【コラム・入沢弘子】土浦駅前に移転して初めての大型連休は、連日、朝から大勢の親子連れが来館しています。シャッターが開くと同時にお気に入りの書架に走っていく子、絵本を選んで親の元によちよち歩いていく子、リュックサックいっぱいに本を借りて満足げな子、本を抱えてうれしそうにしている子―こういった姿を見ていると自然に頬が緩みます。

子どもの読書離れが言われて久しいですが、図書館に来館する子どもたちを見ている限り、そういった実感はありません。本当に子どもたちは本を読まなくなったのでしょうか?

2015年、土浦市立図書館が実施した市内全小中高校生読書活動アンケート調査によると、「本を読むことは好きですか?」の問いに、小学2年は約7割、小学5年は約5割が「好き」と回答しています。

好きな理由は「家に本があった、小さいころ読んでもらった、家族が買ってくれる、学校・学校図書館でよい本を見つけた」という回答が、両学年ともに多数でした。さらに「1カ月の間に読んだ本は10冊以上」との回答が、小2で約6割、小5で約3割でした。

「どこの本を読みますか」の問いには、「自分の家」に次いで「学校図書館・学級文庫、図書館」が8割以上でした。

土浦市では、子どもたちが本に親しむ環境をつくるために、さまざまな取り組みを行っています。生後10カ月健診の際に「初めての絵本」を差し上げるブックスタート事業、保護者がお子さんに本を選ぶための講座、年齢に応じたお話会、小学生の学年ごとのお薦め本紹介などです。今年はもっと本を好きになる秘密兵器を導入する予定です。

本好きな子どもになるには、日常的に本に触れる機会をつくることです。「子供の日」には、お子さん、お孫さんをはじめ周囲のお子さんたちに、お話を楽しめる時間、本に触れる機会をプレゼントされてはいかがでしょうか?(土浦市立図書館館長)