水曜日, 7月 9, 2025

世界的自動車安全部品メーカーが入居 つくば駅前 旧ライトオンビル

【鈴木宏子】つくば駅前の旧ライトオンビル(つくば市吾妻、現L.Bizつくば)4~7階に来年1月、スウェーデンに本社がある世界的自動車安全部品メーカー、オートリブが入居し「ジャパンテクニカルセンターつくば」を新設する。自動運転車や電気自動車など次世代自動車の安全性を向上させる最先端の技術開発部門をつくばに集約するという。 同ビル4~7階はカジュアルウエア専門店「ライトオン」の本部が置かれていたが、今年7月末に売却され=7月4日付け=、空き室となっていた。 オートリブはエアバッグ、シートベルト、ハンドルなどを生産する安全部品メーカーで、世界市場の38%のシェアを占める。県内には、1988年、かすみがうら市上稲吉に筑波事業所を設立し、エアバッグなどを生産しているほか、衝突試験や技術開発などをしている。 同社が、技術開発拠点の新設を計画しているとの情報を得た県が、地元金融機関などと協力して誘致した。最大50億円と銘打って県が今年度から取り組んでいる、新たな成長分野の本社機能・研究所移転促進補助金を活用し、約3年間で5億4000万円を交付するという。 つくばの新センターでは、自動運転車や電気自動車などに求められる新たなエアバッグやシートベルトなどの技術開発に取り組む。4~7階4フロアの面積は約4300平方㍍で約200人が働く予定。70~80人がかすみがうら市の筑波事業所から移転し、約100人を新規雇用するという。 県が補助金を交付することから26日、大井川和彦知事が同ビルを訪れ、日本法人(本社横浜市)のデイル・スティーブン・クック社長に補助金交付の認定書を手渡した。 クック社長はつくばを選んだ理由について「東京からの利便性が高く、優秀な人材を確保しやすい。(旧ライトオンビルの)建物がモダンで、よい環境で従業員に働いてもらいたい」と話した。大井川知事は「つくばは筑波大学や研究機関があり、つくばエクスプレスで東京からのアクセスもよいので、いろいろな人材を確保できるポテンシャルがある」と応じていた。 県による同補助金の交付決定は同社が3件目。つくば市内への移転決定は初という。  

土浦協同など5病院が充足 来春の研修医マッチング

【山崎実】土浦協同病院など県内の5医療機関が、来春からの臨床研修医マッチングで、充足率(募集定員に対する確保人数)を満たしたことが厚生労働省のまとめで分かった。茨城県は人口10万人当たりの医師数が全国ワースト2位(2016年)と医療後進県。脱却をめざす県にとって、研修医確保枠の達成は必須条件の一つだ。 医師臨床研修マッチングは2004年度、医師の臨床研修が義務化されたことに伴い導入された。日本医師会、全国医学部長病院長会議など臨床研修を行う病院等の団体で構成する「医師臨床研修マッチング協議会」(東京都港区)が、医学生と病院のプログラムを相互の希望を踏まえ、一定の規則(アルゴリズム)に従ってコンピューターにより組み合わせを探り、確定するシステムとなっている。 調査結果によると、県内の研修指定参加20病院の募集定員は228人。これに対し、マッチングによる確保人数は169人で、充足率は74.1%(前年度は74.3%)だった。臨床研修医の県内受け入れは、13年度の126人から17年度は162人と確実に増え続けており、今回も過去最多を記録した。 受け入れ先を病院別に見てみると、筑波大学附属病院が前年度比6人増の73人で県内最多。ほかに水戸済生会総合病院(2人増)、水戸医療センター(4人増)、土浦協同病院(6人増)、霞ケ浦医療センター(1人増)、JAとりで総合医療センター(5人増)、茨城西南医療センター病院(2人増)の計7病院は前年度に比べ増加した。 さらに水戸医療(9人)、土浦協同(14人)、筑波メディカルセンター病院(10人)、JAとりで(5人)、茨城西南(6人)の5病院は募集定員枠を満たし注目される。一方、受け入れ内定がゼロだったのは、水戸赤十字病院、つくばセントラル病院、友愛記念病院の3病院だった。 県医療人材課は「病院間の人的交流も活発に行われており(枠確保未達成の病院があることが)不安材料とは考えていない。むしろ、県内へのマッチング者数の増加傾向を、さらに伸ばしていくことが重要」と話している。      2019年春採用の臨床研修医マッチング結果 募集定員 マッチング 前年度比マッチング増減 1 水戸赤十字病院(水戸市) 4 0 ▼4 2 水戸協同病院(水戸市) 10 7 ▼3 3 水戸済生会総合病院(水戸市) 10 8 2 4 水戸医療センター(茨城町) 9 9 4 5 茨城県立中央病院(笠間市) 9 4 ▼3 6 日立製作所日立総合病院(日立市) 12 9 ▼2 7 日立製作所ひたちなか総合病院(ひたちなか市) 8 7 0 8 土浦協同病院(土浦市) 14 14 6 9 霞ケ浦医療センター(土浦市) 3 1 1 10 筑波記念病院(つくば市) 8 6 ▼2 11 筑波大学附属病院(つくば市) 90 73 6 12 筑波メディカルセンター病院(つくば市) 10 10 0 13 筑波学園病院(つくば市) 5 1 ▼1 14 東京医科大学茨城医療センター(阿見町) 10 4 ▼4 15 牛久愛和総合病院(牛久市) 5 4 0 16 つくばセントラル病院(牛久市) 3 0 0 17 JAとりで総合医療センター(取手市) 5 5 5 18 総合守谷第一病院(守谷市) 3 1 0 19 友愛記念病院(古河市) 4 0 0 20 茨城西南医療センター病院(境町) 6 6 2 合計 228 169 7 ※20医療機関は県内の臨床研修医マッチング参加病院 ※定員に空席がある病院は今後2次募集を実施する

【クレオ再生問題】10月中の議会提案見送り

【鈴木宏子】つくば駅前の商業施設クレオ再生問題で、五十嵐立青市長は25日、当初予定していた、10月中に市の再生案を議会に提案するスケジュールを見送る考えを明らかにした。18日の市議会全員協議会では、クレオ所有者である筑波都市整備の厳しい財務問題などが浮上した。現時点では再生案を提案しても、議会の過半数の理解が得られないためとみられる。 今後について五十嵐市長は「(議会に)提案する努力を続けていく」と強調し、新たなスケジュールについて「12月中に(クレオ取得費用の38億円を)筑波都市整備に入金できるスケジュールで考えていく」とした。 今後、議会の理解をどう得ていくかについては「(18日の)全員協議会で出た質問にいろいろ整理して対応していかなくてはならない。クレオだけでは解決できない問題に対して、中心市街地を面的にどう捉えるのか、少し広い枠組みで(議会に)話をしていきたい」と述べるにとどまり、具体案は示さなかった。 当初の市のスケジュールでは、アンケートなどで市民の合意が得られれば、10月下旬に市議会に諮り、市が20億円を出資して11月中に資本金50億円でクレオを取得するまちづくり会社を設立する予定だった。12月中にクレオを購入するという期限は変わらないという。

種子法廃止って何? 将来、高騰警戒 県「これまで通り生産」も外圧注視

【山崎実】「種子法廃止って何?」—今、都市、農村部を問わず、種子法廃止がホットな話題になっている。政府は今年2月、民間活力の導入を理由に同法を廃止。農業の現場や消費者からは「将来、外資系を含む民間企業の参入で種子価格が高騰、ひいては値上がりが続くのでは」と警戒する意見がある。一方、種子生産当事者である県は「基本的にはこれまで通り、県が責任をもって生産するので心配はない」(県産地振興課)としている。 種子法は、戦後の食糧安定供給のため、稲(コメ)、麦、大豆3品目の種子を、国、都道府県が責任をもって生産、普及することを目的に制定された。稲のコシヒカリ等、身近な品種は都道府県のオリジナルとして同法に基づき開発されてきた。 ところが、産地間競争の激化に伴い、民間開発の種子も奨励品種に採用する道を開けるべき(民間活力の導入)との意見が出てきたため、政府は規制改革の一環として同法の廃止を決め、国会も通過し成立した。県内でも既に一部地域で「ミツヒカリ」「とねのめぐみ」等、民間開発の種子による稲が作付けされているが、限定的かつ契約栽培の域を出ていない。 この主要農作物種子法廃止の動きは全国的に影響を与え、茨城県内でもJAグループや県採種部会協議会等から「法廃止後も、優良な種子の安定確保のため、引き続き県が現行の役割を担ってほしい」旨の要請が出ていた。そこで、県は今年3月23日付けで新たに「茨城県稲、麦類及び大豆種子の生産と供給に関する要綱」を策定。従来通り、関係機関と連携して種子生産に取り組むことにした。 法廃止後も条例で対応しているのは、埼玉、新潟、兵庫の3県のみ。茨城県と同様に要綱を定めて種子生産を継続する道府県は41に上るという。 不安要因はないのか。県が指摘するのは、外圧だ。理由は、この問題がTPP(環太平洋経済連携協定)の協議事項に含まれているためで、米国等との交渉の行方も気がかりなところ。「種子をめぐる国際的な圧力だけは注視していく必要がある」と同課。現時点で「心配はない」とはいえ、県は今後の推移を注意深く見守っている。

保護犬・猫と触れ合って ボランティアが譲渡会 11月4日土浦

【橋立多美】犬猫の保護活動をしているボランティア団体「犬猫物語」主催の「犬と猫の譲渡会&犬猫マルシェ」が11月4日、土浦駅前のアルカス土浦広場(土浦市大和町)で開かれる。同団体は土浦やつくば、坂東市などで、迷子になったり、人間の都合で捨てられた犬猫の保護活動をしている人たちが今春立ち上げた。土浦市在住の鈴木佳代さん(51)が代表を務めている。 鈴木さんは「茨城は犬猫の殺処分数がワースト上位ということもあって、不幸な犬猫を減らそうと譲渡会の会場では里親探しに必死になりがち。私たちは力まず、犬猫と触れ合う楽しい場を提供することから始めたい」という。4日の譲渡会で里親を募集するのは成犬3、4匹と生後3カ月から成猫までの10匹前後の猫たち。 マルシェには犬猫フードやおやつ、関連グッズなどが並び、占いやバルーンアートのブースが設けられる。また、犬猫もかけがえのない命であることを知ってもらうために聴診器で心音を聴くコーナーや、犬猫が脱走したり迷子になった時に飼い主を識別できるマイクロチップについて学ぶコーナーも開設される。飼い方の相談や共生する上で大切なことを楽しみながら学ぶことができる。 鈴木さんが保護活動に取り組むようになったのは15年前、土浦市に自宅を建ててブリーダーから買った雌のコリー犬と暮らすようになってから。それまでは動物の飼育が禁止された集合住宅に住んでいたため初めてのペットとの暮らしだった。「かわいくて、ペットのいなかったこれまでの人生は大損した」と思ったそうだ。その後は県動物愛護推進員として犬猫の適正飼養の啓発や譲渡などの活動を続けている。今は保護した犬猫を家族として迎える一方、譲渡するために複数匹の犬猫の世話をしている。 活動の喜びは「行き場のない犬猫がハッピーになること」と鈴木さん。譲渡後、付き合いが生まれた里親宅を訪ねた時、「かつて世話した犬猫が自分を覚えていないと、良い里親さんに出会えて幸せに暮らしていることが分かってうれしくなる」。 犬猫の譲渡には条件がある。▽犬猫を飼育できる住宅に居住し、飼育することについて家族全員の同意が取れていること▽終生一緒に暮らすこと▽必ず不妊、去勢手術を行うこと▽県動物の愛護管理条例で飼い猫の屋内飼養が努力義務として規定されており、ネコは室内で飼うこと-などだ。 ◆「犬と猫の譲渡会&犬猫マルシェ」は11月4日(日)午前11時~午後2時30分、アルカス土浦(土浦市大和町)1階広場。問い合わせは鈴木さん(電話090-1767-3372)まで。

土浦港に新スポット 「湖沼との共生」テーマに壁画アート

【鈴木宏子】霞ケ浦の土浦港(土浦市川口)に新スポットができた。第17回世界湖沼会議のテーマ「人と湖沼の共生」をモチーフにした壁画アートで、同会議サテライト土浦の開催に併せて、土浦青年会議所環境政策委員会(柏村泰孝委員長)が、全国からプロのアーティストなどを募って制作した。 ヨットなどが停泊する土浦港の高さ1.3㍍の壁面に、約230㍍の長さにわたって壁画15作品が描かれている。湖の中に共存する植物や生き物を青く輝く水の美しさで表現した作品や、生き生きと泳ぐコイと揺れる水草などを描いた作品などがある。100年後の霞ケ浦に子供たちの笑顔と生き物たちの生命力あふれる姿があるようにと願って、地域の子供たちと一緒に描いた作品もある。 8月中旬から描き始め10月13日にお披露目されたばかり。土浦やつくばなど県内で活動するアーティストを中心に計10人が土浦港に通い、霞ケ浦に寄せるそれぞれの思いを表現した。ほかに筑波研究学園専門学校、土浦日大高校美術部、常総学院美術部の生徒らが描いた作品もある。 柏村委員長(34)は「今後この壁画アートが、霞ケ浦や周辺の豊かな自然環境の保全や地域活性化につながり、地域のランドマークになれば」と話している。

阿見セーリング特設会場開所 26日から国体リハーサル大会

【相沢冬樹】2019年の「いきいき茨城ゆめ国体」に向け、阿見町(千葉繁町長)が整備してきた霞ケ浦セーリング特設会場がこのほど完成し、19日現地に関係者を招いて開所式が行われた。26日からは国体のリハーサル大会となる全日本選手権3大会が3日間の日程で組まれている。 特設会場は、同町大室の霞ケ浦高校大室グラウンドの一画約2万4000平方㍍を借り受け、霞ケ浦りんりんロードをはさんで湖岸堤にせりだす格好で整備された。一部湖内のしゅんせつを施した上、湖岸部には長さ60㍍の浮桟橋と2本の仮設桟橋、幅80㍍×奥行40㍍のスロープが建設された。 陸上部には艇置き場として2人乗り用(ダブルハンド)、1人乗り用(シングルハンド)各188艇分の区画を設け、人工芝を張ったウインドサーフィン用エリアも整備された。2階建てと平屋造のプレハブ本部棟(合計710平方㍍)や艇庫、イベントテント、売店テント、身障者向けを含む仮説トイレなどを設けている。 陸上施設は国体が終われば原状回復して高校側に戻すため、路盤も簡易舗装で車両の乗り入れなどはできない仕様。駐車場は設置されず、観客輸送は土浦駅発着のシャトルバスでまかなうことになる。 観客輸送を含めた大会運営のリハーサルのため、26日から3日間の日程で高松宮妃記念杯第64 回全日本実業団ヨット選手権、第 20 回全日本セーリングスピリッツ級選手権、2018 年全日本セーリング選手権の3大会が開かれる。これに先立っての開所式で、県セーリング連盟の関係者は「これほど観戦しやすい会場はない」と太鼓判。ヨシの残る水辺から土浦市街地越しに筑波山が展望できる風景などが評判だった。 千葉繁町長は、「国体のための特設会場だが、湖岸のスロープと桟橋の一部は残るということなので、大会後も活用を図り親水空間づくりの足がかりにしていきたい」と意欲をみせた。19年国体のセーリング競技は9月29日~10月2日の4日間が会期、成年男子・女子、少年男子・女子の4種別で10競技が行われる予定だ。

湖の恵み持続的享受へ英知結集を 「霞ケ浦宣言」発表 世界湖沼会議閉幕

【池田充雄】15日からつくば国際会議場などで開かれていた第17回世界湖沼会議は19日に閉幕した。閉会式で大井川和彦知事(同会議実行委員長)は「生態系サービスを将来にわたって継続的に享受するためには、時代のニーズと変化に対応しつつ、各サービスのバランスを保つことが極めて重要だ。そのためには湖沼をとりまくさまざまな課題について、私たち一人ひとりが自らの問題として認識し、改善に向けて行動していくことが何よりも大切だ」とあいさつした。 会議には世界50カ国と地域から市民、行政、研究者、企業など約4000人が参加し、472の研究発表のほか幅広い展示、討議などが行われた。本会議に先立って8つのサテライト会場でシンポジウムやイベントが開かれ、市民ら4万2699人が参加した。それらの成果をもとに19日、世界の湖沼が抱えるさまざまな問題の解決に向けた考え方を世界にアピールする「いばらき霞ケ浦宣言」が発表された。 宣言は、2015年の国連サミットで採択された「持続可能な開発目標」でも湖沼の位置付けは弱く、極めて不十分であること、また、多くの湖沼が汚濁負荷の増加や流域開発、地球規模の気候変動などにより環境破壊が進んでいることなどを挙げ、湖沼から得られる恵みすなわち「生態系サービス」を将来にわたって持続的に享受できるよう、英知の結集を呼び掛けている。 そのための大原則が、生態系サービスの衡平(こうへい=均衡のとれた)な享受と、次世代への引き継ぎだ。特に後者では、今回の会議では小中高校生800人が参加した学生会議が開かれたことを受け、「私たちは、子どもたちも生態系サービスを衡平に享受するための大切なパートナーであることを認識し、彼ら次世代の自主性・主体性を尊重し、彼らの思い描く未来、そして現代に対する警鐘に真摯に耳を傾けなければならない」と説いている。 このほか、次回の世界湖沼会議が2年後の20年にメキシコで開催され、また21年にはセネガルで世界水フォーラムが開かれることを受け、両国の関係者があいさつに立った。

流域関係者が課題共有 世界湖沼会議霞ケ浦セッション

【鈴木萬里子】つくば国際会議場(つくば市竹園)で開幕中の「世界湖沼会議」4日目の18日は「霞ケ浦セッション」が行われた。持続可能な生態系サービスに向けた具体的な行動に連携して取り組むため、霞ケ浦流域関係者が霞ケ浦の抱える様々な課題を共有した。 セッションには13人から事例発表があった。「取り組みの現状や課題解決に向けた展望」として登壇した県生活学校連絡会会長の藤原正子さんは、日本の食品廃棄の約半分が一般家庭からの廃棄だとして、捨てられる食品を少なくし、食品ロスや廃棄食材について考えようと訴えた。賞味期限を過ぎた食材でも五感で判断して食べる工夫をしようなどと語り、食べ切り、使い切りのエコ料理ワークショップを開いている取り組みも紹介した。 事例発表後の質疑応答では、中国から来日した参加者からハス田に使う農薬や水質について質問などがあり、発表者と意見交換がなされた。 大ホール前ロビーでは35の団体や個人によるポスター発表が行われた。日本野鳥の会会員で土浦市の金澤まち子さんらは、霞ケ浦周辺のハス田の野鳥除け防鳥ネットにからまって死んだ野鳥などの写真を掲載し、人と野鳥の共存、生態系を守ることを訴えた。 日本野鳥の会茨城支部の資料によると2014年から5年間で7000羽強の野鳥の羅網死が確認されている。防鳥ネットを開けっ放しにせずきちんと張れば被害は防げるとし、ネットの正しい使用を呼びかけた。ポスター前には多くの参加者が訪れ、痛々しい野鳥の羅網死の写真にくぎ付けになっていた。 霞ケ浦セッションの日とあって、会場には流域の市民団体が多数参加した。潮来市から来場した潮来市地域女性団体の20人は「霞ケ浦を汚す一因ともなっている家庭排水の問題に取り組んでいて、廃油から作った粉せっけんを販売している」と話し、熱心にポスターを見て回っていた。 会場1階受付前には県の特産品である結城紬のブースが設けられ、着物の着付けのパフォーマンスがあった。海外からの参加者がうれしそうに袖を通す姿が終日見られた。

【クレオ再生問題】キュート、モグも売却意向

【鈴木宏子】つくば駅前商業施設クレオの再生問題で、五十嵐立青市長は18日、市民アンケート調査結果を発表したつくば市議会全員協議会で、所有者の筑波都市整備(同市竹園、石原孝社長)が、隣接の商業施設キュート(Q't)とモグ(MOG)をクレオと一体で売却したい意向であることを明らかにした。五十嵐市長は同社の取締役を務める。 これについて滝口隆一市議(共産)が、クレオには約160億円の抵当権が設定されており、キュートとモグにも共同担保が設定されている問題を指摘。「(同都市整備は)クレオを(市が出資するまちづくり会社に)38億円で売って終わりではない。会社としてどう窮地を切り抜けて、立て直そうとしているのか、明確にすべき」だとただした。 滝口市議によると、約160億円の抵当権設定のうち約62億円が、西武筑波店が撤退した昨年2月末に、本来そごう・西武に返還しなければならない保証金(敷金)で、同都市整備が返還できてないことから、キュートとモグに共同担保として抵当権が設定されているという。滝口市議は「(まちづくり会社が)38億円で購入しただけでは筑波都市整備は担保を払いきれない」「西武の保証金(入居当初の約53億円)はどこに使われたのか(明らかにすべき)」と指摘した。 五十嵐市長は「企業情報は開示できない」と突っぱね、「市がクレオを取得する際は、抵当権をはずせることは関係者に確認した」と話した。その上で「筑波都市整備は経営改善計画を策定しており、それに従った経営改善を目指していただいている。その一つが市が関与しているクレオであり、最悪の事態に対応できるのがクレオの再生」だと強調した。 これについて滝口市議は「(議会は)資料を読み込んだ上で判断していくことが必要。社内秘扱いで開示できないということでは、筑波都市整備の経営に疑念をもってしまう。(疑念があるまま)ものごとが進められては困る」としている。

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