イベントやグループ活動でリーダーを務めることが多かった。そのたびに自分一人ではできないこと、支えてくれる周囲の人への感謝を強く感じた。4年間で学んだ感謝の大切さを20分の映像で表現した。タイトルは『やおよろず』、自ら台本、コンテを書き、製作・監督・衣装まで務めた自主制作映画だが、出演者はじめ多くのスタッフに支えられ、完成試写にたどり着くことができた。

筑波学院大学経営情報学部
ビジネスデザイン学科4年
大久保駿さん(22)

―『やおよろず』、どんなストーリー?

主人公は不器用で「ありがとう」を言うことの出来ない中学生、奥村研。彼はうまく感情を伝えることが出来ず、いつもクラスでひとりぼっちだ。ある日、彼は実家の神社のご神体である鏡をうっかり割ってしまう。次の日から、彼にだけ周囲の人間が日本の神様や精霊の様な格好に見えるようになってしまう。奇妙な光景に戸惑いつつも、姿を変えた人たちが、気付かないところで奥村を気遣っていたのだということがわかってくる。奥村は今まで気にも留めなかった周囲の何気ない思いやりに気づいていく…

―出演者やスタッフはどう探しましたか。

やはり学内の方ですね。同学年と後輩に役者とスタッフを、先生に奥村の両親役をお願いしてきました。全員で15人ほど、皆さん快く引き受けてくれました。

―タイトルは「八百万(やおよろず)の神」からきているようですが、ストーリーに「神」を取り入れようと思ったのはなぜ?

自分にとって周囲の人が神様と同等の存在だと考えたからです。イベントやグループ活動でリーダーを務めることが多く大変だと感じたこともありましたが、見えないところでサポートしてくれている周囲の存在を知ることができました。4年間で大小かかわらず10本を超える映像作品を作りましたが、これらにも役者として出演してくれたり、撮影のサポートでレフ板を持ってくれたり、と「周囲に感謝する気持ちの大切さ」を感じました。ゼミの野田先生には絵コンテやセリフの言い回しを指導していただきました。

『やおよろず』アマテラス、大黒天の登場シーン

―大久保さんの趣味はコスプレの衣装製作とか。もしかして今回の神様の衣装は…

そうなんです。登場するアマテラスオオミカミ、大黒天、普賢菩薩(ふげんぼさつ)、赤鬼の衣装は手作りです。コスプレの衣装は工作用紙やボードがメーンでした。アイアンマンとか(笑)。布生地で作るのは初めてで、勾玉(まがたま)のネックレスや冠作りも含めると、4着で1カ月かかってしまいました。皆さんお似合いで、とてもうれしかったのを覚えています。

―撮影での苦労はありましたか。

出演者や撮影スタッフが大人数なので予定を調整することが大変でした。講義が少ない4年生とはいえ、バイトがありますからね。外の撮影でもいろいろとありました。いわゆる「あるある」ネタだと思いますが、余計な音を拾っちゃうのが大変。犬の鳴き声、救急車のサイレン、選挙カーなど、笑ってしまうくらい撮影中断が続きました。皆さんが楽しんで撮影できるよう毎回、お菓子を持ってきていました。こういうのって大事だと思うんですよね。

神社で撮影する様子(右が大久保さん)=つくば市内

―4年間を振り返っていかがですか。

最後に納得できる作品を作れました。試写会後のアンケートではほぼ全員が映画に込めた思いを汲み取ってくれました。夢はディレクター。映像制作会社に就職が決まっています。周囲への感謝の気持ちを忘れずに成長していきたいと思います。

(聞き手・谷島英里子)