【コラム・橋立多美】電子レンジなどで手軽に調理できるレトルトカレーの人気が高まり、民間調査会社によると、2017年の売上高が固形のルーを上回ったことが分かった。

その背景は、単身世帯が増えてルーを使って複数人分のカレーを作る機会が減っていること、火を使わないのでシニア世代が安心して使えることが挙げられる。最大の要因は、働きながら育児や家事を日々こなしている女性の時短ニーズだろうと思う。

私の次女は共働き世帯で、2人の小学生を育てながら働いている。夕方仕事を終えると学童保育に迎えに行き、帰宅すると洗濯物の片付けと夕食と入浴の準備に追われて息つく暇もない。子どもたちと食卓を囲んだ後は、台所の片付けや学校への連絡帳と宿題のチェックと、これまた忙しい。

働きながら、育児や家事を日々こなしている女性たちの家事にかかる時間を短縮する「時短商品」の先駆けは、1990年代に発売された食洗器だ。注目を集めてヒット商品となった。その後も時短商品は家電以外の領域に広がり、短時間料理のニーズが高まっている。

主婦向け雑誌では今や、冷凍食品や電子レンジなどを活用した時短調理法の特集が定番企画になっている。働く女性たちの時短ニーズへの要望に応えたものだろう。専業主婦も料理にかける時間を減らしているという調査結果がある。

写真のレトルトカレーは大手食品メーカーから発売されているもので、1食分(150g)が3袋入って税別348円。170gが4袋入った商品は税別398円。いずれのメーカーも食材やスパイスに趣向を凝らし、多彩なレトルトカレーをラインアップしている。

時代の変化とともに暮らしぶりや商品は変わるもの。今の女性たちは、子育て中の母親は自分の身を飾ることより育児に勤しむという、ひと昔前のステレオタイプから脱皮し、ファッションやSNSを楽しみ、自分流の生活を満喫しているように見受けられる。団塊世代の私にはうらやましい限りだ。

母親がハッピーでなければ子どももハッピーにはなれない。母親が手軽な調理で生き生き暮らすことに異論はないが、成長期の子らには新鮮な野菜を添えてやってと願う。(ライター)