【コラム・霞ケ浦市民協会】これまでの本欄コラムで、当協会設立の経緯や、「泳げる霞ケ浦」提唱の理由、世界湖沼会議参加の様子などが伝えられたかと思います。

1995年の第6回会議に向けて組織された「世界湖沼会議市民の会」は当協会の前身ですが、今年の第17回会議においても市民のパワーと行動を結集させるべく、各団体で「世界湖沼会議市民の会’18」を設立しました。前回の名称に「’18」を加えて、通称「ワン・エイト」です。ぜひ、覚えてくださいね。

学術会議である世界湖沼会議の歴史において、23年前の第6回会議がひときわ異彩を放ったのは「市民」の存在と参加でした。

当時、県内外の多くの市民が水問題に関心を寄せ、積極的に問題提起をし、考え、行動し、発表や情報交換をしました。例えば「霞ケ浦の水が臭い」と、ふつうの人が、ふつうに感じることを口にし、意見を聞き、情報を集める。そして、専門家の話を聞く。一歩でも解決に近づこうと、自分たちにできることを見つける。

とはいえ、市民だけでは限界もあり、妙案も実現しないことのほうが多いですよね。そこで必要なのが、市民、行政、企業、研究者の連携です。

このことは、全国に誇るべきパートナーシップとして、第6回会議の『霞ケ浦宣言』にも謳われました。異なる立場の者が、同じ目標を持ち協力していく。この道は、なかなか険しく細く、多数の岐路が想定されますが、目指すゴールは、誰の目にも同じように見えているはずです。

ワン・エイトは、現在24団体で構成されています。県内の環境団体が中心ですが、活動エリアも、事業内容も、組織体制も異なります。「市民」「市民団体」と一くくりにしても、活動がそれぞれ違うのは当たり前のこと。十把一絡げとはいきません。

しかし、これこそがワン・エイトの魅力であり、強さなのです。多種多様な人材と知識、行動力―これは一朝一夕に得られるものではありません。

人材や活動パワーは何者にも勝る財産です。この財産である個々の市民・団体を「点」とすれば、それを「線」に繋いでいくワン・エイトの役割は会議までのものではなく、むしろ会議後にあるとも言えるでしょう。

水環境は、多角的に捉えない限り全体像が見えません。多数の「線」が結び付き、やがて地域、人々を広く包み込めるような「面」が描けるように、ワン・エイトのゴールは未来へ続いています。(市村和男 霞ケ浦市民協会理事長/世界湖沼会議市民の会’18会長)