【コラム・小泉裕司】新年を迎え、社会はギアチェンジしたかのように動き始めた。そこで、本コラムも昨年にも増して、「花火のまち土浦」から、打ち上げ花火の魅力をお伝えしていこう。というのが、今年の抱負なり。

さて、1月2日は、箱根駅伝をテレビ観戦しながら、酒浸りの怠惰な1日を過ごすのが、例年の「お楽しみ」だ。ところが今年は、車で遠出して花火を鑑賞するという、思い切った行動を選択した。なぜなら、昨年暮れに「モビリティリゾートもてぎ」(栃木県)の「New Year HANABI」のチケットを、ほぼ完売状態にもかかわらず、運良くレーシングスタンド最上段の席を入手することができたから。

サーキットを舞台に、音楽と融合した芸術性豊かな演出は「劇場型花火」と称され、夏と冬に開催する人気の花火大会。打ち上げは、土浦や大曲など競技大会において数々の受賞歴を持つ老舗「菊屋小幡花火店」(群馬県)。

オリオンまばたく澄んだ夜空に、2尺玉に尺玉、オリジナルのフレッシュグリーンや柿色の八方咲きに千輪花火、ハートやニコちゃんなどの型物、筒から吹き上がる虹色のザラ星(上の写真)など手の込んだ花火の数々を、上、中、低空に見事にコンビネーションしたプログラムは圧巻。

手を伸ばせば届きそうな、目線の高さできらめくスターマイン花火を堪能し、幸福感いっぱいで帰路に就いた。

本来、書き初めや初売りなど、正月の恒例行事は、2日に事始めとして行うと長続きするとされてきたようなので、この日の「初花火」で、今年も「With 花火」の日々が続きそうな予感。遅ればせながら、居間の壁一面に掛かる花火カレンダーに、年間の鑑賞予定を書き込もう。

あしたを生きるためのサプリ

昨年のある週末、水戸市内で野村花火工業が担当した20分ほどの小さな花火大会の直後、となりで観覧していた女性2人のほっこり会話。

「今日は無理につきあわせちゃって、ごめんね」

「うーんん、最高の週末になったね。来週もがんばれそーかも」

花火は、人生に必ずしも必要なものではないのかも知れないが、花火師は、見る人に元気や笑顔、希望を送り届けたいと、こん身の思いを込めて打ち上げる。まさに、あしたを生きるためのサプリメント。

今年もこんなすてきな「花火会話」が全国の花火会場で交わされることを願いながら、本日は、この辺で「打ち止めー」。「ドン ドーン!」。(花火鑑賞士、元土浦市副市長)