《宍塚の里山》11 ニホンアカガエル

大量に産み付けられた卵塊

【コラム・及川ひろみ】ニホンアカガエルは冬季産卵することから、生息が可能なのは谷津田のような冬に水があり、背後に林のある場所-里山が主たる生息地です。

里山で子育てをするサシバは、ヒナにカエルやヘビを与える里山の代表的なタカです。かつてNHKの番組にあった「生き物地球紀行」の撮影が宍塚の谷津、2カ所で行われ、里山のタカ、サシバが放映されました。

しかし放映の翌年からサシバが繁殖に失敗するようになりました。谷津田は大型農業機械が入らず耕作がしにくく、また農家の高齢化も影響し、宍塚の谷津では耕地放棄が目立つようになり、アカガエルの産卵が減ったことで、サシバの繁殖に影響があると考えられました。

そこで会では、農家から休耕になった田んぼを借り1999年から耕作を始めました。また谷津田で耕作する農家を支援するために「米のオーナー制」を設け、耕作が続けやすい条件を整えたり、また親子で耕作する「田んぼの学校」など、田んぼに関わる人を増やし、耕作地を広げてゆきました。

さらに、ニホンアカガエルが産卵できそうな水たまりを増やすために、湿地の復元を図り(2カ所)、アカガエルやドジョウなどの生息用の池(ビオトープ)を3カ所掘り、冬季に水が溜まる場所作りにも努めました。ニホンアカガエルの産卵には、適した水の深さがあり、深過ぎても浅過ぎても卵のふ化に影響があるとの研究報告があることから、水場づくりには深さにも配慮しました。

アカガエルの産卵は一腹に一卵塊と決まっていますから、卵塊数を数えるとアカガエルの生息数がおよそ分かります。毎年2月中ごろから2週に1回、里山内に散る産卵場所で、卵塊数を数え続けています。

サシバが繁殖に失敗するようになってから、会がアカガエルの回復を図るために行った水場の整備の結果、卵塊数が6倍に増えました。カエルが増えるとカエルを好物とするヘビが増え、サシバが確実に繁殖に成功するようになりました。ヘビは嫌われ者で、ヘビが増えることへの非難もあると聞きますが、ヘビは生態系にとって重要な一員です。そうは言っても、なかなか見ることはできません。ご安心を。

この時期の子ども達との自然観察の目玉はアカガエルの卵やオタマジャクシです。卵塊もオタマジャクシも子どもたちに大人気の生き物です。

今年もニホンアカガエルの卵塊やふ化したばかりの小さなオタマジャクシに会える季節になりました。

次期レッドデータブックの書き換え時には、ニホンアカガエルもリストに加えられるだろうと専門家から聞きました。(認定NPO法人宍塚の自然と歴史の会 及川ひろみ)