【コラム・山口京子】1年を振り返る時期となりました。みなさんにとって、この1年はどのような年でしたでしょうか。自分としては、体力の低下を実感する年でした。

今まで普通に持てていた物を重いと感じ、今まで普通に歩けていた所までが遠くに感じられるのです。以前と変わらない音量の音が小さく聞こえ、以前と変わらない硬さの食品を硬いと感じるのは、しっかり老化が進んでいるということでしょう。

「体力の低下」を実感した1年。体力はどこに消えてしまったのか…。元気なときは、体のことなど頓着していませんでした。これからは気にしなければと思いますが、自分の体なのに体の内部はブラックボックスで、本当に不思議です。

終活やエンディングのセミナーでは、いつも3つの寿命の話をします。平均寿命、健康寿命、平均余命です。日本人の65歳がこれからあと何年生きるかを予想すると、男性で約20年、女性で約25年です。75歳であれば、男性で約13年、女性で約16年ですので、長生きするほど、平均寿命の年齢を超えていきます。

ですが、一寸先は闇ですので、来年どうなるのかは誰もわかりません。理想は、来年逝くことになっても、百歳を迎えることになっても、それをよしとできる覚悟を持つことだと…。

働く・学ぶ・遊ぶ・関わりあう・介護する

時間は無限に続くとしても、私の時間は有限で、その時間で何をするのかを考えるには、今の年齢がちょうどいいのかもしれないと思うようになりました。そして、私の時間は大きな歴史の時間のなかのどこに生まれて、育っていったのかをわかりたい。改めて、この半世紀の社会がどういう社会だったのかを学び直したいと感じています。

物心ついたときに、目にしたものが何であったのか。どんなものに触れ、どのような感覚を抱いたのか。耳にした話がどんな話だったのか科学技術の輝かしい未来を素直に信じられた時代には、生産力が発展し、人が働かなくてもよい時代が来るかもしれないという話がありました。

現在は、大量生産、大量消費、大量廃棄のシステムが、地球の持続可能性を脅かして、そのシステム変更が待ったなしという話になっています。

それぞれの専門家が、様々なことを書いたり、話したりしています。それらの説明に耳を傾け、本に学びながら、自分なりに考えてみる作業が、これからの楽しみになりそうです。「働く・学ぶ・遊ぶ・関わりあう・介護する」の5つがつながりあい、バランスが取れたらいいなと願います。(消費生活アドバイザー)