【コラム・坂本栄】今回もTXつくば駅周辺の問題を取り上げます。というのはまた悪材料が出てきたからです。本サイト22日の記事によると、センタービル(オークラフロンティアホテルつくばとノバホールをつなぐ建物)の1階にあった蕎麦屋が店を閉じたそうです。人通りが少なくなったところで1店だけ店を張るのはつらいものです。ビジネス判断としては当然でしょう。

前回のコラムで、西武百貨店跡にマンションが建つのは好ましくないと市当局は考えていると書きました。また、あるホテル会社が西武跡を買い取り、ホテルを建てようとしているとの情報も紹介しました。

ところがその後、事情通から「西武跡にホテルは建たない。なぜなら、土地建物の持ち主・筑波都市整備はオークラつくばに対し、西武跡をホテル業者には売らないと約束している」と耳打ちされました。民と民のビジネスを縛る約束があり、高値で買いオファーがあっても、都市整備はホテル用途には売却できないというのです。

一昔前まで、オークラつくばは都市整備が保有するホテルでした(運営は虎ノ門の「ホテルオークラ東京」を運営するホテルオークラに委託)。しかしお荷物になり、経営権をホテルオークラに譲渡、今は都市整備から切り離されています。でも昔のつながりもあり、競争相手になるホテルは西武跡地(隣接区画)に出させないと約束していたようです。

ホテルが集積する街?

マンションもホテルもNOということですから、西武跡地処分のハードルは結構高くなります。このコラムの32でも指摘しましたように、TXつくば駅を中心とするセンター地区は駐車場の利便性に問題があります。また駅間競争では研究学園駅に負けました。

ダメダメばかりです。モータリゼーション時代を迎え、理想の研究学園都市、その中心になるセンター地区の絵を描いた都市計画者は、今ごろなにを思っているでしょうか。

つくばセンター地区をどうやって再生させるか。最近、地域のメディアが好んで取り上げるテーマですが、前段で触れたような制約を取り払い、もっと自由に考えた方がよいのではないかと思っています。マンションでもホテルでもいいのではないか、広い平面駐車場をつくったらどうか、行政はあまり口を出さず、ビジネスベースで進めた方がよいのではないか—と。

オークラつくばとホテルグランド東雲の間(西武跡地)に、大ホテルが建つのも面白いと思います。このエリアに宿泊・宴会・レストランを持つホテルが林立すればにぎやかになるでしょう。とんかつ屋が3軒、ラーメン屋が3軒集まれば、どこがうまいかと足を運びたくなります(例えは大衆的過ぎますが)。(経済ジャーナリスト)