《邑から日本を見る》9 『邑から日本を見る』という本

「邑から日本を見るー先崎千尋の『常陽新聞』全記録」の表紙

【コラム・先﨑千尋】この『NEWSつくば』は紙媒体の『常陽新聞』を受け継いでいる。その『常陽新聞』(つくば市)は昨年3月に休刊(実質廃刊か)になった。私はそこに「ムラから日本を見る」というコラムを月に2回書いてきた。土浦時代の『常陽新聞』には「先﨑千尋のオピニオン」があった。

私が『常陽新聞』とかかわりを持ったのは1976年だから、もう40年を超す。私の人生の半分以上だ。当時「30代」という企画記事があり、私は農協職員でありながら地元の瓜連町議に当選し、二足のわらじを履くことになったのが面白いということだった。この時の記事の見出しは「農本主義つらぬく 現場から築く農協運動」だった。

その後、農業、農政、農協などについての寄稿を求められ、「視点」そして「先﨑千尋のオピニオン」の連載となった。気が付いたら、40年余の間に書いた原稿は200本を超えていた。最後のころは1回の分量は2,000字近い。これを組み直すと1冊には収まらない。

そこで、紙面をそのまま製版し、発表時の雰囲気がわかるスタイルにすることを思いついた。写真もそのままだ。掲載順に並べるのでは面白くないので、関連する記事をまとめ、12に章立てした。「政治にモノ申す」、「EPA TPPと日本」、「原発を止めよう」、「環境とくらし」、「地域農業をどうする」、「茨城を元気に」、「滅びを待つ農協」、「ムラで生きる」、「食は文化 食こそ文化」、「干しいもという文化」、「先輩、仲間を送る」、「本と人との出会い」がそれだ。

農業をベースに、身近な話題やわが国の動きなどその時々に思いついたこと、多くの人に訴えたいことなどを率直に書いてきた。

さらに、私がこれまで書いてきた1,100余の単行本や論文、評論、書評などを著述目録として発行順に並べた。私は日ごろ日記を書かないが、『常陽新聞』の記事と著述目録を見れば、いつどこでどんなことをしてきたのか、何を考えていたのかがわかる。いわば自叙伝である。

本書の巻頭を飾ったのは、市川紀行元美浦村長の「先﨑千尋断章」という詩と村上達也前東海村長の「『先﨑ちひろ』について」という序文。これを見て、2人とも私のことをよく観察してくれていると思った。

私がモノを書く時の師は、茨城にゆかりのある須田禎一と秋田県横手市で101歳まで「生涯ジャーナリスト」だった、むのたけじだ。書くことによって自分の立ち位置をはっきりさせ、そこから退かないという決意を示す。もちろん、自分の全体重をかけて書く。後進県と言われてきた茨城の地にあって、1人の男がこういう生き方をしてきたのかという読み方をしていただければありがたい。(元瓜連町長)

『邑から日本を見る-先﨑千尋の「常陽新聞」全記録』の発行所はSTEP(つくば市松代4-21-2-2-101 電話029-858-0376)