【コラム・冠木新市】「つくば市議会だより」(No.151)には、つくば市が「中心市街地まちづくりビジョン」を6月目途に策定すると出ていた。また、閉店したクレオを所有する筑波都市整備㈱は売却を考えているようだともあった。

「世界のあしたが見えるまちつくば2018年度予算」には、「クレオ跡地利活用事業」(新規648万円)、「中心市街地プレスメイキング事業(新規1000万円)」が計上されている。つくばセンター地区活性化のための謎を解く「映画探偵団」としては、今後の推移をしっかり監視するつもりである。

監視といえば、“人の眼”になるが、テレビ『つくつくつくばの七不思議/サイコドン』(2014)の撮影中に、面白い発見をした。それは、オークラフロンティアホテルつくば11階の東西南北の窓ガラスが“人の眼”の形をしているということだ。

そして南側の窓ガラスは、なんとノバホール入り口上にある三角形の窓ガラスにぴったりと映り込む仕掛けとなっていた。まるで古代エジプトの石工組織に端を発したフリーメーソンのシンボルマークを思わせるのである。

三角形の眼の視線の先は、一直線でエキスポセンターのプラネタリウムに向けられ、さらに奥の松見公園の展望台を見ている。この展望台の10階には壁画が飾ってあり、東側に黄色、西側に緑色のピラミッド群が描かれている。このことは何を意味しているのか。

“人の眼”で思い出すのは、映画007シリーズである。『007/ゴールデンアイ』(1995)以降、ボンドの巻頭アクション後に始まるタイトルバックには、毎回のように片方の“人の眼”の大写しが挿入される。観客を監視するような“人の眼”である。

「未来はすでに映画の中に予告されている」とは私の持論だが、007シリーズはその裏付けをしてくれている。ボンドが使うスパイの小道具や悪の組織犯罪計画は、公開後20~30年で現実化したものが多い。カーナビ、水陸両用車、顔認証識別システムなどは、はるか昔に描かれていた。

『007/スペクター』(2015)では、ボンドの体内にマイクロチップが注入され、生体データが管理される。犯罪組織スペクターは、偽医薬品を製造し、その秘密をあばく者の抹殺をはかる。人身売買では16万人の移民を風俗に売り飛ばす。

極め付けは、テロ対策を名目に9カ国の情報機関でつくられた“九つの目委員会”に情報を集約させ、世界監視網を形成、その主導権を握ろうとする。

もしスペクターのような組織が、美名のもとにセンター地区に入り込んできたら、市民は見抜けるだろうか。『007/サンダーボール作戦』(1965)では、難民救済所の奥がスペクター本部の作戦本部だった。

そんなことを妄想しながら、センタービル1階のアイアイモールを団員と歩いた。「あ、居酒屋閉じちゃいましたね」と団員が言った。クレオ閉店の陰で、また1店が消えた。だがしかし、居酒屋前のバー「ボンド」は健在である。サイコドン ハ トコヤンセ。(脚本家)