【コラム・佐々木哲美】3月10日の午前、ナラ枯れの調査を行いました。当会から4名が参加し、昨年同様、森林総合研究所の升屋勇人主任研究員に指導を仰ぎながら、宍塚里山を一周しました。昨年は立木11本と切株2本に対応しましたが、その後、5本の立木の伐採も終えました。伐採だけでなく、樹木防護、トラップ設置、定期点検などにも取り組んできました。

今回は、新たに約20本程度のナラ枯れを確認しました。ざっと回っての数ですから、詳細に調査したら、かなりの本数になると予想されます。そのような状況下で、何を目的に、誰が、どこまでやるのか―など今後の取組方針を決めなければなりません。

昨年は、①予防:被害区域の拡大を食い止める、②駆除:増加したカシノナガキクイムシの数を減らす、③森の若返り:被害を受けやすい高齢・大径木材の積極的な利用と更新管理―の3つの視点で取り組みました。

里山のナラ枯れ被害を食い止めるといっても、我々の力だけでは無理な話です。根本的な理由は、雑木林が利用されなくなって大木化し、樹勢が落ちた樹木にカシノナガキクイムなどの害虫が入り込むことにあるからです。ある意味、自然の摂理と言えますが、見ているだけにはいかないと思い、取り組んできました。

対応への労力やゴールが見えない

昨年1年間実施し、対応への労力やゴールが見えない大変さも分かっています。金銭的にも労力的にも限界がある当会が、何を目的にどのように進めばよいのか? 3月の運営会議で以下の方針を決めました。

①人命に危険性がある場合を第一に対処:定期的な点検や倒木の恐れのある樹木の伐採など、②調査および予防・駆除対策は対象範囲を決めて実施:対象を鎌倉街道沿いのキャンエコの森周辺とし希望者があれば拡大、③ナラ枯れ対策に取り組む研究者に協力:調査・実験を希望する研究者に協力し情報を共有―です。

余談ですが、指導者の升屋さんの説明では、カシナガキクイムシの数を減らす方法は諸説あるそうですが、カシノナガキクイムシ