【コラム・川端舞】障害者権利条約は、障害者が社会のあらゆる場面で他の人と平等に生活する権利を規定している。日本が障害者権利条約を守っているか、国連の障害者権利委員会が審査する会合が8月、国連ジュネーブ本部で開催される。その会合を傍聴するために、スイスのジュネーブに行けることになった。

日本を審査する国連障害者権利委員会の委員は、ほとんどが世界中から選ばれた多様な障害者だ。日本からも多くの障害者がジュネーブに向かい、国内の障害者の権利について現状を障害者権利委員会の委員に伝える。

障害者権利条約は、「私たちのことを私たち抜きで決めないで(Nothing about us without us)」を合言葉に、世界中の障害当事者が参加して作成され、2006年に国連で採択された。そんな当事者主体の条約に基づき、世界と日本の障害者リーダーが自分たちの権利を話し合う場に、私も参加できるのだ。

国連審査傍聴に向けて、権利条約や審査の流れを改めて勉強し直しているため、国連審査の詳細は8月のコラムで説明したい。そのコラムが掲載されるときには、私はジュネーブにいるはずだ。

経験値を増やす絶好のチャンス

国連審査を傍聴するまでの旅路は初めてのことだらけだ。まず人生で初めて、航空券を自分で予約した。自分と介助者の航空券を間違えないように、緊張しながら予約する。今回は他の車いすユーザーも一緒に行くこともあり、旅行代理店の方も慣れているようで、私が車いすを利用していることを伝えると、すぐにどの書類を提出すればいいか教えてくれた。

私は介助者と一緒に飛行機に乗ったり、10日間も介助者と旅をするのも初めてで、楽しみ半分、不安半分なのだが、自分以外にも多くの障害当事者が同じような日程でジュネーブに行くと思うと、少し安心する。

障害があると「失敗するとかわいそう」「大変だから無理にやらなくていいよ」と言われることも多く、いろんなことに挑戦する機会が少なくなってしまいがちだ。しかし、新しく挑戦したことが思っていた以上に面白く、自分の世界が広がることもある。新しい挑戦を応援し、見守ってくれる人たちがいるおかげで、私の世界は広がり、好きなことがどんどん増えていく。

これから私も障害当事者として多くの経験を積んで、他の当事者が新しいことに挑戦するのを不安がっているときに、「こうすれば大丈夫だよ」とアドバイスできる存在になりたい。そのために経験値をどんどん増やす絶好のチャンスが、この夏やってくる。(障害当事者)