【コラム・浅井和幸】「私が悪いのですか?」「こう考えるのが常識ですよね?」など、ちょっとしたバリエーションはありますが、多くの人が簡単に答えられる「自分がこう考えるのは、これ普通ですよね?」という質問への回答が、私はこの上なく苦手です。まぁ、苦手というか、これらの質問に対する私の回答は回りくどく、面倒くさがられるというのが正確な表現ですが…。

例えば、「朝は時間がないから、パンを食べるのが普通ですよね?」と質問されたら、「普通、普通。パンの方が手軽だよね~」とか、「いや~~、普通じゃないよ。朝はご飯とみそ汁がないとだめだね」と軽く答えればよいわけです。まぁ、この程度でも、けんかに発展する場面にも出くわすものですけれど。

ですが、私は「う~ん、統計を見たことがないからわからないけど、このところ、パンの需要が伸びているから、半々ぐらいになってるんじゃないかなぁ。だから、どっちもどっちじゃないのかな。ちなみに、自分は朝は食べないことが多い」なんて答えちゃうので、面倒くさがられるわけです。

ま、これぐらいは日常のおしゃべり程度ですからよいですが、もっと深刻な話だと、慎重に答えないと深刻なことになります。気を付けなければいけません。

例えば、「こんなひどい職場では、うつ病になるのが普通だよ」とか「年金よりも生活保護の方が額が多いのは普通ではない」とか「政府に対して怒りを感じて行動しないことはおかしい」とか「女は(男は)〇〇するのが当たり前」とか。

「男」「Aさんの彼氏」「浅井」

Aさん「付き合っている彼が、私に何も話をしてくれず、自分で決断してしまう。相談してくれればよいのに、答えが決まってから答えだけ言ってくる。どうして途中で教えてくれないのか、浅井先生は男だから、女の私よりも彼の気持ちがわかると思うのですが、どうして男は相談してくれないのですか? 普通の男性は相談をしないのですか?」

このような質問には、とても慎重に返します。主語を、「男」「Aさんの彼氏」「浅井」で別々に答えます。まず「男」です。男性の方が女性よりも脳の使う場所が少ないそうです。なので、言葉数が少なくなるといえるでしょう。

そして「Aさんの彼氏」は、途中経過をAさんに話をすると否定されるとか、馬鹿にされる経験をしていると聞いているので、なかなか言い出しにくいのかもしれません。それで普通の人間じゃない「浅井」だったら、嫌われようがお構いなしに自分の意見を相手に押し付けてしまうでしょう。

結局、普通でない変な浅井に、「常識」とか「普通」とか「誰でも当たり前だと思うような話」を聞くことが、土台無理な話だということですね。しかも変な浅井は、「ものの善悪」や「本物の愛」をジャッジする能力も有していないので注意が必要です。(精神保健福祉士)