【コラム・室生勝】本年度から、全市町村が「在宅医療介護連携推進事業」を郡市医師会との協働で実施する。その内容は、(ア)地域の医療・介護資源の把握、(イ)在宅医療・介護連携の課題と抽出の対応策の検討、(ウ)切れ目のない在宅医療と介護の提供体制の構築推進、(エ)医療・介護関係者の情報共有の支援、(オ)在宅医療・介護連携に関する相談支援、(カ)医療・介護関係者の研修、(キ)地域住民への普及啓発、(ク)在宅医療・介護連携に関する関係市区町村の連携―の8項目。

この事業の前段階として、2013度から2015年度にかけて、県の「在宅医療介護連携拠点事業」が、11市、3町村、3郡市医師会、県立こども病院、県看護協会(実施地域・水戸市)、県理学療法士会(同・北茨城市)でモデル的に実施された。3医師会区域内市町村は7市・1町であった。県内44市町村(32市、12町村)のうち、事業に関与したのは20市、4町村で、約半数の市町村が事業を実施した。

その結果は、県ホームページ(HP)で「在宅医療介護連携拠点事業から得られた取組成果集」として代表的な取り組みが閲覧できる。その詳細を見ようと、実施団体のHPを検索したところ、8市町村と3郡市医師会、2団体だけしか閲覧できなかった。

モデル事業を実施した市町村や郡市医師会の成果を年度ごとに県HPで見みると、(イ)、(カ)、(キ)はそれぞれ年3~4回の実施になると思うが、(ウ)、(エ)、(オ)は、日常的な取り組みが必要で毎月の定期的な実践が望ましい。ただし、(キ)は圏域ごと、できれば小学校区単位の実施が望まれる。その地区の診療所医師、訪問看護ステーション、ケアマネジャーが講師になって、年3~4回の啓蒙活動をして欲しい。

(ア)、(イ)、(カ)、(キ)は多職種からの参加人数に限度があるが、参加者がその職能団体に伝達・協議して再三検討。あるいは、参加者が交替して多くの多職種が事業に関与できる。(ウ)、(エ)、(オ)は圏域ケア会議(各圏域で年6回)や月例事例検討会で日常的に多職種が多数参加して、互いに顔を合わせながら意見交換・検討をすべきである。多職種が「顔が見える関係」以上の「ものが言い合える関係」になる―そうなってこそ多職種連携・多職種協働が可能となる。

この拠点事業に関係しなかった12市・8町村に関しては、県は2018年度から保健所を通じて、地区の医師会、歯科医師会、薬剤師会、訪問看護ステーションなどの関係者に伝達講習を行っている。さらに県は、モデル事業を実施した近隣の市町村と郡市医師会の協力を要請して欲しい。(高齢者サロン主宰)