《続・平熱日記》9 愛車奪還作戦 最大積歳200才?


【コラム・斉藤裕之】昨年、友人のマヨねえさん邸を弟と建てていた時のことです。手短に説明をしますと、マヨねえ邸は私との共通の友人コマタさん宅の敷地を3分の1ほど分けてもらって建てるところから始まりました。お互いお世継ぎもなく、やがて来る老後をよき隣人として生きていこうという意味合いもあってのことです。

さて、工事もだいぶ進んだある日。弟と作業をしておりますと、1台の軽自動車がコマタさんちの前を徐行しながら通過しました。しばらくすると、また同じ車がやってきて止まりました。運転席と後部座席にはおばあちゃんらしき人影。そして、助手席から降りてきたのはコマタさんの父上ではありませんか。そしてガレージに向かう父上。

ガレージに置いてあるのは父上の愛車ジムニー。実は父上がご高齢のため運転を控えるようにと諭したらしいのですが、内緒で乗っていることが発覚し、コマタさんが強制没収したジムニーなのでした。この日、意を決した父上はおばあちゃん2人を引き連れ、愛車奪還にやってきたのでした。

その後、ガレージをしばらくうろうろした父上。しかしキーが見つからないのか、あきらめた様子で、おばあちゃんたちの待つ軽自動車に乗り込む父上。作戦失敗。よほど車が必要だったのか、これほどの執念と実行力があれば、まだまだ運転も大丈夫な気もしました。でも、コマタさん的には父上の運転はアウトなのだそうです。

アクセルとブレーキを踏み間違える事故が連日のように報じられます。高齢者マークの車も本当に増えました。しかし、ここ茨城では車ナシの生活は考えられません。昨日できたことが今日出来ねえはずはあんめえ。だから、年をとっても免許を返納するのを躊躇(ちゅうちょ)してしまうんでしょうね。

そう遠くない将来に、我が身にもその時がやってくるのは確実。そのころ自動運転技術がどうなっているのかわかりませんが、車に頼らない生活環境に身を移すことも考えないと。

その後、父上は運転をあきらめたそうですが、笑うに笑えない珍事は日々日本中で起こっているのが現実でしょう。それにしても、コマタさんは端から見ても実にかいがいしくご両親に付き合っておられます。えらい!

ところで、父上の愛車ジムニーは現在我が家に停まっています。コマタさんが処分しようとしたジムニーを弟の長女が欲しいということになって、しばらくうちで預かることになったのです。車の後ろに最大積載量200㎏と書いてあるのを見て思いました。積載の載の字はそろそろ歳という字に変わるな。最大積歳量200才なんてね。(画家)