【鈴木宏子】つくば市長の6月の定例会見が5日、同市役所で開かれた。五十嵐立青市長は、新技術や官民のデータを活用して、都市や地域の課題を解決する国交省のスマートシティモデル事業に、県と筑波大学、つくば市などで構成する「つくばスマートシティ推進協議会(仮称)」の提案した事業が、先行モデルプロジェクトとして採択されたことなどを報告した。

新技術を使って新たな統合型移動サービスを実現するため、公共交通の新たなサービスとして、筑波大学で顔認証技術を使い、学内バス乗降時に顔認証でキャッシュレス決済などの実証実験をしたり、さらにバス乗降時の顔認証を、同大附属病院の受け付けや診療費の会計処理などと統合する実証実験をする。

ほかに身体障害者など交通弱者が安全な移動ができるよう、利用者の健康状態を測定して電動車いすなどの運転を制御したり、電動車いすで横断歩道を渡る際、信号機の情報を車いすに伝えて危険が近づいたときはアラームを鳴らして知らせるなどの技術を実証実験する。

交通の流れや生体のデータなどビッグデータを同大のスーパーコンピュータで解析などして、課題解決にも取り組む。

モデル事業は、全国73件の応募の中からつくば市など15件が採択された。筑波大学やつくば駅周辺、研究学園駅周辺区域などで実施する。県、市、同大のほか、鹿島建設、KDDI、日本電気、日立製作所、三菱電機、関東鉄道、サイバーダインなどで構成する協議会が取り組む。

今後、スマートシティ実行計画を19年度後半から実証実験に着手するという。

AIで健診受診率向上へ

会見ではほかに、AI(人工知能)を使って健康診査受診率を向上させる同市などの提案が、総務省の公募に採択されたことなども報告された。同市と姫路市、ソフトウエア開発会社エーティーエルシステムズ(甲府市)の3者による提案で、総務省の革新的ビックデータ処理技術導入推進事業に選ばれた。応募は全国12件で採択は3件という。

つくば市は特定健診の受診率が35.2%(2017年度)で県内44市町村中35位と低いことから、健診の予約日の状況などをAIが分析、判断して、より適切な健診日を設定したり、健診結果のデータや住民情報データをもとに、それぞれの対象者に最も適した健診方法を勧める。今年秋にも、AIが誘導する健診の通知を発送するなどの実証実験に着手する計画で、受診率40%を目指すという。