【コラム・浅井和幸】あるお茶会での出来事です。ある支援者が私に質問をしてきました。「ある方の相談を受けていますが、その方はやる気のない人です。そのような人にやる気を出させる方法はありますか」と。

その前置きでの話では、私にはその相談対象の方がやる気があるように感じられた点が複数あったのですが、それも伝えつつも、質問に対し下記のような例を出しました。

今、私たちは携帯電話を当たり前に持っています。ですが、携帯の出初めは多くの人は手を出しませんでした。購買意欲は簡単に湧かないのです。そこでメーカー側は無料で配るなどの…と話し始めたところで、話を遮って「その方は携帯を持っています」と言ってきました。多分、携帯を持つことで意欲が湧くのだと私が説明し出したと考えたのでしょう。

私は、意欲が湧くため、興味が湧くための一般的な方法論を伝えてから、具体的にその方の話にあった手段を考えていたのですが、とうとう話を届けることが出来ませんでした。むしろ、周りにいた方が耳を傾け、自分や子どもの場合はどう対応すればよいかと質問が続きました。

ある支援者は1人でキョトンとしていました。この人は毎日のように半分公の場で専門家として相談を続けていると思うと、ゾッとしました。こちらの話の意図をくもうとせず、全ての支援を自分はしていて、問題ない、悪くないと主張します。この態度で、弱い立場で相談に行く方々は話を聞いてもらえるのだろうか?と。

相談の4つのコツ:

このような考えの支援者は少なくないのも事実です。うつ病で休職をしているとき、福祉サービスを探すとき、遺産相続の手続きをするとき、子育てで悩んでいるとき…。悩みを初めて経験すると、誰にどのように相談してよいか分からないことがあります。相談をしていて、上手く運ばないなと感じたときは、次のコツを思い出してみてください。

1 相談のポイントをメモしていく:いつも悩んでいることを、相談の場で忘れず、論理的に説明することは至難の業です。日常的にメモしておくとよいでしょう。

2 相手が言っていることをメモする:その場で覚えたつもりでも、あとで思い出すのは難しく、メモは役に立ちます。メモを取ることで、支援者がごまかした対応が取りづらくなります。名刺をもらうのもよいですね。

3 何回も相談に行く:相談をやめてしまうと、支援者は解決と取ってしまうことがあります。同じ相談を何回も繰り返ししましょう。支援者がそれを嫌がっていれば、支援者の資質の問題なので、担当を変えてもよいでしょう。

4 複数の相談先を持つ:1カ所で上手くいけば、それに越したことはありませんが、それでも複数の信頼できる支援者と繋がっていることが大切です。あなたが他の相談の場に行くことを嫌がる支援者は、何か裏があるかもしれませんよ。(精神保健福祉士)