【コラム・冠木新市】『第1回 世界のつくばで子守唄』(7月1日開催)と同時並行で、『第11回 世界のつくばで盆おどり』(7月29日、デイズタウン平面駐車場)の準備をしていた。久しぶりの参加である。

私の担当は、やぐら前で披露するステージ部門「Let’s world BON dance!!」(午後1時20分~6時)。二の宮太鼓会、アフリカ(ケニア)、インドネシア、フラメンコ、コンテンポラリーインド、スリランカ、サンガイア(バレ一ボ一ル)、フラダンス、日本舞踊、ベリーダンス、ストリートダンス、ケンニイバンド―などから成る催しだ。

時間は1チーム約20分。炎熱下、カラフルな衣装でダンスなどを披露する。言葉もうまく伝わらない中、外国の1チームが待機場所に見あたらず、探し回ったことも。なんと、観客席に座っていた。

ステージを終え、午後6時からは盆踊りを観賞した。すさまじい人出。延べ1万数千人はいただろう。「つくば音頭」「ダンシングヒーロー」「せかぼん音頭」に混じって、「炭坑節」も流れ、浴衣姿の外国人女性が踊っているのが印象的だった。

今年はコロナ明けのせいか、つくば、日本各地、世界でも盆踊りブ一厶である。13年前とは隔世の感がある。当時は会場に来ても踊る人が少なく、ビンゴゲームの商品で人を集めた。

歌い踊った歌垣が盆踊りのルーツ

2010年、NPOの副代表をしていたとき、盆踊り企画が出て、メンバーから大勢を集めたいとの声が出た。ただの盆踊りではインパクトが弱いので、東映映画『夢のハワイで盆踊り』(1964)をヒントに、『世界のつくばで盆おどり』と命名したが受けなかった。でも約5000人が集まり、しっかり踊る姿が見られてうれしかった。今では『せかぼん』の愛称で知られている。

盆踊りは死者供養と男女の出会いの場であることが知られている。『盆踊り 乱交の民俗学』(下川耿史著、作品社)を読むと、755年ごろ、春と秋に関東各地から筑波山に集まり、歌い踊った歌垣(かがい)が盆踊りのルーツのようである。

『スター・ウォーズ』の元ネタで知られる黒澤明監督の『隠し砦の三悪人』(1958)に、戦さに敗れた秋月城の雪姫が同盟国に向かう脱出行の途中、火祭りで楽しそうに踊る場面が出てくる。城から出たことのなかった16歳の姫にとって、敵地にあっても息抜きの一時だった。

男女、国を超え、一緒になって踊る行為は平和そのものである。盆踊りは日本が世界に誇れる文化だと思う。日本の盆踊りをつくばに集め、世界にアピールしたらどうだろうか。実は13年前に考えたのだが、今回、久しぶりに運営に参加して思い出した。ひょっとして、10年後に実現しているかもしれない。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家)