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奥井登美子
奥井登美子
コラム
日本の外科のルーツを探る 《くずかごの唄》122
2023年1月22日
コラム
幼い頃の食べ物 《くずかごの唄》121
2022年12月25日
コラム
止血のためのアドレナリン 《くずかごの唄》120
2022年12月13日
コラム
宇宙人とのつきあい《くずかごの唄》119
2022年11月19日
コラム
大学病院の救急救命室 《くずかごの唄》118
2022年11月4日
コラム
大動脈解離 医療と運 《くずかごの唄》117
2022年10月7日
【コラム・奥井登美子】夫が76歳のときだった。元気でジョギングが大好き。「東京で会議があるので、皇居のまわりを3周してから行く」といって出かけていった。 「モシモシ。奥井清さんのお宅ですか?」「ハイ」「こちら東京医科歯科大学病院の救急医のHと申します。奥井さんが救急搬送されました。検査をしたいのですが、家族のサインが必要です。15分以内に病院に来てもらいたいと思います」「意識はありますか?」「意識はありません。早くしないと呼吸が止まる可能性もあります」 病院は御茶ノ水駅の近くだ。空を飛んでいきたいが、それでも土浦から15分は無理。どうしよう。医者の兄は千葉で、1時間近くかかる。娘は世田谷。タクシーで30分はかかる。困った。 呼吸が止まるかもしれないと言われた。いったぃどうしたのだろう。タケちゃんしかいない。私は祈るような気持ちで、文京区白山の弟の加藤尚武に電話してみた。 「10分以内に行けるよ。大丈夫すぐ行く」 手早い技術と処置が命を救ってくれた
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コラム
松本清張につまずきそうになる 《くずかごの唄》116
2022年9月23日
【コラム・奥井登美子】今年7月の文藝春秋に「創刊100周年記念 文藝春秋が報じた事件事故の肉声」という企画があり、その一番初めに「下山事件」が載っている。国鉄総裁だった下山定則氏の轢断(れきだん)死体が発見され、他殺か、自殺かでもめた事件である。東京大学薬学部の秋谷七郎教授は他殺説。それを取材して報じたのが松本清張だった。 (私の夫)清の兄の奥井誠一は私の学生時代の先生。当時、私が通っていた東京薬科大学女子部は上野桜木町にあった。東大に近いので、講師の先生は東大の助教授が多かった。奥井誠一は秋谷教室の助教授だった。私たちは「裁判化学」を彼から教わった。 クラス委員だった私は、かなりずうずうしく講師先生の所に行っては、色々な交渉をした。クラスの中でも沖縄から来た人は、パスポートがないと自分の家に帰れない時代だった。1950年のある日、私は秋谷教室に行った。 当時の東大薬学部は古い建物で、廊下などは腐って穴が開いている。帰るときに奥井先生から「そこに人が寝ているから、つまずかないように」と注意された。穴の開いた廊下の隅に男の人が寝ていてびっくりした。 「取材に来て、分析が終わっていないので帰ってほしいと言ったけれど、帰ってくれないんだよ。困ったなあ」。後で聞いたのだが、私がつまずきそうになった人は松本清張だった。
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コラム
銀座通りの火の玉 《くずかごの唄》115
2022年9月10日
【コラム・奥井登美子】9月1日は防災の日。私は防災用品の点検をする日にしている。関東大震災を知っている人はいなくなってしまったが、子守歌代わりに震災の恐ろしさを聞いて育った私にとって、忘れられない日なのだ。 父は子供が大好きで、慶應義塾の学生時代、近所の子供たちを集めて、水泳を教えたり、絵本を読んだり、藤友会という「こども文庫」みたいなものをやっていた。母は、弟たちを藤友会に連れて来て、父と親しくなり結婚したらしい。 大正12年(1923)9月1日。20歳の母は妊娠8か月。東京中央区新富町に住んでいた。お昼時。食事をしようとしたら激震。周りは木造の家屋。竈(かまど)で薪(まき)をくべて煮炊きする時代だったから、地震でつぶれた家屋から発火し、引火して、町のほうぼうが火事。逃げるしかない。父と相談し、目の悪い姑(しゅうと)の手を引いて、3人で皇居前広場を目指して避難することになった。 火事の火を避けて歩いていたけれど、銀座通りを横切る時。すごい風が火の玉となってぶつかってきて、危うく死にそうになったという。 皇居前広場のあたりは、昔、三菱ヶ原と呼んでいた。父が子供の頃、トンボ取りをした原っぱがあったという。新富町あたりの子供たちは、4キロくらい離れた皇居前まで遊びに行っていたらしい。皇居前広場はたくさんの人が避難していて、喉が渇いて水が飲みたかったが、某国人が井戸に毒を入れたから井戸水は飲むなという「オフレ」が出て、つらかったという。 父は足を棒にして友達の家を探し回り、慶應同級生の亀山さんの目黒の家が焼けずに残っていたので、その家に転がりこんで、お世話になった。母は芝公園の中の仮設産院で兄を出産した。着るものがないので、亀山さんの妹の跡見女学校の制服を着ていったという。兄の加藤尚文(故人、経済評論家)の戸籍謄本には、出生地芝公園内2号地と書かれていた。
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明治初めの悪疫除け節《くずかごの唄》114
2022年8月18日
【コラム・奥井登美子】古い引き出しの中から、「悪疫除けひとつとや節」「明治12年7月9日虎列刺(コレラ)病予防商議として出縣申付候事 茨城縣」の2枚の紙が一緒に出てきた。 明治12年に茨城県にコレラ病が流行して、その時に皆が口ずさんだ「ひとつとや節」なのかも知れない。読めない字ばかり、ギクシャクしながら、何とか読んでみると、143年前なのに、今のコロナにも当てはまる部分がチラチラ。 そのころの日本人は流行病も唄にしてしまっていたのだ。テレビで、コロナの「ウイルス除けひとつとや節」をやれば、面白いに…。 悪疫除けひとつとや節(作者 清水近前人) 1つとや ひとをそこねるコレラ病 撲滅(ぼくめつ)させるはじん力ぞ 2つとや ふだん注意を怠るな 喰物(くいもの)衣類を清潔に
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ムシたちにも過酷な夏 《くずかごの唄》113
2022年8月5日
【コラム・奥井登美子】 「今年の夏はゴキブリが台所に出なかったの、お宅はどうですか?」 「ゴキブリ? そういえばいつもの年より少ないかなあ」 コロナで、図書館でも、スーパーでも、どこへ出かけても体温を測っているけれど、その体温よりも気温が高いなどということは今まであまりなかった。 6月末から7月初め、気温が、人間の体温よりも高い日が何日かあった。我が家の庭の山椒(さんしょ)の木に、毎年たくさんイモムシが発生するが、今年は1匹もいなかった。昆虫の世界も、酷暑で、何か変化しているらしい。 熱中症を起こして救急車で運ばれる人が、がぜん多くなってしまった。我が家では居間にクーラーがなかった。クーラーの大嫌いな亭主が許可してくれなかったのだ。しかし、今年はクーラーがないと熱中症になってしまいそうで、とうとうクーラーをつけてしまった。
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国蝶オオムラサキの不思議 《くずかごの唄》112
2022年7月22日
【コラム・奥井登美子】「どんぐり山」は、2003年に霞ケ浦の水の浄化を願って、かすみがうら市の加茂に、皆で、どんぐりを蒔(ま)いた森である。1500本のクヌギ苗を植えたが、森林総合研究所の指導で、次の年には間引いて500本にした、 しかし、下草刈りが大変だった。東京の台東区の人達にも手伝ってもらって草刈りをした。ご近所の農家の人たちから、農薬を使うことを勧められたが、使わなかったのは、カブト虫など森の昆虫たちに期待したからである。農薬を使わなかったおかげで、いろいろな昆虫が発生し、2007年にはオオムラサキがクヌギの甘い汁を求めてやってくるようになった。 オオムラサキはエノキの木にタマゴを生み、4回も変身して冬を越し、かわいい角を掲げた幼虫が、その後2回も変身してチョウになる。昔は、エノキが一里塚として方々に残っていたらしいが、エノキの木も少なくなってしまった。エノキの木を、どこで、どう、ほかの木と区別してタマゴを生むのか、よくわからない。幼虫はエノキの葉だけを食べて大きくなる。 雄のチョウの、紫色のだんだら模様の色の美しさは、個性的で、芸術的。さすが、日本を象徴する国蝶(こくちょう)だと、納得する。 山の観察会では虫をムシしない 2008年から昆虫観察会が始まった。子供たちを集めてどんぐり山で昆虫を手でつかまえる。木にしがみつくカブトムシを、木からはがして、暴れる虫をゲットするときの、手の感覚と気持ちの高まりは味わった人しかわからない。パソコンやゲームで遊んでばかりの今の子供たちに、自然の虫と木の皮膚感覚を味わってほしいのだ。
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ウクライナのニュース 《くずかごの唄》111
2022年7月3日
【コラム・奥井登美子】 「毎日、ウクライナのニュースを見ていると、僕はどういうわけか、丸木さんがあのニュースを見て何を言われるか、知りたいと痛切に思うようになってしまった」 「ご夫婦で原発の絵を担いで、世界中を行脚して回っていらしたわね。ウクライナはいらしたのかしら?」 「さあわからない…。2人とも、人類の悲劇を実際に見て、絵にしたんだもの、すごい人だよ。昔、位里さんと俊さんが、2人でうちへ来てくれた日のことも、つい、昨日のように思い出してしまう」 土浦市の奥井薬局の2階で、「丸木位里(いり)・俊(とし)展」をやったことがあった。250人もの人が駆けつけてくれて、盛況だった。お2人は我が家に泊まって、おしゃべりして、家のふすまが白いのを見て、刷毛(はけ)と墨汁(ぼくじゅう)を使って、大きな絵を描いてくださった。 生前葬やったの、覚えている?
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人生 最後まで自分らしく 《くずかごの唄》110
2022年6月17日
【コラム・奥井登美子】『死を迎える心構え』 加藤尚武(京都大学名誉教授・哲学)著。弟のタケちゃんの書いた本なので、亭主と2人でなめるようにして何回も読んだ。 『死を迎える心構え』PHP研究所 第11章「人生の終わりの日々」の一節。「…未来がなくても未来があるふりをする。ほんとうはたったひとりでこの道を歩いていくのだ。自分で自分に語りかける毎日。思い出という襤褸(ぼろ)をつないで物語をつくって、その物語の世界に垣根を作って、思い出の中を一人で歩いている時が楽しい…」 生まれる時は自分で選べないが、70年、80年、歴史の中を歩いてきて、死ぬ時くらいは最後まで自分らしく死にたいと思う。 昔は、老衰で、すべての内臓の能力に限界がくると、その人の個性を残しながら、その人らしい最後を迎えられたものなのに、今の医療制度は、なぜかそれを許してくれない。
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コラム
老人食のむずかしさ 《くずかごの唄》109
2022年6月3日
【コラム・奥井登美子】「今日のぬかみそはナスにしてくれ」。ナスのぬかみそ漬けくらい難しい漬物はない。色がすぐに変わってしまう。それなのにうちの亭主は、食べたくなって叫んだら、2~3分のうちに色のよいナスを出さないと怒る。 亭主が製薬会社の研究所に勤務していたころ、日仏薬学会の事務長をやっていた。フランスのシラク大統領が来日した時も握手してもらったらしい。 当時の日仏薬学会の会長は東京理科大・薬学教授の辰野高司先生。辰野先生は、おじい様が東京駅を設計した辰野金吾氏。父上は東大のフランス文学者・辰野隆先生で、フランスに対する思いがハンパな人ではなかった。 亭主は高司先生に、フランス人との付き合い方を手に取って教えていただいたおかげで、ワインの選び方、フランス料理に使うチーズの種類などにも詳しくて、私も彼に教わって、家でフランス料理風のニセ料理をせっせと作ったものだった。 仏壇はしょうゆつぎの隠し場所 そのフランス通が85歳を過ぎてから、自分が幼いころ食べていたものだけが食べ物だと思い込むようになってしまった(幼いころの食べ物だけが食べ物と思い込む老人は多いらしい)。味付けはしょうゆとみそ。昔の人がよく食べた、ぬかみそ漬けが大好きで、白いご飯に漬物、半熟の卵があればいいと言う。
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死に方が選べない時代 《くずかごの唄》108
2022年5月20日
【コラム・奥井登美子】死に方を自分で選ぶのが難しい時代になってしまった。コロナの流行がそれを加速してしまっている。人生で最後のしめくくり、「ご臨終」が不可能になってしまったのだ。 Tさんはがんの末期で入院したご主人に会いに行ったけれど、コロナの感染を恐れて会わせてもらえなかった。そのままご主人は亡くなって、遺体をさわることすらコロナの危険でできなかったという。愛する夫の臨終に立ち会えなかったTさんはノイローゼみたいになってしまった。 奥井恒夫さんはご近所に住む親戚で、薬剤師。家族の次に大事な人である。認知症予防に碁と散歩。毎日散歩をして、脳と身体、両方を鍛えていた。彼は自宅で倒れ、救急車で入院。コロナで会わせてもらえないまま、亡くなってしまった。亭主にとって、会えないままになくなった恒夫さんの死はショックだった。 在宅死について書かれた本 「このごろ、息を吐くときが苦しい。おやじも最後のころ、そう言っていた。ぴんぴんころりバタンキュー。人間らしさの残っている間に家で死にたいよ。図書館に行って、在宅死の書いてある本借りてきてくれよ」 亭主に頼まれて、私は図書館に行って本を探してみた。
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マスクで「こえわずらい」《くずかごの唄》107
2022年5月5日
【コラム・奥井登美子】「声がうまく出ないんです。どうしたらいいでしょうか? 医院に行くのもいやなので、薬屋さんに聞きにきました」 「すごく厚くて、いいマスクしていらっしゃいますね」 「そうなの、特別厚い、いいマスクですって、友達からもらったのよ」 「厚いマスクに合わせて、最近、大きな声を出していらっしゃいませんか?」 「うちのおじちゃんもおばあちゃんも耳が遠いから、マスクして聞こえるようにしゃべるのが大変なんです」 「ご両親と同居していらっしゃるのね、家ではマスク外していてかまわないと思うんですけれど」
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コラム
気温差による「やまい」 《くずかごの唄》106
2022年4月22日
【コラム・奥井登美子】13日は25℃の異常な暑さだったのに、翌14日は12℃。雨が降って薄ら寒い。1日に気温の差が13℃以上あると、その温度差に、肉体的、体力的についていけない人たちがたくさん出てくる。 気象病、気温差病という病名はまだ一般的でないので、「花粉症」「花粉症の一種」「アレルギー」などと呼んでいる人もいるが、花粉症とは根本的に違うような気がする。 「もしもし、急に寒くなって、血圧が上がったり下がったり、めちゃめちゃなんです。血圧の薬、お宅の薬局からいただいて飲んでいますけれど、こういう時はどうすればいいでしょうか」 「血圧の薬は単に血圧を下げるだけでなく、血管を保護したり、心臓の機能を守る作用もありますので、そのまま、今まで通り飲み続けていた方がいいと思いますが…」 「えっ?」 「ちなみに血圧は何時間おきに測りましたか?」
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回答無ければ事前協議準備 洞峰公園問題で知事 「つくば市は無償譲渡を前向き検討」
つくば
2023年1月31日
つくば市二の宮にある県営の都市公園、洞峰公園(約20ヘクタール)について、大井川和彦知事は31日の定例記者会見で「今日いっぱい、つくば市側の反応、答えがあるかどうかを見極めた上で、もし仮に無償譲渡の申し込み希望が無かった場合、粛々と事前協議の準備に入るよう企業にお願いする」などと述べ、31日までにつくば市から無償譲渡を受けるか否かの回答が無い場合、2月1日以降、パークPFI事業者が、公園内の野球場にグランピング施設を建設する特例許可を受ける行政手続きのための事前協議の準備に入るとした。 一方で大井川知事は「(つくば市から30日)事務的に、無償譲渡を受ける方向で検討していきたいという話があったと聞いている」と述べ、市が無償譲渡を選ぶ方向で前向きに検討していると明らかにした。 その上で「まだ(市から)最終的な答えは現時点でいただいてない」とし、つくば市の検討が期限の31日に間に合わなかった場合は、市の検討と県の事前協議の準備が両方、並行して行われることになり、その際は「事前協議にかかった費用や補償をどうするか、つくば市と話し合いたい」とした。 洞峰公園をめぐっては、昨年12月の知事会見で大井川知事が「つくば市が自ら管理するのであれば洞峰公園を無償で市に移管したい」などと述べた(22年12月2日付)。これを受けて五十嵐立青つくば市長は市長会見で「(無償移管を受けて)市が管理することも選択肢の一つ」だなどと応じた(22年12月8日付)。大井川知事は今月13日の定例会見でさらに「今月いっぱいをめどにつくば市の方から何らかの回答をいただけるようにお願いをしている」と、市の回答期限を1月31日に設定していた(1月16日付)。
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田舎の仁王像 《写真だいすき》16
オダギ秀
2023年1月31日
【コラム・オダギ秀】今回は、県指定重要文化財の金剛力士像を撮影した時のことを話そうと思う。田舎の、いわゆる仁王像だ。 その像は、室町時代後期の作と推定されているようだが、今は廃寺となっている寺の山門に安置されているということだったので、その寺跡を訪ねた。地図をたよりに、田舎道をしばらく走った。ほぼ、ここだ、という地点周辺で、道を行く方に、それは何処かと、何度か尋ねた。 ところが、みんな、「さあ?」と、首をかしげる。重要文化財なのに、100メートルぐらいの近所の人でも、それが何処なのか知らないのだった。通りから数十メートル入ったところに崩れかけた山門があり、探していた金剛力士像が、壁に寄りかかるようにしておった。 壁は崩れていたから、像高2メートル以上の吹きさらされた木像は、彩色ははげ落ち、素地があらわになっていたが、かえって木目の表現の巧みさが強調されていた。彩色がはげ、欅(けやき)の地肌をあらわにしたこの金剛力士像は、阿形(あぎょう)、吽形(うぎょう)ともに、全身を覆う紋様状の木目を見せていた。 その木目は、胸から手指の先に至るまで、信じられぬほど計算尽くされていて、震えがくるほど美しい表現となっていた。筋肉は、忿怒(ふんぬ)の形象そのものであり、そのはち切れんばかりの隆起は、この仁王を生んだ仏師の、確信と自信にあふれた意志の強さを表していると思えた。 見えぬところにこそ精を尽くす
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都市計画変更を可決 旧総合運動公園用地と吾妻70街区 つくば市都計審
つくば
2023年1月30日
つくば市の旧総合運動公園用地(同市大穂、約46ヘクタール)と吾妻70(ななまる)街区 国家公務員宿舎跡地(同市吾妻、約6.4ヘクタール)の都市計画変更について審議する市都市計画審議会(会長・大村謙二郎筑波大名誉教授)が30日、同市役所で開かれ、いずれも異議無く可決した。2月上旬に県と協議し、同中旬に都市計画変更を決定する予定という(22年11月11日付、10月11日付)。 旧総合運動公園用地は2015年、住民投票で計画が白紙撤回され、昨年、市土地開発公社が外資系物流不動産会社グッドマンジャパンつくば特定目的会社に約110億円で一括売却した。データセンターや物流拠点が建設される計画。吾妻70街区は土地所有者の財務省と市が、イノベーション拠点と中高層住宅などのスマート街区を誘導する計画。 都市計画審議会では、旧総合運動公園用地を、現在の第2種住居地域から倉庫などが建設できる準工業地域に変更する用途地域変更に対して、市民4人から意見書の提出があり、「売却先の企業の便宜のために都市計画変更をすることは、事実上の利益供与に当たる。これが許されるなら市民からの同様の要求の場合でも都市計画変更が可能になる。都市計画変更はマスタープランに合致している必要がある。当該地は研究拠点都市の研究・教育施設用地として規定されており、準工業地域にすることは趣旨に反する」などの反対意見が出されたことなどが報告された。 委員からは「環境アセスメントはどうなっているか」「第三者に譲渡された時、防災拠点施設が維持される担保はあるか」「(データセンターや物流拠点の配置等の)レイアウトはどの程度進んでいるのか」などの質問が出て、市担当者は「環境アセスの対象ではない」「仮に事業者が変わっても協議の中で継承的なものを定めていく」などと答えた。 現在の進ちょくについて市は「グッドマンジャパンと日々連絡をとっている」とし「(配置は)基本的にプロポーザル提案の計画案がベース。北側2棟が物流拠点で、データーセンターが全部で7棟、南側の1割が防災拠点」になると説明し、現在、事業者のグッドマンは(用地の整備、開発方針など)マスタープランの作成、実施測量、エンドユーザー(入居企業)の意向確認などを進めていることを明らかにした。マスタープランは早ければ年度内か年度初めに出来上がるとし、開発行為の手続き後に、樹木の伐採や伐根を進めていくと認識しているとの見通しを示した。 一方、吾妻70街区...
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障害者との対話から社会変革へ つくばの理系女子、障害平等研修を開催
つくば
2023年1月30日
総合研究大学院大学 高エネルギー加速器科学研究科(つくば市大穂)の修了生で、現在つくば市内の企業に勤める青木優美さん(29)が主催する「障害者と考える“障害”ー障害平等研修@つくば」が、来月1日、つくば駅前のつくばセンタービル(つくば市吾妻)で開催される。障害者が進行役(ファシリテーター)となり、参加者と対話しながら、共生社会をつくるためにどう行動するかを考える。 青木さんは、視覚言語である手話を使って、科学をイメージとして理解しやすくする実験教室など、障害のある学生が科学を学ぶハードルを低くする取り組みを計画している。まずは、どうすれば障害のある人とない人が共に暮らしやすい街になるのかを、障害当事者や地域住民と一緒に考えたいと、今回の研修を企画した。 健常者を前提にした社会を変えたい 3年前、青木さんは、つくばで研究する大学生・大学院生の交流を目的とした「つくば院生ネットワーク」のメンバーだった。聴覚障害の学生は学会発表をするために手話通訳を自分で手配する必要があるなど、他の学生なら必要のない苦労をしなければならないと知った。 そこで、2020年3月、最初から手話通訳や文字通訳がついている「みんなの学会」を企画した。その後も、聴覚や視覚に障害のある学生と関わり、「みんなが等しく学べる環境をつくりたい」と思っていたところ、障害平等研修=メモ=の存在を知った。「地域の人たちと一緒に、研修を受け、今後の活動につなげたい」と、今年1月「つくばインクルーシブプロジェクト」を立ち上げ、最初の企画として、障害平等研修を開催する。
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