日曜日, 9月 24, 2023
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高校生4人、課題解決型インターンシップに挑戦 企業のSDGsを研究

  高校生を対象とした「課題解決型インターンシップ」が今夏、関彰商事(本社筑西市・つくば市)で実施され、23日、つくば市二の宮のつくば本社で成果報告会が催された。インターン生として参加したのは土浦日大高校1年のマレク・ラワハ・マナミさん、下館一高1年の富田にこさん、同2年の内山ひかりさん、茗溪学園高校1年の設楽桃さんの4人。報告会では集計したSDGsに関するアンケート結果の報告が行われたほか、同社の SDGsの取り組みを紹介するパンフレットの構成案が披露された。 課題解決型インターンシップは一般的なインターンシップの就労体験とは異なり、インターン生自身がテーマを設定し、受け入れ先でプロジェクトに加わり研究活動を行う。インターン生4人はSDGsを研究テーマに選び、同社は学生への情報発信に課題を感じていたことからインターン生に向けて「中学生に向けたSDGsのパンフレットを作成する」という課題を提示した。 7月から8月にかけて社員らとミーティングを重ねながら、在籍する高校や卒業した中学校の生徒を対象に県内の様々な企業の認知度やSDGsへの意識に関するアンケートを実施。また同社のオフィスや店舗を見学し、どのようなSDGsの取り組みを行っているかを調査した。 成果報告会ではアンケート結果を分析してまとめたスライドを示し、中高生の意識について分かったことを関正樹社長や社員らの前で発表し、質問に答えた。読み手となる中学生の意識を踏まえて考えたパンフレット案も披露。同社のカーボンニュートラルやダイバーシティ、スポーツを通じた地域活性化の取り組みなどを分かりやすく記載し、親しみやすいよう設楽さんが描いたイラストを添えた。今後、案をもとに同社で完成版を作って印刷し、中学生に配布する予定だという。 今回のインターンシップは、4月に開催された教育イベント「成蹊教育フォーラムinつくば」に参加したマレクさんが、登壇した関社長に「海外大学への進学を考えており、自己の成長につながる課題解決型のインターンシップを受けるにはどうしたらよいか」と相談したことがきっかけで実現した。近隣の高校に声掛けを行い、3校から4人の生徒がインターン生として参加した。

校舎新設や土浦一高の6学級維持など要望 牛久栄進高1学級増受け つくばの市民団体

来春の県立高校入試で、県教育庁が7月26日、牛久栄進高校(牛久市東東猯穴町)の募集定員を1学級(40人)増やすほか、筑波高校(つくば市北条)に進学対応コースを1学級(40人)を新設すると発表したのを受けて、市民団体「つくば市の小中学生の高校進学を考える会」(片岡英明代表)は31日、大井川和彦知事と森作宜民県教育長宛てに「ここを第一歩として、つくばの県立高校の入学枠を県平均レベルに合わせるため、学級増、校舎新設、県立高校新設を検討してほしい」など改めて要望した。 県教育庁は、つくば、つくばみらい、守谷、牛久市の一部などつくばエリアの中学卒業者数が増加傾向にあることから、牛久栄進高校(普通科)の募集学級数を来春、現在の8学級から9学級に増やすと発表した。県はつくばエリアの中学卒業者について今年3月は4229人だったのに対し30年3月には524人増えて4753人になるとしている。 定員割れが課題となっている筑波高校については、普通科3学級のうち1学級を、四年制大学進学を目指す「進学アドバンストコース」とするとした。 一方、これまでも学級増や高校新設などを要望してきた同考える会は、今回の県の発表について「一歩進んだ」としつつも、「(既存校に)校舎を新設しない、高校を新設しないという縛りがあるなら問題は解決しない」などとして、校舎新設、県立高校新設を検討してほしいと改めて要望した。 さらに来春は、中高一貫校になった土浦一高の募集が6学級から4学級になり、「牛久栄進が1学級増でも、土浦一高の募集が学級減では、全体としては県立高校入学が今年よりも困難になることは明らかだ」などとし、来春の土浦一高の募集定員について「せめて現在の6学級を維持してほしい」と求めた。

10代からの「スーパーサイエンスシティ」 つくば市、並木中等・茗渓学園と協定

10代から「スーパーサイエンスシティ」の担い手になってほしい―とつくば市の呼び掛けに、県立並木中等教育学校(同市並木、深澤美紀代校長)、私立茗渓学園中学校高等学校(同市稲荷前、宮﨑淳校長)が応じ、20日、3者間で協定が結ばれた。 協定締結式は、同市役所で行われ、五十嵐立青市長と両校長が協定書にサイン、森田充教育長、柳下英子市校長会会長が立ち会った。協定は「つくばスーパーサイエンスシティ」構想を推進する上で、若者の声を聴き、学生にも主体的に構想へ参画してもらうことを目的に、市が国際会議などあらゆる機会を通じ生徒たちに活動や発言の機会を提供する。スーパーサイエンスシティはAI(人工知能)やビッグデータ、モビリティーなどの未来技術を活用して地域の課題解決や活性化を目指す構想。協定締結式で五十嵐市長は「構想が想定する2030年には今の高校生は25歳になっている。少子化が進行する中で、次の世代というより、今から中心の世代として活躍してほしい」と意図を述べた。両校は今年度、文部科学省のスーパーサイエンスハイスクールに指定(2期目)され、これまでも市との連携・協働の取り組みを続けてきた。並木中等校では昨年7月、市の提案でインターネット投票による生徒会役員選挙が行われた。同市が実施を目指している公職選挙におけるインターネット投票の実証事業とされたが、学生の間でも「選挙への関心を深める貴重な経験になった」(西野遥香さん)という。茗渓学園はJRC(青少年赤十字)を中心にボランティア活動を展開しているが、その中でAED(自動体外式除細動器)に外国人が読み取れる操作マニュアルがないことを疑問に思った。高校3年の山本心愛さんによれば、現在翻訳中の英語版がほぼ完成しているといい、校内にとどまらず地域社会で使ってもらえるよう、市などと相談をしていきたいという。(相澤冬樹)

民間フリースクールに補助 つくば市が募集開始 不登校支援

つくば市は、不登校児童生徒の学習を支援したり居場所を提供する市内の民間フリースクールに、運営経費の2分の1などを支援する補助事業をスタートさせる。3日に補助金交付要綱を公表し申請受付を開始した。 家庭の経済的負担を減らし、民間フリースクールの経営を支えることで、不登校児童生徒の社会的自立を支援することが目的。特例として8月3日までに申請すると今年4月にさかのぼって補助金適用とする。 同市は、2021年12月に実施した不登校児童生徒の学習支援施設運営事業者の選定をめぐって迷走した問題を受けて、22年度に不登校支援のあり方について検討し、支援策の一つとして、民間事業者と利用者に支援する方針を決めた。 昨年、市内の小中学生が利用している民間施設8カ所を調査し、小中学生100人弱が利用している実態があったことなどから、今年3月、23年度当初予算として、民間への補助金4850万円と利用者への交付金2400万円の計7250万円を計上した。利用者100人程度への支援を想定している。昨年市内の小中学生の利用がなかった施設も含め、市内にある既存の民間10施設と、市に相談があった5施設に補助金交付について情報提供するとしている。 補助対象となるフリースクールは①月曜から金曜まで週3日以上開所する②午前8時から午後5時までの間に4時間以上開所し学習支援または居場所を提供する③不登校児童生徒の相談や指導に関して深い理解と知識、経験がある④学校との間に連携協力体制を構築できる⑤必要な施設及び設備がある、または準備できる⑥家庭と連携協力関係を構築できるーの6つの要件を満たすことなどが必要。 一方、フリースクール運営の実績や、スタッフの資格の有無や経験年数、施設の広さや設備など明確な基準は示されていない。これについて市教育局学び推進課は「フリースクールは発展途上で経験値はなく数字で推し量れない」とし、「(民間事業者は)手探りで多様な学習の機会を提供しようと活動されており、増加傾向にある不登校の児童生徒たちの居場所を広げていきたい」とする。

共同開発と実証実験施設建設へ 筑波大 つくば駅近くに2027年完成目指す

筑波大学(つくば市天王台、永田恭介学長)は29日、つくば駅近くの同市吾妻2丁目、筑波大職員宿舎跡地約3万3400平方メートルに、大学と企業が共同で開発研究と実証実験を一気に行うことができる施設「ITF.F(イマジン・ザ・フューチャー・ドット・フォーラム)」を建設すると発表した。2027年の完成を目指す。 施設は延床面積約4万3000平方メートルで、企業が研究機器などを設置し大学と共同研究する「研究スロット」(延床面積計約1万4000平方メートル)と、ドローンの実証実験も可能な縦横100メートル×70メートル、高さ22メートルの大きさがある「実証実験(POC)スペース」(同約7000平方メートル)のほか、オープンスペースなどを設ける。開発した成果をすぐに実証実験できることが特徴だ。 ITF.F施設の完成イメージ図(筑波大提供) 大学の研究成果から新商品をつくったり新規事業を創出するシーズドブリン型から、顧客ニーズに基づいてさまざまな企業と新規事業を創出するニーズドブリン型の開発研究を進め、大学の研究力によって、企業や社会の課題を解決し社会実装までつなげていくことを目指す。つくば市が推進している「スーパーシティ構想」とも連携し市の発展にも寄与したいとする。 当初、東京五輪開催の2020年を目指し、スポーツの試合やイベントなどを開催するアリーナの建設を計画していたが、収益性から計画を見直した。 大学債の発行によって調達した資金200億円(2022年10月12日付)などを活用して筑波大が建設し、入居企業から賃料をとって運営する。

小中学校のHP再開12月に つくば市 不正アクセスで停止

不正アクセスにより今年1月から閲覧できない状態になっているつくば市内全ての公立小中学校と義務教育学校48校のホームページ(HP)について、再び閲覧できるのは今年12月になる見通しであることが分かった。停止期間は異例の11カ月間に及ぶ。 小中学校などの教育情報ネットワークを管理運営している市総合教育研究所(同市大形)によると、各学校のこれまでのHPは同教育研究所が管理していたが、24時間監視できないなどから、これまでのHPを廃止し、新たに専門業者に委託する。8月以降、各学校で新しいHPを作り直して、12月から再び閲覧できるようにする。 6月議会最終日の23日、2023年度から28年度まで5年間の業務を専門業者に委託する予算と債務負担行為合わせて約2300万円を計上した。8月に委託業者の一般競争入札を実施し、契約後、各学校のHPを作り、12月再開を目指す。専門業者に委託することにより常に最新のセキュリティー情報を認識し不具体への対応を適切かつ迅速に実施するとしている。 不正アクセス後、同教育研究所が3月までに実施した調査によると、今年1月3日午後、香港のIPアドレスから侵入を受け、市内にある公立小中学校と義務教育学校計45校(当時)すべてのHPのログインIDとパスワードが書き換えられた。画面の改ざんなどはなかった。だれが、何の目的で不正アクセスし、ログインIDなどを書き換えたかは分からなったという。 不正アクセスを受け同教育研究所は1月5日、すべての小中学校HPを閲覧できないようにし、さらに11日、すべての学校のHPを停止した(1月11日付)。 HPが閲覧できなくなって以降、市教育局は各学校の必要な情報を市役所のHPに掲載しているほか、保護者にはデジタル連絡ツールを活用するなどして日々の連絡手段を確保しているという。

学び使ってみるAI つくば茗渓学園中で体験教室

AI(人工知能)について知り、作って使ってみようという授業が12日、茗渓学園中学校(つくば市稲荷前、宮﨑淳校長)で開かれた。今日さまざまな用途、活動の場面で使われているAI技術について学んだ後、AI活用の手法を実体験する2時間の授業。データを数多く収集して、推定と判断の精度をあげていく機械学習の実習などに挑んだ。 出前授業「AI教室」は、ソフトバンク(本社・東京)がCSR(企業の社会的責任)事業として全国各地で開いている。同校では「これから本格的なAI時代を生きることになる低学年(中学生)向けに特に体験を積ませたい」(内窪誠教頭)と中学2年生対象に受け入れ、7月にかけ6クラスでの実施を予定した。 今回はCSR本部の五十嵐祐二参与が講師を務め、同社がスマート家電やドローンサービス、医療現場などで活用しているAIがどのような考えで、どのように使われているかを紹介。「インターネットもかつて一部で使われ出した時代を経て、今あらゆる場所で使われるようになった。AIもその段階を踏んでいて、今は一部でも近い将来当たり前の時代がやってくる」と話した。 AIの普及により将来なくなる仕事、新たに生まれてくる仕事というテーマは中学生の関心を呼んだ様子で、人とAIとの働き方スタイルの組み合わせに質問が出るなどした。同社ではすでに新卒者の採用業務の一部にAIが取り入れられているという。 授業の2時間目は「識別系AIを作ってみよう」。今回は動画撮影により「教室に入るときにマスクをしているかどうか」をチェックするためのAI構築に挑んだ。生徒個々がマスクをした顔画像としていない顔画像を、アングルを変えるなどして撮影、それらのデータから解析の精度を上げていく。 PCに画像を取り込み認識精度をあげていく実習に取り組む

家族でも、認め合うって難しい【不登校、親たちの葛藤】下

長男は中2に進級すると、昌人さんと、ゲームを楽しむように。一緒にプレイするうちに少しずつ笑顔が戻ってきた。やがて、一日中、画面に向かいながら様々な相手と対戦し始めた。不登校の小学生や高校生、時には社会人も混じる。顔は見えないけど、うれしそうに対戦相手のことを話す様子を見て、夫婦に安心感が広がっていった。 やがて、仲の良い同級生に誘われ、映画に行ったり、一人で買い物に出かけたり、外出の機会が増えてきた。いつしか勉強への意欲も芽生え、興味がある科学系の本を図書館で借り、動画で実験を学び、少しずつ独学で勉強を始めた。 中3になると、別のフリースクールに週2回、休まず通い、秋から受験勉強に没頭した。試験に慣れるため、同級生と時間をずらして別室で定期テストを受験した。最初は疲労して途中で断念して帰宅していたが、次第に慣れが出て、最終的には全科目を受験できるようになった。 今春、全日制の志望校に合格。同じ中学に通う長女(13)の頼みに根負けして卒業式にも少しだけ出席。高校進学後は休まずに登校し、学校生活の様子を生き生きと語る。夫婦は長男の成長ぶりに目を見はっている。 夫婦で手を携え、長男を見守った日々。でも、ずっと気持ちが通じ合っていたわけではない。「学校へ行くように促したら?」。最初の頃、夫の一言に規乃さんはいらだった。長男の気持ちを受け止めていないように見えて、「もっとあなたが変わって」となじったこともある。 共に不登校を受け入れることでは一致していたが、昌人さんは規則正しい生活にこだわった。就寝前のスマートフォンは眠れなくなるからと禁止。夜、こっそり持ち出すと、注意した。規乃さんは「少し大目にみてもいいのでは?」と違和感を覚えたが、口は挟まなかった。

つくば中学受験事情 分析事始め《竹林亭日乗》5

【コラム・片岡英明】5月の「つくば子どもと教育相談センター」総会で県立高校問題を5分ほど話した。すると参加者から中学受験の質問があり、それを契機に話し合いが盛り上がった。そこで今回は中学受験について考える。 中学受験の背景 つくば市は人口増の中、県立高校が削減され、そこにTX沿線開発で小中学生が激増。さらに2020年から県立付属中設置で高校入学枠の削減が追い打ちをかけた。つくば市の小中学生は自分の進路の選択肢が狭くなり、そのために中学受験に目が向いているのか。 中学受験に対する首都圏からの転入増の影響はどうか。東京の全日制高校は186校の都立より245校の私立の方が多く、その割合は4対6。私学の流れが強い。さらに187校ある私立中の133校(71%)が中高一貫。東京の中学受験の文化がつくば市にも流入しているのか。 しかし、生徒や保護者が知りたい中学受験に関して冷静な情報は少なく、素朴な疑問が解消されないまま、塾ベースの宣伝や口コミに流される傾向がある。そのため保護者にも不安がある。 そこで、「つくば市の小中学生の高校進学を考える会」は6月の学習会で、つくばの県立高校不足の周辺の問題としてデータに基づいて中学受験についても考えることにした。

突然始まった【不登校、親たちの葛藤】上

突然、我が子が学校に行かなくなった。どうしよう―。子の不登校に、悩む親は少なくない。親子、夫婦の考えの違いが、時に、家族にきしみを生む。当事者である親たちの声に耳を傾けた。 親は困惑 「もう、学校には行きたくないんだ」。 3年前の9月。つくば市の中村昌人さん(44)、規乃さん(48)夫妻は、目の前で泣きじゃくる中1の長男(15)の訴えを戸惑いながら聞いていた。2週間前から学校で毎日のように体調不良で早退していた。少し様子がおかしいと思っていた。 行きたくない理由に、友人とのトラブルを挙げた。 「まさか、うちの子が不登校?」。信じられない思いだった。悪ふざけもするけど、明るい性格で誰とでも仲良くできるタイプだったはず。これまでも時々、行きたがらない日もあったが、休ませると、数日後には、自然に学校へと足が向いていた。

来年開学の日本国際学園大、米ノースウッド大と提携 筑波学院大で調印

来年4月に日本国際学園大学(学園大)として開学する筑波学院大学(学院大、つくば市吾妻、望月義人学長)で2日、米国ノースウッド大学と結ぶ協定覚書の調印式が行われた。ノースウッド大が日本の大学と提携するのは初めて。 来年4月の開学(22年12月1日付)に合わせて学園大の学生は、ノースウッド大に留学したり、両大学の学位を取得できるようになる。併せてつくばキャンパスにノースウッド大の留学生を迎えるなどする。 ノースウッド大は米国のほか、中国、スリランカ、スイスなどに国際プログラムセンターを設け、学位が取得できる英語の授業を行っている。さらにフランス、ポルトガルなどにも広げる計画であることから、学生は米国だけでなく各国の国際センターで学べるようになる。 開学に合わせて学園大は来年4月、つくばキャンパス(現在の学院大)にインターナショナルプログラムセンター(IPC)を開設し、留学や学生同士の相互交流について案内したり、米ノースウッド大学から留学生を迎えるための教育プログラムをつくる計画だという。 ノースウッド大はミシガン州にある私立大学で1959年に創設された。自動車マーケティング、ファッションマーケティングとマネジメント、保険リスク管理、eスポーツマネジメントなど、ビジネス分野のユニークな教育プログラムを提供する大学として知られる。特に自動車マーケティングは、学生が毎年モーターショーを企画、開催し、世界各国から現役の自動車ディーラーも訪れている。 2日の調印式では、学院大を運営する学校法人日本国際学園の橋本綱夫理事長と望月学長、来日したノースウッド大のリーブス真美子学長代理が協定覚書に調印式した。

理学部学生の男女比率差解消へ 筑波大など10大学が共同声明

筑波大学など10大学の理学部が25日、理学部の女子学生の割合が低い状況など、ジェンダーバランスの課題に連携して取り組むことを宣言し、同日声明を発表した。10大学はほかに北海道大、東北大、東京大、東京工業大、名古屋大、京都大、大阪大、広島大、九州大の国立大学法人の理学部。 ジェンダーバランスは、さまざまな分野で男女の格差を解消することを指す。国連は2015年から、持続可能な開発目標(SDGs)の一つとして「ジェンダー平等を実現しよう」を掲げており、性別に関わらず、個性や能力を十分に発揮することができる社会の実現を目指している。 一方、日本の大学理学部の女子学生の割合は低く、内閣府の男女共同参画白書によると2021年度の理学部女子学生の割合は27.8%、大学院博士課程は21.0%と他分野と比べて著しく低い。さらに過去10年間の女子学生の比率はほぼ横ばいだった。こうした状況の中、理学部におけるジェンダーバランスのとれた環境の実現に向けて、10の理学部が声を上げた。 声明は、性別や国籍などに関わらず、学びや研究を安心して進められる理学部をつくるために環境を整備し、学生をサポートして、理学部で学ぶことに対する不安を解消できるよう、大学生活や卒業後のキャリアの情報提供を充実させるなどとしている。 大阪府豊中市でオンラインを交えて記者会見した東京大学理学部長の大越慎一教授は「理学部における女子学部生の割合を高めるには、中高生やその保護者を含めた理学部進学の働き掛けや理学部の魅力を発信することが重要である」などとした。 また、理学部の中でも生物学は女子学生の割合が比較的高いのに対し、物理学や数学といった分野は女子学生の割合が低いことに言及し、「(性差の)無意識の思い込み」があると述べ、解消に向けて取り組む努力をしなければならないと話した。

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施設の補修・更新費34億円超 洞峰公園 つくば市、議会に示さず

長寿命化計画で県試算 つくば市が県から無償譲渡を受ける方針を示している県営の都市公園、洞峰公園(同市二の宮、約20ヘクタール)について、園内にある体育館、新都市記念館、フィールドハウス、管理棟の4施設だけで、2024年度以降の維持管理、補修、更新費用などが合わせて34億円以上かかると試算されていることがNEWSつくばの情報開示請求で分かった。県が洞峰公園の各施設の長寿命化計画を策定するにあたって2016年度に調査を実施し、各施設ごとにライフサイクルコストとして算出していた。 情報開示資料によると、各施設のライフサイクルコストは4月に県からつくば市に提供された。さらに6月には補修費用と更新費用の算出根拠となる材料費や単価などが市に示された。 これに対し市は、6月の市議会全員協議会(全協)や7月の市民説明会で、施設の更新費用について見通しを示さなかった。市は議会などに対し、日ごろの維持管理費について年間約1億5100万円かかるとし、施設の修繕費用については80年の目標使用年数を示しながら、「今後、施設全体で想定される施設修繕費の想定額は年間約3500万円程度となる」などと説明していた。今後15~25年間で計約5億8000万円程度の施設修繕費がかかるという試算だが、この数字は、県が算出した公園施設のライフサイクルコストの中の補修費用などを積み上げただけで、最も金額が大きい更新費用は含まれていなかった。 県が長寿命化計画策定にあたって調査し試算した公園施設のライフサイクルコスト。左は体育館アリーナ棟の建物を維持保全するのにかかる試算、右は新都市記念館の試算

喉によい桔梗湯《くずかごの唄》131

【コラム・奥井登美子】 「モシモシ奥井さん。お宅の薬局に桔梗湯(ききょうとう)ありますか?」 「あるわよ」 「よかった。処方箋を送るからよろしくね」 コロナ旋風で、メーカーの薬の品切れが多く、小さな薬局は薬の調達で忙しい。漢方薬までが品切れに入ってしまった。 電話の彼女は東京在住の薬史学会の友達で、外国に留学した人。薬剤師のくせに、フランス語もドイツ語も自由にしゃべれるすごい人。薬の植物成分についても詳しい。昔、彼女に仏パスツール研究所を案内してもらったこともある。

支払免除の19人から誤って給食費徴収 つくば市

経済的に困窮しているなどから学校給食費の支払い免除を受けているつくば市内の小中学校の就学援助認定者19人に対し、つくば市は22日、誤って7月分の給食費を徴収してしまったと発表した。 市教育局学務課によると、就学援助の認定は毎年6月までに申請を受け付け、7月に決定するため、4月から6月まで3カ月分の給食費については、保護者の口座から引き落とすなどし、認定決定後の8月に返金している。 7月以降は認定決定者に対して、給食費を口座から引き落とすのを停止したり、納付書を送るのを止めなければならないが、27人については教育局内で認定者の情報が共有されず、口座引き落としを停止するなどの手続きが漏れてしまったという。 市は8月31日、27人のうち19人から計8万1100円を引き落とすなどして徴収。その後9月4日に保護者の一人から市に連絡があり、発覚した。 市は、27人に謝罪の通知を出すと共に、実際に徴収してしまった19人に対しては至急、返金するとしている。 再発防止策として同課は、教育局内で情報共有し、さらに確認を徹底することで再発を防止しますとしている。

久しぶりのインドネシアで《文京町便り》20

【コラム・原田博夫】9月初旬、インドネシア大学を訪問した。専修大学の研究グループが日本学術振興会の助成を受けた若手研究者ワークショップに、アドバイザーとして参加するためである。参加国は、日本、インドネシア以外に、韓国、台湾、モンゴル、フィリピン、ベトナムなど7カ国に及んだ。 私にとっても、コロナ禍で学会出張(米カリフォルニア州)を直前で取りやめた2020年3月以来の海外である。実はこの間に、海外旅行に関わるいろいろな申請手続きが変わっていた。 海外旅行保険やビザも、電子申請が推奨されているだけでなく、(従来は機内で記入していた)入国時の免税申告も事前の電子登録が推奨されている。これらの変更は接触機会をできるだけ削減する効果もあるが、利用者にはこれらの申請に結構なストレスと時間がかかる。現時点では利用者の負担の方が大きい。 実際の現場でも、すべての利用者が一様には準備・対応できていないので、搭乗や入国の流れは必ずしもスムーズではない。 2015年(前回)以来のジャカルタの交通渋滞は、さらにひどくなっていた。ジャカルタ首都特別州の人口(2020年9月の国勢調査)は1056万人。近郊を含めると3000万人を超え、東京に匹敵しているが、増加は止まらない。その結果、ジャカルタの交通状態は“世界最悪”との評もあるが、基本都市基盤と人口増加が整合していないことがそもそもの原因ではないか、と感じた。具体例を三つ挙げてみよう。 首都移転は「打ち上げ花火」?