【コラム・塚本一也】都道府県の魅力度ランキングという指標がありますが、2017年度版でも茨城県は最下位となりました。横綱稀勢の里の出身県であることやNHKの朝の連続ドラマ「ひよっこ」の舞台となったことなど、プラス要素もあったのですが、結果は4年連続の最下位でした。しかし民間調査会社の「魅力度調査」といっても自治体のイメージを測る一指標でしかなく、その順位が最下位であったとしても、茨城県の全てが否定されたわけではありません。

茨城県は有名人を起用した観光PRやイメージ戦略で人気回復に取り組んでいますが、本質的な改善策も必要であると思います。とくに近隣他県に遅れをとっているのが交通基盤の整備です。

茨城県にはつくばエクスプレス(TX)という在来線としては類いまれな高性能を持つ高速鉄道があります。TX本来の建設主旨は常磐線のバイパスとして機能することにありました。つくば駅からTXが北部延伸して常磐線と接続し、水戸とつくばを鉄道で結ぶことにより利便性は飛躍的に向上します。

水戸方面から都心への所要時間も短縮され、どちらか一方の路線が車両故障や災害時の場合においても振替輸送が可能となり、水戸が東京の通勤圏として本格的に機能することになります。そして水戸市とつくば市が連携することにより、2大都市を軸とした新たな生活圏・文化圏が誕生し、茨城の新しい時代が開かれることになると思います。

さらに、TX北部延伸の延長線上には空の玄関である茨城空港があります。茨城空港は軍民共用のため、様々な制限はありますが、「茨城県の空港」を主張するだけではなく、羽田・成田を補完する「首都圏第3空港」としての役割を認識し、沿線各市や近隣各県にも利用し易くすることが茨城県の評価につながると思います。

また、茨城県の海運の拠点である常陸那珂港は「海の無い栃木・群馬に港を開く」というコンセプトの下、3県がスクラムを組んで物流拠点としての常陸那珂港開港にこぎ着けました。この考え方こそが、これからの北関東3県の浮沈を握ると思います。茨城の陸・海・空が持つポテンシャルを活かし、近隣各県も恩恵が享受できる施策を発信することが、茨城県の魅力を高めることにもなるはずです。

それぞれの自治体がお互いの弱点をカバーしあえる関係を構築し、北関東圏がひとつの経済圏として大きく発展すれば、全国に先駆けた先進的な取り組みのモデルとなるでしょう。(大曽根タクシー社長)