【コラム・塚本一也】先日ピョンチャン冬季オリンピックが閉幕し、現在はパラリンピックが開催されています。閉式後はいよいよ2020年の東京五輪が注目されることになるでしょう。また、2019年にはラグビーワールドカップの日本開催が決定しており、同年には茨城国体も開催されます。国内のアスリートが当県を訪れ、さらに世界が日本を注目する機会が訪れようとしています。

国内各地から初めて茨城へ来県するお客様やこれから日本を訪れる観光客に対して、私たちはどのような「おもてなし」をすればよいのでしょうか?

観光開発には俗にいう三原則があります。一つ目はファミリー客をターゲットにすること、二つ目はリピート率を上げる工夫をすること、三つ目は非日常的空間を演出することです。この三原則を忠実に守っているのが東京ディズニーランドです。舞浜の駅を降りた瞬間から演出が始まり、全てのキャスト・スタッフが夢の世界を作り上げています。

将来、国体や東京五輪などをきっかけに、茨城を訪れたお客さまが「次は家族旅行で来たい」―そう思っていただけるかどうかが茨城県観光開発の鍵になります。観光旅行とは非日常を楽しむために時間とお金を費やすのであって、日々見ているような景色や常日頃体験しているようなおもてなしでは、観光客の満足度を高めてリピート率を上げることにはつながりません。

これから茨城県では観光客を取り込むための様々な施策が実施されようとしています。霞ケ浦湖畔から筑波山を周遊する「つくば霞ケ浦りんりんロード」などはいい一例でしょう。このりんりんロードを例にとれば、サイクリング愛好家だけが楽しむのでなく、ファミリー層や幅広い年代の観光客を対象とした地元住民と共に楽しめるような交流の場をつくることなども考えられます。

スパやアスレチック場のような施設の整備や、シンガポールにある森に溶け込むようなテントの屋台村など設ける案はいかがでしょうか?また、このコースは万葉の時代から西の富士、東の筑波と謳われた関東のシンボル「筑波山」を巡るコースで、他県にないポテンシャルを秘めています。茨城空港から筑波山へ向かう観光ルートを開発して、筑波山を一体的に遊園化することも面白いと思います。

これらを実現するためには地域の住民と行政、事業者が一体となって取りくむ枠組みが必要となります。今、世の中にあふれている多くのものは夢物語からはじまりました。オリンピックは夢を実現するためには何が必要かを私たちに教えてくれました。これから訪れる観光客に茨城の自然や歴史、文化や人との出会いと交流の場を提供し、丸ごと楽しんでいただくことが目指すべきおもてなしではないでしょうか。

茨城県が日本有数の観光地へと変わる千載一遇のチャンスが訪れようとしているのです。(大曽根タクシー社長)