【コラム・片岡英明】前回のコラム(8月10日付)で、来年度は牛久栄進高の1学級増でも、土浦一高の高校生募集が6→4の2学級減では、高校入試は逆に厳しくなる―と書いた。今回はこの解消策を考えたい。

つくばの市立中学卒業生2183人(今年)のうち、市内の竹園高には200人入っているが、牛久栄進高129人、土浦二高113人、土浦一高88人と、市外の県立高へ流出している。一方、土浦の卒業生1095人の入学先は、土浦湖北高120人、土浦三高97人、土浦二高86人、土浦工業高81人、石岡一高50人、土浦一高37人、石岡二高36人である。

土浦一高は6学級に対して、土浦37人(15.4%)、つくば88人(36.7%)。土浦二高は8学級に対して、土浦86人(26.9%)、つくば113人(35.3%)。つくばから土浦の伝統校への流入が増え、土浦の生徒の地元伝統高への入学が抑えられ、石岡地区に流れているようだ。

こういった状態で、2024年土浦一高の高校募集を2学級減らしてよいのだろうか? 土浦一高の学級減の影響は、多くの受験生と学校に波及する。このままでは、つくばと土浦の受験生の悩みはさらに深くなるのではないか。

募集数は1987年比65%減

町村合併でつくば市が誕生した1987年、市内には全日制県立高が6校41学級(募集1927人)あった。その後、1989年をピークに第2次ベビーブーム世代が去り、子ども減が起きたが、つくば市の場合は2005年(TX開通年)を底に中学3年生は増加に転じた。

ところが2008年以降、県は市内の全日制高を減らし、現在は3校17学級(募集680人)。募集削減率は65%にもなる。つくば市内の県立高校不足問題の構造的原因はここにある。つくば市の現在の小学1年生は1989年の中学3年生のピーク2574人を越え、2686人(2023年)で、早急な対策が必要だ。

つくばエリアの人口・子ども増は県の発展にもプラスである。この地域の小中学生のために、県の平均的水準まで全日制県立高の入学枠を増やしてほしい。そのためには、現時点で15学級増、2030年までにさらに10学級増が必要と考える。

10学級体制へのシナリオ

学級増の具体策については、以下のような年次シナリオを提案したい。

▼2024年:牛久栄進高1学級増に加え、土浦一高の2学級削減を止めて、6学級維持。

▼2025年:牛久栄進高を9学級→10学級に。竹園高を8学級→10学級に。

▼2026年:土浦二高を8学級→10学級に。土浦一高を付属中からの2学級に加え、高校入学を6学級→8学級に戻す。

つまり、4県立高校を10学級体制にし、高校入学枠を計8学級増やしてはどうか。並行して、県とつくば市が共同で2030年までのエリアの生徒数を正確に推計し、現時点の必要学級数と今後の必要学級数を算出する。

その上で、算出した必要学級数が既存の全日制県立高の学級増で賄えるのか、それとも学級増の一つの形態としての高校新設も必要なのか―を見極めてはどうか。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会代表)

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