【コラム・山口京子】1日家にいて、新聞もテレビもラジオもインターネットも遮断すると、静かな空間ができます。自分の身の周りの静かさを実感しつつ、それでいて、自分を取り巻く社会がどうなっているのかに注意を向けないと、この暮らしも危うくなるのではと…。

新聞を読むにしても、関心がある記事は最後まで読みますが、そうでなければ見出しだけでスルーしています。そういう姿勢に、最近不安を感じるのです。関心がある記事だけ読んで、そうでない記事は読まないという態度は、いかがなものかと。

関心がなくても読まなくてはいけない記事があるはず…。そもそも自分の抱く関心がどういうものなのか、それはどうやって形成されたのか―自分に向き合って考えなければならないのではと。

消費者問題や家計管理などには関心がありますが、外交、政治、戦争などについては難しくて読み過ごしてしまうのが正直なところです。ですが、テレビや新聞ではウクライナやイスラエルの報道が目につきます。こんなむごいことが今の時代になぜ起こっているのか。

人間関係も国同士の関係も、一方が100%正しくて、他方が100%間違っているということはないでしょう。時事的なニュースだけでは、問題の歴史的背景や構造は分かりません。また、そのニュースの出所がどこなのかも注意が必要でしょう。

「世界から戦争がなくならない本当の理由」

なので、そういうときには図書館に行って関連する書籍を探します。2冊の本が目に留まりました。1冊は「世界から戦争がなくならない本当の理由」(祥伝社、池上彰)。もう1冊は「ガザとは何か パレスチナを知るための緊急講義」(大和書房、岡真理)です。

「世界から戦争が…」は、2015年、戦後70年の教訓を語るものとして出版されています。日本が戦後処理を人任せにしてきた結果を今も引きずっている、戦後日本の歪みが沖縄の基地問題に表れているのではないか、戦後日本の安全保障は米国に振り回されてきた―と。

そして、日本を「2度と戦争のできない国」にするために憲法9条を与えながら、自分たちの都合で「軍隊ではない軍隊」をつくらせ、さらには集団的自衛権の行使も可能にして「戦争のできる国」に戻そうとしている―と。そして米国が関与した戦争のあらましがつづられています。

「ガザとは何か パレスチナを知るための緊急講義」

昨年出版された「ガザとは何か…」では、主流メディアは、連日、ガザについて報じながら、その内容は事態の重大さに見合ったものもなければ、問題の核心を伝えるものではないと指摘しています。現在のメディアの姿勢を端的に説明しているように思いました。

ストックホルム国際平和研究所の2022年版(調査は2021年)によると、世界全体の軍事費は2兆2400億ドル(約300兆円)で、うち米国が約39%の8770億ドルを占めたということです。(消費生活アドバイザー)