月曜日, 6月 5, 2023
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社会人にも門戸開きオープン模試 茗溪学園

論理的思考力や発想力を採点 中高一貫の私立校、茗溪学園(つくば市稲荷前、宮﨑淳校長)で、一般参加もOKなオープン模試が行われている。中学校で習う出題範囲ながらも国語・数学・英語・理科・社会の5教科について、論理的な読解力、判断力、推論力、表現力を問うオンライン試験だ。29日まで、「ChatGPT(チャットGPT)では解答も採点もできない」という難問へのチャレンジャーを広く受け入れている。模試は「茗溪オープン2023」と銘打った。同校教育構想推進部、谷田部篤雄部長(35)によれば、学校オリジナルの模試で全国的にも例がないという。「なるほど、わかった、と学習で得られる感動があって、学びは人生の基礎となる」を掲げた同校の「アカデミアクラス(AC)」設立がきっかけだった。教鞭(きょうべん)をとっていると「学校で習ったことが企業に入ると使えない」現実があった。社会に出てからも学び続けることがますます必要になるこれから、学校で身に着けておくべき学力とは何か? との模索から同校に21年、開設されたのがACだった。その開設から3年目。中学校の全学年に2クラスずつACがそろい、志願者数を伸ばし、カリキュラムも整った。同校を特色づける教育となり、その趣旨を具体化する校内模試は中学生ばかりか、高校生も希望すれば受けられるようにした。22年度の模試では保護者にも門戸を開くと、約80人が参加したという。今回は学校外の中学生、高校生に限らず、一般社会人にも門戸を開いて初開催、その真価を世に問う形になった。その出題方針の1つは、東京大学をはじめとする難関大学の入試で求められる「論理的・抽象的な文章の総合的な読解力」「論理的・分析的な思考力」「試行錯誤的な総合的・創造的思考力」を問う。解き方を変えひねり出すための発想力が問われ、 中1生で解ける者もいれば、高3生でも解けない者も出てくるレベルの問題だ。逆に初歩的な知識の有無を問うだけの、授業や学校を離れたら意味を失うような、論理的な発展可能性の貧弱な問題は出題しないという。「理論的な基礎」を厳しく判定するために、記述形式はもちろんのこと、選択形式であっても初歩的な選択に誤ると一切の加点が得られない「地雷問題」のような採点をすることで、学習者の到達段階に対して多様なフィードバックを可能にするそうだ。各教科には制限時間があり、それぞれ100点満点(理科は2分野選択だと各50点)で採点。出題者を中心に教員が採点し偏差値まで通知するが、合否判定は特に行わない。「チャットGPTで試したが解答にならないことが多く、採点にも使えない」(谷田部部長)という。募集は4月1日から始まり、29日までが申し込み期間、受験時間となっている。所定のメールアドレスを通じ、試験問題と答案提出用紙をダウンロード、印刷して受験後に答案を返送する。これまでに約40人が申し込んでいる。(相澤冬樹)◆申し込みのURLはこちら。

「まずサイエンス高をテコ入れ」 つくばの市民団体要望に県教育庁

学級増はトーンダウン 人口が増加するつくば市で県立高校が不足している問題で、市民団体「つくば市の小中学生の高校進学を考える会」(片岡英明代表)は26日、森作宜民県教育長宛てに①現時点でつくば市周辺エリアの県立高校は学級数が15学級不足しているとして、高校改革プラン期間中の2026年までに15学級増やし、30年までにさらに10学級程度増やすこと②中学生が安心して進路選択できるよう学級増の計画を早急に示すことなどを求める要望書を提出した。 要望書を受け取った県教育庁高校教育改革推進室は「サイエンス高校の(定員割れの)状況がひじょうにショッキングな状況だったので、まずはそこをテコ入れしていかなくてはならない」とし、考える会が強く求めたつくば市周辺の県立高校の定員増に対しては「つくばエリア(の中学生)が増えていることは理解しているが、周辺地域を含め総合的に判断させていただき検討したい」との回答にとどまった。 昨年11月の県議会一般質問で森作教育長がつくば市周辺の県立高校について「中学生の進路選択に影響が出ないよう検討する」「適切な時期に県立高校の定員を増やしていくことが必要」と答弁したことを受けて(22年11月4日付)、市民団体が改めて学級増を要望した。一方、今年4月に開校したつくばサイエンス高校(旧つくば工科高)が、定員を2学級80人増やしたにも関わらず定員240人に対し72人の志願者しかなかったなど大幅に定員割れした事態を受けて、今年3月の県議会で森作教育長は「既存高校の魅力化を図ることにより志願者確保に努める」「つくばエリアの増よりも周辺エリアのマイナスの方が大きい」と答弁するなど、学級増に対する答弁をトーンダウンさせている(3月8日付、4月9日付)。 26日要望書を受け取った同改革推進室の増子靖啓室長は「要望について真摯に検討させていただくが、県の考えとしては、つくばサイエンス高校や筑波高校に欠員が出ており、我々のPRがうまくいなかったと反省しているが、魅力化を図って、来ていただける学校にしたいということが我々の取り組みの第一」だと強調した。 さらにサイエンス高について「『(普通科を希望する中学生が多いという)ニーズと離れているんじゃないか』というご指摘を(考える会から)いただいたが、つくばには研究機関がたくさんあり、大学進学のニーズもあることを踏まえ、学校を変えて定員増をしたが、結果として大変厳しい結果となったことは反省すべき点だと思っている」とし「一番残念だったのは、昨年の段階でPRした時、説明会にはたくさん来ていただいたが、(校舎が改修工事中だったため)実際の教室とか実習室とか、科学技術のために新しく整備したところを一切見せることができなかった。実際にこういう場でこういう授業ができるということを実際に見ていただければ中学生や保護者も違うのかなと思う」と話し、今年はサイエンス高のPRを強化するとした。

ウクライナ大使が筑波大で講演 避難学生と懇談も

駐日ウクライナ大使のセルギー・コルスンスキー氏が24日、筑波大学(つくば市天王台)を訪れ、日本人学生やウクライナからの避難学生、大学関係者ら約100人を前に講演したほか、ウクライナからの避難学生と懇談した。 同大は昨年4月にウクライナからの避難学生の受け入れを表明し、渡航費用や生活費を一部支給している。さらに学生宿舎の無償貸与、日本語学習プログラムの提供、カウンセリングの実施など、サポート体制を整えてきた。現在は、国立大学としては国内最多の42人を受け入れているなどから大使の訪問に至った。 講演では、ウクライナが誇る芸術のバレエや、卵の殻に花や鳥などを描き込んだ工芸品の「プィーサンキ」、郷土料理などを、スクリーンに写真を映しながら紹介し、ウクライナの歴史と、ロシアから侵攻を受け破壊された街並み、犠牲となった市民の姿に触れながら、戦争により傷ついた祖国の現状を訴えた。 大使はまた「侵攻後、最初に支援を表明したのが茨城県」であるとし「茨城とは特別な関係がある」との述べ、感謝の意を表した。今後の日本への期待として「日本の企業などとは戦後復興について、インフラ再建への投資など協力関係構築について協議をしている」とした上で、「難民の帰還への協力とともに、新しいウクライナを共につくっていくことを期待したい」と語った。 講演の後には避難学生との懇談会が開催され、大使から学生に「学生たちは、この大学で学ぶことができて、明るい未来があると私は思っています。しっかり学んでください。ウクライナはあなたたちを必要としています」とメッセージが送られた。 講演を取材した、同大の学生で筑波大学新聞の川上真生さん(19)は「ウクライナのことはこれまでテレビなどの報道で接してきたが、直接、話を聞いたことはなかった。講演を聞く中で、被害を伝える場面での声の強弱などによる感情の変化に接して、現状をよりリアルに感じられた」と話した。

不登校、親が悩み語り合う場を つくば 竹園で交流の場

つくば市竹園地区を中心に活動する「みちくさ~竹園学園“教室や学校に行きづらい子ども”の親の会」が、学校生活に不安を抱える親の悩み相談に乗っている。結成されて1年。父親たちも悩みを分かち合う「オヤジの会」を立ち上げ、交流の輪を広げようと活動している。 薄桃色の花が満開を迎えた庭に炭火焼きの煙が立ち上る。川村正二さん(45)が小銭と引き換えに手渡したフランクフルトに、子どもたちは大きく口を開けてかぶりついた。 フランクフルトの出店を企画した「オヤジの会」の川村正二さん 1日、同地区に住む川村さんと妻の真理子さん(38)が自宅近くで営むフリースクール「テラ子屋つくば」の1周年イベント。川村さんはこの日、「オヤジの会」のメンバーの父親とともに、フランクフルトをふるまった。 川村さん夫妻は昨年4月、「テラ子屋」を立ち上げた。市内の別のフリースクールと掛け持ちで小3~小6の子ども約10人が通っている。設立のきっかけは2年前の夏から次男(8)が不登校になったことだった。 ブラジリアン柔術の道場を営む川村さん自身は不登校を経験しておらず、最初は戸惑った。真理子さんは中学1年から不登校。高校を中退して大検を経て大学を卒業し、社会に出た。経験者だけに、不登校には理解があるつもりだった。

「愛情と根気育み動物のプロに」 つくば国際ペット専門学校で入学式

国内有数の動物分野の専門学校、つくば国際ペット専門学校(つくば市沼田、東郷治久理事長)の入学式が8日、つくば国際会議場で催された。東郷理事長は「動物のプロになるために必要なものは愛情と根気。皆さんが動物と日々触れ合っていく中で必ず育まれる。動物ペット業界を支え、けん引していく人材育成を目標に、皆さんの夢をかなえるために教職員一同尽力します」と祝辞を述べた。 ドックトリマー、愛玩動物看護師・動物衛生看護、ドッグトレーナー、ペットケア総合の4つのコースがあるペットビジネス学科に全国各地から205人が入学した。マスク着用は個人の判断となったことを受けて、教職員はマスクをしないで式典に臨んだ。マスクを着用しない新入生の姿も見られた。 記念撮影をする新入生ら=同 高橋仁校長は「皆さんはこの3年間、新型コロナに翻弄(ほんろう)され、我慢を強いられてきた。我慢の時間が終わりを告げようとし、自分の意思で日常を送ることができる世の中になる。これからは受け身ではなく自分から進んで学ぶ姿勢を意識し、自分が成長しているという実感をもって、新しい挑戦へのモチベーションとしてください」と式辞を述べた。 続いて在校生代表を代表してドッグトリマーコースの池田くるみさんが歓迎の言葉を述べ「学校にはたくさんの特色があり、恵まれた環境。自分の可能性が広がっていくことを実感している。一緒に学び、一緒に思い出をたくさんつくっていきましょう」と話した。 これを受けて新入生を代表し愛玩動物看護師コースの市田梨乃さんが「大好きな動物と関わる仕事に就くために抱いた夢への第一歩を踏み出すことができたのは、たくさんの方々の支えがあったから。動物が好きだからという気持ちだけではできない職業であることを肝に銘じ、互いを認め合い、支え合い、悔いの残らぬよう勉学に努め努力していきます」と決意を述べた。

320人に入学許可 プラニク新校長の土浦一高・付属中

県立土浦第一高等学校・付属中学校(プラニク・ヨゲンドラ校長)の入学式が7日、土浦市真鍋の同校体育館で行われた。3期生となる中学生80人、高校全日制240人の名が一人ひとり読み上げられ、入学を許可された。定時制を除く同校生徒数は中学239人、高校754人の計993人となった。 創立125年の同校は今春からインド出身のプラニク校長の新体制。茨城県の県立高校長公募の第1回で選ばれ、22年度から同校の副校長に就任していた。 新校長は羽織袴(はかま)の礼装で式典に臨んだ。校訓である「自主・協同・責任」に加え、ポジティブな姿勢、国際的な視野を持って学業やスポーツ、文化活動に取り組むのが「一高スタイル」だとし、新入生には「セルフマネジメントとタイムマネジメントをしっかりと過ごす」よう諭した。保護者には「毎日15分の体操と5分の振り返りを共にする」よう求めた。 新入生たちは大半がマスク着用で式典に臨んだ。高校新入生を代表して大久保祐紀さんは「コロナ禍で制限の多い中学校の3年間だった。乗り越えてきた自信をもって高校生活に臨みたい」と誓いの言葉を述べた。 総勢320人の新入生。前2列が中学生 式には大野金一同窓会長、塚本一也PTA会長らが出席した。在校生は吹奏楽部、管弦楽部、コーラス部の合同編成による校歌演奏で出迎えた。

週末の教室を地域開放 つくば香取台小、研究学園小・中学校で開校式

今年度開校のつくば市立香取台小学校(同市島名、塚本明校長)、研究学園小学校(同市研究学園、岡田太郎校長)と研究学園中学校(同所、板谷亜由美校長)の開校式が4日、それぞれの学校で行われた。式典では五十嵐立青市長や森田充教育長、五頭泰誠市議会議長らが挨拶し、校章や校歌が披露された。 3校はいずれも「地域と共に学び育つ学校」をコンセプトとし、体育館や家庭科室、図工室などの教室は休業日に市民へ開放することを想定した造りになっている。児童生徒数の増減に合わせて教室数を調整できるよう、空き教室が発生した際に別施設に転用がしやすい配置や普通教室に転用できる教室設計とするなど工夫を凝らした。 3校はまた、それぞれTX万博記念公園駅、研究学園駅の近隣に位置することから、災害時に帰宅困難者たちの受け入れが可能となるよう、自家発電設備や防災用井戸を導入して避難所としての機能を強化させたという。 松本俊明さん作曲の校歌も披露 香取台小の開校式で、五十嵐市長は「学校は子どもたちのものだけでなく、週末は地域の皆さんに使っていただけるように設計してもらった。さまざまな交流やコミュニティーを作る場所にしたい」と式辞を述べた。森田教育長は「さまざまな学びに耐えうるような空間にした。近代的でありながら木を使ってあたたかみのある校舎ができた」と告辞を述べた。

学長選めぐり 教員有志が人権救済申し立て 筑波大

2020年に行われた筑波大学(つくば市天王台)の学長選考過程で、同大や同学長選考委員会に法人規則を遵守しないなどの瑕疵(かし)があったなどとして、同大の教員有志でつくる「筑波大学の学長選考を考える会」(共同代表・竹谷悦子教授、吉原ゆかり教授)は14日、県弁護士会に人権救済申立てをした。考える会は同学長選で、大学の自治をないがしろにする手続きがあったほか、対立候補への言論弾圧の疑いがあったなどとしている。 2020年の学長選考では、当時現職2期目だった永田恭介学長が再選された。それまで2期6年が最長とされた学長任期上限の規則改正が2020年に行われ、その結果、永田学長が再選された形だ。申立てでは、この規則改正が法人規則を遵守せずに行われたとする。 さらに、選考過程で実施する教職員を対象にした意見聴取では、永田学長が584票、対立候補の松本宏教授(当時、現在は名誉教授)が951票と1.6倍程度の差があったにもかかわらず「学長選考会議はそれを無視して永田氏を再選させた」などとし、これらの過程が「大学の自治をないがしろにする瑕疵」だったと主張する。 ほかに、対立候補の松本教授が作成したウェブサイト上での発言に対し、2020年10月15日、同大が検証委員会を立ち上げ、それが学長選考とは関係のない人事上のことでも不利益な事項として考慮されたなど、「正当な言論活動を強度に委縮させる弾圧が行われた」と同会は指摘する。 松本教授は学長選考にあたって自身のウェブサイトで所信表明や教職員からの意見などを掲載していたが、「学内外への情報発信」に問題があるとする報告が同大の「教育研究評議会」においてなされ、その後、検証委員会が設置された。検証の結果、検証結果の手交及びウェブサイト上での発言について「筑波大学ソーシャルメディアガイドライン上、問題があった」ことを同教授に伝達することが決まっていた。考える会は、この経緯が松本教授のその後の名誉教授選考の場でも持ち出され、不利益な事項として考慮されたと指摘する。 考える会はこれまで、学長選考のプロセスについて2020年の学長選考の時期から、その選考プロセスの問題を批判してきていた(2020年10月21日付)。

マスクを脱いで巣立ちも 筑波大で4260人の卒業式

筑波大学(つくば市天王台、永田恭介学長)の卒業式・学位授与式が24日、大学会館で行われ、スーツや袴に身を包んだ生徒らが新たな門出の日を迎えた。22年度の卒業・修了者は4260人。マスクの着用については自由で、一部の生徒らはマスクを外して式に臨んだ。 式典は学群が2回と大学院が1回の3回に分けて実施され、永田学長から各学群の代表者に学位記や卒業証書が手渡された。卒業生と修了生のみが参加し、家族や在校生らは会場の様子をライブ配信で視聴する形となった。式典後の祝賀会は開催せず、謝恩会については大学側が自粛を求めた。 永田学長は式辞で、筑波大が東京高等師範学校の創設から数えて150年を迎えたことや、昨年から文部科学省より指定国立大学法人に指定されていることを述べ、「みなさんがそれぞれに新しい挑戦をすることこそが、本学の価値を世界に発信することであり、みなさんに続く後輩たちの活動の幅を広げていく」と激励した。 卒業式で式辞を述べる永田学長 人文・文化学群日本語日本文化学類の鎌田真凜さん(22)は「コロナ禍での生活は、これまでの当たり前を覆すことばかりだった。オンラインが中心となり、友人や先生方と顔を合わせることすら難しくなった時期もあるが、同じ思いや悩みを抱えた仲間がいることが何よりも救いになり、変わり続ける状況の中でも学びを止めることなく進み続けてこられた」と述べ、教職員や地域の人々に支えてくれたことへの感謝の意を伝えた。 式典の前後には、卒業生が在校生や家族らと大学会館脇に咲く桜を背景にして写真を撮影し、喜びを分かち合った。人文・文化学群で西洋史を専攻し、卒業後は就職するという河野太一さんは「時の流れが速く感じ、うまく言葉にできない。対面授業からオンライン授業、オンライン授業から対面授業への切り替えに慣れるのが大変だったので感慨深い。卒業後は仕事と趣味を充実させたい」と話した。人間学群心理学類に所属する女性は「大学院に進学するので実感があまりない。臨床心理士の資格を取り、将来は心理の関係で働くことができれば」と将来の希望を話した。(田中めぐみ)

聖地「イチグラ」お披露目 筑波大サッカー場改修完了 

人工芝の全面改修が完了した筑波大学(つくば市天王台)第一サッカー場が16日披露された。披露式典のあいさつに立った永田恭介学長は、「聖地『イチグラ(第一サッカー場のこと)』が新しい形で戻ってきた。(日本代表の)三苫選手や谷口選手をしのぐ選手が出てきてくれることを願っている」と祝辞を述べた。改修事業は今年、前身の師範学校創基から 151 年、大学開学 50 年を迎える同大記念プロジェクトの一環。 同大蹴球部は、1896(明治29)年に設立された高等師範学校フートボール部にはじまる127年の歴史を持つ日本最古のサッカーチーム。ワールドカップカタール大会に出場した三苫薫選手や谷口彰悟選手など、日本を代表する選手を多数輩出してきた。 一方で、開学と同じ1973年につくられた同サッカー場は、2004年に張り替えられた人工芝の劣化が進み、グラウンドの衝撃吸収や安定性が日本サッカー協会による基準値を下回るなど、練習環境としての安全性の低さが指摘されていた。人工芝がはがれた箇所でつまづくなどし、怪我をする部員も出ていた。その中で持ち上がったのが、今回の人工芝の全面的な改修事業だった。同大によると、改修にかかった約7000万円のうち、クラウドファンディングと寄付で4000万円、残りを地元企業などからの支援と大学の資金で賄った。 中山雅史さんら、協力呼び掛け 今回の改修事業への協力の呼び掛けには、現在J3アスルクラロ沼津で監督を務める元日本代表の中山雅史さんら、多数のOB、OGが協力した。学生が中心となりクラウドファンディングも立ち上がった。クラウドファンディングでは、想定していた1000万円を大きく上回る約1800万円が集まった。

マスクを外し涙も つくば国際ペット専門学校卒業式

つくば国際ペット専門学校(つくば市沼田、高橋仁校長)の卒業式が11日、つくば国際会議場(同市竹園)で行われた。ドッグトリマー、ドッグトレーナー、愛玩動物看護師・動物衛生看護、ペットケア総合の4つのコースで学んだ124人が卒業の日を迎えた。3年制の愛玩動物看護師コースの7人は同コースの1期生で、同コース初の卒業生となった。式ではマスクを外すことを基本とする一方、強制ではなく、半分ほどの卒業生がマスクを外して臨んだ。 東郷治久理事長は、昨年11月に学校の敷地内にオープンした動物医療センターに触れ、「このような素晴らしい実習施設などの現場で培った様々なスキル、制限された中で臨機応変に対応しながら過ごした時間はみなさんの今後の自信につながっていくことと思う」とはなむけの言葉を贈った。 はなむけの言葉を贈る東郷治久理事長 卒業生を代表してドッグトレーナーコースの重黒木綾可(じゅうくろき・あやか)さんが答辞。学校の文化祭「犬友祭」や研修旅行で試行錯誤しながら学んだことを振り返り、「私たちは知識や技術を学び、尊敬できる先生方が様々なことを教えてくれた。仲間、パートナードッグとの出会いは、全てかけがえのない財産であり、これからも心の支えになるものだと思います」と述べた。 答辞を述べる重黒木綾可さん

「ハードル高いと受け止めか」県教育長 志願者減のつくばサイエンス高

茨城県議会3月議会一般質問が7日開かれた。今年4月から科学技術の専科高に改編される県立つくばサイエンス高校(つくば市谷田部、現在はつくば工科高)の志願者数が減少した問題について、森作宜民県教育長は「開校初年度でもあり、進学実績が見えない状況にあったことや、『理系の大学を目指す』と掲げたことでハードルが高いと受け止められた」のではないかと答弁した。 つくば市の人口が増加していることを受けて、県は2023年度から同校の改編と併せて定員を2学級80人増やし240人にした。しかし志願者数は72人、志願先変更後の志願倍率は0.30倍だった。市内にある筑波高校も同じく40人を超える欠員が生じた。 森作教育長はサイエンス高について、今後は中学の教員などに聞き取りを行い、入試の結果を分析し、科学への探求心を育てていく学校であることを理解してもらうよう努めるとした。 さらに、サイエンス高、筑波高2校の定員を充足させる必要があり、既存の高校の魅力づくりによる志願者確保に努め、必要に応じて定員増を検討するとし、筑波高校については、ICT(情報通信技術)を活用したAIドリルによる個別最適化学習などにより、一人ひとりに寄り添った指導体制の充実に努めるとした。 星田弘司県議(いばらき自民党)と、宇野信子県議(市民ネットワーク)の質問にそれぞれ答えた。 市民団体がつくば市などつくばエクスプレス(TX)沿線に県立高校の新設などを求めている問題について森作教育長は「既存高校の魅力化を図ることにより志願者確保に努める」など従来と変わらない答弁を繰り返し、「つくばエリア(つくば、常総、牛久市など)に隣接する周辺エリア(土浦、下妻市など)では、つくばエリアの増加以上に中学卒業者の減少が見込まれることから、県立高校を新設する判断には至っていない」とした。さらに募集定員についても、現状をみるとつくば市の中学校卒業生は他エリア同様、市内だけでなく、広範囲の県立高校や私立高校など多様な選択肢の中から学校を選んで進学していることを上げ、そのような通学実態を考慮して、受け皿が不足することのないよう検討すると話した。

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博物館の歴史論争拒否、土浦市法務が助言 《吾妻カガミ》159

【コラム・坂本栄】今回は158「土浦市立博物館が郷土史論争を拒絶!」(5月29日掲載)の続きになります。市立博物館と本堂清氏の郷土史論争。博物館の論争拒否に対し、本堂氏は「(博物館がそう出るなら同施設を管轄する)市教育長に検討申請書を提出する」と反発しており、エスカレートしそうな雲行きです。 また取材の過程で、本堂氏を門前払いするようアドバイスしたのが市の法務部署であったと聞き、土浦市の博物館マネジメントにも唖然(あぜん)としました。論争を挑む本堂氏をクレーマー(苦情を言う人)並みに扱うよう指導したわけですから。 郷土史をめぐる主な論争は3点 私は中世史に疎いこともあり、市立博物館(糸賀茂男館長)の学芸員にこの論争の要点を整理してもらいました。 いつから山の荘と呼ばれたか ▼本堂氏:『新編常陸国史』(国学者中山信名=1787~1836=が著した常陸国の総合史誌)の記述からも明らかなように、「山の荘」(土浦市北部の筑波山系地域)の名称は古代からあったのに、博物館は同歴史書の記述を無視して同名称を古代史から抹消した。

阿見町の予科練平和記念館 《日本一の湖のほとりにある街の話》12

【コラム・若田部哲】終戦直前の1945年6月10日。この日は、阿見・土浦にとって決して忘れてはならない一日となりました。当時、阿見は霞ヶ浦海軍航空隊を有する軍事上の一大重要拠点でした。そのため、B29による大規模爆撃を受けることとなったのです。当時の様子は、阿見町は予科練平和記念館の展示「窮迫(きゅうはく)」にて、関係者の方々の証言と、再現映像で見ることができます。今回はこの「阿見大空襲」について、同館学芸員の山下さんにお話を伺いました。 折悪くその日は日曜日であったため面会人も多く、賑わいを見せていたそうです。そして午前8時頃。グアム及びテニアン島から、推計約360トンに及ぶ250キロ爆弾を搭載した、空が暗くなるほどのB29の大編隊が飛来し、広大な基地は赤く燃え上がったと言います。付近の防空壕(ごう)に退避した予科練生も、爆発により壕ごと生き埋めとなりました。 負傷者・死亡者は、家の戸板を担架代わりに、土浦市の土浦海軍航空隊適性部(現在の土浦第三高等学校の場所)へと運ばれました。4人組で1人の負傷者を運んだそうですが、ともに修練に明け暮れた仲間を戸板で運ぶ少年たちの胸中はいかばかりだったかと思うと、言葉もありません。負傷者のあまりの多さに、近隣の家々の戸板はほとんど無くなってしまったほどだそうです。 展示での証言は酸鼻を極めます。当時予科練生だった男性は「友人が吹き飛ばされ、ヘルメットが脱げているように見えたが、それは飛び出てしまった脳だった。こぼれてしまった脳を戻してあげたら、何とかなるんじゃないか。そう思って唯々その脳を手で拾い上げ頭蓋に戻した」と語ります。また土浦海軍航空隊で看護婦をしていた女性は「尻が無くなった人。足がもげた人。頭だけの遺体。頭の無くなった遺体。そんな惨状が広がっていた」と話します。 累々たる屍と無数の慟哭 この空襲により、予科練生等281人と民間人を合わせて300名以上の方々が命を落とされました。遺体は適性部と、その隣の法泉寺で荼毘(だび)に付されましたが、その数の多さから弔い終わるまで数日間を要したそうです。

牛久沼近くで谷田川越水 つくば市森の里北

台風2号と前線の活発化に伴う2日からの降雨で、つくば市を流れる谷田川は3日昼前、左岸の同市森の里の北側で越水し、隣接の住宅団地、森の里団地内の道路2カ所が冠水した。住宅への床上浸水の被害はないが、床下浸水については調査中という。 つくば市消防本部南消防署によると、3日午前11時42分に消防に通報があり、南消防署と茎崎分署の消防署員約25人と消防団員約35人の計約60人が、堤防脇の浸水した水田の道路脇に約100メートルにわたって土のうを積み、水をせき止めた。一方、越水した水が、隣接の森の里団地に流れ込み、道路2カ所が冠水して通行できなくなった。同日午後5時時点で消防署員による排水作業が続いている。 越水した谷田川の水が流れ込み、冠水した道路から水を排水する消防署員=3日午後4時45分ごろ、つくば市森の里 市は3日午後0時30分、茎崎中とふれあいプラザの2カ所に避難所を開設。計22人が一時避難したが、午後4時以降は全員が帰宅したという。 2日から3日午前10時までに、牛久沼に流入する谷田川の茎崎橋付近で累計251ミリの雨量があり、午前11時に水位が2.50メートルに上昇、午後2時に2.54メートルまで上昇し、その後、水位の上昇は止まっている。 南消防署と茎崎分署は3日午後5時以降も、水位に対する警戒と冠水した道路の排水作業を続けている。

論文もパネルで「CONNECT展」 筑波大芸術系学生らの受賞作集める

筑波大学(つくば市天王台)で芸術を学んだ学生らの作品を展示する「CONNECT(コネクト)展Ⅶ(セブン)」が3日、つくば市二の宮のスタジオ’Sで始まった。2022年度の卒業・修了研究の中から特に優れた作品と論文を展示するもので、今年で7回目の開催。18日まで、筑波大賞と茗渓会賞を受賞した6人の6作品と2人の論文のほか、19人の研究をタペストリー展示で紹介する。 展示の6作品は、芸術賞を受賞した寺田開さんの版画「Viewpoints(ビューポインツ)」、粘辰遠さんの工芸「イージーチェア」、茗渓会賞授賞の夏陸嘉さんの漫画「日曜日食日」など。いずれも筑波大のアートコレクションに新しく収蔵される。芸術賞を受賞した今泉優子さんの修了研究「樹木葬墓地の多角的評価に基づく埋葬空間の可能性に関する研究」は製本された論文とパネル、茗渓会賞を受賞した永井春雅くららさんの卒業研究「生命の種」はパネルのみで展示されている。 スタジオ’S担当コーディネーターの浅野恵さんは「今年は論文のパネル展示が2作品あり見ごたえ、読みごたえがある。版画作品2作品の受賞、漫画の受賞も珍しい。楽しんでいただけるのでは」と来場を呼び掛ける。 筑波大学芸術賞は芸術専門学群の卒業研究と大学院博士前期課程芸術専攻と芸術学学位プログラムの修了研究の中から、特に優れた作品と論文に授与される。また同窓会「茗渓会」が茗渓会賞を授与している。 展覧会は関彰商事と筑波大学芸術系が主催。両者は2016年から連携し「CONNECT- 関(かかわる)・ 繋(つながる)・ 波(はきゅうする)」というコンセプトを掲げ、芸術活動を支援する協働プロジェクトを企画運営している。 (田中めぐみ)