【コラム・川端舞】国連の障害者権利条約は、入所施設ではなく地域で生活する権利や、普通学校に通う権利など、障害者が他の人と平等に生活するための権利を規定している。その中でも、より重要だったり、誤解されやすいものについては、「一般的意見」という別の文章でより詳しく説明されている。

例えば、いわゆるバリアフリーを説明した「一般的意見第2号」では、バリアの撤廃が必要な事柄として、「建物、道路、輸送機関その他の屋内外の施設」「その他の屋内外施設には、とりわけ、法執行機関、裁判所及び刑務所、社会機関、社会的交流、娯楽、文化的、宗教的、政治的活動及びスポーツ活動の場と、買い物施設が含まれる」などと書かれている。

一見、とても細かい部分まで書かれているようだが、改めて考えれば、娯楽やスポーツ活動など、人生においてはどれも欠かせないものである。障害者が自分たちの権利を議論してつくった条約だからこそ、「どんな些細(ささい)なことでも、障害のない人が当たり前にやっていることは、障害者も当たり前にできるのが権利なのだ」と、はっきり意思表示できたのだと思う。

日本政府の矛盾点を指摘

そんな障害者権利条約を締約国が守っているか、定期的に国連が審査する。条約締結後、初の日本への審査が今月22~23日、ジュネーブでおこなわれる。

日本政府が国連に事前に提出した報告書では、例えば教育分野では「(障害児には)適切な指導及び必要な支援を行う特別支援教育が実施されており、…特別支援学級、特別支援学校といった、連続性のある『多様な学びの場』が整備され」ていると書かれている。

これに対し、全国的な障害者団体や家族等支援団体などで構成する日本障害フォーラムが提出した報告では、「現行の就学先の決定の仕組みは、地域の通常学校・学級に通うことが原則になっていない」など、障害児が障害のない子どもとともに育つ権利を謳(うた)う障害者権利条約と、日本政府の報告との乖離(かいり)を指摘している。

他の分野に関しても、日本障害フォーラムは政府報告の矛盾点を指摘しており、今回、ジュネーブで国連の審査委員と日本政府が直接対話するとき、これらの矛盾点がどのように話し合われるのか注目だ。

今後の日本の障害者施策が変わる、分岐点になるだろう場に立ち会えることに感謝し、将来、日本の障害者施策をよりよいものにするために働きかけられる、障害者リーダーに私もなりたい。(障害当事者)