【コラム・浅井和幸】毎日の生活の中で嫌なことが重なり疲れてくると、せっかくの休日なのに、学校や職場での嫌なことばかりを考えてしまうものです。苦しく余裕がなくなると嫌なものに過敏になるのは、生物の長所でもあるのでしょう。危険を避けるためには必要な特徴です。

ですが、まるで恋焦がれるように、嫌なクラスメートや授業、嫌いな同僚や上司、仕事などを、ずっと考え続けることはお勧めできません。次の月曜日に試すために、対策を練るのであればよいのですが、ずっと「嫌だな、嫌だな」と繰り返すのは、疲労をため込むだけになってしまいます。

この習慣を続けると、良い友達、面白い授業、尊敬する上司、意義を感じられる仕事があったとしても、それらをないがしろにし始めます。そして、嫌なことばかりを繰り返し考えるのです。

自分にとって好ましい人、尊敬できる人の価値観を軽く見て、自分が嫌いな人、尊敬できないとの価値観を大切にしようとしている状態になっていることに気づきにくくなります。嫌いな人に嫌われることを恐れます。

好きな人に悪い態度をとる

なので、人の悪口を言いたくないと思っていても、人の悪口を言う嫌な人に嫌われたくないので、自分が嫌いな人と一緒になって誰かの悪口を言う毎日。能力のない上司に気に入られるために無駄なことをする、性格の悪い同僚のご機嫌を取るために性格の悪い言動を繰り返す。

好きな人や尊敬できる人は、自分を攻撃してこないので、無視してもよい人間となります。場合によっては、少々、八つ当たりしても優しく受け止めてくれるので、厳しく当たってしまいます。

これはとても疲れることですよね。好きな人に悪い態度をとり、嫌いな人に良い態度をとる。だんだん、自分が望まない、自分が嫌いな人間になる努力をしているようなものです。そうはいっても、嫌いなクラスメートや上司を無視してよいかとなれば、そう簡単なものではないですよね(せめて離れているときは無視してもよいと思いますが)。

そこは、どれぐらい最小限の付き合いができるかを考えつつ、もっと大切な、自分が好きだったり尊敬できたりする人との関係をどのように大切にできるかを考えましょう。極端に言えば、嫌いな人に嫌われることを甘んじて受け入れて、尊敬できる人に尊敬されるような、好きな人に好かれるような人間を目指すと考えてみましょう。

そして、それに近づくために現実的に自分に何ができるかを考えて試します。余裕がないときはその考えが浮かばず、「絶対無理」とか「~するしかない」という考えしか浮かばないと思います。そんなときは、尊敬できる人に何かしらのアイデアを分けてもらいに行動に移してみてください。(精神保健福祉士)