【コラム・入沢弘子】「こんにちはー!」とあいさつすると、彼女は細い首を物憂げに傾け一瞥(いちべつ)をくれました。すぐに近づいてくるのは、お供(?)のマガモとオオバン。ユリカモメはホバリングしながら私を観察しているもよう。最近はバリケンガモの姿は見えませんが、樹木の上をすみかにするニワトリは健在です。

ここは白鳥の飛来する水辺、土浦市の乙戸沼公園。周囲2キロ弱の細長い沼とその周辺では、さまざまな野鳥が見られます。冬のこの時期の楽しみは、何といっても白鳥たちの優雅な姿。白く美しい羽、ゆったりとした動きは、まるで貴婦人のよう。今日も自宅から愛車BROMOTOM(ブロンプトン)でやってきました。

公園に着いたら自転車を降り、沼沿いの遊歩道を散歩します。ジョギングコースとは別に造られた水辺の遊歩道は、自然を生かした土の道。春には約400本の桜の花が、初夏には隣接する乙戸水生植物園の花ショウブやスイレンが迎えてくれます。

児童公園のスペースには小山の形の大型遊具があり、子ども達に大人気。傾斜のある滑り台はスリル満点。週末は家族連れで賑わいます。

「写真撮ってるの?」

淹れたてのコーヒーとお菓子で休憩

3周ほどしたら、沼の南西側の住宅地にある「オズワルド珈琲店」に立ち寄ります。テイクアウト専門ですが、注文の都度淹れるコーヒーと手作りお菓子はとても美味。今日は、写真を撮りながらベンチでティータイムを過ごしていたら、年配のグループが通りかかりました。

「写真撮ってるの?」と高齢男性。「はい、でもなかなか近づいてくれなくて」「いい方法教えてやるよ。こうやるんだよ」と、足元の枯れ草をつかみパーッと宙に放ちます。すると、どうでしょう。ユリカモメ、マガモとオオバンが猛スピードで接近、白鳥もこちらを注視しています。

「ほら、いま写真撮るんだよ。だましたのは鳥には悪いんだけどな」。仲間と争うように近づきながら、「グアー!グアー!」と絶叫する白鳥。白鳥のイメージが大きく変わった朝でした。(広報コンサルタント)

◆乙戸沼公園の白鳥飛来数は、土浦市公式ホームページ乙戸沼公園白鳥だよりへ。