【コラム・山口京子】「人生100年時代」ということは、老後の時間が延びるということ、すると、体力や気力はどうなるのか? 長寿にどう心構えをするのか、しないまま歳を重ねてしまうのか…。

80歳まで生きるとは予想していなかった母。自身の母を自分が4歳のころに亡くしており、母親の顔は覚えていないと言います。母が35歳のとき、父親は65歳で亡くなりました。父が亡くなった年を超えたとき、感無量だったと言います。60代から80代前半までは旅行と趣味で日々忙しく、先のことは頭になかったと。

その母が90歳になったころ、「こんなに長生きするなら、お金のことをちゃんと考えておくべきだった」と言うのです。現在の日本では90歳以上の人が200万人を超え、その7割は要介護認定を受けているそうです。年齢を重ねるほど個人差が大きいように思われますが、やはり誰もが老いていきます。

母の老いを見ていると、85歳で体力がガクンと落ち、要支援1に認定され、90歳でガクガクガクンと落ち、要支援2と認定されました。1人暮らしで食事作りもままなりません。

私たち子どもが、月に数回、買い出しや病院通いのために実家に帰省していました。その後、カゼを引き体調を崩してから、呼び出される回数が増えます。体調が悪く、気持ちも落ち込んでいるときは「もう1人暮らしは無理だから施設に入ろうかな」と言い、体調が良くなれば「まだまだ1人暮らしを頑張れる」と気持ちが揺れます。

干し柿、うな丼、チョコレート

鼻が利かない母は、自分が漏らしているおしっこの臭いに気付きません。ですが、私たちからすると強烈な臭いです。加えて大便を漏らすようにもなりました。自分で箸をつかってご飯を食べることはできるけれど、調理や片付けは難しくなっています。1人でお風呂に入ることはできません。洗濯をすることも難しくなっています。

腰の痛みが尋常ではないと言うので、整形外科で診察していただきました。このままでは寝たきりになると言われました。施設入所を考えケアマネジャーさんに相談すると、入所に不本意な母に対して「今は寒い時期だから施設に入ろう。暖かくなったら家に戻ればいいよね」と言葉がけ。

母も納得し、施設に入ることにしました。施設に入る前の夜、干し柿、うな丼、チョコレートを食べ切りました。「長生きなんかしたくない」と言いつつ、不調があれば医者通い…。長生きとその代償との折り合いをどう付ければよいのでしょう。(消費生活アドバイザー)