを収めたオリジナルフレーム切手セット(82円切手10枚つづり)が2月1日から県内の全郵便局465局で販売される。1セット1500円、販売部数1000部。2日午前10時30分から16時30分に同カピオホールでも販売される。
「宝篋山(小田山)」 念願の地図表記が実現
2019年1月24日
【鈴木宏子】国土地理院の地図に山の名前の表記が無かった筑波山南側の宝篋山(ほうきょうさん)が24日、「宝篋山(小田山=おだやま=)」として、同地理院の電子地図(電子国土Web)に表記された。署名運動などが実を結んだ。 同山はつくば市小田と土浦市東城寺の境界に位置する標高460㍍の里山。年間約10万人が訪れ、筑波山地域ジオパークの自然や歴史・文化を紹介するジオサイトの一つにも指定されている。 登山愛好者などから国土地理院地図への表記を要望する意見が寄せられたことをきっかけに昨年2月、筑波山地域ジオパーク推進協議会(会長・五十嵐立青つくば市長)が山の名前を地図に表記する署名運動を始めた=2018年2月13日=。昨年8月まで宝篋山周辺やイベント会場などのほか同推進協ホームページなどで署名活動を実施し計1217人の署名が集まった。 一方、スタート時は「宝篋山」という表記を申請する予定だったが、署名活動の最中、地元自治会などから「宝篋山よりも小田山という呼び方の方が聞き慣れている」などの声が数多く寄せられた。 昨年9月、同推進協は臨時総会を開き、急きょ「宝篋山(小田山)」という表記を申請することで合意し、昨年12月、同山を管理するつくば、土浦両市長が国土地理院長に申請した。 地図の印刷物については刊行次第、順次、記載される予定という。
《霞ケ浦 折々の眺望》1 霞ケ浦の魅力を発信しよう
2019年1月18日
【コラム・沼澤篤】昨年も都道府県魅力度ランクで茨城県は最下位だった。県民はこの結果に慣れ、気にしない人が多い。一方、県民の所得額や県の経済力ではベストテン入りしている。農畜産業分野では常に上位。温暖で暮らしやすい、世界有数の科学都市がある、優れたスポーツ選手を輩出している、等々の事実が県民に余裕を与えているようだ。 魅力度調査方法の客観性に課題があるのではとも思う。しかし、茨城県民の郷土愛では、他県民に比較して不足するようだ。 その県の魅力度は、県民が郷土について熱く語る志の高さに比例するのではないか。観光地、名産品、景観、郷土の偉人、県民性などを語る時の、生き生きした表情に我々は引かれ、その県を訪問したいと思う。果たして、茨城県民は郷土の魅力を積極的に語ってきただろうか。県民が茨城県の魅力を発信する力が弱い。全国で唯一、県域テレビ局がない。 例えば、日本第2の湖、霞ケ浦の魅力を誇り高く語れる人がどれほどいるか。私は霞ケ浦の環境問題に取り組む市民活動に加わって30年が過ぎた。最初のころは、霞ケ浦への県民の関心の薄さに当惑した。ここ数年は、霞ケ浦環境科学センターの「霞ケ浦学講座」の講師を務め、「霞ケ浦の全体像を体系的に把握する」という目標を提示している。 毎回出席する熱心な受講者もおられる。問題は一般県民が霞ケ浦をよく知らないことである。昨年10月には第17回世界湖沼会議が当地で開催され、会期中は茨城新聞などで連日報道された。しかし、年末の「読者が選ぶ県内10大ニュース」に入らなかった。慨嘆せざるを得ない。 りんりんロード 地域活性化の新しい動き 滋賀県民は琵琶湖を誇りにしている。「湖国」「マザーレイク」とも呼ぶ。琵琶湖を愛する心が、水質、景観、信仰などの文化を守る行動に直結している。琵琶湖を汚す排水を出す事業者は警察に摘発され、条例による罰則が適用される。 琵琶湖では、延暦寺、石山寺、浮御堂、竹生島など、湖と信仰の伝統文化が今も息づいていることが評価され、日本遺産に登録された。日本発祥の国際会議である世界湖沼会議は琵琶湖から始まり、世界各地で引き継がれている。本県は滋賀県に多くを学んできたが、湖への姿勢は今も相当の較差(かくさ)がある。 しかし、悲観したものではない。筑波山地域ジオパークに霞ケ浦も指定され、各種啓発事業が行われている。つくば霞ケ浦りんりんロードは日本一長い自転車道として注目され、地域活性化への新しい動きが出てきた。先の世界湖沼会議では5カ所のサテライト会場が盛況だった。今年の「いきいき茨城ゆめ国体」ではセーリング競技の会場になる。 従来、自然保護や環境問題に取り組む市民が活動してきたが、霞ケ浦を主題にした絵画、音楽、写真、映画、文芸、歴史、民俗などの文化的な分野にいそしむ人々が少しずつ出てきており、期待したい。霞ケ浦が県民の誇りになり、その素晴らしさを発信すれば、魅力度ランクもアップするに違いない。(霞ヶ浦市民協会研究顧問) 【ぬまざわ・あつし】山形大学理学部生物学科卒。千葉大学大学院、東京大学大学院修了、理学博士。医薬品会社研究員、自然公園職員などを経て、1989年より霞ケ浦の市民活動に参加。霞ケ浦情報センター主任研究員、茨城大学農学部非常勤講師、同教育学部特任教授、霞ケ浦環境科学センター嘱託職員などを歴任。現在、(一社)霞ヶ浦市民協会・研究顧問。67歳。山形県出身、土浦市在住。
岩佐宮司が1月末で辞職へ 筑波山神社 後任は未定
2019年1月10日
【鈴木宏子】筑波山神社(つくば市筑波)で昨年、氏子総代有志らが神社本庁に、岩佐弘史宮司(55)の解任を要求していた問題=2018年10月12日付け=で、岩佐宮司が1月末日で同神社宮司を辞職する内容の辞表を出していることが10日までに分かった。後任は現時点で未定という。 この問題をめぐっては氏子総代ら23人が昨年9月、氏子など約800戸を対象に解任を求める署名活動を展開し、9割の署名を集めて、神社本庁に解任を求める要求書を提出していた。 要求書で氏子総代らは岩佐宮司に対し「地区氏子との関係を希薄化させ、総代からの意見を聞き入れず、職員に対してパワーハラスメントによる管理が横行しているなどさまざまな問題行動を起こしている」などと主張していた。 一方岩佐宮司は昨年10月時点で、氏子総代らの言い分を否定し、宮司の職を辞める意志がないことを強調していた。 その後、県神社庁で双方の意見を聞くなどの調査が行われていた。 岩佐宮司は東京出身。国学院大学大学院で神道学などを専攻。神社の専門紙を発行する「神社新報社」に入社し、神社本庁出向職として編集部記者、業務部長などを歴任した。神社本庁参事から、2013年7月、筑波山神社の権(ごん)宮司となり、15年6月、宮司に就任した。宮司として神社の借入金を完済したり、さまざまな改革を断行した。筑波山地域ジオパーク推進協議会副会長も務めている。
農業テーマパーク、芸術活動拠点など提案 筑波地区の廃校利活用 つくば市
2018年11月16日
【鈴木宏子】廃校になったつくば市筑波地区の小中学校跡地10校の利活用について、地域住民と市担当課の意見交換会が14日から18日まで同地区9カ所で開かれている。具体的な利活用案について市側から、旧筑波東中学校(北条)跡地にファーマーズビレッジの誘致とジオパーク拠点施設設置、旧田水山小(水守)跡地に文化芸術活動拠点施設整備、旧小田小(小田)跡地を文化財収蔵施設として利用する案などの提案があった。 10校のうち9校は今年4月、7小学校と2中学校が統廃合され、市立秀峰筑波義務教育学校(同市北条)が開校したのに伴って廃校となった。すでに2013年3月に廃校となった1校を含め計10校の利活用について今年度から市の検討が始まっている。今回は市役所内の各課と市民、民間事業者から要望や意見を集め、実現可能性などを検討した結果について、地域住民に示された。 旧東中のファーマーズビレッジは、民間事業者を誘致して、イノシシなど野生動物の食肉や地場産物を食材にしたレストラン、スイーツやワインを提供するカフェ、農産物加工施設、体験型施設などつくり、農業のテーマパークにしようという構想。併せて教室棟の一部を利用し、筑波山地域ジオパークに関する情報を提供して各ジオサイト巡りの拠点となるジオパーク拠点施設を設置する案が示された。 旧田水山小の文化芸術活動拠点施設は、教室や体育館、グラウンドなど廃校全体を活用して、アトリエ、スタジオなどをつくり、作家と市民が芸術活動に親しむ拠点にしようという構想。芸術家が滞在しながら創作活動をしたり、プロを目指す芸術家の卵を応援したり、市の収蔵作品を展示したり、芸術文化に関する講座を開くなどを計画しているという。 旧小田小の文化財収蔵施設は、現在、市内各所に分散して収蔵されている、市内で出土した土器片などの埋蔵文化財や、寄贈された民具などの民俗文化財を集約して収蔵しようという構想。 14、15日に5カ所で実施された意見交換会では、住民から「地域には公民館が無い。公民館や交流センター的な利用と避難所とするのが一番いい」「自然や歴史、農業体験ができる場にしてほしい」「高齢者が健康づくりを施設にしてほしい」などさまざまな意見が出た。市の提案と地域のニーズとに隔たりがある地区もあった。 市の方針として、廃校を地域の集会所にすることについては「区会等に補助金を出して整備することになっているため新たな集会施設は必要ない」「学校の財産区分を今後、教育財産から普通財産に変更すると、使用料が有料になる場合がある」などの説明があり、住民からは不満の声が出た。廃校になってから現在も、各校とも警備や保安、草刈りなどに年間各300万円程度の維持管理費が掛かっているという。 一方、校舎や体育館などが耐震基準を満たしていないため使用を続けられない廃校があったり、市から目立った利活用提案がない廃校もあった。 民間事業者からは、広域通信制高校、消防車など特殊車両組立工場、ペット終末期ケアセンター、日本語学校兼寄宿舎、イチゴ工場、インターナショナルスクール、ベンチャー企業立地支援施設などを整備する提案があったことなども紹介された。 市は引き続き地域住民と協議を重ね、半年とか、地区によっては数年掛けて方向性を決めたいとしている。利用者の優先順位としては、まず市の方針を優先し、さらに地域の要望を取り入れ、市も地域も利用提案がない場合は民間の利活用を検討するという。 ◆筑波地区学校跡地の利活用提案に関する意見交換会の日程は以下の通り。 14日(水)▽午前10時~筑波小学校(会場は同小校舎)▽同午後2時~菅間小(同校舎)▽同6時30分~小田小(同校舎) 15日(木)▽午前10時~田水山小(同校舎)▽午後2時~山口小(同校舎) 16日(金)▽午前10時~田井小(同校舎)▽午後2時~作岡小(同校舎)▽午後6時30分~北条小(同校舎) 18日(日)▽午前10時~全校対象(筑波交流センター2階多目的室) 筑波地区廃校跡地10校の主な利活用提案 市の提案 地域の提案 筑波東中 民間事業者によるファーマーズビレッジの誘致/教室棟の一部にジオパーク拠点施設/体育館・武道場は市民に貸し出し/グラウンドは秀峰筑波義務教育学校のイベント時駐車場として利用など 北条小 プール用地に北条保育所の職員駐車場整備/敷地の一部に消防団分団の詰所と消防車車庫新設など 北条まちづくり振興会が生活芸術体感施設として活用(文化・芸術に関するギャラリー、ネット販売を主とした店舗、創作活動のアトリエ、カルチャースクール、イベントの利用)など 小田小 教室棟の一部を文化財収蔵施設として利用 まちづくり勉強会を通して今後、利活用策を検討 山口小 高齢者の体操教室開催など区会が地域交流の場として利用中/一般財団法人が2教室を会議室として利用要望 田井小 敷地の一部に消防団分団の詰所と消防車車庫新設など 地域住民が運営する放課後児童の居場所「里山わんぱく館」の整備(体育館、グラウンドと隣接する民有地の里山の一角を借りて冒険遊び場「プレイパーク」を整備するほか、子連れの親子や高齢者の居場所を併設し相互交流する地域拠点として整備 筑波小 筑波西中 体育館・柔剣道場を一般市民に貸し出しなど 田水山小 文化芸術活動拠点施設など 菅間小 敷地の一部に消防団分団の詰所と消防車車庫新設など 作岡小 敷地の一部に消防団分団の詰所と消防車車庫新設など ※ほかに場所は未定だが、市が1校に教室を利用した認知症カフェを月1回程度設置など
《土着通信部》18 「地学」を選びたかった君へ 18日に公開講座
2018年8月7日
【コラム・相沢冬樹】筑波山地域ジオパークが認定されたころ、地球科学を専攻する筑波大学の学生に「最近の受験では、理科で地学を選択しやすくなったのか」たずねたことがある。「いいえ難しいっす。地学で受験できる大学は限られているし、今でも教える高校は少ない。自分も履修できなくて、入試は物理と生物で受けました」。 僕は大学入試センター(共通一次)試験が始まる前の世代だが、学校教育での地学の扱いにずっと納得いかなかった。理科4科目のなかで、物理、化学、生物に比べ地学だけが冷遇されてきた。しかし、天文(宇宙)、地質、地球物理、気象の4分野にわたる地学には、興味を惹くテーマがそろっている。「理科離れ」が叫ばれて久しいが、高校で地学を選べたなら事情はだいぶ違ったろうと思えるのだ。 微積分に歯が立たず、文系に進んだ僕も、社会に出てからは折にふれ理系との接触が刺激となった。高エネルギー加速器研究機構の一般公開をのぞいたり、筑波山周辺のジオサイトをめぐるトレッキングに出かけたり…、つくばはその機会にこと欠かない。 挙句に僕は、総合科学研究機構(CROSS、横溝英明理事長)という一般財団法人に身を寄せた。文系・理系にまたがるサイエンスをカバーして、クロスは「文理融合」の意味となる。格調高く総合科学を冠するも、足場は発祥の地元に置くのがユニークだ。 つくばの産学官連携に取り組もうとCROSSと称してちょうど20年、この間ずっと本部は土浦市内にあった。2011年からは東海村の加速器施設J-PARCにある中性子ビームラインの利用促進を業務の主力にしている。 太陽系と地球誕生の謎に迫る その財団が地域社会との交流機会に設けているのが市民公開講座で、今年の「CROSS2018」は18日(土)午後1時から開く。会場は筑波銀行つくば本部ビル(つくば市竹園1丁目)10階大会議室、開催タイトルを「太陽系と地球誕生の謎に迫る」と打ち出した。 「地球外物質から探る太陽系の誕生と天体進化」三河内岳(東京大学総合研究博物館教授)、「チバニアンと地質時代」岡田誠(茨城大学理学部教授)の2講演が予定されている。ともに地学ファンには聞き逃せないテーマである。 遅れて地学の徒となった僕は、千葉県市原市にある「チバニアン」の地層を訪ねたりした。地質時代境界の「千葉セクション」は日本最初の国際標準模式地候補となり、地質時代名称として「チバニアン」が提唱されている。その研究チームの代表が岡田氏で、講演では地質学から地球の歴史に迫り、地磁気逆転や氷期―間氷期の変化などの話をするということだ。(ブロガー) ▽CROSS2018:入場無料。問い合わせ・事前登録は電話(029-826-6251)かメール(tsukuba@cross.or.jp)でCROSS事務局まで
新アウトドアスポーツで ジオパークの魅力堪能
2018年5月28日
【富永みくに】日本ジオパークの一つ、筑波山地域ジオパークを会場とした、アウトドアスポーツ「第2回フォトロゲイニング大会」(同実行委主催)が27日、つくば市の筑波山や宝篋山(ほうきょうさん)で開かれ、約150人が参加した。 フォトロゲイニングは1976年にオーストラリアで生まれたスポーツで、地図を頼りに制限時間内にどれだけ得点を獲得できるかを競う。難易度の高いチェックポイントほど高得点が配分され、指定の観光スポットを利用するとボーナスポイントがもらえる。幼い子どものいる家族も景色や地元のグルメを楽しみながら参加できる。 チェックポイントは筑波山地域ジオパーク推進協議会(会長・五十嵐立青つくば市長)が提案し、ジオパークの見どころを盛り込んだ。高得点が配分されたのは、筑波山山頂の石碑、同ケーブルカー、宝篋山山頂の印塔、尖浅間山頂など。 スタート前の午前9時20分、地図とチェックポイントが配布され、各チームが作戦会議を開始。高得点が得られるルートを入念に選んだ。午前10時のスタート時には、同市のゆるキャラ「つくつく」「フックン船長」がスタートゲートに登場し、盛り上げた。 3時間の部で優勝した「時折若柴」チームは製薬会社の同僚3人で参加。加島美穂さん(33)は「日頃の運動不足の解消にと思い参加した。制限時間が短かったため、近場の宝篋山を登るコースを選んだ。思っていたよりも山道が厳しかったがとても楽しかった」とコメントした。 市ジオパーク室の杉原薫主任主査は「北条街づくり振興会など地元の皆さんにも協力いただき、ジオパークだけでなく、地域の隠れた見どころを知ってもらえるようなコースを提案した」と説明した。 会場では宝篋山の名前を、国土地理院の地図に載せる署名活動も行われた。現在、約500人の署名が集まっており、2000人を目指してこれからも呼び掛けるという。
「ジオブランド」認定へ 筑波山地域 加工食品や料理を公募
2018年4月17日
【鈴木宏子】筑波山や霞ケ浦など筑波山地域ジオパークをイメージした優れた商品を「ジオブランド」に認定して、同ジオパークをもっと発信しようと、同推進協議会(つくば、石岡、笠間、桜川、土浦、かすみがうら市の6市で構成)は16日から認定商品を募集している。第1回目の今回は、土産品やご当地グルメにもなる加工食品や料理などが対象。 同ジオパークの地形、地質、歴史、文化、動植物などの特徴がイメージできる商品で、包装などのパッケージもジオパークとの関連を表現したデザインであること、筑波山地域の6市で生産された食材や素材を使っていること、6市内で生産や加工していることなどが条件。すでに販売されている商品でも、これから新規開発する商品でも可能という。 同推進協のジオブランド認定審査会が審査する。研究者、市民団体、商工関係者らでつくる同推進協の3つの部会から推薦を得たり、イオンやカスミなど流通関係者にも意見を聞くという。 認定商品は、これから策定する同ジオブランドのロゴマークを使用でき、同推進協のホームページでPRするほか、6市の観光協会などが運営する直売店や道の駅などでも販売する予定という。認定期間は3年間で、3年ごとに更新する。 初の認定商品は秋ごろ決定する予定で、10点程度を想定している。当面、毎年公募し、今後は工芸品なども対象にすることを検討しているという。 募集期間は6月18日まで。問い合わせは℡0296・55・1159(桜川市商工観光課内の同推進協地域振興部会事務局)
認定ジオガイド誕生 筑波山地域に42人
2018年2月18日
【鈴木宏子】筑波山地域ジオパークに18日、同推進協議会(会長・五十嵐立青つくば市長)が認定する初の認定ジオガイドが誕生した。昨年11月から今年1月まで延べ8日間の養成講座を修了したつくば、石岡、笠間市などの市民42人だ。今後、同協議会やジオパーク区域の6市などが主催するジオツアーで、実際に観光客を案内し、腕を磨く。 今年は、筑波山梅まつり(3月、筑波山梅林)、帆引き船フェスタ(5月、かすみがうら市歩崎)、泳げる霞ケ浦市民フェスティバル(7月、土浦市沖宿)、世界湖沼会議(10月)などで催されるジオツアーでガイドを務めるほか、来年2月につくば市で開かれる第5回日本ジオパーク関東大会に向けて開催されるジオツアーで案内役を務める。 有償ボランティアで、2年ごとに認定更新する。あらかじめ現地を下見し、ガイド原稿を作成し、さらにガイド同士で現地実習などをした上で本番に臨む。現場で経験を重ね、将来はNPOなどとして観光客を呼び込み、おもてなししてもらうことなども想定しているという。 同日、つくば市役所で修了式が催され、五十嵐会長から修了証が授与された。五十嵐会長は「ジオガイドの皆さんに活躍していただき、東京から一番近いジオパークとして魅力を発信したい」などと述べた。 ジオガイドになったつくば市の主婦、田中牧子さん(60)は「東日本大震災を経験し、地質を知ることが防災に役立つのではないかと思ったことがきっかけでジオパークに興味をもった。地元の商店街などとコミュニケ―ションをとりながら、まず地元の人にジオパークの良さを分かってもらえるような活動をしたい。来てくれる人を温かく迎えられるような雰囲気づくりができれば」と話していた。 日本人の夫、千野豪さん(40)と共に夫婦でジオガイドになった、マレーシア出身でつくば市に住む会社員ゴウ・テンイさん(36)は「日本人や外国人に、つくばの古民家で日本文化を体験してもらい、周辺のジオパークも紹介したい」と語っていた。
「宝篋山」地理院の地図に表記を ジオパーク推進協が署名運動
2018年2月13日
【鈴木宏子】つくば市小田と土浦市東城寺の境界に位置する宝篋山(ほうきょうさん)は、国土地理院の地図に山の名前の表記がない。筑波山地域ジオパーク推進協議会(会長・五十嵐立青つくば市長)が、名前を地図に表記する運動を展開することを検討している。13日、つくば市役所で開かれた同推進協臨時総会で明らかにされた。 標高461mの里山、宝篋山は、つくば市小田の住民らが荒れた山を整備し登山道を切り開いて以降、気軽に登れる山として人気が高まり、関東近郊から多くの人が訪れるようになった。宝篋山と周辺の平沢地区はジオサイトの一つにも指定されている。 同推進協によると、市内の登山愛好者から最近「ジオサイトに指定されているのであれば地図に地名が掲載された方がよい」などの意見が事務局に寄せられた。地名を表記するための必要手続きを国土地理院に尋ねたところ、宝篋山を管理するつくば市と土浦市の両市長から書面で申請があれば可能という回答があったという。 一方、宝篋山はほかに宝鏡山、豊凶山、峯鏡山、小田山、大形山などと表記されたり呼ばれたりしていることから、まず地域住民の理解を十分得た上で表記を宝篋山に統一したいとしている。さらに市民に地域資源としての宝篋山の価値や同ジオパークの取り組みを広く知ってもらう機会とするため、麓の小田休憩所などで署名活動を展開することを検討しているという。 臨時総会ではほかに「第5回日本ジオパーク関東大会」が2019年2月2日~3日、筑波山地域で開催されることが発表された。関東10地域のジオパークなどが一堂に介し、つくば国際会議場やつくばカピオなどを会場に、ジオガイド養成の課題や関東全体のジオストーリーの構築などについて話し合うという。約120人が参加予定で、筑波山地域のジオツアーなども開催する予定という。
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