【コラム・坂本栄】つくば市の運動公園用地売却手続きが進んでいます(6月22日ごろ売却先公表→8月22日までに売買契約締結)。これまでの流れを見ていると、手順の「正しさ」をタテにして売却に走る市の振る舞いと、研究学園都市の将来を見据えて阻止しようとする市民の動きが際立ち、市民サイドの問題意識の高さに感心します。

処分する土地は市のものではない?

つくば市が運動公園用地売却に固執する背景(現市長の公約非実現の後始末)、売却手順の異常さ(市民の反対の声を無視、議会の承認手続きも省略)については、このコラムで何度か取り上げました。最近のものでは、129「…『逃げ』の…市長」(3月21日掲載)、130「…蚊帳の外…議会」(4月4日掲載)をご覧ください。

不思議なのは、66億円で購入した運動公園用地が市の大事な財産であるのにもかかわらず、帳簿上は市のものではなく、市のペーパーカンパニー「つくば市土地開発公社」の所有だから、その売却については議会に諮らなくてよい―という手続き論をタテに、議会の議決を回避したことです。

確かに、前市長がUR都市機構から用地を買ったとき、名義上の取得者は土地開発公社でした。しかし、銀行から借りた代金の返済については、議会から「市が債務を保証する」旨の議決をもらっています。返済する元利についても、その額を計上した予算の承認を議会からもらっています。議会の承認を何度も得て、公社の財産目録に載せたわけです。

それを、処分するときは議会の承認は要らないというのは、理解に苦しむ理屈です。仮に行政手続き上は議会をパスできたとしても(私はそうは思いませんが)、議会の承認を取った方が、売却手順の「正しさ」を市民に納得してもらえるのではないでしょうか?

市は「土地転がし屋」になったの?

こういった市の行状は放置できないと、5月20日、市民有志が水戸地裁に住民訴訟を起こしました。議会を軽視した売却の違法性だけでなく、他の視点からも売却は違法あるいは問題があると訴えています。訴状は「売却差止等請求住民訴訟」をクリックすると読めます。

ポイントは、①売却は地方自治法と市条例に反する、②前の持ち主URが用地を収用したときの趣旨に反する、③その土地をURに売却した旧地権者との約束にも反する、④市が売却先を選ぶプロポーザル(事業提案)方式は談合の温床になる、⑤売却後その会社から防災区域を賃借するのは市財政のプラスにならない、⑥売却用地の使途変更手続きが済んでいない、⑦売却は持続可能都市宣言に逆行する―の7つ。

②と③を簡単に言うと、問題の土地を地主さんがURに売ったとき地主さんは「公的に利用される」と思っていたはず、URも市に売るときは運動公園用(公的な施設)と思っていたはず、そこを民間に転売するのは問題だ―ということです。市はいつから「土地転がし屋」になってしまったのでしょうか?(経済ジャーナリスト)

<参考> 住民訴訟による購入リスク:市は、運動公園用地の取得候補企業に対し、売却の違法性について住民訴訟が起きており、市が敗訴するリスク(建物を壊し更地にして返還してもらう?)を承知しておくよう伝えているそうです。地裁の判決は1~2年先でしょうから、8月に売却手続きが完了しても「一件落着」にはなりそうにありません。