【コラム・坂本栄】5月連休明けの7日、新年度の大学講義も5回目になりました。1講座は半期15回ですから3分の1を消化したことになります。新入生もキャンパスに大分慣れて来たのではないでしょうか。

以前にも触れましたが、私は毎月曜の午後、2つの授業を担当しています。日立の茨城キリスト教大まで常磐高速を飛ばし、昼はサンドイッチで済ませ、それから各90分講義します。一つは必須課目の「社会科学の考え方」、もう一つは選択科目の「働くということ」(上期、下期は「国際経済と暮らし」)です。

「社会科学の考え方」については、このコラムの23回目(洋風居酒屋で若い先生と議論)で触れました。「国際経済と暮らし」については、24回目(ごじゃっぺ・トランプを素材に講義)と26回目(分散投資と電源構成)で、どんなことを教えているか触れました。今回は、面白い講座名の「働くということ」を取り上げます。

「こういったタイトルの講座を持ってくれないか」と、大学の幹部に言われたとき、私の反応は「?」でした。名称のストレートさは置くとして、労働雇用問題には素人だからです。でも「学生の関心が強い就活や就業に役立つ話を」との注文に、それも面白いかと引き受けました。

素材は常陽新聞「キーパーソン」

講義は3年目になりますが、昨年100名程度だった「働くということ」の受講生は、今年150名弱に増えました。通常の教室に入りきれず、急きょ、倍の席数の教室を手当てしてもらいました。うちの奥さんにその話をすると「試験がやさしいとの噂が拡がったのでは」と言われましたが、「内容がユニークで評判がよいからだろう」と反論しました。

というのは、精神論的な話は1回で済ませ、2回目以降はケース・スタディにしたからです。どういうことかと言うと、いろいろな業種の会社・組織(ケース)を取り上げ、その業種の特徴や働き方のツボを話すという、学生に興味を持たせる仕掛けです。

これまでの3ケース(業種)では、不動産、医療、教育を取り上げ、各業種の地元企業・組織トップの話を素材に、職場ではどんな仕事をするのか、どういった心得が必要か、その業種の構造や展望などについて話しました。

ケースの素材は、常陽新聞(2014年2月~2017年4月)に寄稿していた「キーパーソン」欄に登場してもらったトップのインタビュー記事です。すでに、一誠商事の五十嵐翼会長、筑波メディカルセンターの軸屋智昭病院長、筑波大学の永田恭介学長のコメントを使わせていただきました。

各トップとも話が具体的でポイントを突いていますから、業種の特性などを学生に理解してもらうにはピッタリです。私にとっては、ジャーナリストの蓄積を使えるというメリットがあります。時差はありますが一石二鳥?(大学兼任講師)