【コラム・山口京子】働き方と年金の関係について、改めて考える機会がありました。正社員で働いていたり、パートでも一定の条件をクリアすれば、厚生年金に加入することになります。また将来的には、多くのパート労働者を厚生年金の被保険者にしていく方向性が打ち出されています。

1961年に国民皆年金制度がつくられ、現在の公的年金制度の土台ができました。1986年に導入された基礎年金制度は、老齢基礎年金・障害基礎年金・遺族基礎年金という「1階部分」と、厚生年金に加入する人を対象にした老齢厚生年金・障害厚生年金・遺族厚生年金という「2階部分」の制度設計です。

国民年金の加入者は、第1号被保険者・第2号被保険者・第3号被保険者の3つに分類されています。第1号とは、日本に住所を有する20歳以上60歳未満の人で、第2号や第3号に該当しない人たちです。第1号被保険者といわれる自営業者やパートや学生などは本人が保険料を納めることとなり、月額の保険料は2022年度では1万6590円です。

第2号被保険者とは厚生年金の被保険者で、外国勤務の会社員や20歳未満や60歳以上の会社員なども含まれます。厚生年金部分と基礎年金部分が支給対象となります。第2号として厚生年金に加入していれば、給与の一定額を保険料として納付しますが、勤務先も折半して負担していますので、ありがたい制度だと感じます。厚生年金と国民年金の両方に加入していることになります。

「細く長く働く」という選択肢

第3号被保険者とは、第2号被保険者に扶養される配偶者で、一定の所得要件をクリアすれば、自らは保険料を負担しなくても国民年金の加入者となり、老齢基礎年金などを受給することができます。

この第3号被保険者という制度は、1986年の改正でつくられました。当時は会社員の夫と専業主婦の妻という世帯を標準として、収入のない妻に考慮したものだったのでしょう。共働きが増え、女性の収入も上がっていけば、第3号になる人は減少していきます。将来的は、第3号被保険者制度は実質を失い、無くなっていくのかもしれません。

年金受給額でみると、国民年金保険料を40年間ずっと納めた場合、年金額は778,000円です。厚生年金に加入していれば、それに上乗せして厚生年金部分が出ることになり、同年金保険料を納めた期間や金額によって、年金額は異なります。一般的に男性より女性の方が勤続年数は短く、賃金も低いので、女性の方が厚生年金の額が低くなります。

今ごろになって、その事実を痛感しています。もうすぐ65歳になる私としては、これからも、「細く長く働く」という選択肢を考えていますが、どうなることやら。(消費生活アドバイザー)