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筑波大 病院 -検索結果

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「DPATカー」完成 被災地に駆け付け心のケア 筑波大付属病院

被災地にいち早く駆け付け、心のケアをする筑波大学付属病院(つくば市天久保、原晃病院長)災害派遣精神医療チームの特殊緊急車両「DPAT(ディーパット)カー」がこのほど完成し、18日、同病院の春日プラザで完成披露会が催された。県内第1号のDPATカーとなる。 被災者の心のケアは新しい取り組みで、国の予算がまだ十分にないことから、同大医学医療系災害・地域精神医学の太刀川弘和教授を中心にプロジェクトを立ち上げ、2019年にクラウドファンディングで車両購入の支援を募った。目標額750万円に対し、3カ月間で255人から915万円が集まった。一方、新型コロナ感染拡大への対応などで車両の製造や車内の改造などが遅れ、昨年12月に車が完成した。 DPATカーは6人乗りの白いワゴン車で、車体の前方と側面などに青いアルファベットで「DPAT」と書かれている。後部座席を撤去し、被災者の相談に乗ったり、診察や薬の処方などをするスペースに改造した。車内はLED電球を取り付けて明るくした。通信手段の遮断や長時間の停電に備え、衛星電話やサブバッテリーなども備えている。隊員が宿泊しながら活動する基地にもなる。 太刀川教授は「これまで車両がなくレンタカーなどで被災地に行っていた。クラウドファンディングを始めて、当初は支援が集まるだろうかと懸念していたが、被災地で活動を展開しホームページでどんどん報告したところ、温かいメッセージと共に255人から目標額を超える支援が集まった。車両の製造や改造もコロナ対応で遅れ、2020年末に完成したが、感染拡大でお披露目もなかなかできなかった。この日を迎えられて感無量」と話し「今後はDPATカーを使って被災地に出掛けて、被災者の心のケアの支援をしていきたい」などと語った。 DPATは、国や都道府県の要請で被災地に48時間以内に駆け付け、1~2週間滞在して被災者の心のケアをするチーム。精神科医師、看護師、薬剤師、ソーシャルワーカーなど5~6人で構成され、避難所などで被災者の診察をしたり、被災した精神科病院の患者の対応などをする。2011年の東日本大震災をきっかけに誕生した。 同大附属病院では2015年にDPATチームが発足し、鬼怒川が決壊した同年の常総水害、16年の熊本地震などの被災地に赴き活動した。新型コロナウイルスの感染が拡大した昨年は横浜港で大型客船ダイヤモンド・プリンセス号の乗客の心のケアなどにも取り組んだ。(鈴木宏子)

「電話再診」低調 筑波大付属病院が積極利用呼び掛け 新型コロナ

【相澤冬樹】新型コロナウイルスによる院内感染のリスクが高まるなか、筑波大付属病院(つくば市天久保、原晃院長)が、再診患者を対象に電話での診察を呼びかけている。 厚生労働省の通知に基づき、同病院は3月4日から「電話再診」を始めた。慢性疾患に対する医薬品が必要な場合に、電話などによる診察と処方を行うもの。しかし、1カ月を経過しても低調な申し込みにとどまっていることから、いっそうの積極的利用を呼び掛けている。 面会も原則禁止 同病院は、高度医療を提供する県内唯一の特定機能病院。39診療科、800床を備える。地域の医療機関では対応の難しい患者を受け入れているが、外来患者や付き添いの家族らが新型ウイルスを持ち込むと医療崩壊にもつながりかねない。高度な医療を提供する機能維持のため電話再診を取り入れ、3月27日からは入院患者への面会も原則禁止した。 電話で診察する対象は、慢性疾患で経過観察中の容体が安定している患者ら。インターネットで申し込むと、予約時間に担当医から電話がかかってくる。問診後に薬の処方箋がかかりつけの薬局にファクス送信され、翌日以降に薬を受け取れる仕組み。再診料は次回の通院時に清算する。 県内では県立中央病院(笠間市)、牛久愛和病院(牛久市)、県立こども病院(水戸市)などが同様の取り組みを行っている。 病院によれば、毎日約2000人訪れる外来患者のうち、1-2割は電話再診で対応が可能とみているが、1カ月を経過して申し込みは50人ほどにとどまっている。再診は高齢者が多く、インターネット利用が難しい側面もあることから、家族のサポートを求めている。平松祐司副院長は「医療従事者は医療の提供を通じて、皆さんには電話再診をはじめとした自宅待機というアクションを通じて、地域医療に貢献していきたい」と協力を呼び掛けている。

筑波大付属病院 大幅減なぜ 来年度の臨床研修医マッチング

【山崎実】厚生労働省は、来年度から臨床研修を開始する臨床研修医のマッチング結果を発表した。茨城県分は、募集定員に対し166人を確保したものの、筑波大付属病院は募集定員92人に対しマッチ者数が54人と、前年度比19人の減。県医療人材課は、大幅な減に首をかしげており「減少した要因の精査、検討を急ぎたい」としている。 医師臨床研修マッチングは、臨床研修が義務化されたことに伴い、日本医師会や研修医を受け入れる病院などで構成する「医師臨床研修マッチング協議会」が、医学生と病院の研修プログラムを一定の規則(アルゴリズム)に従い、コンピュータで組み合わせを探り決定するシステム。 公表結果によると、茨城県は募集定員225人に対し、マッチ者数は166人で、充足率(募集定員に対する確保人数)は73.8%。 病院別の募集定員とマッチ者数は別表の通りだが、県内の参加20病院中、募集定員に達した病院は昨年度の5病院(水戸医療センター、土浦協同病院、筑波メディカルセンター病院、JAとりで総合医療センター、茨城西南医療センター病院)から、今回は水戸赤十字病院、県立中央病院、日立製作所ひたちなか総合病院、牛久愛和総合病院、総合守谷第一病院が加わり、計10病院に増加した。 全体のマッチ者数は前年比3人の減だが、県がショックを受けているのは筑波大付属病院の19人の減。県内最多の募集人員(92人)と確保人数(マッチ者数54人)をけん引しているだけに、危機感を隠さない。 県内の参加20病院で組織する県医師臨床研修連絡協議会と連携しながら、研修医のさらなる確保ー医療人材確保の底上げに取り組む方針だ。 茨城県の臨床研修医マッチ者数 医療機関名 2019年度 2018年度 マッチ者数の増減 募集定員 マッチ者数 募集定員 マッチ者数 水戸赤十字病院 4 4 4 0 4 水戸協同病院 10 9 10 7 2 水戸済生会総合病院 10 7 10 8 ▲1 水戸医療センター 8 8 9 9 ▲1 茨城県立中央病院 9 9 9 4 5 日立製作所日立総合病院 11 9 12 9 0 日立製作所ひたちなか総合病院 8 8 8 7 1 土浦協同病院 15 15 14 14 1 霞ケ浦医療センター 2 1 3 1 0 筑波記念病院 10 10 8 6 4 筑波大学付属病院 92 54 90 73 ▲19 筑波メディカルセンター病院 12 10 10 10 0 筑波学園病院 2 0 5 1 ▲1 東京医科大学茨城医療センター 8 4 10 4 0 牛久愛和総合病院 5 5 5 4 1 つくばセントラル病院 2 0 3 0 0 JAとりで総合医療センター 5 5 5 5 0 総合守谷第一病院 2 2 3 1 1 友愛記念病院 4 0 4 0 0 茨城西南医療センター病院 6 6 6 6 0 合計 225 166 228 169 ▲3 ※定員に空席がある病院は今後二次募集を実施する ➡臨床研修医の過去記事はこちら

筑波大附属病院を高度救急救命センターに指定 県内初

【山崎実】救急医療体制の整備、構築を進める茨城県は、筑波大学附属病院(つくば市天久保、原晃院長)をこのほど高度救命救急センターに指定した。県内で初めて。来年4月1日から24時間体制で稼働する。 国が定める高度救命救急センターの要件は、広範囲な熱傷、指肢切断、急性中毒など特殊疾患を含む重篤な救急患者に24時間体制で対応する、概ね20床以上の救急専門病床を有し、センター長は救急医療、教育に精通した救急指導医などとする、3年程度以上、救急の臨床経験のある専門医を確保しているーなど。同附属病院はこれらの条件をクリアしていることから、今年9月、県に指定願いを提案した。 茨城県の救急医療体制は、市町村が対応する休日夜間急患センター、在宅当番医などによる「初期救急」から、手術や入院治療を必要とする「第2次救急」(県内66施設)、さらには複数診療科にわたる重篤な救急患者に24時間体制で対応する「第3次救急」の救命救急センター(県内6病院)が整備されている。 筑波大付属病院の高度救命救急センターは、これら3次救急までの他の救命救急センターでは対応が困難な、国の基準に定める指肢切断や急性中毒など、特定疾患重篤患者のバックアップ体制の構築が最大の目的になる。 来年4月1日から稼働予定の高度救命救急センターは、運営病床が33床、同大附属病院の救急・集中治療科の井上貴昭部長がセンター長を務める。 県庁でこのほど、指定書交付式が行われ、大井川和彦知事は同センターの本格的な運営に期待を示した。 ➡筑波大附属病院に関する過去記事はこちら

認知症と男性更年期の早期発見 県内初2つの人間ドック、10月から筑波大病院

【相澤冬樹】筑波大学付属病院(つくば市天久保、原晃院長)が10月から、新しい人間ドック2コースをスタートさせる。軽度認知障害(MCI)の早期発見に特化した「認知機能ドック」と中高年男性の加齢に伴う心身の不調の改善を促す「男性健康ドック」で、ともに県内初、大学病院の診療体制や研究機能とも連携した全国的にも珍しい人間ドックということだ。 2つの人間ドックは、通常行われている基本コースに付加するオプションとして設けられる。それぞれ軽度認知障害と男性更年期障害の早期発見が目的。共に高齢社会にあって、早期介入による改善の手立てが望まれている医療分野だ。異常が発見された場合、大学病院の精神神経科、泌尿器科の医師らと連携することでスムーズに治療に移れるメリットを生かしての設置となった。 中年期から「認知機能ドック」 軽度認知障害は認知症の前段階に位置づけられる。認知症の原因物質とされる脳内物質の蓄積は、発症の20~30年前から生じるため、中年期からのケアが必要になる。物忘れの自覚があったり、自覚がなくても周囲から指摘があったりする人が対象で、脳ドックのMRI(磁気共鳴画像)検査に続けて判定を行う。脳の萎縮度合いを数値化しての判断や心理士による対面でのきめ細かい検査によって調べるという。 オプション料金としては3万円だが、基本コース(6万2000円)と脳ドック(4万円)の受診が必須なため、自治体等からの助成を見込んでも1回で10万円を超える負担になる。同病院によれば、毎週水曜日のみの開設で、今年度は毎回1人、来年度からは毎回2人で、最大年96人程度の利用を見込んでいる。(利用料金はすべて税別) 軽度認知障害であることが明らかになった場合、同病院で実施の「認知力アップデイケア」が紹介される。認知症予防研究から効果が科学的に検証された運動、食事、認知トレーニングなどのプログラムを選び、インストラクターのサポートなどで認知機能を維持・改善できるよう取り組むものだ。 更年期障害に備える「男性健康ドック」 一方、男性更年期障害は加齢やストレス、生活習慣の乱れから、男性ホルモンが低下して起こる。性欲減退や発汗・ほてり、不眠、集中力低下、イライラなどの症状を伴う。近年では男性ホルモンの低下は、メタボリックシンドロームや心血管疾患とも関連することがわかり、低下の早期発見が様々な疾患の予防につながる可能性も指摘されているそうだ。 男性更年期障害の診断には、血液中の「遊離テストステロン」という男性ホルモンの量を測定することなどが有効。必要な場合、男性ホルモン製剤の注射などの治療が行われる。費用は1万2000円で、前立腺がん健診(PSA測定、3000円)との同時受診が推奨されている。年間200人程度の利用を想定している。 同病院の人間ドックは、つくば予防医学研究センター(西山博之センター部長)が担う。開設から3年目で、今年度初めて受診者が1000人台に到達する見通しになった。大学病院の診療科医師2人がダブルチェックした上で、健診結果を判定する体制を整えている。2つのドックの受診者から得られた検査結果は解析を加え、今後の研究に活用していくという。 ➡筑波大学の関連記事はこちら

初発膠芽腫患者対象に治験スタート 筑波大学のがん治療法BNCT

加速器で発生した中性子を照射してがん細胞を破壊する治療法、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)の開発を進める筑波大学(つくば市天王台、永田恭介学長)が、難治性脳腫瘍の膠芽腫(こうがしゅ)に対する治験を開始した。現在、大学付属病院(原晃院長)の患者対象に候補者を絞り込んでおり、加速器のある東海村に設置した治療施設で3月にも臨床試験が開始される。初発膠芽腫患者を対象にした医師主導の治験は世界初という。 筑波大学は初発膠芽腫を対象とした国内第Ⅰ相医師主導臨床試験に関する治験計画を提出。日本医療研究開発機構(AMED)の「橋渡し研究プログラム」課題として採択され、23年度から3年間、8000万円が予算化された。治験登録の手続きは1月までに完了した。 脳と脊髄の神経膠細胞から発生する腫瘍のうち、最も悪性のものが膠芽腫(グリオブラストーマ)で、5年生存率が10%程度と極めて低いがんとされる。手術と放射線・化学療法の組み合わせでも多くが再発し、治療が困難とされ、有効な治療法が望まれている。日本国内での脳腫瘍の発生頻度は年間に約2万人、そのうち10%強が膠芽腫とされている。 今回の治験では、すべてを切り取れないような難しい部位に悪性腫瘍のある患者を対象に、BNCTの安全性などを検証する。効果を的確にとらえられるよう、放射線治療歴がない患者を対象とした試験となる。通常の放射線治療では放射線量で60グレイの照射が行われるが、BNCTと組み合わせることで40グレイにまで抑えられ、治療時間の短縮により、患者の負担も軽減されるという。 第Ⅰ相(安全性試験)の後、第Ⅱ相(治療の有効性治験)を実施して効果が認められれば、医療機器の承認を経て、保険診療へとつながっていく期待がある。第Ⅰ相では12人から最大18人、第Ⅱ相では30人程度の症例を得る想定で、結果が出るまでに3年程度を要すると見ている。 大量の中性子も低エネルギーで安全性確保 BNCTは、がん組織にのみ集積する性質のホウ素薬剤を投与し、加速器で発生させた中性子を患部に向けて照射すると、中性子とホウ素が反応し核反応を起こし、がん細胞を破壊する原理に基づく。放射線治療の一種だが、細胞単位で治療が可能で、皮膚や周囲の正常細胞は影響を受けにくいという利点がある。 筑波大では長年、付属病院の陽子線医学利用研究センターでBNCTの研究に取り組んできた。2011年3月以前は中性子の発生源に、東海村にあった実験用原子炉が用いられたが、東日本大震災で被災しストップ。これを機に実用化に向け病院にも設置できるよう、小型化と安全性を求めての装置開発が進められた。 照射装置は2013年、いばらき中性子医療研究センター(東海村白方)内に設置、15年に中性子の発生を確認した。高エネルギー加速器研究機構(KEK)と共同開発の加速器は長さ約8メートルとコンパクト、設置面積は40平方メートルに満たない。エネルギー8メガ電子ボルト、平均電流約2ミリアンペアで陽子を加速し、厚さ0.5ミリのベリリウムに照射して中性子を得る。中性子ビームは別室に導かれ、生体に照射される。 21年から治験薬開発のステラファーマなどと実証機(iBNCT001)による非臨床試験を行ってきた。陽子線医学利用研究センターの熊田博明准教授によれば「大量の中性子を発生させながらもエネルギーは低く抑える」ビームのコントロールに苦心した。エネルギーを低くすることで施設の放射化を避けられるという。(相澤冬樹)

筑波大学医学群発 「花火の力」療法《見上げてごらん!》17

【コラム・小泉裕司】千紫万紅(せんしばんこう)のごとく夜空を彩る打ち上げ花火は、見上げる人の心に「感動」や「癒やし」をもたらしてくれる。この「セラピー効果」は、「花火の力」そのものではないか。 筑波大生が学園祭で花火企画 今回は、筑波大学「雙峰祭(そうほうさい)」の花火イベント、第11回「ゆめ花火」を企画運営する同大医学群学生団体「つくばけやきっず」(構成員38人)の活動を紹介しよう。 「ゆめ花火」は2011年、同大医学系学生サークル「賢謙楽学」と「花火研究会」が共同して、同大付属病院で病気と闘う子どもたちを励まそうと、雙峰祭の後夜祭で花火を打ち上げたのが始まり。同病院小児科で闘病中の子どもたちの活動支援を行う「けやきっず」がこの活動を引継ぎ、今日に至る。 今年は、11月8日午後8時30分から、大学構内「虹の広場」で打ち上げ、観覧場所は後夜祭会場の「石の広場」。「ゆめ花火」60発、ミュージックスターマイン200発を計画している。子供たちには会場内特別ブースで楽しんでもらうという。 子どもたちの描いた絵を花火に 花火の形は、子どもたちが思い思いに描いた絵を夜空に再現するというもので、いわゆる「型物花火」といわれる種類の花火。大きさは4号玉(直径12センチ)を使用するとのこと。 第1回から花火づくりを担当する山﨑煙火製造所(つくば市、山﨑智弘社長)の花火師さんは、原画をできるだけ忠実に再現できるよう熟練の技術を傾注するとのこと。型物花火の難しさは、観客側から意図した形が見えるかがポイント。ひとつのデザインに3発使用するのはそのためだろう。子どもたちが大好きな曲に乗せて打ち上げる工夫も欠かせないという。 花火を見た子どもたちのアンケートには「絵が本物の花火になって最高の思い出だった」「辛い闘病生活だったけど花火を見てまた明日から頑張れる」「涙が出るほど感動した」などと。ご家族からは「娘にも私にも勇気を与えてくれた」などの感想が届いている。 現在、小児科病棟や外来で「絵集め」の真っ最中で、全てをどうにか花火として打ち上げたい!と思わせてくれるものばかりだそうだ。 闘病中の子どもに夢と希望を 「ゆめ花火」にかかる費用は、クラウドファンディング「闘病に励む子どもたちに、笑顔と希望の「ゆめ花火」を!」で募っている。筆者も応じてはいるが、昨今の火薬類や諸経費の価格高騰に対応するためには、募集終了日まで残り15日。あともう一踏ん張りというところ。 代表の穗戸田勇一さん(34)=医学類5年=は「第1回を『花火研究会』側で始めた自分が、今度は『つくばけやきっず』側で再び携わることにも感動している。今年はコロナの落ち着きもあって、たくさんの絵が集まっている。子どもたちに夢と希望を与えられるよう、最後まで精一杯駆け抜けるつもり。皆さんのご支援を心からお願いしたい」と話す。 穗戸田さんは、「花火プロデューサー」として、県内外の花火大会の企画運営にも携わるなど八面六臂(ろっぴ)の忙しい毎日を送る。 30年ほど前、3歳の娘が白血病で入院。脊髄注射など小さな体にはかわいそうすぎて目を背けたくなる辛い治療の3年間を、無菌室で過ごした。打たれ弱い筆者は、明日が見えない不安を抱きながら、下を向いて歩く日々が続いた。 「ゆめ花火」発案者の穗戸田さんが、30年前にワープしてくれていたら、「花火の力」療法で、少しでも前を向くことができていたのかもしれない! ちなみに娘は、医療スタッフのご尽力で寛解に至り、元気でいてくれるのが何より。本日は、この辺で「打ち止めー」。「ドン ドーン!」。(花火鑑賞士、元土浦市副市長)

筑波大学医学群発 「花火の力」療法《見上げてごらん!》17

【コラム・小泉裕司】千紫万紅(せんしばんこう)のごとく夜空を彩る打ち上げ花火は、見上げる人の心に「感動」や「癒やし」をもたらしてくれる。この「セラピー効果」は、「花火の力」そのものではないか。 筑波大生が学園祭で花火企画 今回は、筑波大学「雙峰祭(そうほうさい)」の花火イベント、第11回「ゆめ花火」を企画運営する同大医学群学生団体「つくばけやきっず」(構成員38人)の活動を紹介しよう。 「ゆめ花火」は2011年、同大医学系学生サークル「賢謙楽学」と「花火研究会」が共同して、同大付属病院で病気と闘う子どもたちを励まそうと、雙峰祭の後夜祭で花火を打ち上げたのが始まり。同病院小児科で闘病中の子どもたちの活動支援を行う「けやきっず」がこの活動を引継ぎ、今日に至る。 今年は、11月8日午後8時30分から、大学構内「虹の広場」で打ち上げ、観覧場所は後夜祭会場の「石の広場」。「ゆめ花火」60発、ミュージックスターマイン200発を計画している。子供たちには会場内特別ブースで楽しんでもらうという。 子どもたちの描いた絵を花火に 花火の形は、子どもたちが思い思いに描いた絵を夜空に再現するというもので、いわゆる「型物花火」といわれる種類の花火。大きさは4号玉(直径12センチ)を使用するとのこと。 第1回から花火づくりを担当する山﨑煙火製造所(つくば市、山﨑智弘社長)の花火師さんは、原画をできるだけ忠実に再現できるよう熟練の技術を傾注するとのこと。型物花火の難しさは、観客側から意図した形が見えるかがポイント。ひとつのデザインに3発使用するのはそのためだろう。子どもたちが大好きな曲に乗せて打ち上げる工夫も欠かせないという。 花火を見た子どもたちのアンケートには「絵が本物の花火になって最高の思い出だった」「辛い闘病生活だったけど花火を見てまた明日から頑張れる」「涙が出るほど感動した」などと。ご家族からは「娘にも私にも勇気を与えてくれた」などの感想が届いている。 現在、小児科病棟や外来で「絵集め」の真っ最中で、全てをどうにか花火として打ち上げたい!と思わせてくれるものばかりだそうだ。 闘病中の子どもに夢と希望を 「ゆめ花火」にかかる費用は、クラウドファンディング「闘病に励む子どもたちに、笑顔と希望の「ゆめ花火」を!」で募っている。筆者も応じてはいるが、昨今の火薬類や諸経費の価格高騰に対応するためには、募集終了日まで残り15日。あともう一踏ん張りというところ。 代表の穗戸田勇一さん(34)=医学類5年=は「第1回を『花火研究会』側で始めた自分が、今度は『つくばけやきっず』側で再び携わることにも感動している。今年はコロナの落ち着きもあって、たくさんの絵が集まっている。子どもたちに夢と希望を与えられるよう、最後まで精一杯駆け抜けるつもり。皆さんのご支援を心からお願いしたい」と話す。 穗戸田さんは、「花火プロデューサー」として、県内外の花火大会の企画運営にも携わるなど八面六臂(ろっぴ)の忙しい毎日を送る。 30年ほど前、3歳の娘が白血病で入院。脊髄注射など小さな体にはかわいそうすぎて目を背けたくなる辛い治療の3年間を、無菌室で過ごした。打たれ弱い筆者は、明日が見えない不安を抱きながら、下を向いて歩く日々が続いた。 「ゆめ花火」発案者の穗戸田さんが、30年前にワープしてくれていたら、「花火の力」療法で、少しでも前を向くことができていたのかもしれない! ちなみに娘は、医療スタッフのご尽力で寛解に至り、元気でいてくれるのが何より。本日は、この辺で「打ち止めー」。「ドン ドーン!」。(花火鑑賞士、元土浦市副市長)

「ゲノムドック」を民間と共用へ 筑波大

血液から全ゲノム(遺伝情報)を解析し個人が病気になるリスクなどの情報を提供している筑波大学附属病院つくば予防医学研究センター(つくば市天久保、鈴木英雄センター部長)は16日、解析したゲノムを民間機関と共用し、より多くの被験者にゲノムの解析結果を届ける計画を発表した。 これにより、より多くの人に病気になるリスクを伝えるとともに、集めた遺伝情報を蓄積し、国内医療の発展に寄与したい構えだ。産学連携を進める同大の取り組みの一環。同センターでは2021年から、個人のゲノム情報を用いて現在の健康状態や、将来かかる病気のリスクを知るための「ゲノムドック」を始めている。 同センターが、筑波大発ベンチャーのアイラック(iLAC)=つくば市春日、佐藤孝明代表=、医療法人みなとみらい(横浜市、田中俊一理事長)と、3者で取り組む。みなとみらいが運営する銀座クリニックの会員が対象となる。 内容は、同クリニックで希望者から血液を採取し、アイラックが血液からゲノム情報を解析する。その際、遺伝性の病気やがんなどの発症リスク、病気に対する効果的な薬を同社で分析し、同センターが解析結果に意味付けをしてレポートを作成。専門家の判断の下、クリニックで被験者に結果を報告する。 被験者がどの遺伝情報を知らされるかは、専門家との事前のやり取りの上で決められる。解析されたゲノム情報は、被験者の同意を得た場合に限り、同大附属病院が管理するデータベースに登録される。 同附属病院の西山博之副病院長は、16日の会見で「2021年から2年間(ゲノムドックという)最先端の医療を開発してきた。まずこれを全国の人にも届けたい」とし、民間医療機関との提携は、そのための体制づくりだと説明する。 銀座クリニックの会員を対象とした今回の計画では「5年間で1000件」を目標に全ゲノム解析を進めたいとし、将来的にはこのノウハウを他の関連機関に提供することも考えているとした。またこの研究を通じて「日本人特有のゲノムとは何か、筑波大でそれが分かるかもしれない」と今後に期待を込めた。 対象者は20歳以上の希望者で、がんや心臓疾患のリスクなど約200の遺伝子解析結果と、それに基づく生活習慣の見直しや具体的な検診の提案を受けることができる。費用は非公表。 筑波大附属病院によるゲノムドックは従来通り、同センターにて受け付けている。費用は57万2000円。(柴田大輔)

200億円の大学債を発行へ 筑波大

筑波大学(つくば市天王台、永田恭介学長)は大学債権(大学債)を19日に発行すると発表した。発行額は200億円で、愛称は「筑波大学社会的価値創造債」。国立大学法人としては東京大学、大阪大学に次ぐ3例目となる。 自由度高い資金調達 国立大学法人による大学債は発行条件が厳しかったが、2020年6月の国立大学法人施行令の改正によって緩和された。改正前は、償還(返済)の見込みが十分に立った上で、附属病院の整備やキャンパスの移転などの目的でしか発行できなかった。改正後は発行条件の規制緩和がなされ、教育研究事業のための積極的な債権の発行が可能になった。大学としては、自由度が高い資金調達を行うことができるようになったといえる。 大学債は国立大学法人の新たな資金調達先として、すでに東京大学が一番手として、20年10月に200億円、21年12月には100億円、合計で300億円の発行を行っている。東大は大学債によって、10年間で1000億円の資金調達を目指すとしている。続いて今年4月には大阪大学が300億円の大学債を発行した。 地球環境や社会の課題解決に 3例目となる筑波大学は、調達する資金の使途について「本学が社会とともに新たな社会的価値に根ざした未来社会を創造するために取り組むプロジェクトに充当する」としている。地球環境や社会的課題の解決に使途を限定するもので、こうした債権はサステナビリティボンドと呼ばれる。サステナビリティボンドとしては国内で大阪大学に続く2例目となる。 永田学長は「大学債の発行は資金調達という意味から重要。さらに重要なのは大学債は筑波大学と社会とのエンゲージメント(誓約)の構築の方法であるということだ」とする。 資金の具体的な用途として同大は、大規模研究施設「未来社会デザイン棟(仮称)」、複合スポーツ施設「スポーツ・コンプレックス・フォー・トゥモロー(SPORT COMPLEX FOR TOMORROW、仮称)」をあげている。「未来社会デザイン棟」についてはすでに基本設計業務が発注予定となっている。 償還は新たな投資の収益など 現在、同大の主な財源は運営費交付金、学生納付金、附属病院収入、寄付金等の外部資金がある。同大の21年度の事業報告書によれば、経常費用が約1023億円、経常収益が約1060億円と約44億円の黒字の状況だ。さらに同大の21年度の統合報告書によると、運営費交付金による収益は近年はほぼ横ばい、附属病院の収益および外部資金による収益は増加している状況だ。 大学債を償還するための財源としては、新たな投資対象事業の収益や業務上の余裕金等を充当するとしている。 「いきなりの決定」 一方、同大の大学債発行に対し、同大教職員などでつくる「筑波大学の学長選考を考える会」の吉原ゆかり教授(人文社会学系)は「大学債の発行をどこでどのように決めたのか、教職員にも学生にも明らかにしない、いきなりの決定だ。指定国立大学指定のプロセスと同様のパターンだと思う」と指摘している。(山口和紀) ◆同大の大学債の利率は年1.619%。償還年限は最大で40年。償還日は2062年3月17日。主幹事証券会社は事務主幹事として野村證券(東京都中央区日本橋)、共同主幹事が大和証券(東京都千代田区丸の内)、三菱UFJモルガン・スタンレー証券(東京都千代田区大手町)の2社。募集の受託会社は三井住友銀行(東京都千代田区丸の内)が務める。格付け投資情報センター(東京都千代田区神田錦)および日本格付研究所(東京都中央区銀座)による同大の格付けは、それぞれAA+、AAAとなっている。

病院はそろそろ建て替え? 霞ケ浦医療センターの鈴木さん【キーパーソン】

土浦市の高台、下高津にある霞ケ浦医療センターは築53年になる。10数年前、勤務医が激減、それに伴い利用者が減り、廃院を取り沙汰されたこともあった。しかし、行政や大学を巻き込んだ病院改革が進み、医師の数は元に戻り、利用者も増えている。鈴木祥司院長に、どんな方法で危機を脱したのか?建て替えプランは?などについて聞いた。 霞ケ浦医療センターは「霞ケ浦海軍病院」に始まり、戦後まもなく「国立霞ケ浦病院」として出発。土浦市や近隣の人たちから「コクリツ」と呼ばれ、県南地域の医療を担ってきた。そして2004年に独立行政法人となり、「国立病院機構霞ケ浦医療センター」という長~い名の病院として再出発した。 存亡の危機→土浦市と筑波大の支援で再生 「存亡の危機に陥った」のは、「(国の)臨床研修制度の変更」(2004年)が主因。大学病院自体の研修医が減ったことから、それまで大学の病院から国立病院に派遣されていた医師が引き揚げられ、「50人近くいた医師が18人、内科はたった1人」に激減。総合病院の体を成さない、ほぼ産婦人科だけの病院となった。運営上は2008~2010年ごろが一番大変だったそうだ。 ここで土浦市が動く。2011年に市代表、県代表、機構代表、筑波大学代表などから成る「将来構想委員会」が発足。翌12年、「(当時の)中川市長と市議会の英断で」実現した寄付講座がテコとなり、病院内に「筑波大学付属病院・土浦市地域臨床教育ステーション」を設置。大学病院から教官3人が派遣され、筑波大の地域拠点病院になるとともに、地域医療の教育機関としての役割を担うこととなった。 現在、筑波大からの教官派遣は5人に増え、県内8カ所の地域臨床教育センター(当初の「ステーション」を改称)の1つとして、診療・教育・研究を行っている。これに伴い、筑波大から次々と医師が集まり、医師数は48人(2022年現在、筑波大出身がほとんど)に戻った。一時は減少した病院利用者も増え、「ずっと赤字だった収支は2017年から黒字となった」 建て替え、病院機構本部の優先順位は高い 黒字化に伴い、古くなった病院の建て替えも検討されたという。ところが、国の診療報酬引き下げにより、全国140病院を統括する病院機構本部の「経営」が悪化。赤字に転落したことから、全国すべての国立病院で、新規の病院建て替えなどの大型設備投資が凍結された。この投資ストップは今も続いている。 病院にとって大事なのは、患者を診る職員と医療機器であり、入れ物(建物)ではない。しかし、新しい建物は職員の志気を高め、利用者の病院への信頼も高める。鈴木さんは「建て替えには、機構本部の収支好転が必要。そして地域の信頼が最も大事。当センターは古いこともあり、建て替えの優先順位は高い」と読んでいる。 当面は、コロナ禍の経験も踏まえ、感染症対応など外来機能を強化する施設の改修を急ぐ。加えて、古くなった病棟(現在250病床)の改修に向け、約12万平方メートルの病院敷地の一部を老人介護施設などに貸し、その賃料を病院経営に回すことも検討している。 【すずき・しょうじ】1990年秋田大学医学部卒。同年、筑波大学臨床医学系内科・循環器内科レジデント。民間病院を経て、2000年国立循環器病センター・心臓血管内科スタッフ。2005年米シーダーズ・サイナイ メディカルセンター(加州)リサーチフェロー。2007年茨城県立病院・循環器内科部長。2011年霞ケ浦医療センター副院長。2013年から院長。ほかに、筑波大臨床教授、茨城県医師会副会長、日本循環器学会専門医など。千葉県生まれ、58歳。つくば市在住。 【インタビュー後記】霞ケ浦医療センターは、土浦市・筑波大と連携し、医師の教育・研究を支援しながら、地域医療を担う「市民病院」となった。鈴木さんは、病院医療、在宅医療、老人介護をつなげ、「土浦を医療・福祉のモデル地域に」と語る。行政と大学のコラボによる再生物語は新築病院で完結するわけでなく、その先も続く。(経済ジャーナリスト・坂本栄)

つくば生まれのHAL 病院導入にはずみ 4月からの診療報酬改定で

装着型ロボットスーツ開発のサイバーダイン(つくば市学園南、山海嘉之社長)の主力製品である「医療用HAL下肢タイプ」が4月から、筋萎縮性側索硬化症(ALS)や筋ジストロフィーなどの難病で入院する患者への治療に用いられた場合、診療報酬として出来高評価で加算できることになった。診療報酬の増点もあり、病院がHALを導入しやすくなる条件が整った。 9日開催の中央社会保険医療協議会 (中医協)総会で、2022年度診療報酬改定の答申書が承認された。この中で医療用HALによる入院患者への治療については、DPC包括評価の対象外項目(出来高算定項目)に追加された。 DPCは急性期入院医療を対象とした診療報酬の包括評価制度で、1日当たりの定額(包括)の医療費で計算をする方式。投薬、注射、検査などが包括されている対象項目は別々には算定できない。今回の改定案で医療用HALは、包括評価から出来高算定項目に切り替わり、外来患者同様、診療報酬算定ができるようになった。 同時に診療報酬点数の基本点数が900点から1100点に増点され、難病加算や導入加算を加えると4月以降、1回あたりの出来高評価は4000点となる。サイバーダイン社によれば、診療報酬は1回4万円となり、HALを装着して入院中に週2回月9回、各1時間程度の歩行機能改善を行った場合、36万円が出来高分に算入できるという。 難病入院の患者に治療機会 中医協の答申を踏まえ、厚生労働省は3月までに診療報酬の算定方法の改正に関わる告示・通知を発出する見込み。DPC対象病院は難病指定病院の約8割を占める。これまでHALを使った治療を実施しても、診療報酬として加算されなかったDPC対象病院には導入への大きな動機付けになる。 同社の宇賀伸二CFO(最高財務責任者)は「DPC対象は現在全国に約2000病院あるが、導入先は現行60病院にとどまる。これを当面200病院に拡大して、難病患者の治療機会の確保に努めたい」としている。 HALは筑波大学ベンチャーによって開発された装着型サイボーグ。脳から出る生体電位信号を利用して、身体機能を改善・補助・拡張・再生することができる。下肢などの機能回復を促す医療用のほか、作業支援用、介護支援用がある。 HAL医療用下肢タイプは、筋萎縮性側索硬化症や脊髄性筋萎縮症(SMA)、球脊髄性筋萎縮症(SBMA)など8つの緩徐進行性の神経・筋疾患を対象に、2015年11月に新医療機器として薬事承認され、医薬品医療機器法(薬機法)に基づき、5年間にわたり有効性や安全性の確認を目的とした使用成績調査が実施されてきた。その結果、他に有効な治療方法が確立していない緩徐進行性の患者に対して、既承認薬も含め前例のない顕著な機能改善効果が確認された。さらに安全な治療法であることを証明する「医療技術評価提案書」が日本神経治療学会から提出され、今回の改定案答申に至った。(相澤冬樹)

筑波大5人減る 医師臨床研修マッチング 県全体は過去最高に

県医療人材課は、来年度から茨城県内の医療機関で臨床研修を開始する今年度の医師臨床研修マッチング結果を発表した。募集定員が最も多い筑波大付属病院は募集定員94人に対しマッチ者数52人(前年度は96人に対し57人)で、マッチ者数は前年度より5人減った。 マッチング参加は20病院で、募集定員244人に対し、マッチ者数は72.95%の178人。前年度が定員248人に対しマッチ者数が69.35%の172人だから、今年度のマッチ者数は3.6%(6人)増加した。2004年度の制度開始以来、過去最高となった。 参加病院20病院のうち10病院が募集定員をクリアした。クリアした県南地域の病院は、土浦協同病院(15人)、東京医科大茨城医療センター(10人)、牛久愛和総合病院(5人)、JAとりで総合医療センター(5人)など。 医師研修マッチングは、04年度に医師の臨床研修が義務化されたことに合わせて導入された。医学生と病院のプログラムを一定のアルゴリズム(規則)に従って、コンピューターにより組み合わせを決定するシステム。臨床研修を行う病院等の団体で構成する医師臨床研修マッチング協議会が実施している。 定員に空席がある病院については、各病院それぞれが自助努力で医学生にアプローチすることになる(二次募集)。全病院の充足状況が明確化するのは、年度開始から2~3カ月後の夏前になりそうだという。(山崎実)

マンガで小児糖尿病の理解を広めたい 筑波大医療系と芸術系が連携

筑波大学の医療系と芸術系の教授らが連携するプロジェクトチーム「筑波大学グルッシーコラボレイションズ」(鈴木康裕代表)が、糖尿病を子どもにもわかりやすく説明したマンガ冊子を作成した。今年中に県内の小中学校等に配布する予定。小児糖尿病の患者が受ける誤解をなくすために、糖尿病を知らない子どもたちが読んでも理解できる内容になっている。 オリジナルキャラクターと一緒に学ぶ マンガに登場するグルッシーは、体にとって重要なエネルギー源であるグルコースをモチーフにしたオリジナルキャラクター。2016年に筑波大付属病院の理学療法士である鈴木康裕さんが芸術系の村上史明助教に、糖尿病予防キャンペーンのキャラクター製作を依頼したことで誕生した。 その後、グルッシーを使ったすごろくやカードゲームを展開し、小学校の保健の授業教材としても使用された。昨年には、グルッシーを主人公に、生活習慣と2型糖尿病をテーマにしたマンガを、鈴木さんの医学的な監修のもと作成し、つくば市内の小中学校や小児科に配布した。イラストは筑波大卒の芸術家である堀内菜穂さんが担当した。今回作成したマンガは、前回のマンガを発展させる形で、1型糖尿病にも焦点を当て、糖尿病の子どもの学校生活についても描かれる。付属病院の医師も監修に加わった。 子どもたちの誤解解消に プロジェクトチームのメンバーで、今回のマンガを監修した筑波大小児内科の岩淵敦医師によると、現在、小児糖尿病の患者は、およそ小学校10校に1人いる。今まで糖尿病の症状や原因等を説明した大人向け教材を子ども向けに改編したものはあったが、文章の脇にイラストを加えただけのものが多かったという。 糖尿病の子どもは学校でも血糖値を測ったり、インシュリンを打ったりする必要があるが、周りにクラスメートがいる中で医療行為をおこなうことに悩む子どもも多い。岩淵医師によれば、周りの友達との関係性について学会の話題にはのぼっていたが、今までの教材は学校生活についてはほとんど言及されていなかったという。 岩淵医師は、「糖尿病の子どもたちは誤解を受けてしまうことがある」と話す。糖尿病は、お菓子の食べ過ぎなど子ども自身の不摂生や、親の育て方が原因だというイメージが強い。しかし、1型糖尿病は生活習慣とは無関係で、インシュリンというホルモンがなくなってしまうことが原因であり、2型糖尿病はカロリーの過剰摂取が原因だが、生まれつきインシュリンが出にくい体質が大きく影響しているそうだ。 「このような誤解を解消するため、医療者が正確でわかりやすい教材を作成し、糖尿病を患う子どもだけでなく、彼らの周りにいる多くの子どもたちに読んでもらう必要性を感じた」と岩淵医師。 全国の小中学校へ配布を目指す 作成したマンガ冊子は、県内の小中学校のほか、茨城県糖尿病協会が毎年開催し、糖尿病の子どもたちが自分の病気について学ぶサマーキャンプで無料配布する予定。「マンガを読むことで、子どもたちにどのような変化があるかまで検証したい」と鈴木さんは話す。 マンガを配布する資金集めのためにクラウドファンディングを5月中旬から行っていたが、当初の予定より早く目標金額50万円を達成した。現在は目標金額を80万円に上げ、全国の小中学校等にマンガを配布することを目指している。7月15日まで資金を募る。(川端舞)

地域で実践「コミュニティーナース」 筑波大の看護学生が奮闘中

筑波大学の看護学生が、地域の中で看護実践をする「コミュニティーナース」を広めようと奮闘している。看護学類4年の總山萌(ふさやまもえ)さんだ。活動の背景にあるのは「看護学生は多くの場合、卒後そのまま病院に就職する。そうしたキャリアとは違った多様な看護のあり方があることを広めたい」という想いだ。 總山さんによれば、地域の中で看護活動を展開する人材を「コミュニティーナース」と呼ぶ。通常、看護といえば病院で行われる医療行為をイメージしがちだが、地域の日常の中で相手を思いやる人と活動を指す。「喉が枯れとるとあかんね、飴ちゃんどう?」などとおせっかいを焼く人のイメージ。「看護資格の有無は問わず、多くの人がコミュニティーナースであり得る」という。 總山さん自身が看護学生として「自分がやりたいケア」とは何かを考えていく中で、コミュニティーナースという考え方に惹かれるものがあった。そうした実践のありかたを知ることで「自分がやりたいケア」を見出したいと考えた總山さんは昨年、1年間の休学をした。休学中、コミュニティーナースの育成・普及に取り組む会社、Community Nurse Company(コミュニティナースカンパニー、島根県雲南市、矢田明子代表)で1年間のインターンを行った。 「暮らしのそばにおけるケアの実践を面白いと感じたし、自らのキャリアを一度立ち止まって考え直すために良いと考えた」と振り返る。インターン時には同社が行う「地域おせっかい会議」事業に携わった。雲南市で、既にコミュニティーナースのような活動をしている「まちの人」を巻き込み、チームとして一緒に成果を出そうとする事業だ。メンバーで定期的に集まり「『わたしこんなことやりたい!』、『こんな得意があるからこんなおせっかいができるよ』というアイデアをブレインストーミングしていき、それをみんなで形にしていく活動」と總山さん。 看護師の多様なキャリアを広めたい 将来、「まちの中にいる養護教諭」を目指している。大学では看護師になるため授業を受けつつ、並行して養護教諭の単位も揃え、教育実習にも行った。学外でも教育に関する知識を得るため、デンマークと韓国の教育施設へ視察しにいった。さまざまな角度から学校教育を見つめ、養護教諭は本来であれば学校の中に居る存在だが「そうではなくて、まちの中にいて困った時にすぐに頼ることが出来るような人になりたい」という。 卒業後は1年間インターンをしていたCommunity Nurse Companyの事業への参画を予定している。「看護学生は多くの場合、看護学校を卒業後にそのまま病院に就職する。コミュニティーナースに関わるのは、まちの中で活動するというキャリアの多様性に惹かれたから」だと總山さん。 現在、全国の看護学校に「コミュニティーナース」に関連する書籍を届けるプロジェクトを実施中だ。「活動を通じて全国の看護学生と関わっていく中で、卒後すぐに病院に就職してという進路ではない、色々なキャリアを一緒に考える機会が出来たらうれしい」と話す。(山口和紀) ◇總山さんは現在、矢田明子著「コミュニティナース|まちを元気にする“おせっかい"焼きの看護師」(木楽舎、2019年初版)を全国の看護学校に届けるクラウドファンディングを実施している。

アレルギー性鼻炎治療は「見える化」から 筑波大研究チームが無料アプリ公開

【相澤冬樹】スギ花粉症が勢いづくシーズン、筑波大学医学医療系の野口恵美子教授を中心とした研究チーム開発による無料アプリ「アレルギー性鼻炎レコード」が19日、公開された。症状と服薬状況を手軽に記録するiPhone向けアプリで、症状の「見える化」を通じて、患者と医療者のコミュニケーション改善を図るとともに、アレルギー性鼻炎に関連するデータの集積と解析を進めていく。 アレルギー性鼻炎は国民の約4割が発症しているといわれる。国民病といえるほどだが、命にかかわることがあまりないため、定期的に通院・治療を受けている患者は少ないと見られている。新型コロナの影響で、診療に向かう足はさらに遠のいている。 「症状の適切なコントロールのためには、日常的な症状や薬の使用状況を記録し、医療者とのコミュニケーションの改善を図ることが重要」と野口教授。従来は、症状日記として患者に紙で記録してもらうことが行われてきたが、利便性を欠くなどの課題があった。 そこで、アレルギー性鼻炎の患者向けに開発したのが、症状と薬の使用状況を記録するアプリ「アレルギー性鼻炎レコード」。利用初回に、症状や服用中の薬などについて回答してもらう。病院でもらう薬だけでなく、市販薬も一覧から選んで登録できる。その後は、日々の症状(鼻水、鼻づまり、くしゃみ、目のかゆみ)と薬の使用状況について記録していく。入力は1日1回、2~3分で済む。 入力内容は、症状の変化が見やすいようにグラフ化するなどし、メール送信することができる。この「見える化」により、情報を医師と共有したり、患者自身がどんな時期に調子が悪いのか、どんな薬を過去に使用していたのかを振り返ったりできる。 アプリでは、利用者の同意を得て情報を収集するが、個人を特定できるような情報の取り方はしない。ただ患者が診察時にデータを持参し、医師の治療法や処方の最適化に役立てることはできる。 研究チームにとっては全国的、経時的にアレルギー性鼻炎に関連する症状や服薬状況を収集・解析することにより、より良い治療法の提案につなげていきたいとの考えがある。 アプリのURLはこちら(アンドロイドには対応していない)。 研究グループはサイト「アレルギーレコード」を運営し、専門家の監修によるアレルギー性鼻炎や花粉の飛散情報を発信している。

野良犬猫の避妊・去勢手術拠点を開設 NPOが土浦に動物福祉病院

【鈴木宏子】野良犬、野良猫の避妊・去勢手術を専門に行う県内初の動物病院を、動物愛護団体、認定NPO法人CAPIN(キャピン、動物愛護を考える茨城県民ネットワーク)=土浦市、鶴田真子美理事長=が土浦市沢辺に開設した。 「パルTNR動物福祉病院」で、昨年末オープンした。現在、神奈川県川崎市にあるTNR日本動物福祉病院(結昭子代表)の支援を受けて、獣医医らが月1~2回、保護した野良猫などの避妊・手術を実施している。4月に本格オープンする。 殺処分を減らすため、同会は犬や猫を保護して避妊・去勢手術をしたり、病気やけがの治療をして、里親を探す活動を県南地域で展開している。2008年から活動をスタートし、12年間で避妊・去勢手術を実施した野良猫は6000匹以上、里親を見つけた保護猫は4000匹以上になるという。 土浦市内に保護犬や保護猫を収容するシェルターを運営し、現在、200匹を超える犬や猫を保護し、約100人のボランティアが毎日交代で、えさやりや散歩などをしている。 けがや病気の犬猫も多く、毎年2500万円を超える医療費がかかる。自前の動物病院があれば、より安く避妊・去勢手術が実施でき、スタッフの負担も軽減されることなどから、動物病院の運営ができないかとずっと考えていたと鶴田代表(56)は話す。 シェルターの近くに、閉院して空き家となっている2階建ての元動物病院があることを知り、昨年、土地と建物を取得した。延べ床面積約200平方メートルで、1階は診察室、2階は難病の猫のシェルターなどとして活用する予定だ。里親探しの会場にもする。本格オープンする4月以降は、一般のペットの診療なども実施する方針だ。 しかし10年近く空き家となっていたため、雨漏りがするなど、今後、屋根の改修が必要で、同会では25日までクラウドファンディングを実施し、支援を呼び掛けている。 18日朝現在で、すでに約640万円の支援が集まり、そのうち500万円で屋根の補修や室内の改装を実施する。さらに集まれば、超音波や血液検査、CTなどの医療機器を購入し、駐車場や外構の整備なども実施したいという。 「殺処分ゼロの砦」 鶴田代表は「国内では殺処分の大半が猫で、7割は子猫。殺処分される子猫が生まれないようにするためには避妊・去勢手術が効果的な手段になる。動物病院は殺処分ゼロの砦(とりで)になる」と話す。 同会は鶴田代表が、2008年に筑波大学周辺で野良猫を保護し、避妊・手術をして、保護した場所に戻す活動からスタートした。茨城県の犬猫殺処分数が全国ワースト上位だった当時から、県などに殺処分ゼロを働き掛け、16年には県犬猫殺処分ゼロを目指す条例制定にこぎつけた。現在も毎週、県動物指導センター(笠間市)を訪問し、殺処分を無くすため、保護犬などを引き取る活動を展開している。福島原発事故や常総水害、熊本地震などでは被災地に赴き、取り残された犬猫を救出して飼い主に返す活動を実施してきた。 ◆クラウドファンディングはこちら ◆パルTNR動物福祉病院は土浦市沢辺559-4。2~3月は猫の避妊・去勢手術を実施する。実施日は2月28日(日)、3月7日(日)・28日(日)。会員以外でも、保護した野良猫の避妊・去勢手術を実施してほしい人は受け付ける。手術費は有料。完全予約制。猫の送迎が必要。予約・問い合わせはCAPINホームページで受け付ける。4月以降は未定。

お餅を詰まらせないために 筑波大医学生が26日に啓発イベント

【車谷郁実】お正月に向け、餅の誤飲による窒息事故を防ぐための啓発イベントが26日、カスミ筑波大学店 (つくば市天久保)で行われる。主催するのは筑波大学医学部5年の森陽愛子さんだ。イベントでは森さんが手作りのフリップや人形を用いて餅を詰まらせたときの対応方法などを伝える。その様子はカスミの公式フェイスブックや同大学店のツイッターなどでライブ配信される予定だ。 SNSを使ったカスミのライブ配信 森さんは昨年から心肺蘇生法を伝えるイベントを開催してきた。森さんとカスミが連携してイベントを行うのは6月のイベント(6月24日付)に続いて2回目になる。 今回は、コロナ禍における医療従事者の負担を少しでも減らしたいと企画した。きっかけは、実習先の病院で「医療従事者は常に大きな感染リスクに晒されている」と実感したことから。発熱のある患者は、感染リスクのために学生の森さんではなく、病院勤務の医療従事者たちが対応した。ある医師は「少しでも咳や鼻水が出ると患者さんに不安を与えてしまう。自分の体調管理も徹底しないといけない」と話した。 森さんは、医療従事者には気を緩める時間は一時もないと感じた。病気や事故の予防法を市民に伝え、病院にかからぬようすることで、医療従事者の負担を少しでも減らしたいと考えた。 そのころ読んだ大学の先輩が書いた論文で、一年で最も誤嚥(ごえん)による窒息死が多いのは元日であることを知った。多くの人がお餅を食べるためだ。その窒息予防について伝えたい、と前回のイベントで交流のあったカスミの担当者に開催を提案した。 同社は現在、月に2回ほど旬の食材の魅力や食育について、生産者や取引先とともにSNSを通してライブ配信している。イベント担当者である営業統括部人事コミュニケーションソーシャルシフトの高倉綾子さんによれば、森さんの提案はその情報発信の在り方を見直す契機にもなった。「どれだけ商品を販売できるかだけではなく、お客さんが購入したあと安全に食を楽しんでもらうことまで考えないといけないと気づかされた」と話す。 カスミのSNSを使ったライブ配信ではおよそ5000人の視聴者が集まる。森さんは「救急の観点だけで言えば『餅は食べないでほしい』と言わなければいけないところ。だけど、そうは言えないので、餅を安全に食べてもらえるよう窒息の予防法について多くの人に伝えたい」と意気込みを語った。 イベントは26日午後1時から。会場は筑波大学構内のカスミ筑波大学店(電話:029-850-5851)。ライブ配信は以下のアカウント。・カスミ公式Facebook「カスミFanページ」@kasumi.fanpage・カスミ公式Twitter「カスミ筑波大学店」@kasumi398ut

心肺蘇生のオンラインイベント開催 27日に筑波大医学生がカスミと

【山口和紀】心肺蘇生の方法を伝えるイベントが27日、つくば市天久保のスーパー、カスミ筑波大学店フリースペースで開催される。カラオケボックスではやりの曲に合わせて心肺蘇生をするイベントを開催している筑波大医学部5年の森陽愛子さん(2月7日付)が主催する。イベントはカスミの公式フェイスブックや同筑波大学店ツイッターなどでもライブ配信され「リアルとオンラインの融合企画」を目指す。 主催の森さんは以前から「大学生や社会人に楽しみながら心肺蘇生を学んで欲しい」とカラオケボックスで体験イベントを開催している。しかし、新型コロナウイルスの影響でボックスが使えなくなった。「医学生としての病院実習も緊急事態宣言の影響で自宅待機となっていて、何かできることはないか考えていた」と語る。 今回はリアルで企画を行いつつオンラインで配信することで人が密集しないよう工夫をした。企画は同店のフリースペースで開催されるが、ガラス張りなので外からも見学することができる。 当日は心肺蘇生に関するクイズを出したり、ペットボトルを使った心肺蘇生の体験などを行う。ペットボトルを使う体験は、家で配信を見ている人や店舗で見学をしている人にも参加してもらう仕掛けだ。実物大の模型を使った実演も行われる。 今回、カスミはただスペースを貸すだけでなく企画から配信の準備まで森さんをサポートするが、それにはきっかけがある。森さんは今年4月にカスミ広報誌「Cha-ble」で同社の小濵裕正会長と対談した。内容は森さんがコンテストで賞をもらった小論文「SDGsと企業」に関してだった。その中で小濵会長から「今度はカスミと一緒に何かやりましょう!」という声掛けがあったことが、今回のイベントに繋がった。 「コロナ禍にあって、カスミとお客様との関係性をもう一度見直す必要がある」と語るのはカスミの担当者だ。カスミではフリースペースなどを活用した地域の人々の交流イベントが次々に中止になっている。しかし、海外ではシェフが料理をライブ配信で紹介したり、経営者がライブ配信を行ったりするなどの取り組みが行われており、それが参考にされた。今回のイベントをオンラインで配信する目的の一つには、人々が容易に集まれない中で、地域が繋がっていくためのビジョンがあるという。 ◆イベントは27日の17時から20分程度行われ、当日の配信は以下のURLで配信される。 カスミのFacebook https://m.facebook.com/kasumi.fanpage/?locale2=ja_JPカスミ筑波大学店のTwitter https://twitter.com/kasumi398ut?s=09つくば心肺蘇生選手権のTwitter https://twitter.com/tsukuba_sosei?s=09

40代男性事務職員を懲戒解雇 筑波大 不正に病気休暇取得

診断書を偽造して不正に病気休暇を取得し、給与を不正に受給したとして筑波大学(つくば市天王台)は31日、同大学の40代男性事務職員を同日付けで懲戒解雇処分にしたと発表した。 大学によると、男性は2017年6月から19年7月までの間、へんとう炎や急性胃腸炎などを患っているという診断書計22通を偽造し、計107日と4時間30分の病気休暇と病気休職を不正に取得し、給与約190万円を不正に受給したとされる。 病気治療中のはずの男性職員を、別の職員がたまたま外出先で見掛け、診断書を出した病院に問い合わせたところ、偽造が発覚した。 男性は大学の調べに対し、偽造を認めて謝罪し、給与の不正受給分約190万円を返納したという。動機については「なぜこういうことをしたか分からない」などと話しているという。大学は、給与の不正受給分がすでに返納されているため刑事告訴は行わないとしている。 永田恭介学長は「本学職員がこのような事態を起こしたことは極めて遺憾。事態を真摯(しんし)に受け止め、国立大学法人職員としての社会的責任の重さを認識し、職員に対し意識の向上や再発防止に向けた啓発活動を行い、信頼の維持・向上に努めたい」などとするコメントを発表した。

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