金曜日, 9月 30, 2022
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土浦の旧村部に住む 先端企業会長の権右衛門さん【キーパーソン】

研究機関向けの電子顕微鏡や計測機器では世界有数の日本電子(JEOL)。その会長兼取締役会議長、栗原権右衛門さんの自宅は土浦市の旧村部にある。お盆休みに時間を取ってもらい、同社の製品や土浦・つくば地区との関わりについて聞いた。築170年の古民家(当主は代々権右衛門を名乗る)は栗林などで囲まれ、涼しい風が通る。 JEOLは一般向けの商品を作っている会社ではないので、どんな会社なのかあまり知られていない。しかし、国や民間の研究機関には必須の理科学・計測機器を製造していることもあり、研究者で知らない人はいない。代表的なものは高性能の電子顕微鏡だが、最近は高度な半導体製造装置も手掛け、この分野では世界トップクラス。 ノーベル賞学者にも解析装置を納入 最新の電子顕微鏡としては、タンパク質などの生体試料を凍らせたまま観察できる『クライオ(CRYO)顕微鏡』がある。その機能などは、本サイトの「創薬研究に産学拠点 筑波大 クライオ電子顕微鏡お披露目」(3月16日掲載)に詳しい。筑波大、東京大、大阪大、東北大、九州大などの有力大学のほか、国の主要な研究機関で使われている。気になる価格だが、1セット数億円するという。 「JEOLの看板は電子顕微鏡だが、営業担当の駆け出しのころ、私は有機化学構造を解析する『核磁気共鳴装置(NMR)』を売っていた。ノーベル賞をもらった野依良治先生(2001年化学賞)や大村智先生(2015年生物学賞)にも購入いただいた」「野依先生がある会合で『日本の化学が世界の上位にあるのは、日本には優れたNMRメーカーがあるからだ』と言われたときは、うれしかった。その会社はJEOLを指すからだ」

アカミミガメ捕獲中 つくば北条大池で防除調査

機械、金属、航空・宇宙、建設、農業など様々な部門の技術者の集まり、日本技術士会県支部(事務局・ひたちなか市、高橋正衛支部長)のメンバーらによって、8月中つくば市北条の北条大池でカメの捕獲と駆除が行われている。 同支部が霞ケ浦環境科学センター(土浦市)と連携して実施している市民活動支援事業の一環。「特定外来生物カミツキガメ(ミシシッピアカミミガメ)駆除大作戦」と銘打って、初日にワナを仕掛け、2日目に回収をして個体調査などをする「防除調査」という手法で行われた。 ミシシッピアカミミガメは、幼体のミドリガメが縁日などで販売され国内に広がったが、生長すると飼いきれず環境中に放棄され、湖沼など在来の植物種に食害などの被害を及ぼしている。侵略的外来種ワースト100の1つ。農業ではレンコンの食害が一部報告されている。 この駆除が北条大池で実施されるのは初めて。北条大池では現在、大きな被害は見受けられないというが、生物多様性の保全につなげることを目的に、防除調査が実施された。 ワナを引き上げる調査の様子=北条大池 元々はカニをとらえるためのワナという「カニかごワナ」を15カ所に、浮遊型捕獲装置1カ所に仕掛ける作業は県支部のメンバーによって行われたが、2日目の調査日には技術士6人のほか、一般参加者5人が加わった。農業用ため池の北条大池は霞ケ浦とつながっており、一体的な水域環境として考えられる。ミシシッピアカミミガメによる水環境や生物多様性の問題について知って欲しいため、一般にも参加を呼びかけたという。

冬以降、区域会議立ち上げ【スーパーシティって何@つくば】4

国のスーパーシティ構想のモデルは、世界的IT企業アリババが中国の杭州市で行っている未来都市や、グーグルがカナダのトロントでやろうとしてできなかった都市構想だと、内閣府スーパーシティ専門調査会委員の竹中平蔵慶応義塾大名誉教授は同委員会で述べる。 今回、第1号のスーパーシティには、「インターネット投票」を看板事業に掲げるつくば市と、大阪万博での「空飛ぶ車」の実現を掲げる大阪府・大阪市の2市が選ばれた。さらに岡山県吉備中央町、長野県茅野市、石川県加賀市の3市町がデジタル田園健康特区に選ばれている。 選んだ基準について国の専門委員会は、指定したはいいけれど、その後全然実現しないということがないよう、規制省庁と概ね合意した項目が複数があること、合意はしてないが今後議論が可能な程度に具体化した項目が相当数あることなど、規制改革に対する熟度の高い自治体を選んだとする。 なお国は、スーパーシティ特区の規制改革を利用しなくても、できることはどんどんやってほしいという立場だ。例えば今年、道路交通法が改正され、来年から自動配送ロボットなどの公道走行が加速するとみられている。できることは、つくばスマートシティ協議会(会長・大井川和彦知事、五十嵐立青つくば市長)が取り組む方針だ。 今後のスケジュールは、今年冬以降、国と市、事業者などで区域会議を立ち上げる。実際にどのような事業を行うかは区域計画(基本構想)を策定して決める。応募にあたってつくば市は、公募により50事業者と連携し事業計画をつくった。実際の事業者は改めて公募し、事業を実施する費用は、国の補助金などを活用しながら事業者や利用者が負担するとみられる。 議会議決で住民同意も

入り口はスマホアプリ「つくスマ」【スーパーシティって何@つくば】3

今年4月、つくば市役所のお知らせを発信する無料のスマートフォンアプリ「つくスマ(つくばスマートシティアプリ)」の配信が開始された。住んでいる地区、年代、家族構成などを登録し、個々人の登録内容に基づいて適切な情報を通知するというアプリだ。 市スマートシティ戦略課によると、7月25日時点の登録者は市人口の3%の約8400件。つくスマ同様、自動的に市役所等のお知らせを配信するプッシュ通知型のアプリは、守谷市、福島県会津若松市、東京都渋谷区や港区などですでに導入されている。他自治体のダウンロード数は数%か15%程度だが、つくば市は2024年度に20%を目指すという。 市議会6月議会一般質問では、せっかく機能があるなら、年代、性別、家族構成、住まい等、登録者の属性に応じて配信する内容を変えてはどうかという質問があり、五十嵐立青市長も前向きな答弁をした。 しかしまだ、市長の答弁通りとはいかないようだ。市スマートシティ戦略課は「つくスマのプッシュ通知は現在、部署ごとに配信している」とし、登録者の属性に応じて配信内容を変えているかについては「実際にそのような運用をしているかまでは把握してない。導入初期段階でもあるため、あまり条件を絞り過ぎると配信対象者数が少なくなるため、あらかじめ配信対象者数を確認の上、配信するようにしている」とする。 現在の配信本数は「職員がまだ慣れてないこともあり平均的な件数を挙げることはできないが、最近では多い時は1日5本程度」と同課。 さまざまなサービスを連動

吾妻70街区に近未来都市?【スーパーシティって何@つくば】2

「ここはスーパーシティの中で、グリーンフィードという、ある意味まっさらにしてそこから新しい街を立ち上げていく実証実験の場所」ー。来年度以降、売りに出されるつくば駅近くの国家公務員宿舎跡地、吾妻2丁目の通称70(ななまる)街区(約6ヘクタール)について五十嵐立青市長は、今年4月開かれた市民説明会で参加者の質問に答え、こう説明した。 グリーンフィールは、ブラウンフィールドと並ぶ、スーパーシティの用語。グリーンフィールドはこれから新たに街をつくるまっさらな土地、ブラウンフィールドは既存の市街地などすでに建物が建っている土地をいう。グリーンフィールドにはまだ住民が住んでない。スーパーシティでは、これから新たにグリーンフィールドに入居する住民に、例えば行動履歴や購買履歴などのデータを事業者に提供したり活用することなどを入居の条件にすることにより、街全体をデジタル化できることがメリットとされている。 ドローン、自動運転車行き交う 吾妻70街区では、どのような街の姿が描かれているのか。4月の市民説明会で五十嵐市長は「市としてまだイメージ図を描いているわけではない。いろんな企業からさまざまな提案をいただいたが、詳細は企業の皆さんからまだ言わないようにと、そういう制約もあったりする」とした上で、近未来の姿をこう話す。 「70街区には住宅地もないと民間企業が参入できないので、例えばマンションや商業施設、イノベーション拠点、クリニックなどがあって、マンションに住む方は、商業施設のものはスマホで注文ができ、敷地内ならドローンでベランダまで運んでくれるというようなサービスや、このエリアの中は完全自動運転でモビリティが動いて、移動が不自由な方でも自動運転で移動していけるというようなサービスをできるだけ詰め込んでいく。例えば、健康状況とか心拍なども提供すると自分に合った食事メニューが届くなども。そういうことを複合的にやる場所にしたい。事業の採算性もあるので、その辺含めて詰めていきたい」。 1年前の2021年5月に開催された国のスーパーシティ国家戦略特区ワーキンググループのヒヤリングでも五十嵐市長は70街区について「このグリーンフィールドに入居する住民は、原則としてサービスに参加する。ショッピングエリア等も考えているが、すべてマイナンバーカード等で様々なサービス提供を受けられるようにする。当然お店にもすべてキャッシュレス対応をしてもらい、現金は扱わないでもらう。あらゆるサービスをドローンで運んでいくということもあったり、医療のサービス等も考えられる。最初から住民側にかなり高い要求というか、期待値をもっていただいて、本当にゼロからつくり上げていくような場所にしていく。そこで成功事例をつくって、市内の他のフィールドに広げていくような役割分担もしたい」と説明している。同じヒヤリングで森祐介市政策イノベーション部長(当時)は「金融機関がこの開発に強い関心というか、やる気をもっており、単なる出資とか、融資の枠組みを超えて、自ら不動産業を営むような形で運営していきたいということまでおっしゃっていただいている」とも述べる。

「次の市長選、市議選は必ずインターネット投票を」【スーパーシティって何@つくば】1

つくば市が今年4月の閣議で「スーパーシティ」型国家戦略特区に指定された。7月15、16日には市内の商業施設、イーアスつくばで、市によるキックオフイベントが開かれた(7月15日付)。国に対し、つくば市がアピールした看板事業はインターネット投票だ。スーパーシティって何だろうか。 「3年後(2024年)の市長、市議会議員選挙で、必ずネット投票を導入したい」ー。2021年5月、オンラインで実施された内閣府の国家戦略特区ワーキンググループ(WG)のヒアリングで、五十嵐立青市長は国の委員らにこうアピールした。 国がホームページで公開している議事録によると、「昨年(2020年)市長、市議選が行われたが、投票率は過去最低の51%。20代前半が3割を切っている。70代に向かって投票率が上がっていくが、80代以上が急落して40%を割り込む。市内で高齢化率トップの地域の役員さんにいろいろ話を聞いたところ、投票所まで行けないというのが非常に多い。インターネット投票があれば助かるという声もいただいた。筑波大での調査でも約9割がネット投票を使いたいということだった」と五十嵐市長。 続けて、市内の学校の生徒会選挙で行われたインターネット投票の実証実験の実績を強調し、「スーパーシティ基本構想の住民投票でも、必ず(インターネット投票を)活用したい」とも述べる。 特区の委員は期待、総務省は難色 つくば市をスーパーシティに選んだ、内閣府国家戦略特区の専門調査会が、同市に最も期待するのもインターネット投票の実現だ。国の委員からは「このインターネット投票をぜひできるように、そうすれば非常に大きな目玉になる」(竹中平蔵慶応義塾大名誉教授)、「つくばに関してはインターネット投票、これは何とか実現しないといけない」(原英史WG座長代理)と口々に期待を語る。

臭い測定し病気診断目指す 物材機構発ベンチャー つくば

物質・材料研究機構(NIMS、つくば市)発ベンチャー企業、Qception(キューセプション、本社 同市千現 つくば研究支援センター内、資本金100万円)が5月に設立された。同機構の研究者でもある今村岳さん(36)が代表を務める。「ニオイを測る文化をつくる」をビジョンに掲げ、臭いを測るセンサーの販売と、臭いを測るためのコンサルティング事業などを展開する。 将来は、人や動物の呼気や汗、尿など、生体材料から出る臭いを測定し、病気の診断や健康管理を行うことを目指している。初年度の売り上げ目標は5000万円。 (左から)Qceptionの松阪秀喜 最高財務責任者、 今村岳代表、 吉川元起 最高技術責任者(同) 同機構では、研究者でもあり同社の最高技術責任者を務める吉川元起さん(45)らが、臭いを測定する「膜型表面応力センサ(MSS)」を2011年に開発して以降、センサーの実用化に向けた様々な産学官連携の取り組みを約50以上の企業や機関と共に行ってきた。センサーのチップ(集積回路の基盤)はすでに別の会社が生産し、代理店販売を開始している。

外来植物の花粉持ち込むハナアブ類 筑波実験植物園で繁殖上の懸念材料に

国立科学博物館筑波実験植物園(つくば市天久保)で、ハナアブ類304匹を捕まえ、その体表に付着している花粉を1個1個分離して調べたところ、116の植物種が突き止められた。ハナアブに最も多く付着していたのはセイタカアワダチソウとセンダングサの花粉だったが、この2種の外来植物は園内にまったく生育していなかった。園内で保全される植物に、異種間の花粉輸送をもたらしている格好で、繁殖上の問題を引き起こす可能性があるとの懸念が示された。 植物園は敷地面積14ヘクタール。約3分の2を占める屋外の植生区画は、常緑広葉樹林や温帯性針葉樹林、水生植物などの区画に分けられ、2000種に及ぶ植物の生育域外保全の場として栽培管理が行われている。研究は、これらの保全している植物について、花粉輸送を介した繁殖を視野にいれた評価と環境構築の指針を示すため、まずはハナアブ類による花粉輸送ネットワークを解明しようと取り組まれた。国立科学博物館の田中法生研究主幹(植物研究部多様性解析・保全グループ)、堀内勇寿博士(研究当時:筑波大学博士後期課程3年、国立科学博物館特別研究生)、上條隆志教授(筑波大学生命環境系)の共同研究による。 筑波実験植物園の水生植物区画を田中法生研究主幹に案内してもらった=つくば市天久保 ハナアブ類は広範な植物種に訪花する性質をもつ送粉昆虫。採集は2018年と19年の9月下旬~11月初旬に、小型粘着トラップを用いて行われ、304個体を捕らえた。その体表に付着した花粉は、顕微鏡での観察に基づき分類し、各花粉種につき1花粉粒ずつ単離してDNAを抽出、核と葉緑体から塩基配列を決定した。これを国内外で集積された塩基配列情報データベースと照合するなどして、花粉の植物種を突き止め(同定し)た。 一連の根気のいる作業は、研究当時筑波大学博士後期課程に在学中だった堀内さんが中心に担った。採集後1年半以上かけて照合に取り組み、ハナアブ個体と花粉種のネットワークを構築した。

つくばの坂路で実証実験 森林総研に電動四足歩行ロボット

森林総合研究所(つくば市松の里、浅野透所長)は28日、ソフトバンク(本社・東京都港区、宮川潤一社長)と取り組む「電動四足歩行ロボット」による実験を公開した。スマート林業の実現と脱炭素社会をめざし、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの委託を受け、21年度からロボットの歩行実験を行っていたもので、6月から研究所内の施設で実証実験を開始した。 取り組むのは「NEDO先導研究プログラム/農山村の森林整備に対応した脱炭素型電動ロボットの研究開発」。傾斜角度が30度までの斜面の上り下りが全自動で出来るアメリカ製の四足歩行ロボットを採用して、森林環境において、高精度な自動歩行がどこまで可能になるか、通信の改善をどのように実現するか、など実地に検証する。 造林作業向けに開発 従事者の高齢化や担い手不足から、わが国の木材自給率は40%程度に留まり、国産材の供給力の強化が林業の課題になっている。近年は特に木材を伐採した後、新たに苗木を植えての「再造林」が進まないことが悩みになっているそう。 抜根や下刈りなどに人手を要するうえ、傾斜地での作業となるため労働負荷が大きい。この「造林」作業にマッチした走行性能を有するモビリティーの開発を目指している。具体的には、シカの食害対策のため設置する防鹿柵の点検、苗木の運搬、森林資源の調査・計測などの作業を想定している。 21年度は森林総研と連携協定を結ぶ北海道下川町で、造林地や急傾斜地、積雪などの環境下で電動四足歩行ロボットの歩行能力について調査・検討を行った。一定の条件下であれば斜面や障害物などがあっても安定した歩行ができることが分かった。

3次元集積に足場 TSMCジャパン研究開発センター、産総研つくばにクリーンルーム

半導体の受託製造で世界最大手のTSMC(本社・台湾 新竹市)の子会社、TSMCジャパンは24日、つくば市小野川の産業技術総合研究所つくばセンター内に建設していた3DIC(3次元集積回路)研究開発センターのクリーンルームの完成を発表し、同日オープニングイベントを開催した。 半導体を立体的に積み重ねて高性能化を目指す「3次元化」技術を研究する。TSMCとしては台湾以外に初めて開設する研究拠点となる。総事業費370億円の約半分に当たる約190億円を日本政府が支援する体制を組んでおり、2021年3月に3DIC研究開発センターを設立した。これまでに旭化成や信越化学工業など国内24社の半導体関連企業が参加している。 台湾本社から魏哲家(シーシー・ウェイ)最高経営責任者(CEO)がつくば入りし、萩生田光一経済産業相と会談した。式典に臨んだ萩生田経産相は「かつて世界を席巻した日本の半導体産業は凋落(ちょうらく)著しい。過去を反省して国際連携に可能性を見いだした。3Dパッケージの技術に日本の装置、材料メーカーの支援を得てイノベーションを起こしていきたい」とあいさつした。 あいさつする魏哲家CEO(左)と江本裕3DIC研究開発センター長 式典には国会議員のほか、大井川和彦知事、五十嵐立青つくば市長、石村和彦産総研理事長らが出席。口々に期待を述べた。

ウクライナ避難民の心の支援に つくば生まれの「パロ」届く

産業技術総合研究所(産総研、石村和彦理事長)で誕生した、つくば生まれのアザラシ型ロボット「パロ」が、ウクライナ避難民への「心の支援」に役立とうとしている。「パロ」の発案者で研究開発者の産総研人間情報インタラクション研究部門、柴田崇徳上級主任研究員に1日夕、入った連絡によれば、ポーランド・ワルシャワの日本大使館で、避難民を受け入れている医療機関に「パロ」を届ける贈呈式が行われた。 贈られたアザラシ型ロボット「パロ」は、最新型のヨーロッパ向け医療機器版。1日(日本時間午後5時)、受け入れ先のマゾフシェ県神経精神医学センターとワルシャワ医療大学に、各2体が宮島昭夫特命全権大使から手交された。日本貿易振興機構(ジェトロ)のワルシャワ事務所を介し、産総研技術移転ベンチャーの知能システム(本社・富山県南砺市、大川丈男社長)の製造、寄贈による。 ポーランドの2医療機関へ 2月24日のロシアの侵攻により、紛争地からウクライナ国内や周辺国へ多くの人々が避難している。ポーランドには4月18日現在で、国外では最も多い280万人が避難したとされる。避難民へは「衣食住の確保」が最優先課題ながら、約3カ月が過ぎ「心の支援」も重要になってきている状況だ。爆撃、銃撃等による恐怖とその後のPTSD(心的外傷後ストレス障害)、避難生活や集団生活のストレス、今後の不安、抑うつ、孤独、興奮、不眠等の精神的な問題が顕著になっているという。 そこで、「パロ」のような医療機器で、避難民の「心の支援」を行えば、オリジナルの「人道的支援」を提供できると考えた。「武器の提供はできないが、日本らしい貢献になる」と柴田研究員。 「パロ」は、ぬいぐるみ状のアザラシ型ロボットの内部に様々なセンサーや電気回路、機械系統を組み込み、人工知能で制御される。産総研では1993年から、本物の動物を飼うことが困難な場所や人々のために、セラピーを目的に研究開発された。

教育現場のクラスターを早期に検知 リーバー、筑波大など4大学と共同研究

医療相談アプリを提供するリーバー(つくば市、伊藤俊⼀郎社長)は31日までに、筑波大学(つくば市、永田恭介学長)、京都大学(京都市、湊長博学長)、福島大学(福島市、三浦浩喜学長)、福島県立医科大学(福島市、竹之下誠一学長)の4大学と健康観察アプリ「LEBER(リーバー)」を活用した感染症クラスターの早期検知などをめざす共同研究に着手した。 研究は、主に教育現場における集団感染を早期に検知し、積極的検査につなげるアラートシステム「感染症AIサーベイランスシステム」の開発を目的としている。アプリ利用者の体温・体調管理データなどを解析するうえで、適切なAIの計算方法(アルゴリズム)を構築して、「リーバー」に組み込む研究だ。これにより、より早期のPCRや抗原検査に繋げての感染症クラスター予防や、アプリ内健康予報を通じてユーザーに的確な行動を促す仕組みを構築をめざす。 「リーバー」は24時間365日スマホで医師に相談ができる医療相談アプリ。学校向けには健康観察アプリ「LEBER for School」があり、児童・生徒の体温・体調データを収集している。全国約1300校に導入されており、つくば市では小中学校全校に普及し、保護者の9割に使われている。 リーバーによる体温チェックの画面と国内小中学校へのLEBER for School の普及度=リーバー社提供

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茨城ロボッツを応援しよう!《令和楽学ラボ》20

【コラム・川上美智子】スポーツには疎い方ですが、小学3年生の孫に誘われて「茨城ロボッツ」を応援するようになりました。保育園のころにサッカーでつまずいた孫が、小学生になってから茨城ロボッツのスクールに通うようになり、すっかりバスケットファンになってしまいました。 昨シーズンも、アダストリア水戸で行われたホーム試合は全て応援に行き、さらにYouTubeでそれぞれの試合を何度も何度も観戦して、試合運びを分析するほどの熱の入れようです。休みの日には、敷地内の小さな中庭のバスケットゴールで腕をみがいています。 そのような折、ロボッツから試合後の選手に提供するリカバリー弁当の話が舞い込みました。私がオープニングでプロデュースのお手伝いをした「レストランAOYAMA」(水戸市赤塚)のオーナーシェフ青山雅樹さんから、メニュー作成と監修の依頼がきたのです。そんな形でお役に立てればうれしい話と、早速、前職場の茨城キリスト教大学の教員に声をかけ、ロボッツの西村大介社長と詰めに入りました。 昨シーズンが始まり、ロボッツがなかなか勝てなかった時期の話で、昨年12月に6者協定の話がまとまり、年明けから「茨城ロボッツ・スポーツニュートリション 6者連携プロジェクト」がスタートしました。この取り組みが功を奏したのか、この後は、ロボッツが勝利する試合が多くなりました。 「食」の応援プロジェクトは3本柱 このプロジェクトの内容は、以下のようなものです。

不登校の子どもや保護者と支援者つなげたい 30団体がつくばで初の合同説明会

不登校など学校に悩みを抱える子どもや保護者と、支援者をつなぐイベント「不登校・多様な学び つながる“縁”日」が10月15日、つくば市流星台の桜総合体育館などで開催される。支援団体などでつくる「不登校・多様な学びネットワーク茨城つくばエリア」が主催する。支援団体による合同説明会と講演会などが催され、合同説明会は今回が初の試みとなる。 主催団体の石田佳織さん(43)は「支援につながれていない人が圧倒的に多い。複数の支援団体が協力し、より多くの人に支援を届けたい」と語る。 つくば市や近隣からフリースクールや親の会など約30団体が相談ブースを設置する。不登校の小中学生の居場所「つくし広場」を運営するつくば市教育相談センターもブースを設ける。ほかにフリースクールに通う子どもたちが企画ブースを設け来場者と交流を図る。発達心理学の専門家で恵泉女学園大学学長の大日向雅美さんによる講演会も予定されている。 支援者いると知ってほしい 「誰にも相談できずに苦しむ人は多い」。不登校の子どもの保護者を支援する「竹園学園”教室や学校に行きづらい子ども”の親の会」共同代表の中村規乃さん(47)が、当事者の声を代弁する。同団体は、同ネットワークに参加する団体の一つだ。 中村さん自身、不登校の子を持つ当事者。学校に行けない自身を責める子どもの気持ちを知り「学校に行って欲しいという思いと、学校に行かない子どもを認めたいという思いの間で苦しんだ」と当時を振り返る。

インターナショナルスクールを誘致 県、旧筑波小跡地に

秀峰筑波義務教育学校(つくば市北条)の開校に伴い2018年に廃校となった9小中学校の1つ、旧筑波小学校(同市国松)にインターナショナルスクールの誘致計画が浮上している。跡地利用についての意見交換会が9月に、2回にわたって同市沼田の働く婦人の家で開かれた。 開設を表明しているのは、東京都江戸川区で「グローバル・インディアン・インターナショナル・スクール(GIIS)」名で3つの学校を運営しているグローバル・スクールス・ファウンデーション(GSF、本部・シンガポール)。誘致しているのは、茨城県庁で国際渉外などを手がける営業戦略部。つくば市の経済部産業振興課を通じ学校跡地を貸借できないか打診してきた。 2回目の意見交換会は26日開催された。GSFの日本法人(株式会社組織)であるグローバル・インディアン・エデュケーション(GIE)から3人の関係者が説明に訪れ、県、つくば市の担当者らと、地域住民らの質問に答えた。約25人が参加した。 県によれば、つくば市周辺では半導体メーカーのTSMCジャパン3DIC研究開発センター(同市小野川)など世界的企業の進出が次々と決まり、外国人子弟の教育環境ニーズの高まりがあるとして支援する構えを見せている。「日本人生徒も数多く学ぶ学校で、地域への移住促進にもつながる」と誘致に動いた。 開設の意向を示したGSFに対し、県は市と調整し今春、校舎の耐震基準などを満たす市内3カ所の適地を紹介。夏までに旧筑波小跡地に絞り、今後の交渉を進めることになった。市は「地域に受け入れらなければ進められる問題ではない。今回の開催は説明会ではなく意見交換会。きっちり意見を聞いて、貸与について検討したい」との構えだ。 2018年に廃校となった旧筑波小

今、何をしているのですか? 前土浦市長の中川清さん【キーパーソン】

土浦市長を4期16年務め、現在は企業グループの「総帥」に復帰している中川清さん。市長を退いてから3年。新しい事業を考えているとの話が耳に入り、グループの会社が入る延増第三ビル(土浦市真鍋)を訪ね、いろいろと聞き出した。「経営者市長」は元の経営者に戻り、意欲的に経営戦略を練っている。 グループ主要社の社長と会長に復帰 中川グループ11社の主な会社は中川商事と中川ヒューム管工業。両社とも不動産管理会社・延増興産が所有するビルに本社を置く。年商は、商事が約230億円、ヒューム管が約100億円。今、中川さんは、商事の社長、ヒューム管の会長(社長はおいの喜久治氏=土浦商工会議所会頭)、興産の会長(社長は長男の弘一郎氏)に就いている。 グループの創業者は1922年に中川商店を起こした父の延四郎氏。先の大戦前、1部門として「鉄(筋)とセメントで造る」ヒューム管の事業を立ち上げ、戦後間もなく、中川商店を法人化して中川商事に改めた。今年は中川商店スタートから100周年になる。 農業、太陽光発電、ドローンに挑戦