【コラム・川端舞】学校教育法では特別支援学校の対象となる障害の程度が定められていて、それより重度の障害を持つ子どもは就学時に教育委員会から特別支援学校への入学を提案される。2007年から、障害児の就学先を決定する際は保護者の意見を聞かなければならないとされたが、それでも特別支援学校の就学基準に該当する障害児はそのまま特別支援学校に入学するのがほとんどだろう。

私も小学校入学時、特別支援学校への入学を提案されたが、両親の強い意向により、私は重度の障害を持ちながら、通常の小学校に入学した。

障害があるのに通常学級に通っている自分が例外的な存在であることは、小学校時代から薄々気づいていた。身体障害のある子どもは自分しか学校にいなかったし、数人いた知的障害のある同級生は、ほとんどの授業を別の教室で受けていた。

時々、道徳の授業で教材に出てくる障害者は、教室で学んでいる同級生とは異なる世界で生きている「特別な存在」だと言われている気がして、実は「障害者」に分類される人間が同じ教室にいることがばれないように、私は息を殺して授業を聞いていた。

「障害を持って通常学級に通う…

大学で特別支援教育を学び、改めて法律上は、私は特別支援学校の就学基準に該当することを知った。特別支援学校での障害児支援に関する研究はたくさんあるのに、子ども時代の自分のように通常学校に通う重度障害児への支援に関する研究はほとんど見つからず、「そんな障害児はいない」と言われているようで、無性に悔しかった。当時の私の調べ方が足りなかったのかもしれないが、通常学校に通う障害児もいる。

でも、私は重度障害を持って生まれ、小学校から高校まで通常学校で学んだ。楽しいことばかりではなく、正直、苦しいことのほうが多かったけれど、障害を持って通常学校に通うことでしか私という人生は始まらなかっただろう。

そして、悩み多き高校時代を経て、地元の群馬からつくば市に引っ越してきてから12年たった今でも、当時の同級生と連絡を取り合うこの人生が間違っていたとは思えない。「障害を持って通常学級に通うのは例外などではなく、当たり前に楽しんでいいことなのだよ」と小学校時代の自分に言ってあげたい。今から20年も前、通常学校に通う重度障害児は確かにいたのだ。(障害当事者)