【コラム・斉藤裕之】牛久市猪子(ししこ)にあるアトリエ・カフェその名もSiSiCo。様々な活動にも使われているコミュニティスペース。第2、第4日曜日、薪(まき)で焼くピザは絶品。そこから、恒例のビアガーデンパーティーを前に草刈りを頼まれました。

夏は生き物が輝く季節。草もどんどん伸びる。いや伸びるなんてもんじゃない。今年は特に。さて、朝のうちに膝も隠れるほど伸びた草を刈払機で刈り、そのままお天道様のお力で干からびさせます。相当な汗をかきました。

次の日。刈った草を集め、市指定のごみ袋に詰めていきます。薪割りしかりですが、割るよりも後始末の方がきついのと一緒で、刈った草の始末が意外に重労働。まず熊手で草の畝(うね)を作るように集めます。太陽に当たっていないところはまだ生の草で、ずっしりと重さを感じます。結構な広さの敷地には畝が何列にもできました。

この時点で猛暑日の予想通り、Tシャツは絞れるほどの汗。余談ですが、最近話題のサマータイム。日本の暑さは気温よりも湿気が問題です。要はタイムよりもマンス。9月開催が無理なら、オリンピックはお盆過ぎにずらす方がいいのではないかと。

草を袋に詰めている俺は?

一息入れたらごみ袋に詰めていくのですが、これがまたきつい。茎のしっかりしたヤツは要注意。ぎゅうぎゅうに詰めていく力でごみ袋を突き破ってしまいます。無言のまま続く作業。

滴り落ちる汗とともに頭の中に浮かぶこと。この時はなぜか高校同級生の顔。みんなちゃんとした会社に勤めて、いっぱしの地位についているんだろうな。それに比べて、このクソ暑い中、草を袋に詰めている俺はどうなんだ? いや、こうなるべくして今俺はこうしているのだ。いいじゃないか…。

ちょっとセンチメンタルになったりするうちに、これはもしかして、例の「命に係わる暑さ」ってやつか? 「50代男性、草刈り作業中に熱中症で搬送」という新聞の見出しがリアルに頭をよぎり、草刈り作業史上初めての途中棄権と相成ったわけです。

翌日。朝から残りを袋に詰めて、ミッション完了。並べた45㍑入りの袋は湿気でくもり、まるでエイリアンのタマゴ? その数ざっと40。

刈った草を袋に詰め、それを市が回収し焼却するというのは手間もお金もかかります。家庭の草ぐらい燃やしてもいいと思うのですが。「煙たなびく苫屋こそわがなつかしき住処なれ」は、今は昔。

暑さ寒さも彼岸までとはよく言ったもので、彼岸を過ぎると草は伸びるのを諦めるようです。それまで、あと2回は草刈りをしないといけないでしょう。一方、甲子園では「雑草軍団」が活躍した夏。坊主頭だった彼らの髪の毛はというと、こちらはしばらく刈られないまま伸びていくのでしょうね。(画家)