《続・気軽にSOS》9 一つの原因が一つの結果に?


【コラム・浅井和幸】私たちは、良い事をすれば良い結果が起きる、悪い事をすれば悪いことが起きる―そのように漠然と思っています。悪い人には悪いことが起き、良い人には良いことが起きると教育されていることもあるでしょう。

さて、それは本当なのでしょうか?真実だと感じているから、「癌になってしまったのは自分が悪い人間だからなのか」とか、「自分が悪い親だから子どもが不登校になってしまったのだ」と責めてしまうのでしょう。

これらの考え方はよくある一般的なものです。ですが、正しい考え方ではありません。むしろ迷信だと断言できます。

さて質問です。善人は病気をせずに、悪人が癌になるものですか?悪人が作った料理はまずくて、善人が作った料理は美味しい料理なのでしょうか?答えは「いいえ」ですよね。

体調の良し悪し、料理の味の良し悪しが、必ずしも人格や行いの良し悪しに直結するわけではありません。でも、悪人の方が得というわけじゃないですからね。良い人間の方が、健康や料理に対して真面目に取り組む可能性は少しだけ高いかもしれませんね。

私が伝えたいのは、一つの良い原因が一つの良い結果を生むわけではないという事です。むしろ、たくさんの要因が重なって結果を生み出すものなのです。一つの材料が悪くても他の材料が良くて、料理人の腕が良ければ、美味しい料理になるでしょう。

「美味しい料理ができた」という結果を出したいのであれば、良い人であるかどうかよりも、美味しい料理が出来るための要因を増やすことが大切なのです。料理の知識や腕、材料、道具など、美味しい料理を作る方向に近づく要因を増やすことが大切なのです。

繰り返しますが、何が目的かを考え、目的に対する要因を増やすことが重要なのです。そもそも、単純に良いと悪いに分けるから間違ってしまうという事が言えるでしょう。目的に向かってプラスなのか?マイナスなのか?―という考え方が必要なのです。

時には、マイナスであることを消すことも必要でしょう。しかし、私たちは、マイナスを取り除くことに偏りがちです。美味しい料理を作るのに、まずくなる材料は取り除いた方が良いでしょう。しかし、取り除くだけでは、結局、料理すらできないのです。マイナスを取り除く、プラスを増やす―どちらもあった方が良いです。

そして結果は、また次の結果につながり、たくさんの要因の一つになっていきます。昨日のテストの悪い点数を悔やみ続けたり、無かったことにするために時間を割いたりするよりも、次のテストで良い点数を取るために行動することが大切なのは明らかです。

後悔をし続けている人、自分や他人を責め続けて苦しんでいる人に提案です。もう一度、自分が目的としていることを意識しなおし、それに向かう方法を考え、実行してみてください。(精神保健福祉士)