木曜日, 2月 9, 2023
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洞峰公園の縄張り争い 《映画探偵団》55

【コラム・冠木新市】「お前さんは反対運動をやらねえのか?」と、つくばの洞峰公園の野球場でいつも会う名無しのカラスに言われた。洞峰公園リニューアル計画のニュースを嗅ぎつけたようだ。カラスの根城(他の野鳥も)が、「グランピング」「ドッグラン亅「BBQ」の場所になる。 洞峰公園の改造は30年間で少しずつ進んできた。野球場の目と鼻の先にある、毎夏クワガタとカブトムシが集まる樹液滴る木が切られた。スズメバチも寄って来るので管理者が危険に思ったのだろうが、ガッカリだった。昨年は久しぶりに野球場の茂みから池に向かう1メートル級の蛇を目撃したが、ガマガエルは7年ぐらいご無沙汰である。木の数と草むらの量に関係しているのではないだろうか。 この数年での一番のショックは、野球場に黒いフェンスが作られ、中を通れなくなったことだった。しばらくして2カ所の扉が開かれ入れるようになったが、今も黒いフェンスを見るたびに冷たさが感じられ嫌になる。 カラスは「俺たちは柵なんてひとっ飛びだからヘッチャラよ」と毒づいていたが、野球場がつぶれるとなると気になるらしく、私を反対運動へとそそのかす。 「カラスの生態系にも配慮してくれ」 実はカラスに言われる前に、大井川県知事に要望書を出そうかなと考えていた。けれどもその矢先、五十嵐つくば市長が知事にリニューアル反対の狼煙(のろし)を上げたので、驚き止めにした。むしろ、つくば市は、2018年に「つくばVAN泊(キャンピングカー)」、2019年に「てぶらでバーベキュー」の実証実験を文教地区の中央公園で推進してきたから、県の計画には賛成だろうと思っていた。

「誰でも通れる通路」現る 《映画探偵団》54

【コラム・冠木新市】3月下旬、つくばセンタービル内でA4チラシを手にし、これはすごいと思わずうなった。下半分に「2022.4 OPEN! つくば駅徒歩3分 つくばセンタービル内オフィス入居者募集  問合せ・つくばまちなかデザイン株式会社」とあった。 上半分には、ビル内の図面が載っていて、AからFまでの入居スペースが全体の3分の1強。残りが「会議室亅「コワーキング兼イベントスペース」「カフェシェアキッチン」「子連れワーキングスペース」「つくばまちなかデザイン(株)オフィス」。 感心したのは、それらをつなぐ通路を「誰でも通れる通路」「誰でも通れる出入口」と書いてあったからだ。「アイアイモール」と呼ばれた通路は元々誰でも通れる通路で、出入口だった。それをあえて「誰でも通れる…」と記述したのがすごい。こう表現すると、普通の通路が特別なものに見えてくる。 これこそ、現代アートの世界と言ってよい。ネー厶プレイトを付ければ、アートの名所として話題になるに違いない。 4月1日、早速出かけて見たが、まだ半分しか完成していなかった。通路の左右に灰色のカーブしたベンチみたいなものがあり、対面に人が座れば車イス1台分通れる幅。改修前より随分と狭くなっていた。

『男と女』 2つの続編 《映画探偵団》53

【コラム・冠木新市】フランスの映画監督クロード・ルルーシュが28歳のとき、自分のプロダクションで作った『男と女』(1966年)はざん新で衝撃的だった。望遠レンズで撮った仏北西部ドーヴィルのきらめく海辺の景色。ロング―アップと、自由自在に構図を変えた短なカット割り。全編に流れる新人作曲家フランシス・レイのジャズ調音楽。若者たちで作られたこの作品によって、世界の映像表現は一変したと言っても過言ではない。 お話は、妻を亡くしたレーサーのジャン・ルイ(ジャン・ルイ・トランティニャン)と夫を失った映画の記録係アンヌ(アヌーク・エーメ)との出会いを描いた恋物語。30代の2人は、ドーヴィルにある同じ寄宿舎に子どもを預けている。色々あって、ラストは駅のホームで抱き合う2人を捉え、ぐるぐる回るカメラワークにテーマ曲が流れ、ストップモーションで終わる。ハッピーエンドで幸せな気分にさせてくれる作品だった。 続編『男と女Ⅱ』(1986年)が、同じ監督とキャストで20年後に製作される。ところが、1作目で感動した観客はギョツとしたと思う。2人は一緒にならず、駅で別れたという皮肉な設定で始まるからだ。 ジャンはレーシングチームの監督で、息子の結婚相手の妹と恋仲。一方、アンは映画プロデューサーとなり、年下の恋人がいる。戦争映画の興業で失敗したアンは、昔の自分の恋物語をミュージュカルにしようと企画し、ジャンの許可を得るために20年振りに再会する。 50代になった2人の再会シーンを見ると、1作目の幸せな気分がよみがえる。また1作目を再現する撮影風景はとても奇妙で面白い。だが出来上がった映画を試写すると、皆が納得せずお蔵にしてしまい、今度は全く別の実録犯罪映画を作り始める。ルルーシュ監督はまるで1作目を否定するようなドラマ展開を見せるのだ。しかし結局、2人は年下の恋人と別れ、一緒になるハッピーエンドを迎え、1作目の観客に満足感を与えてくれる。 研究学園都市...

「オズの国」とつくば 《映画探偵団》52

【コラム・冠木新市】米国映画史を代表する『オズの魔法使』と『風と共に去りぬ』は、1939年8月と12月に公開され、どちらも監督はビクター・フレミングだった。だがそうした事実よりも、両作品から強烈な影響を受けたのが、13歳のノーマ・ジーン、後のマリリン・モンローである。 父親不明のモンローは、映画編集者だった母親から、この人が父親とクラーク・ゲーブルの写真を示され、信じた。後年、『荒馬と女』(1961)で共演し、「少女のころから憧れてきて、今、そのレッド・バトラーに会ってたのよ!」との言葉が残されている。 『オズの魔法使』のJ・ガーランド また、母親の親友のおばさんに育てられていたモンローは、『オズの魔法使』の主人公ドロシー役を演じた、ジュディ・ガーランド(16歳)を見てファンとなった。モンローはドロシーの姿に自分を重ねた。 確かに、ドロシー役はモンローの少女時代を彷彿(ほうふつ)とさせる。モンローが『オズの魔法使』に言及した資料は見当たらないのだが、葬儀で流されたパイプオルガンの曲が『オズの魔法使』のテーマ『虹の彼方に』だったことで、そう推定してよいと思う。 ドロシーは孤児で、エムおばさんに育てられる。そのカンサス州は何もない場所で、映画ではセピア色で表現され、モノクロの印象に近い。ある日、大竜巻に犬のトトと部屋ごと飛ばされ、オズの国に着く。すると、このシーンからカラーになる。

映画人・根岸寛一を追って 《映画探偵団》51

【コラム・冠木新市】世界映画史上ベスト10に常々ランクインされる、米映画『市民ケーン』(1941)を久し振りに見た。オーソン・ウェルズが25歳のとき、映画初出演の劇団員と作り上げた監督第1作で、実在する新聞王ハーストをモデルにした伝記映画だ。 オーソン・ウェルズ監督『市民ケーン』 奇っ怪なザナドゥ城で、ひげの老人が「バラのつぼみ」という言葉を残し亡くなる。すると急にニュース画面となり、新聞王ケーンの訃報が流れ、彼の業績が紹介されたあと、突然画面は暗くなり、そこは映写室であることが分かる。新聞経営者が、ケーンが残した「バラのつぼみ」の意味を探れと、記者のトンプソンに指示を出す。 トンプソンは、ケーンの2度目の元妻、後見人サッチャーの回顧録が収められた図書館、仕事上の旧友2人、ザナドゥ城の執事を訪ねる。記者は狂言回しの探偵役なのだが、その描写は後ろ姿だったりして、ほとんど目立たない。目立つのは5人が語るケーン像である。また「君は市民を愛していると思わせて、自分を愛して欲しいだけだ」など、5人が語るケーンの人物評が鋭い。 「バラのつぼみ」の意味は、結局分からぬままに終わるのかと思わせて、ラストシーンで観客だけがその答えを知る。そしてこれまでの物語を振り返ると、強気一辺倒だったケーン像がまた異なって見えてくるから面白い。

「3密族」のシンボル利用 《映画探偵団》50

【コラム・冠木新市】つくばセンタービルができる3年前、日露戦争を描いた3時間の大作、東映『二百三高地』(1980)が公開された。当時は戦争を美化する作品との批判もあったが、今では反戦映画の名作との評価が定まっている。 『二百三高地』の丹波哲郎 幾つもの名場面がある作品だが、料亭の一室で伊藤博文(森繁久彌)と児玉源太郎(丹波哲郎)が、勝ち目のないロシアとの開戦を決めるシーンが印象深い。というのも、私はこの場面の撮影を間近で見ていたからだ。撮影終了後、緊張感から解放された丹波さんが、「飯だ、飯だ」とセットから勢いよく出て行った姿を記憶している。つくばセンタービル改造問題に関わって1年半。なぜか、時折このシーンを思い出す。 現在「つくばセンタービル謎解きツアー」を開催中だ。参加者は、11月3日10人、同13日8人、同23日23人、12月4日5人―だった。12日は8人の予約がある。子どもも何人か参加し、どこが面白いのか、また来たいと言っている。建築専門家でない私は、いろいろな資料を再確認しながら、ツアーの準備をしている。 センタービル関係の資料は少ない。主なものは、「建築のパフォーマンス」(1985)、「磯崎新のディテール」(1986)、「現代思想 磯崎新」(2020)などだ。目を通した中では、「磯崎新の『都庁』」(2008)がとても参考になった。 センタービル完成後の1985年、都庁コンペの過程を記録したもので、建築界の大御所・丹下健三に、弱小組織・磯崎新チームが挑戦する話だ。当時の磯崎とスタッフの様子が手に取るように分かる。磯崎はアイデアをスタッフに投げ、その理由を説明せず、読み解かせる。謎解きを要求するわけだ。センタービルのことも想像でき、面白かった。

センタービルと『大菩薩峠』《映画探偵団》49

【コラム・冠木新市】11月3日(文化の日)、第1回 「つくばセンタービル謎解きツアー」を開催した。参加者は20~80代の10名。案内役は私が務め、ノバホール入口から2階センターの周囲をめぐって1階に降り、「中心」「異界」「水の精」「反転」「廃墟」「にわ」「鋸(のこぎり)状の柱」「モンロー」をキーワードに8つの光景を語り歩いた。 野外劇場の「廃墟」では、30年間、TVのSFヒーローが戦ってきたことを説明。すると、そばで戦隊ヒーロー物の撮影が行われていて、こちらが用意したゲストのようだった。8地点の「不連続の連続」ともいえる光景を語るうちに、ああこれは『大菩薩峠』の世界に似ているなと思った。 片岡千恵蔵主演『大菩薩峠』 小学1年の時、東映の片岡千恵蔵主演『大菩薩峠』(1957)を見て、主人公たちの善悪を超えた妖しい雰囲気が記憶に残った。中学1年の時、国語の女性教師が「私は中里介山著の『大菩薩峠』だけは最後まで読み切れなかったのよね」と言った。 その日、早速古本屋に行き、角川文庫版の原作を買い読み始めた。全巻読破と意気込んだが、11巻で挫折した。大学のころ、春陽堂文庫版が出た時も挑戦してみたが、駄目だった。代わりに解説評論本を何冊も読み、話の展開はあらかた予想がついた。映画で描かれていたのは前半部分のみである。 物語は、机竜之助が大菩薩峠で老巡礼を切り捨てる理由なき殺人から始まる。そして御岳神社の奉納試合で相手を打ち殺し、その妻お浜を連れ江戸へ出奔する。試合相手の弟は兄の仇の竜之助を追う。つまり、最初は仇討ち物語なのだが、徐々に竜之助の場面は減少し、脇役と思われた登場人物たちが活躍する群像劇になってくる。

「怪人二十面相」と2・26の時代 《映画探偵団》48

【コラム・冠木新市】昭和7(1932)年から昭和11年にかけ農村の貧困と陸軍の内部闘争を描いた高倉健主演の『動乱』(1980)、陸軍若手将校の4日間のクーデターを追った三浦友和出演の『226』(1989)、海軍と陸軍の攻防と昭和天皇の動きに迫ったNHK『全貌 二・二六事件 完全版』(2020)―これらを見直した。 江戸川乱歩の『少年探偵』シリーズ第1作『怪人二十面相』は、昭和11年(1936)、『少年倶楽部』1月号から連載が始まり人気を呼んだ。だが、2月には2・26事件が起き、東京に戒厳令が出された。当時の少年たちはどのような思いで読んでいたのだろうか。その気分を感じるため、2・26関係の作品を見てみたのだ。 乱歩との出会いは東映『少年探偵団/首なし男』(1958)である。シルクハットをかぶり、二十面相にふんした伊藤雄之助は、大人の演技を見せ真実味を感じさせた。その後、小学校の図書館で光文社版『少年探偵』を次々と読み、独特な世界に魅了されていく。私は長い間、このシリーズは戦後の作品だと信じて疑わなかった。 しかし、『怪人二十面相』『少年探偵団』『妖怪博士』『大金塊』の4作は「大東亜戦争亅へ突き進む戦前に執筆されたものだった。多分、戦前の少年たちにとって、『怪人二十面相』は強烈なリアリティを感じたように思える。 明智小五郎は第1作後半に、黒の背広、黒の外套、黒のソフ ト帽という、全身黒のいでたちでオシャレに登場する。満洲国(戦後版は某国)の依頼で新京に行き、重大な事件を解決し帰国したとの設定である。満洲国の背後には関東軍がいたのだから、明智は関東軍とつながりがあったと見るのが自然である。一体何を解決したのだろうか。

窓の内側から見たセンター広場 《映画探偵団》47

【コラム・冠木新市】昔見た映画を今見ると印象が変わる場合がある。アルフレッド・ヒッチコック監督の『裏窓』(1954)がそれだった。 J・スチュアート主演の『裏窓』 報道カメラマンの主人公ジェフ(ジェームズ・スチュアート)がケガをし、ギプスで身動きが取れずにいて、窓から正面アパートの住人たちの暮らしを観察する。そのうちジェフは、セールスマンが寝たきりがちな口うるさい妻を殺害したことに気付く。 眼下の小さな庭を囲むビル。アパートには「独身で売れない作曲家」「肌の露出を気にしない若いダンサー」「子犬を子どものように熱愛する中年夫婦」「夫も恋人もなく寂しさを感じている上品な婦人」「現代アート風な彫刻を作る老婦人」ら、窓の内側で暮らす人たちの人間模様がそれぞれ1本の映画のように描かれている。 今見ると、セールスマンの殺人よりもこちらの方にインパクトがあった。新型コロナ感染拡大の状況下で、巣ごもりを強いられた現代と似た景色に見えたからだ。さらに、建物に囲まれた庭がどことなくセンター広場と重なったからかもしれない。

「たたり」と「科学都市」 《映画探偵団》46

【コラム・冠木新市】桜川流域にある「つくばセンタービル」は、研究学園都市のシンボルとして1983年「桜村」に誕生した。「桜村」は、昭和30年(1955)に栄村と九重村と栗原村が合併してできた村だ。この栗原には「天狗党殉国烈士之墓」と刻まれた石碑、天狗塚が残されていて19人の若者が眠っている。ほかにも天狗塚はあるようなのだが、詳しいことは分からず、つくばではこの話はタブーみたいである。 ある農家の人が「あの土地は売れてないんだ。天狗党を処刑した場所だから」と、草原を指し教えてくれた。またある人は「あそこは天狗党処刑地近くなので、交通事故が多発する」と語っていた。 『八つ墓村』の探偵役・渥美清 私は天狗党の話を耳にすると、松竹『八つ墓村』(1977)を思い出す。横溝正史原作、橋本忍脚本、野村芳太郎監督、芥川也寸志音楽。主人公の寺田辰弥をショーケンこと萩原健一、探偵の金田一耕助役は渥美清が扮し、空前の大ヒットを記録した。 寺田辰弥は毒殺事件に巻き込まれ、亡き母の故郷八つ墓村にやって来る。村は、400年前に毛利との戦に敗けた尼子一族の落武者8人が流れ着いた場所だった。毛利方の褒賞に目がくらんだ村人たちは、祭りの晩に酒に毒を盛り落武者を酔わせ、竹やりで次々と突き殺してしまう。時は流れて昭和24年(1949)、落武者殺しを指揮した村総代の子孫が急に狂い出し、村人32名を惨殺する。 物語は「現代(1977)」「昭和24年」「400年前」の3つの時代が交錯して描かれる。回想シーンに回想シーンが挿入され、込み入った手法がさえわたっていた。

つくばセンタービルで「ダイ・ハード」 《映画探偵団》45

【コラム・冠木新市】ジョン・マクティアナン監督の「ダイ・ハード」(1988)が無性に見たくなった。ニューヨーク市警のマクレーン刑事(ブルース・ウィリス)は、クリスマスにロサンゼルスの超高層ビルで働く妻のもとにやって来る。そこで左翼テロリストを装う強盗チームと遭遇し、妻と人質を助けるため、ビル内を這いずり回り、時々ぼやきながらも敵を1人ずつ倒していく。犯人の銃弾で粉々になった窓ガラスを裸足で踏み血だらけになったり、白のランニングシャツが黒くなるまでしぶとく戦う。 そして私は「ダイ・ハード」を見ると、なぜかジョン・フランケンハイマー監督の「大列車作戦」(1964)を思い出してしまう。 パリを占領していたナチスドイツが本国に撤退するにあたり、美術愛好家の将校が、美術館にあるルノワール、ゴーギヤン、ゴッホ、マネ、ピカソなどの名画を列車に積み持ち帰ろうとする。それをフランスの鉄道員ラビッシュ(バート・ランカスター)らは、「たかが絵を守るために」と一度は疑問に思うが、結局は「フランスの誇りのために」と命を賭け、取り戻す行動を開始する。仲間は倒されていくが、ラビッシュは油と汗まみれになりながらも最後まで戦い、絵を取り戻す。 「ダイ・ハード」と「大列車作戦」の主人公はよく似ている。 センター広場にエスカレーターは必要か 6月12日。つくばセンター研究会は講演&シンポジウムを27日に開催することを決めた。テーマは「緊急討論 つくばセンター広場にエスカレーターは必要か」。開催まで2週間しかない。翌日からゲストの交渉とチラシ制作(デザイン・三浦一憲、写真・斎藤さだむ)が始まる。

つくばセンターでシン旧住民のレジスタンス 《映画探偵団》44

【コラム・冠木新市】6月1日。つくば市役所で「つくばセンタービルのエスカレーター設置計画等の見直しを求める要望書」を小久保市議会議長に手渡した(6月1日付)。そのあと懇談し、「センタービルは、つくばが未来に引き継ぐ日本と世界の文化遺産なので、ぜひ守ってほしい亅とお願いした。飯野副市長とも面談、リニューアル計画の進め方や市民広報のあり方など、いくつか提案させてもらった。 6月2日。センタービルを歩いていて、ふと「ソトカフェ」の黒テーブルとイスのそばにある鉄製プレートに目がとまった。よく見ると、「桜村」の文字が刻まれている。これまで気付かなかったとは不覚だった。その文字を眺めながら、当時の人はどういう気持ちでこの文字を刻んだのだろうかと想像した。 側溝のふた(グレーチング)に刻まれた「桜村」の文字 6月3日。NEWSつくばの「市議会・中心市街地まちづくり調査委員会」の記事(6月3日付)を見て驚いた。ホテル側の北エスカレーター1基設置が無くなると出ていたからだ。これまで2基設置を主張していた市議が、1基ヘと意見を変えたからである。あとで某市議に聞いたら、我々の要望書は委員会当日に市議に配布されたが、その前から2基を1基にすると決まっていたようだ。 本欄でセンタービル問題を書いてきたが、最近議会では、エスカレーターは不要だ、見直すべきだ―との声が大きくなっている。市民の声が届いたというより、いったん沈静化を図ろうとしていると考えるのが自然だろう。意見を変えた市議たちは、センタービルは老朽化した建築物だから、どうしようと自由だと考えていたのだ。 6月5日。つくばセンター研究会。私は、この問題は要望書提出で一区切りと思っていた。しかし、総合運動公園建設反対を推進した方から「30年前から住んでいるが、センタービルが文化財であることに初めて気がついた。市民にどんどん語っていかなくてはいけない」と、逆にハッパを掛けられてしまった。

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やさしい国家が人をしあわせにする 《遊民通信》58

【コラム・田口哲郎】前略 1789年のフランス革命のあとに、「人間と市民の権利の宣言」、いわゆるフランス人権宣言が採択されました。この宣言は世界各国に影響を与え、それは当然、日本の民主主義の根幹にかかわるものでもあります。 フランス共和国の人権宣言をごく簡単にまとめるとこうなります。人間は生まれながらにして自由と平等を保証されている。共和国が基本的権利を保証するのであって、ほかの団体などがその権利を侵害してはならない。つまり国家だけが、福沢諭吉が言ったところの「天は人の上に人をつくらず、人の下にも人をつくらずと言へり」を約束できるということです。国民と国家の信頼関係によってすべては成り立っているわけです。 規則と改革 そんなのあたりまえじゃないかと思ってきました。でも、よく考えると、わたしたちは基本的人権によって自由と平等をあるていど享受しているけれども、その自由と平等は完全ではありません。完全な自由と平等の実現はかなり困難でしょう。でも、それでも人権宣言の理念を目指していかなければならない。そのためには、規則よりも人間の真情に寄り添う姿勢が大切です。 そうなると対立するのは、規則と改革です。ある人が困っている。でも規則はその人の望みを解決することはできない。だからその規則を変えるしかない。いや、規則を変えることは国家の根幹を揺るがすので簡単にはできない。しかし、このままでは国家が保証すると約束したその人の自由がないがしろにされてしまう。

知的障害者に一人暮らしの選択肢を 18日、つくばで映画上映会

市民団体「茨城に障害のある人の権利条例をつくる会」(=いばけんつ、事務局・水戸市)が18日、筑波大学春日エリア(つくば市春日)で映画『道草』(宍戸大裕監督作品、2018年)の上映会を開催する。重度知的障害者が介助者の支援を受けて、地域のアパートで一人暮らしをする様子を映したドキュメンタリー映画だ。同会共同代表の一人、生井祐介さん(45)は「知的障害者が生活する場は、入所施設やグループホームだけでなく、支援を受けながらの一人暮らしという選択肢もあることを、多くの人に知ってほしい」と話す。 知的障害者の一人暮らし 「重度訪問介護」は、重度障害者が長時間、人によっては24時間の介助を自宅で受けられる福祉サービス。従来、対象は重度の肢体不自由者に限定されていたが、2013年の障害者総合支援法施行で、重度の知的障害者や精神障害者にも広がった。映画には、重度訪問介護を利用し、一人暮らしをする重度知的障害者が登場する。 内閣府の2022年度版障害者白書によると、身体障害者における施設入所者は1.7%なのに対し、知的障害者においては12.1%と、施設入所の割合が高くなっている。昨年9月、日本政府は国連から「障害者の施設収容が継続され、地域で生活する権利が奪われている」と懸念され、「施設収容をなくすために、障害者の入所施設から、地域社会で自立して生活するための支援に予算を振り分けること」が勧告された。 全国各地の障害者団体などが国連の勧告を周知するために講演会を開催し、生井さんも何度か参加した。しかし、「一般参加者には内容が難しいのでは」と感じ、「幅広い人に、もっとわかりやすく伝える方法はないか」と考え、今回の上映会を企画した。「知的障害者も公的な介助サービスを利用し、一人暮らしができることはほとんど知られていない。その様子を映像として実際に見てもらうのが一番わかりやすいだろう」

装着型サイボーグのサイバーダイン 《日本一の湖のほとりにある街の話》8

【コラム・若田部哲】多くの研究所が立地する科学のまち、つくば。今回はその中でも最先端企業のひとつ、CYBERDYNE社(サイバーダイン)についてのご紹介です。同社が開発した世界初の革新的技術・製品について、広報の片見さんにお話を伺いました。 サイバーダインは筑波大学の山海嘉之教授により2004年に設立され、世界初の装着型サイボーグ「HAL」をはじめとする機器により、医療をはじめとして様々な社会課題の解決に取り組んでいます。 HALは、装着するだけで「サイボーグ化」する身体装着型の機器。その仕組みは、体を動かそうとするときに脳から発生するごく微弱な信号をセンサーで検出し、認識した動作に合わせてパワーユニットが作動、装着した人の意思に沿った動きをサポートするというものです。 ここまでは、すごいなあと思いつつ、なんとなくイメージしやすいところですが、さらにここからが驚きです! HALが脳からの信号を読み取りアシストした後、その「動いた」感覚は脳にフィードバックされ、それを繰り返すことにより、身体機能の改善・機能再生が図られるそうです。 つまり、弱って動かなくなってしまった身体機能が、HALのサポートで繰り返し動かすことにより回復し、再度動けるようになるとのこと。日本では、神経筋難病という従来は治療が困難とされていた疾患に対し、機能を維持・改善する効果が認められ、病院で治療できるようになっているそうです。 また海外では、脊髄損傷や脳卒中などの治療にも使われているとのこと。介護などの作業支援用や医療用など、様々なタイプのHALが製品化され、世界20カ国で約2500台が稼働中だそうです。

筑波懐古から始まるおカイコライブ 18日に農研機構冬の一般公開

農研機構(本部・つくば市観音台)の「冬の一般公開2023」は18日、昨秋に続きオンライン開催で行われる。「​光るシルクを生み出す家畜!? おカイコ」がテーマだが、最先端の研究現場をのぞく前に、ちょっと道草して古い縁起からひもとく趣向がある。ウィズコロナ時代のオンラインコミュニケーションに、少しだけ懐古趣味、地元回帰の要素を盛り込んだ。 今回の一般公開を担当するのは、生物機能利用研究部門の絹糸昆虫高度利用研究領域カイコ基盤技術開発グループ。笠嶋めぐみ上級研究員ら4人が進行役を務め、プログラムの冒頭は茨城県に伝わる養蚕伝承「金色姫」の話から始めるという。 同研究部門は、つくばに移転してきた1980年時点では蚕糸(さんし)試験場といい、88年の改組で蚕糸・昆虫機能研究所となり、2001年の独立行政法人化で農業生物資源研究所に改編されるまで「蚕糸研」と呼ばれた。絹を生み出すカイコの交配や生態解明を遺伝子レベルから研究してきた。 この経緯から、筑波山麓の同市神郡にある、養蚕をまつる蚕影(こかげ)神社を訪れる研究者が少なくなかった。所長を務めた木村滋さん(2022年死去)らだ。神社に伝わるのが「金色姫」の縁起で、天竺(インド)での受難劇、UFOを思わせるうつろ舟での漂着などの物語が作家や民俗学者らを引き寄せてきた。同様の伝承は県内の神栖市、日立市の神社にもある。 蚕影神社じたいは無住で荒廃久しいが、筑波山神社が春・秋に例祭を催しており、地域の女性たちが繭や真綿の手工芸品を作って奉納に訪れるなど、根強い信奉が見られる。 農研機構によれば、「養蚕の歴史が奈良時代からある茨城県で、新しいカイコ研究を行っている研究所というイントロダクションを用意した」そうで、御物法隆寺錦(正倉院御物)で聖徳太子の妃である膳妃(かしわでのきさき)の帯と伝わる蜀江錦の織物なども紹介するという。