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奥井登美子

《くずかごの唄》61  精神安定剤としてコロナのお守り

【コラム・奥井登美子】東京にいる娘が、ガラス製の赤い派手なペンダントをくれた。よく見ると、花のような、きれいな円が散らばっている。 「ウイルス模様のペンダント、装飾品を扱っている友達につくってもらったの」 「いわれてみるとウイルス模様だわ、5種類のウイルスがいる」 「ママは家にじっとしていない。飛び回っていて、コロナが心配なので、友達に頼んでコロナのお守りをつくってもらったの」 「これ、お守りなの?」 「そうよ。これを首にかけて,コロナの防災と真剣に向き合って下さい」

《くずかごの唄》60 コロナの特効薬なしの現実

【コラム・奥井登美子】亭主は、製薬会社の研究所に勤めていたせいか、今でもメーカーの開発に関心がある。 「コロナ肺炎に、まだ決定的な特効薬がないのね」 「インフルエンザの時のタミフルみたいな薬、早く出てくるといいね」 「今、コロナにかかったら、処方箋に、何の薬が載るのかしら?」 「レムデシベルが効くという話。日本ではまだ許可されていない薬だから、アセトアミノフェンくらいしかないよ」 「大正8年のスペイン風邪の時はアスピリンしかなかったと、お母さんが笑っていたわ」

《くずかごの唄》59 スペイン風邪で日本人48万が死亡

【コラム・奧井登美子】「きょうはお祖父さまの命日。お花を忘れないであげて下さい」。2月10日、兄の奥井勝二から必ず電話がかかってくる。 兄は千葉大学医学部の外科教授であった。成田日赤病院の院長をしていたこともある。ものすごく忙しい人なのに、祖父の死は頭から離れないようだ。彼がまっすぐ医学の道に進んだのも、母親から何回も聞かされた、祖父のスペイン風邪による死がきっかけだったのかも知れない。 祖父の平沢有一郎は、茨城県初の薬剤師国家試験合格者。北里柴三郎は福沢諭吉の援助で、「土筆ヶ岡(つくしがおか)養生園」という日本初の結核療養所を芝の白金三光町につくるが、祖父は北里柴三郎を尊敬し、明治28年(1895)までそこに勤務している。 奥井家に婿に来て、薬局をつくった。娘の教育も国際的で、外国人と交際し、英会話を習得させ、外国に留学させる夢を持っていたという。しかし、1918年、流行のウイルス性疾患のスペイン風邪により、53歳で亡くなってしまった。 母は留学をあきらめ、薬剤師免許を取得して薬局を継ぎ、幼い妹たちを育てた。有一郎の死は、奥井家にとっても存亡の危機であったらしい。 世界の死者は2000万~4000万

《くずかごの唄》58 コロナ対策 医療崩壊をくい止めるために

【コラム・奧井登美子】 Sさんからの電話。 「コロナが怖くて、電話で再診察をやってもらいました」「大学病院のホームページに、再診に限り、電話診察をするってあったけれど、それを受けたの?」「そうです。あの混んだ待合室に行きたくなかったので、電話診察にしました」「わかる。わかる」「いつもと同じ薬の処方箋が、大学病院からおたくの薬局にファクスで届くと思います」「ファクス? 処方箋は公文書だから、FAXでの調剤は違反です。やったことがない。困っちゃうわ。本物の処方箋はどこへもらいに行けばいいんですか?」「そのことについては、病院側から薬局に説明があると思います」 ファクス調剤が、法律的に許されるのかどうか。薬剤師になって以来、初めてのことなので、私もどう対応していいかわからずに、少なからず惑ってしまった。 薬を扱う私たち薬剤師は、薬事法の厳しい規制に従って仕事をこなしている。新型コロナ肺炎のウイルスをくい止めるためには、医療関係者の1人として、かなりの努力が必要であることは覚悟しているものの、頭が変化のスピードについていけない。 処方箋が病院からファクスで届く

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コロナ禍困窮の受験生を応援 学費を最大4年間免除 筑波学院大

コロナ禍で家計が困窮し大学進学を断念せざるを得ない受験生に、進学をあきらめないでほしいと、筑波学院大学(つくば市吾妻、望月義人学長)は来年度から、学費を最大で4年間免除する新たな特待生制度を開始する。 ①高校の推薦を受けた成績優秀な生徒に、最大で入学金20万円と4年間の学費436万円の計456万円を免除する「指定校特待生推薦制度」と、②情報技術と英語の資格試験合格者にそれぞれ、最大で入学金のほか1、2年次の授業料を半額免除する「資格特待生制度」を創設する。 同大は現在も、入試の成績が優秀な学生を特待生として、初年度の授業料(71万円)の半額を免除する「一般特待生制度」を実施している。2021年度からはこの制度を大幅に拡大する。新制度は、経済的に困窮している家庭の生徒だけでなく一般の成績優秀な学生も対象となる。 「指定校特待生」は、同大が指定する県内外の167校の生徒が対象。同大を第一志望とし、校長が推薦する成績優秀な生徒に入学金や授業料を免除する。ただしテキスト代などは必要で、3年生に進級する際、成績等による再審査を実施する。 「資格特待生」は、新たな情報社会、Society(ソサエティ)5.0時代とグローバル化時代に活躍する人材を育てるため、情報処理技術者試験のITパスポート試験と、英検2級の合格者にそれぞれ入学金や1、2年次の授業料の半額を免除する。対象は各資格試験とも10人程度を見込んでいる。 同大は、経営情報学部ビジネスデザイン学科に「グローバルコミュニケーション」「ビジネスマネジメント」「地域デザイン」「メディアデザイン」「情報デザイン」の5つの履修コースがある。募集人員は計200人で、入試は学校推薦型選抜(推薦入試、募集人員50人)、一般選抜(一般入試、70人)、総合型選抜(AO入試、80人)がある。

夏休みの思い出づくりに スタジオ’Sが工作・イラストをウェブで提案

【池田充雄】関彰商事(関正樹社長)が地域の文化創造の場として運営している、つくば市二の宮のスタジオ’Sが「夏のキッズアート体験 2020-ONLINE(オンライン)」を開催中だ。家の中で楽しい時間を過ごすことができ、夏休みの作品づくりにも適している。 「キッズアート体験」は2016年から毎年夏と冬に体験型のイベントとして開かれてきたが、今夏は新型コロナウイルスの感染が拡大している状況から、ウェブでの開催となった。 シャカシャカカード(同) 2つあるプログラムのうち「おうちでワークショップ」は、家庭でできる3種類の工作メニュー「ガーランドカレンダー」「シャカシャカカード」「ビー玉めいろ」を紹介している。いずれも厚紙や段ボールなどを材料とし、型紙はスタジオ’Sのホームページからダウンロードできる。完成した作品や工作中の様子を写真に撮って投稿すると、オリジナルのスマホ壁紙がもらえる。また投稿写真のうち選ばれたものは、インスタグラムやホームページに掲載される。 ビー玉めいろ(同)

【高校野球代替大会を終えて】㊦ 「野球の力を感じた」

【伊達康】今大会は優勝してもその先に甲子園がないことが前提で開催された。小さな頃から甲子園でプレーすることを夢見てきた球児たちにとって喪失感は筆舌に尽くしがたい。 3月から5月半ばまでの学校の休校措置により春季大会は中止となり、多くのチームが通常の部活動すら行えない期間を過ごしてきた。 代わりに用意された代替大会。体裁上、表向きはみな優勝を目指して頑張るとは言いつつも、気持ちの整理を付け、失ったモチベーションを取り戻すことは容易ではなかっただろう。むしろ、モチベーションを失ったまま最後の大会に臨んだ選手がいたとしても不思議ではない。 大会中、何度か球場で取材をした。夏の大会では敗者は泣き崩れることが常であるが、今大会は敗者もそれほど泣くことなく、どこか達観した面持ちで球場を去る光景が見られた。 通常は、敗戦によって、もうこいつらと野球ができない、勝ちたかった、悔しい、無念だという様々な感情が押し寄せて泣きじゃくる者もいるのだが、今回は最初から甲子園への切符がない。敗者の感情の起伏という面からも今大会が持つ独特の雰囲気が感じられた。 「今が一番野球が楽しい」

《続・平熱日記》67 ヘビのはなし 「ハミ酒」のことなど

【コラム・斉藤裕之】我が家の台所に「ハミ酒」と書かれたラベルの小さな小瓶がある。マムシの酒である。故郷ではマムシのことを「ハミ」という。恐らく「はむ」「噛(か)む」からきているのだと思う。このハミ酒は弟から譲り受けたもので飲むためのものではない。実は虫刺されの特効薬なのである。 1年前の実話である。長女の結婚式に出席するために弟夫婦が上京する前日。ほぼぽつんと一軒家の弟宅で、運の悪いことに嫁さんが黄色スズメバチに刺された。それも顔面。すぐに器具で毒を吸い取り、ハミ酒を塗ったそうな。普通に考えれば人前に出られないほどに腫(は)れ上がるはず。しかし次の日の結婚式にはそんなことがあった?というほどに腫れも引いた、晴れやかな笑顔で写真に納まっていたのだ。 八郷のお寺の裏山で薪割りの作業中にお茶を差し入れてくださる奥様が、母屋の玄関にマムシが入ってきて騒動になったという話をされたので、こんな逸話を披露した。 「というわけでとにかく、毛虫やなにかの正体不明の腫れ痒(かゆ)みには、迷わずこのハミ酒をちょちょっとつけると間違いなく治ります。だから今度マムシを見つけたら是非お酒につけて…」と奥様に勧めてはみたものの、自分でやるかと問われれば「否」。思えば奥様も尼僧であることを忘れて、殺生を勧めるとは実に罰当たりであったと少々反省した。 SNS書き込みの「蛇足」「やぶへび」 さて、いつの間にか本堂に足場が組んである。長雨で雨漏りがひどくなり、ついに瓦を葺(ふ)き替えるとのこと。お寺の屋根の曲線は球が転がるのが直線よりも速い。なんとか曲線でアールと物理の先生だかが言っていたのを思い出す。