《邑から日本を見る》22 東海村は福島の原発事故に学べ

土浦市本郷の「ともいきの郷」で講演する 前福島県双葉町長・井戸川克隆氏(左奥)

【コラム・先﨑千尋】前福島県双葉町長の井戸川克隆さんは、土浦市での講演の前日、東海村のHPで村の資料を集め、内容を調べた。今回は、井戸川さんの話の中から、東海村の避難計画などについて伝える。

前双葉町長井戸川さんの話を聞く (2)

3・11のあと、井戸川さんは町民を埼玉県に避難させたが、その時の反省をこう語る。「私は、双葉町民を県内の川俣町から、さいたま市のスーパーアリーナに避難させ、最終的に同県加須市の旧騎西高校に移動させた。役場機能もそこに置いた。私は双葉町の住民が諦め、気力を失うのが怖かった」。

「福島原発からできるだけ遠くに、『とっとと逃げろ』ということだった。しかし、逃げたあとの計画、どこでどうすればいいのか、住宅、仕事、子どもの学校などの計画を持たなかった。避難させるだけで、あとのことを考えてなかった。避難で、行政は住民に負担と我慢を与えてしまった」

そして、東海村については「国はかつて、東海第1原発で事故を起こしたら、いくらかかるかを試算し、国の予算の2.3倍という数字が出た。膨大なので、事故は起きないことにしようということになり、この数字は公表されなかった」。私はこの数値について詳細を知らないが、東海原発は首都圏に近いので、そのくらいになるだろうと理解できる。

「東海村の自治の基本とまちづくりに関する原則を定めた『条例』はすばらしい(2010年制定)。この条例には、原発事故によって村が破壊され、住民が住めなくなるということは書かれていない(想定していない)」

「しかし、その後作成された避難計画には、この条例とまったく反対のことが書かれている。村は福島の事故から学んでいない。村の防災計画はずさんで、村民にあらゆる責任と役割を負わせているだけで、村民の命と暮らしを守るという意思は感じられない。原発が事故を起こした時、住民に避難する義務はない。村の計画には、国の責任と誰がどこまで責任をとるのかも書かれていない」

井戸川さんは村役場に、原発事故が起きた時、住民に避難義務があるかを問いただし、義務はないことを確認している。災害が起きた時に適用できる法律は災害対策基本法だが、これは自然災害が対象。原発の事故は電力会社の保全管理などの怠慢による人災なので、この法律は使えない。

原発事故で住民を避難させる条例や規則は村にはない。だから、村が避難計画を策定することは村長の権限外のことになる。「原発事故を想定した避難計画の作成は、原発を持つ会社がやることで、住民に避難を強制はできない。首長が法律や条例にないことを住民に押し付けるのは犯罪行為だ」。

最後に井戸川さんは、村の原子力規制行政に「放射能を生活空間に出させない装置にすること。避難しないで暮らしが継続できること。事業者は損害賠償、後片付け、放射能の掃除を全うすること」だとし、それができないのなら、原発をドームで密閉すべきだと提案した。(元瓜連町長)