食肉加工会社、筑波ハム(つくば市下平塚)が、自社が販売するヨーグルトのラベルデザインを一新する。新デザインを担ったのは、筑波学院大4年の下村月乃さん(22)だ。専攻するビジネスデザイン学科での卒業制作作品が、採用された。

曲線と色で「つくば」らしさを表現

筑波山を表す二つの起伏と、ヨーグルトをイメージする滑らかな波—。下村さんは、つくばの研究者との共同研究で生まれたヨーグルトを、3本の曲線と豊かなグラデーションカラーで表現した。自然と都市が同居する「つくば」らしさを打ちだし、商品の手に取りやすさと、ささやかな特別感を併せ持つイメージを形にした。

大学のサポートを受け地域企業と協働する「実践活動」の授業をきっかけに、筑波ハムと関わりのあった母親とのつながりから企画が始まった。当初は企業パンフレット制作を想定したが、ヨーグルトラベルの一新を検討していた筑波ハムから、ラベルデザインを持ちかけられた。

ハムやベーコン、ソーセージなどを手がける筑波ハムでは、元農林水産省畜産試験場第一研究室の吉野正純博士との共同開発で生まれた乳酸菌を使用する乳製品を、吉野博士にちなむ「ナチュラル吉野」というブランド名で製造・販売している。

下村さんは、ラベル制作の過程で製造、営業など、企業内の多様な立場の人と意見を交わし、細部調整を繰り返した。その過程を「とても大変だった」と話しつつ、「立場による見方の違いを知り勉強になった」と振り返る。実際に店頭に並ぶ商品を見ると「本当に並んじゃった。よかった」と安堵し、「完成にこぎ着けられ自信になった」と喜んだ。

筑波ハム乳製部の岩本俊典さんは、下村さんのデザインを「試案からこちらの想像を超えるものでした」とし、「完成品に大変満足しているし、お客さんの反応もとてもいい」と笑みを浮かべる。

駆け抜けた学生生活

中学時代から、コンピューターゲームを自作し、小説を書くなど創作活動に打ち込んできた下村さんは、筑波学院大入学の動機を、「様々なことにチャレンジできる環境に魅力を感じた」からと話す。大学では、卒業制作につながった学外団体と連携をはじめ、文化祭実行委員、コロナ禍でのサークル活動のためのオンライン活動環境を作り上げるなど、積極的に活動してきた。そんな4年間を「あっという間。駆け抜けちゃったという感じです。いろいろな世界を知ることができ、社会勉強になりました」とさわやかに振り返る。卒業後は、アプリ開発やWebサイトのデザインを手がけたいという。

これから新ラベルが貼られたヨーグルトを手に取るお客さんに対して、「グラデーションの色使いやフォントなどの調和に目を向けてもらえたらとてもうれしいです」とし、「手に取るそれぞれが、好きなところを見つけてほしい」と話した。(柴田大輔)