《邑から日本を見る》12 無法国家ニッポン

飯野農夫也の版画「憩い」

【コラム・先﨑千尋】「後期高齢者」(嫌いな言葉だが)に仲間入りしたので、梅や桜にウグイス、フキノトウをたらふく食べた、など花鳥風月のことを書きたいと思っているが、世情が騒がしく、生臭いことを書かなければならない。

子供の頃「嘘つきは泥棒の始まり」と親に言われた。学校でも先生からその言葉を聞かされて育った。「嘘ついたら針千本のます」と指切りをしたこともあった。「嘘も方便」という言葉は大人になってから覚えた。

明日27日、やっと国会で佐川宣寿前財務省理財局長の証人喚問が行われるようだが、それで真相が明らかになるとは思えない。佐川さんが国会の先生方の質問をどう切り抜けるのかが楽しみだ。大人の世界だからと言って「嘘も方便」では済まされない大きな問題だ。

今月2日の「朝日新聞」の報道に始まって、森友問題が復活、急浮上した。その経緯はここでは書かないが、廃棄したはずの文書が出てきた。書き換え(改ざん)もしていた。安倍首相に都合の悪いことはすべて削除。多くの識者、元官僚の人が話したり書いたりしているが、公務を少ししか経験したことがない私ですら、公文書を書き換えるということがよくできたなと思う。しかも昨年の国会で「棄てた。ない」と言っていた決裁文書、土地交渉の記録などがいっぱい出てきたのだ。

決裁文書などの書き換えをしたと思われる近畿財務局の担当者が自殺しているが、普通なら棄ててしまうはずの改ざん前の文書を棄てないで残していたことは驚きだ。保身など何らかの意図があったのだと思う。

この問題は現在進行形なので、今後どう展開していくのか現時点で予測はできない。いつ、誰が、何の目的で書き換えをしたのかを国民の大多数は知りたいと考えている。財務省だけでなく首相官邸がどこまで真相を明らかにするのか、しないのか。国の根幹に関わることだ。政府与党寄りと見られている産経新聞ですら「国民への重大な裏切りだ。『信なくば立たず』忘れるな」と書いている(3月13日付「主張」)。

安倍首相は「行政全体の信頼を揺るがせ、行政府の長として責任を痛感している。信頼回復に向けて全力を挙げて取り組む。真摯に説明責任を果たしていく」と言っている。それならば、昭恵夫人が国会に出てきてはっきり説明すればいいのだ。今回の問題の根っこは彼女にあるのだから。首相が無理に隠そうとしているから、裏に何かあると疑われている。

そうすれば、なぜ財務省が都合の悪い部分を大幅に削除するなどの書き換えをしなければならなかったのか、誰がそれを指示したのか、なぜこの国有地を売却したのかなどがわかってくるだろう。

隣の国では、大統領がお友達に便宜を図ったためにその職を失い、裁判にかけられている。この国でも同じようなことが行われているのに、おとがめなし。責任も取らない。これでは無法地帯ならぬ無法国家ではないか。今、戦後ニッポンで前代未聞の事態が進行している。(元瓜連町長)