【コラム・片岡英明】県立高校入試が2月28日にあり、発表は3月12日である。今年は、土浦一高が4学級に募集減、牛久栄進高が1学級増、筑波高が進学コースを設置―などがあり、注目している。

報道によると、土浦一高は募集160人に対して受験が208人で、倍率が1.3倍と高くなった。昨年は募集240人に対して受験283人と1.18倍だったので、倍率は上がった。しかし、受験者は昨年より75人減っている。今回はこの受験者減について考えたい。

土浦一高に附属中学が設置される前の2020年は、320人の募集に対し受験したのは417人だから、今年の受験者は20年の半分である。募集が半分だから受験者減は当然で、その分、競合校の受験が増えたとの見方もある。

そこで、昨年のつくば在住生徒の県立高進学数を見ると、多い順に、竹園高200人、牛久栄進高129人、土浦二高113人、土浦一高88人だった。ちなみに、この6年間のこれら4校への総志願者数は以下の通りだ。

<定員>
▽2020年まで: 4校とも定員320人           合計1280人
▽2021年:土浦一が中学設置で1学級減280人      合計1240人
▽2022年・23年:土浦一がさらに1学級減240人    合計1200人
▽2024年:土浦一が2学級減160人、牛久栄進が40人増 合計1160人

最近4年で、つくばからの進学者の多い県立4校の定員が120人削減されたことになる。これら定員削減に伴って総受験者数も減少している。

<4校の総受験者数>
▽2019年:募集1280人 受験者1653人 倍率1.29倍
▽2020年:   1280     1671    1.31
▽2021年:   1240     1512    1.22
▽2022年:   1200     1549    1.29
▽2023年:   1200     1496    1.25
▽2024年:   1160     1483    1.28

4校の平均倍率は毎年1.2~1.3倍とほぼ一定で、人気校といえる。そういった高校の定員削減によって、受験者が1600人台から1400人台に減少していることがわかる。

志願先変更数からのメッセージ

この受験減から、高倍率の人気校を避けざるをえない受験生の苦労を読み取ってほしい。それは、いったん出願した後の志願先変更にも表れている。

今年の4校の当初志願者数と志願先変更後の差は、竹園16人減、牛久栄進2人減、土浦二12人減(昨年1人)、土浦一14人減(昨年8人)である。

竹園は320人募集に、昨年の395人から40人増加し435人、志願先変更で16人減の419人。牛久栄進は募集が320人から360人に増加したが、受験者が449人から440人に減少。志願先変更では2名減の438人と倍率が低下し、定員増の効果が出ている。

一方、土浦一は募集が240人から160人に削減され、受験者が283人から222人と61名減少。志願先変更でさらに14名減の208人となった。土浦二は320人募集に昨年369人から430人と61人増加したが、志願先変更で12名減少し、418人。土浦一・土浦二の志願先変更数の多さから受験生の声を読み取りたい。

定員削減のために発生した高倍率を避ける動きが竹園・土浦二・土浦一で生まれ、結果として志願先変更で4校の受験者は44人減少した。土浦一には、門を狭めずに地域の伝統校として多くの受験者が集まる魅力ある学校になってほしい。

県には、人気校の定員削減が、全体として今回取り上げた4校の総受験者数の減少につながっていることを理解してほしい。また、受験生がいったん志願した高校を変更するときの心情を受けとめてほしい。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会代表)