火曜日, 7月 8, 2025

第70回土浦市美術展開幕 市民ギャラリーで初 力作374点一堂に

【鈴木宏子】県内で最も歴史がある市民公募型の美術展「第70回土浦市美術展覧会(市展)」が19日、JR土浦駅前、アルカス土浦1階の市民ギャラリーで開幕した。日本画、洋画、彫刻、美術工芸、書、写真など市民の力作374点が一堂に展示されている。 昨年11月末オープンした同ギャラリー第2弾のオープニング展として開催された。市展が同ギャラリーで開催されるのは初めてとあって、昨年度より約2割(55点)多い作品の出展があった。市内のほか県南の高校生から80代まで365人の作品が展示された。主催は同市美術展委員会(平田洋香委員長)など。 書家の平田委員長は「今年はそれぞれの部門で大きな作品が増えるなど、力の入った作品が増え、意気込みが感じられる。書の部門では(掛け軸などの)表具の仕方にも工夫が感じられ、(巻物にした)巻子(かんす)のかな作品も初めて登場した」と今年の特徴を話した。彫刻家の磯山芳男委員は彫刻作品について「等身大の作品や、木で魚を彫った木彫、漆を使った乾漆の技法、難しい技術がいる鋳造ブロンズ、テラコッタ(素焼きの塑像)など、いろいろな技法を使ったバラエティーに富んだ特徴ある作品が出てきている」と語っていた。 同展は戦後直後の1947年に始まった。市展を目指して日ごろの制作活動に励む市民も多いという。 友人と訪れたつくば市の無職、唐沢聰さん(70)は「個性を出した、いろいろな表現、技法、技術、描き方があると感じた」などと感想を話していた。 ◆入場無料。会期は28日(日)までの10日間。開館時間は午前10時~午後6時(最終日は午後3時まで)。会期中の土日曜(20~21日、27~28日)はギャラリートークが催され、市展委員を務めるプロの作家が会場で鑑賞のポイントなどを解説する。

農業法人みずほ、訪日外国人狙い新たな展開 成田空港に直営店、つくば周辺で民泊・収穫体験も

【斎藤茂】訪日外国人の増加が年々見込まれる中、つくば市の農業法人「みずほ」(長谷川久夫社長)が日本航空(JAL)と業務提携して新年からさまざまな取り組みを始めている。日本の農産物を外国人にもっと知ってもらい、消費拡大につなげようというのが狙い。 成田国際空港(千葉県成田市)では15日から主に東南アジアからの旅行客が往来する第2国際線ターミナルのJAL直営店で、みずほが用意した茨城産トチオトメや栃木産スカイベリーなどイチゴの販売を始めた。JALによると農産物の常設販売コーナーの設置は初めて。お土産を買い求めるインバウンド(訪日)旅客らに試食としてふるまったところ「甘い」と大好評。朝穫どりの新鮮なイチゴは1パック(10粒前後)1500円と高めだが、用意した60ケース(2パック入り)はあっという間に完売した。 バンコク(タイ)に直営店を持つみずほは、1月下旬から成田空港のJAL貨物便を使って果物の輸出を新たに始める。JAL専用の貨物便屋上に直接搬入することで迅速な輸送が可能となり、収穫した翌日にはバンコクの店頭に並べられるという。これまで他社の旅客便を使っていたが、店に届くまでに日数がかかり、輸送コストも高くついたという。 さらにJALと手を組んで、訪日外国人を対象につくば周辺の農場で果物の収穫体験をしてもらうグリーンツーリズムも企画している。日程は具体的ではないが、関連農場でイチゴをはじめ、メロンやブドウ、ナシなど旬の果物を民泊を兼ねて収穫体験をしてもらい、日本産果物のファン層拡大につなげていきたいとしている。 長谷川社長は「日本の農産物は迅速な空輸ができず、現地で新鮮なまま食べてもらうのが難しかった。訪日客だけでなく、海外でも可能になれば消費は伸び、輸出拡大につながる。ひいては農家の後継者育成にもつながる」と、今回のJALとの提携に夢を膨らませている。(終)

新たな5品認証 つくばコレクション

【橋立多美】つくばエクスプレス(TX)つくば駅自由通路にある「つくば市物産館」と「つくばの良い品」に、新たな「つくばコレクション」が加わる。両店には、市内の物産品の中でも特に優れた物産品として市が認証した「つくばコレクション」が主に陳列されている。 つくばコレクションは、地域経済の活性化と同市のイメージアップにつなげることを目的に、2011年から始まった取り組み。材料や製造などの産地や安全性、品質に応じた買いやすい価格、オリジナリティ、パッケージデザインといった基準に適合した商品が認証される。 2017年度、新たに5品が認証されて合計26品目の食料加工品が「つくばコレクション」として認証を受けている。学識経験者やスーパーマーケットの商業者、観光業者などで構成される選定委員会が審査を行うが、今年度は消費者である市民たちが一部の審査を担い、その結果を前提に5品目が認証された。 「つくばコレクション」はTXつくば駅構内の2店の他、カスミの市内各店舗でも販売されている。 新たに加わった5品は以下の通り(写真はつくば市提供)。 ○男女川 TSUKUBA100プレミアム(製造・稲葉酒造) 米は筑波農場産の五百万石を用い、筑波山の湧き水で製造。圧力をかけずに一滴一滴自然の重みで落とす袋吊り製法で生まれた「雫酒」。4320円(税込み)。 ○七福来ギフトBOX(エコファーム飯島) 福来みかんを使った「七味とうがらし」と「筑波八ツ房とうがらし」、瀬戸内海で精製された厳選塩と七味とうがらしを調合した「塩七味」を詰め合せたギフトボックス。1280円(同)。 ○元祖つくば餃子(龍神) 材料から調味料まで、地元の農産物にこだわった手作りギョーザ。1080円(同)。 ○つくば豚無添加ボンレスハム(筑波ハム) 研究者の指導を受けて誕生した「つくば豚」を高い技術力で無添加で提供。無添加ハムは美味しくないという概念を覆す。4500~5500円(同)。 ○つくば大吟醸バターカステラ(コート・ダジュール) つくばの名酒「霧筑波」の大吟醸酒粕を練り込み、酒粕の香りが残るカステラ(アルコールは飛ばしている)。2160円(同)。        

画家と彫刻家「二人展」開幕 牛久のギャラリー

【鈴木萬里子】水戸市在住の画家、横須賀幸男さん(63)と城里町在住の彫刻家、槙野匠(48)さんによる「二人展―Asyl(アジール)」が16日、牛久市ひたち野東のギャラリー「ART SPACE ある・る」で始まった。 アジールはドイツ語。ギリシャ語を語源とし、聖域、自由領域など特殊なエリアのことを意味する。横須賀さんは二人展のコンセプトについて「美術は、囲まれた幸せな領域ではなくなった。さまざまな制約を取り払って自分たちの自由な生活を作り出したい」と語った。 横須賀さんはアクリル画11点を展示。うち大作3点は昨年10月に描いた連作。「雲、風、霧が感じられる作品に仕上げ、上から見たエリア(聖域)を感じさせる画にしたかった」と話した。30年前からアクリルで製作しているのは、水を流したキャンバスに何層も絵の具を入れ、日本的な墨絵に近い表現にするためだという。 槙野さんの作品は8点のうち大作の「小さな川を渡る」が会場中央に置かれている。この橋を渡り横須賀さんの3連作の1番目「門をたたく」に至るよう工夫された展示となっている。 ◆開館時間は午前11時~午後6時、入場無料。20日(土)午後3時から同会場で「ギャラリートーク&ドリンクパーティ」が開かれる。会期は28日(日)まで。22日(月)休廊。問い合わせは電話029・871・7007(同ギャラリー)

愛国学園高のリンゴ型コロッケが優勝 龍ケ崎でコンテスト

【崎山勝功】コロッケによるまちおこしに取り組んでいる龍ケ崎市で、おいしくて、見た目もユニークなコロッケを競い合う「第5回コロッケコンテスト コロリンピックin龍ケ崎」(同市商工会主催)がこのほど、同市上町のにぎわい広場で開かれた。具にリンゴを練り合わせたリンゴ型コロッケを考案した愛国学園大学付属龍ケ崎高校チームの「AIRYUコロッケ」が優勝した。 同市は県内で最初に、ご当地グルメによるまちおこしに取り組み始めた。コンテストには市内外から計16組がエントリーし、書類審査を通過した10組が出場した。審査員や会場の市民らが「見た目」と「試食」の2点から審査を行った。 優勝したリンゴ型コロッケを考案した愛国学園高1年の和田奈津希さんは「たくさん練習して、みんなで頑張って、優勝できて本当に良かった」と笑顔で答え、同1年の高橋園花さんは「味付けが大変だった」と、納得のいく味を出すまでの苦労を語った。 惜しくも2位となったのは市立城南中学校チームの「ぎょうざコロッケ」。同中2年の菅原千聖さんは「味の審査で高い評価をいただけてうれしかった。入賞も難しいと思ったけど、2位になれてよかった」と述べた。同2年の信田レイナさんは「準優勝したことはうれしい。できれば優勝したかった」と悔しさを見せた。 3位は、調理師を目指す若者らが学ぶつくば栄養医療調理専門学校(牛久市ひたち野)1年の松田黎奈さん(19)=常総市=。同市のマスコットキャラクター「まいりゅう」をかたどったコロッケを出品した。松田さんは「もう一度チャレンジしてみたい」と再戦への意欲を見せた。   第5回コロッケコンテスト審査結果 順位 参加者・コロッケ名 優勝 愛国学園大付属龍ケ崎高チーム「AIRYUコロッケ」 2位 龍ケ崎市立城南中チーム「ドンと伝わる城南魂!うますぎぎょうざコロッケ」 3位 つくば栄養医療調理専門学校・松田黎奈さん「ギョウザコロッケ」 4位 一般・牧野朋子さん「いがくりコロッケ」 5位 一般・北島文男さん「ジィジィコロッケ」 6位 県立竜ケ崎二高・伊藤萌音さん「さつマロンチーコロッケ」 7位 県立竜ケ崎二高・山崎優衣さん「とろ~りとまらんトマトライスコロッケ」 8位 つくば栄養医療調理専門学校・平野理花さん「おでんコロッケ」 9位 つくば栄養医療調理専門学校・木村瑞紀さん「ミルフィーユコロッケ」 10位 一般・佐々木浩子さん「佐々木さんちのキャベツコロッケ」

「落ちない、滑らない」 マンホールカードで合格祈願を つくば市

【大志万容子】受験シーズン本番を迎え、つくば市は、合格祈願のお守りとして「マンホールカードと缶バッチ」300セットを、市役所(同市研究学園)1階水道お客様センターで無料配布している。 マンホールはふたが丸くて構造上穴に「落ちない」、しかも表面が凸凹していて「滑らない」ことことから、マンホールカードは全国的に合格祈願のお守りとして人気を集めている。 セットには、マンホールカードと直径38㎜の缶バッチ、市職員が合格祈願の願いを込めて作ったカードが入る。12日に市のホームページに告知し、新聞に掲載されたこともあり、16日午前までにすでに約50人がもらいに訪れたという。 同課では「受験生のお守りにしていただくと共に、少しでも下水道に興味を持ってもらえれば」と話している。 マンホールカードは、各地のデザイン性の高いマンホールのふたを全国統一規格のカードで紹介し、下水道事業のPRを図るもの。筑波山や宇宙船を配したつくば市のカードは2016年8月から配布をスタート、17年4月に開始した英語版も含め、これまで約5000枚を配っている。 ◆配布期間は3月31日(土)まで。午前8時30分~午後5時15分。先着順。問い合わせは、つくば市下水道管理課:029・883・1111(代表)

無料塾が資金集めバザー 市内に2カ所目の開設目指す つくば

【崎山勝功】つくば市内で学童保育と低所得・ひとり親家庭向けの無料塾を運営するNPO法人「居場所サポートクラブROBE(ロベ)」が14日、チャリティーバザーを同市上横場のつくばショッピングセンターアッセで開いた。収益を、無料塾の運営費用と同市内に2カ所目の無料塾開設費用に充てようと開催した。 会場には、同クラブに寄付された衣類、運動靴、羽毛ふとんなどの生活用品や、ランドセル、ピアニカなどの学用品が出品された。値段は一律1点100円以上、買い物をする側が値段を決めるというルールで、来場者たちが品定めをして購入していった。 バザーを主催した同クラブの森美智子理事長によると、今年の夏ごろをめどに同市吾妻地区に2カ所目を開設する予定という。同クラブでは2016年7月から同市谷田部地区で無料塾を開設している。運営する中で、他地区の子どもたちを受け入れる場をつくる必要性が出てきたという。「(つくば駅に近い)吾妻地区はバスなどの公共交通機関で通えるし学習指導ボランティアの筑波大生も来やすい」と話す。 現在、谷田部地区の無料塾には、約30人の小中学生が通っており、週2回「おにぎりボランティア」がおにぎりなどを差し入れし、学習と食育の両面で支えている。開始当初は「つくば市は税収が高い地域だから、そんなに困窮した世帯がいるのか」との声もあったという。開始当初は7人だった生徒がわずか1年半で約30人に増加。無料塾の開講で潜在化していた貧困が可視化された現実がある。 バザーは、2月12日と3月ごろにも同ショッピングセンターで開く予定。

ロウバイが見頃 筑波山梅林

【谷島英里子】筑波山中腹(つくば市沼田)にある筑波山梅林で、ロウバイが見頃を迎えている。斜面に数十本が植えられ、ろう細工のような黄色い花を咲かせて、甘い香りを漂わせている。訪れた人たちは、顔を近づけて香りをかいだり、写真撮影で青空とのコントラストを楽しんだりしていた。 同市観光コンベンション協会によると現在5分咲き。暖冬だった昨シーズンと比べ今年の冬は寒い日が続いているが、開花状況はほぼ平年並みという。園内では、開花が始まったばかりの早咲きの紅梅もちらほら見られた。 筑波山神社に夫婦で参拝に来たついでに梅林に立ち寄ったという筑西市の会社員女性(32)は「ロウバイは初めて見ました。一つ一つの花が小さくてかわいいですね」と話していた。 標高約250m付近にある梅林は広さ約4.5ha。白梅、紅梅、緑がく梅など約30種約1000本が植えられ、中腹からの眺望と筑波山の巨岩、梅とのコントラストが独特の景観をつくっている。今年の筑波山梅まつりは2月14日開幕する。

小田地区でどんど焼き つくば 「伝統残したい」

【鈴木萬里子】第30回小田地区どんど焼き(小田二十日会主催)が14日、つくば市小田、小田城跡歴史ひろばで催された。午後4時、日枝神社(土浦市澤辺)神主のお祓いの後、やぐらに火が放たれると、グォ~というものすごい音と同時に天まで届くかのような火柱が立ち、観客から大きな歓声が上がった。火の勢いが少し収まると参加者らが餅を刺した竹の棒を一斉に火にかざす姿が見られた。 どんど焼きは小正月(1月15日前後)に正月の松飾り、しめ縄、書き初めなどを長い竹やわら、茅(かや)で作られたやぐらに積み上げて燃やし、無病息災や五穀豊穣を祈る行事。この火にあたると若返る、焼いた餅を食べると病気をしない、燃やした書き初めの紙が高く舞い上がると習字が上手になり勉強もできるなどいわれている。 小田地区では30年前に地元の商人や事業主が中心となり同二十日会を結成、その会員らが立ち上げた。当初は12人ほどいた会員も現在は結束幸男さん(71)、小林宏さん(71)、河合満雄さん(67)ら3人になった。14日は友人、知人ら20数人がボランティアで参加し、クレーンを使い、高さ10mのやぐら作りや、豚汁作りなどに取り組んだ。 昨年から「小田城冬の陣」(つくば市教育委員会など主催)が同時開催され、和楽器演奏などのイベントも行われた。好評の豚汁は1日3回500食以上を無料配布した。火の回りではつくば市消防本部の職員が多数待機し、飛び火の消火に当たっていた。 ■「分別徹底し土浦も再開して」 伝統行事のどんど焼きだが、最近は担い手不足や、プラスチックなどを燃やすことなどから減少傾向にあるという。土浦市もプラスチックの分別が難しいことから今年から廃止となった(NEWSつくば1月12日配信参照)。 つくば市中心部から来場した30代の夫妻は「是非残してもらいたい。分別は個人の意識の問題、行政の徹底した周知が必要だと思う」と話した。近所の60代の男性は「周りが何もないところなので気にしない」ときっぱり。やぐら作りをした男性は「伝統を残していきたい。(プラスチックの分別の問題は)これから考えていかなければならないが」と話した。土浦から孫2人と来た60代の女性は「毎年土浦のどんど焼きを楽しみにしていたのに廃止になって残念。市民も分別を徹底して再開してほしい」と語尾を強めた。

県南5市町の司書が対決 土浦図書館で書評合戦 1位は―

【谷島英里子】本を紹介し合い、どの本が一番読みたくなるかを投票で競う書評合戦「ビブリオバトル」が13日、土浦駅前の市立図書館(同市大和町)で開催された。県南5市町の司書5人がそれぞれ本の魅力をアピールした。 本に親しんでもらおうと、開館記念イベントの一つとして土浦市立図書館が主催した。土浦のほか、かすみがうら、石岡、牛久市、阿見町の司書が出場し、読みたいと思った本を参加者約100人が投票で決めた。 第3次世界大戦後の未来を描いたフィリップ・K・ディックのSF小説「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」や、奈良時代の史実をもとにした久保田香里の青春ストーリー「駅鈴(はゆまのすず)」などが紹介され、司書が5分の持ち時間で面白さを解説した。 発表後、参加者から「何年前に発行された本ですか」、「ネタばれにならない程度に、一番怖いところはどこですか」などの質問が出ていた。 投票の結果、阿見町立図書館の司書、山下裕美子さんが紹介したウィリアム・グリルの児童書「シャクルトンの大漂流」が1位のチャンプ本に選ばれた。20世紀初頭、南極をめざして出航した乗組員たちの実話にもとづく冒険物語だ。山下さんは「うれしいです。本のすばらしさが(皆さんの)心に残ったのだと思います」と話していた。  

Most Read